※2021/09/22:ジンムの武器の名前を変更しました。無双セイバーはもうあったでござる…
※2021/09/22:あらすじを追記しました。
―――
じんさん「1300年前、ケガレイドが封印された。しかし、いつ封印が解けてもおかしくない。少年、私と共に戦ってくれないか?」
あきら「僕、やります!家族を守る力になるかもしれない!」
じんさん「その姿の名はジンム。どんな強さがあるかは……共に戦いながら説明しよう」
カズヒロ「蜘蛛みたいな妖怪と仮面を被った妖怪が戦ってな。仮面の妖怪が蜘蛛妖怪を倒したんだよ!!」
あきら「へ、へぇ……」
幻想郷・人里。
そこに住まう女性・
そんな彼女だが、つい最近できた悩みを抱えていた。それは、突如現れた謎の妖怪たちのことであった。
「アレは…何だったのだろうか…?」
そう呟いて、彼女は事件があった日を思い出してみる。
▲▼▲▼
その日は、特段なにか事件があったわけではなかった。
しかし、陽が傾きかけた時間に、自警団の男一人が慧音の元へやってきてこう言ったのだ。
「大変だ先生! 蜘蛛の妖怪が二郎を襲ってやがる!」
「なんだと!!?」
妖怪が人を襲っている……それは、幻想郷に暮らしている慧音にとってはあり得ないことであった。
幻想郷ができ、人間の里が出来た時から、『妖怪は人里の人間を襲ったり食べてはいけない』というルールがある。
これは、人々から「畏れ」を得て実体を保っている妖怪にとっては死活問題であるからだ。人間がいなくなっては妖怪のエネルギーである「畏れ」を補充できずに消滅してしまうからだ。
だから、どんなに低級であっても、幻想郷の妖怪であるならば、人里付近で人間を襲うなどありえないのだ。そんな事をしようものなら博麗の巫女を筆頭とした実力者に粛清されるからである。
だから、今回の「妖怪が人間を襲った」という報告も、自警団を疑う訳ではないがすぐには信じられなかったのも確かだった。やがて慧音が報告に来た自警団に案内されて、やってきた人里の入り口で見たものは……
「オリャアアアア!」
「グオォォォォッ!!?」
「これは…!?」
互いに殴り合う化け物たちであった。
片方は蜘蛛の複眼と脚が特徴的な怪人。戦いのさなかで糸を吐いたことからも、こちらが人間を襲った妖怪だと予想がつく。
だがもう片方はどうだ? 黒いライダースーツに白いアーマーを全身に纏った怪人。顔はまるでバッタの仮面をかぶったようで、醜いというよりも洗練されたデザインとでもいうべき姿のものであった。
「お、おい…あの白い方はなんだ?」
「俺も知りませんよ、先生! 急に俺らの間に割り込んだと思ったら、蜘蛛妖怪をぶっ飛ばしたんだ!」
「何……?」
現場にいたものから聞けば聞く程奇妙な行動が明らかになる白い異形の怪人。
仲間であるはずの蜘蛛怪人を殴る、完全に常軌を逸している。しかも、戦っている様子からして、明らかに倒しにかかっている様子だ。演技とは考えづらい。
【奥義発動! ジンム!!】
「ハアァァッ!!!」
【
「ギャアアアアアアアアアアアァァァァ!!?」
やがて白い怪人が蜘蛛の怪人を圧倒して、高らかな音声に乗せられた必殺技らしき飛び蹴りを放って蜘蛛怪人を爆発四散させてもなお、人間達は己が目で見た光景を飲み込めきれずにいた。
「待て! お前、なぜ仲間を倒した!?」
「! ―――――」
白い怪人が立ち去る直前、かろうじて我に返った慧音は蜘蛛怪人を倒した白い怪人にそう問うてみたが、それは彼の足をほんの少し止めるだけにとどまり、白い怪人は茂みの中へ去って行ってしまったのであった。
▲▼▲▼
慧音は先日起こったあの奇妙な戦いを反芻しながら考える。
あの白い怪人は、何が目的なのか?人里に手を出すつもりで、独占したかったのか?それとも、別の異変を起こす気でいたのか?
考えても、分かることはなかった。
「あの、白い怪人………奴は一体…」
「せんせー、あそぼー!」
「そうだよー、こっち来てー!」
「せんせー!」
「! あぁ、ちょっと待ってろ。すぐに行くからな!」
子供たちの呼ぶ声に意識が戻り、慧音はそれ以上、2人の怪物について考えずに頭の隅によせることにしたのであった。
―――人里・空き地。
珍しく仕事を入れなかった彰は、ジンに色々聞きたいことを尋ねるべく、人気のない広く寝転がれる場所へと向かっていた。というのも……
『彰、何故こんなところに来たのだ?私の声は基本彰以外の人間には聞こえないんだぞ?家族がいない間に話せば済むことではないか』
「だからだよ。僕がヤバい独り言を言ってるの近所の人とかに聞かれたくないからね。
それにしても……ジンさん、僕ケガレイドについて色々知りたいんだけど」
彰は、先日変身した姿・ジンムについての話を誰にも聞かれたくなかったからだ。
ジンの声が彰以外の人間に聞き取れないから直接正体を聞かれるとかはないかもしれないが、それはそれで傍から見れば虚空に独り言を言っているヤバいヤツにしか見えない。故に、場所を変える必要があったのだ。
『奇遇だな、彰。私も君に、聞きたいことができた』
「そうなの?じゃあジンさんから話してよ」
『良いのか?助かるが…………彰、この里には少数ながら妖怪が確認できた。
ここは日本…で合っているんだよな? 妖怪と共存している村なのか?』
「……あぁ、そっか。ジンさん、『幻想郷』についてもまだ知らないんだよね」
『幻想郷?』
彰は、自分の事情よりジンの疑問を優先した。ジンが「幻想郷」という概念から知らなかったことを受け、分かる範囲で「幻想郷」について説明することにする。
彼は歴史や神話、国語には詳しい人間であったため、ジンに幻想郷のことを話すのも苦ではなかった。
『技術進歩から妖怪を守るための世界、人と妖怪が共存する幻想郷、か………それも、ルールがあってのことなのか?』
「そうだよ、ジンさん………?どうしたの?」
『いや、時代の流れを感じて驚いただけだ。1300年前は、妖怪は人を遥かに越えるものとされていた。畏れる事はあっても仲良くするなんて事は出来なかったものだよ』
今から1300年前は700年代、都が平城京にあった時代だ。古くから……それこそ、奈良時代より前から妖怪は存在しており信じられてきたが、今とはあり方がだいぶ違う。ジンは、ある意味物凄いジェネレーションギャップを感じていた。
『そういう意味では、私はこの時代をまったく知らない。様々な事を勉強し直さないといけないかもな』
「戦いの時は僕も頼りにしてるよ、ジンさん。僕さ、今まで喧嘩したこととかなかったから」
『任せたまえ。ジンムドライバーのシステムで困った事があればいつでも訊いてほしい』
ジンの朗らかな声に、彰は微笑む。
思い返すと唐突な出会いだったし、出会って間もないが、彰はジンからの信頼を感じることが出来た。
『さて、彰。早速君にケガレイドについて詳しく説明したい』
「あ、そうだった。僕、何となく戦ったんだよね」
それが終わって、改めてジンは、彰への説明を始める。話題は当然、先日変身して戦った、ケガレイドの事についてだ。
彰は、ケガレイドについて「人を襲う化け物」以外の知識を知らない。彰の善意に甘えた形で戦いに巻き込んだ以上、敵について知るだけの情報は与えようとジンは思っていた。
『ケガレイドとは、ケガレが詰まったエネルギー……邪素によって生まれた生命体だ』
「邪素?」
『ケガレイドの身体の主成分といってもいい。奴らは人間を食料にして、この国…しいてはこの世界を支配しようと企んでいる』
「この国と世界を……!?」
ケガレイドについての話を聞いていくうちに、日本や世界の支配というスケールの大きな話になってきたことに驚きを隠せない彰。そんな彰に、ジンは更なる情報を与えていく。
『そんなケガレイドの特徴は3つだ。
ひとつ。周囲の植物などの、生命力の弱いものを枯らしてしまうこと。これは彰も見ただろう?』
「う、うん…」
『ふたつ。ケガレイドは人間の姿に化けることができる。効率よく人間を捕食するためか、奴らはそういう進化をしていたようだ。
みっつ。ジンムの力以外では滅ぼすことができないこと。再生力が非常に高く、霊力・法力といった類の術が一切効かない』
「ちょ、ちょ!!? ちょっと待って!!」
ケガレイドの特徴を話していくジンを慌てて引き止める彰。
この機械に憑依した亡霊は何と言った? 人間の姿に化けられる?ジンム以外では倒すことができない?明らかに聞き逃せないことを言っているではないか!
「人に化けられるって……しかも、あの姿での攻撃以外が効かないだって!!?」
『ざっくり言うと…どちらも事実だ。私のよく知るケガレイドは当然のように人に化けていたからな。1000年以上経って使えなくなってるとは考え難い。
しかも、当時の陰陽師にもケガレイドは祓えなかったのだ。奴らを倒せたのは、このジンムドライバーで変身した者がトドメを刺した時のみだ。』
「……つまり、僕たち以外にアイツ等を倒せる人はいないってこと!?」
『そうだ。だから私は、君に力を貸してくれと頼んだ。ケガレイドを放置していては、いずれ全ての人間達が奴らの餌になってしまう!』
ジンム以外ではケガレイドを倒せないと明言するジンに、彰はしばし口を閉ざした。
本当に、自分達以外には倒せないのか? 自分の恩師ならどうだ?自分が贔屓する神社の巫女ならどうだ?……初のケガレイド戦で、敵の傷が癒えていくところなど見ていないから、どうしても半信半疑になってしまう。
決してジンを信頼していないわけではない。だが、自分たちを守ってくれている人達の強さを良く知っているからこそ、その人達が勝てないビジョンが全然思いつかないだけなのだ。
先日はケガをしている人がいたから気が付けば割り込んでスパイダーケガレイドと戦っていただけであって、もしかすれば戦わずに済む………のかもしれない。
だが。彰は…もう既にジンに頼まれている。「一緒にケガレイドと戦ってくれ」と。
「あのね、ジンさん……僕は頼まれ事を『やっぱなし』って言って断るのは絶対しない主義なんだ」
『彰……』
「この前からの長い付き合いなんだしさ。僕で良ければ力を貸すよ!その代わり、戦いのサポートはお願いね」
ジンは不思議に思った。彰は、戦うことが怖くないのか?と。
我ながら、急で酷な頼みをした自覚はある。だが、ここまで快く、そして躊躇わずに引き受けてくれる少年は初めて見た。おまけに「この前からの長い付き合い」なんて、軽く矛盾したことを言っている。
……とは言っても、それが彰の性格だと言ってしまえばそれまでだ。短い間だが、彼がお人好しなのはなんとなくジンにも分かっていた。
『……もちろんだ、彰!これからも―――』
よろしく頼む、と言おうとした矢先。
―――ドォォォォォォォン!!
「なっ、なんの音だぁ!?」
突如、近くの通りで爆発のような音がした。
続いて、男女の悲鳴が鼓膜に届く。
『ケガレイドの気配だ!!』
「なんだって!?」
ジンからケガレイド出現の報を聞くと、彰はすぐさま駆け出した。
―――時を同じくして、爆音の中心地では。
「うわああああああっ!」
「助けてっ、食べられるぅぅぅ!!」
「誰かっ、助けをーーー!!」
人々が蜘蛛の子を散らすように逃げ惑う。悲鳴が木霊する。
その中心に立っていたのは、カマキリの怪人とでもいうべき妖怪であった。人の両足で立ちながら、カマキリの顔で人間を食材でも選ぶように見定めて、両腕の大きな鎌で襲い掛かる。
人里に飛び込んできたカマキリの鎌によって、里の人間の一人が腕と胸を斬られて血飛沫が上がった途端、周囲の人々は混乱し、今に至る。
このカマキリもまた、先日里の門前まで襲撃していたケガレイドの仲間―――マンティスケガレイドであった。
マンティスケガレイドは、逃げ出した人々など気にも留めず、負傷した男に狙いを定めた。
狙われた男は、斬りつけられた怪我とパニックと恐怖によって、腰が抜けて動くことも叶わない。
そして、異形の大鎌が振り上げられ、命がひとつ、刈り取られようとしていた―――その時。
「人間に手を出すな!!」
「グゥオオオオオ!!?」
凛とした声と共に、女性がマンティスケガレイドに向けて飛び蹴りを放った。
完全に手負いの男を捕食することに頭がいっぱいだったマンティスケガレイドは、突然の乱入者の奇襲にまるで対応できず、空中に吹き飛ばされ、そのまま里の外の方向へ転がっていった。
「あ…あ……慧音先生…!」
「大丈夫か!? 歩けるか?」
「うぅ……」
「おい!そこのお前!男手と医者を呼べ!今日は里に永遠亭の鈴仙も来てたはずだから彼女の手も借りろ!!」
「えぇ!!? あ、はい!」
「私はアイツを仕留めにいく!」
マンティスケガレイドが吹っ飛んだことを確認して女性―――慧音は、無事だった若者に人手の調達と怪我人の治療を指示して、マンティスケガレイドを追いかけていった。
……それを遠巻きから眺めていたものがいた。
『あの女性…強いな。まさか生身でケガレイドを吹っ飛ばすとは』
「慧音先生は半分妖怪だから、普通の人間の何倍も強いんだ」
彰とジンであった。彰は先程の爆音を耳にして駆け付け、怪我をした男性を庇おうとしたところで慧音のキックを目撃した。慧音が近くの若者に指示してから里の出入り口へ飛んでいくのを確認してからジンが彰に言う。
『あの女性…慧音殿だったか?の元へ行こう。ケガレイドがジンムでしか倒せないのは事実だ』
「…先生でも勝てそうなら帰るよ」
ジンにだけ聞こえるように答えて、彰は走り出す。
辿り着いた場所……里の出入り口付近では、慧音が終始圧倒している様子だった。
先ほどとは打って変わって、マンティスケガレイドは鎌を振るうが、慧音にはかすりもしない。
慧音は、至極マジメな表情を崩さぬまま、マンティスケガレイドを殴り、蹴り、また妖力の散弾を浴びせている。
『彰、あの妖力の弾は…?』
「弾幕だよ。『弾幕ごっこ』で使う飛び道具みたいだけど……今回はマジのものだね」
『なる…ほど?だが……』
「終わりだ! 終符『幻想天皇』!!」
慧音は、後ろの建物に隠れる彰に気付かぬまま、トドメの弾幕をマンティスケガレイドに放った。
マンティスケガレイドは、一面に放たれた華やかな弾幕に驚愕し、避けることもできないまま、一発、二発、三発と被弾していく。
『―――アレではダメだ…!』
「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
ジンの声が重なると同時に、マンティスケガレイドはその身を爆発させた。
その様子は、誰がどう見ても慧音によってケガレイドが倒されたようにしか見えないだろう。
『彰! 煙をよく見たまえ!』
「!?」
ジンの指摘通りに爆発の後に出てきた煙をよく観察すると…
―――なんと、黒煙が不自然な動きで一か所に集まってきた。その煙は人の形を作っていき。
「ジャァァアアアアッ!!!?」
「なんだと!?」
なんと煙の中から、マンティスケガレイドが再び現れたのだ!
しかも、先ほどまで慧音が与えた筈の場所に、一切の傷がない。
「どういうことだよ……今、慧音先生が倒したハズなのに…!」
『そうだ…かつての陰陽師も、あの再生能力にやられたのだ…!
いくら倒しても、何事もなかったかのように蘇る。しかも、霊力による封印を当たり前のように破ってくる……! 安倍姓を名乗ってた陰陽師でも奴らには手も足も出なかったんだ…!』
「さ、再生っていうか…不死でしょ、あれ…!」
これこそ、ケガレイドをジンムでしか倒せないとする所以だとジンは語る。
消滅させた筈なのに、煙から何事もなく、しかも何度も復活するなどどんな悪夢だと思ってしまう。更に、安倍の陰陽師が手も足も出なかったという最悪の情報も出てきた。いくら優秀な陰陽師でも、不死な上に封印術も効かない化け物と戦い続けていたら体力も尽きるというものなのだろう。
「ど、どうすればいいの、あんなの!?」
『簡単だ。ジンムに変身した君が奴を倒せばいい』
「!! そっか!」
当然の問いにジンが即答したことで、彰は前回のスパイダーケガレイド戦を思い出していた。
確かに、あの時倒したケガレイドは、復活する様子はなかったし、実際に倒しても復活しなかった。あの時は疑問にも思わなかったが、もしかしたらアレが正しい倒し方だったのかもしれない、と。
『彰。どうやらやる気のようだな』
「当たり前だよ。慧音先生にだって限界はある。それを何とかできるのは、僕たちだけなんだ!」
『その意気だ。さぁ、出陣と行こう!』
「あぁ―――変身っ!!」
【ジンム!】
【浄化! 昇華!! ジンム召喚!!!】
【まつろえど
彰は、人里の守護者たる慧音に密かに訪れつつある危機を救うため、コアエマキをドライバーにセットした。
一方その頃。
「な…何故こいつは何度も蘇るんだ…!?」
「ジャァァァアア!!」
慧音は、倒せど倒せど何度も蘇るマンティスケガレイドに辟易していた。彰が目撃した撃破も加えて計3回は撃破している筈なのに、その度にケガレイドは元気な状態で復活していた。
彼女は確かに、人間をはるかに超えた力と弾幕と戦闘経験を持つ。だが、たとえどんなに人間離れしていたとしても、体力は存在する。今はまだ大丈夫だろうが、蘇生のトリックを見破らなければ、里の人々も危ない。慧音は相手の無限蘇生ループに付き合う気はさらさらなかった。
「コイツをどうするか……」
友人によく似た能力を敵に回すと厄介だな、と心が折れぬよう奮い立たせつつ、目の前のケガレイドをどうするか考えながら戦いを再開しようとした時、慧音の横から飛び掛かりマンティスケガレイドに殴りかかる姿があった。
「ハァァッ!」
「ジャッ!!?」
マンティスケガレイドは、その者の不意打ちにギリギリで反応できたものの、防御の姿勢が悪く、体勢を崩された。
不意打ちを行った張本人―――ジンムは、慧音に向き直る。
「大丈夫ですか!?」
「なッ、お前は……仲間を倒した妖怪!!? 喋れたのか…!!」
慧音としては、突然加勢したと思われるこの妖怪?の素性が気になった。
何故、味方である筈の妖怪と戦い、そして倒したのか。なぜ、今回もまたカマキリの妖怪に殴りかかったのか。
だが、こんな戦闘の状況でそれらを確認している暇はないと判断し、慧音は手短に伝える。
「お前が何故味方と戦うのかは今は問わん………だが、アイツは厄介だ!倒した傍から蘇るぞ!」
「大丈夫です! 僕ならアイツを倒しきれる!!」
「な、何を言っている!」
何度でも蘇生するマンティスケガレイドを倒せると自信満々に言うのを慧音が引き止める間もなく、ジンムはマンティスケガレイドに再び突撃していく。
「はっ!」
「ジャアア!」
「うわっ!?」
「シャァァア!!」
「のわあぁぁぁぁっ!?」
しかし、一発入れてからは防戦一方になってしまう。拳が届く距離につく前にケガレイドの鎌が襲いかかり、思うように近づけずにいる。やがて鎌がジンムに直撃し、吹き飛ばされてしまった。
マンティスケガレイドは、その名の通りカマキリの怪人だ。その攻撃手段は、主に腕についた鎌による斬撃だ。格闘主体で戦う今のジンムでは、リーチの長さで不利だと言わざるを得ない。
「厄介だな、あの鎌……!」
『武器を調達しよう、彰。』
「武器?」
そこで、ジンから武器の提案があった。
確かに何かしらの武器があれば、あのマンティスケガレイドの鎌をくぐり抜けて、攻撃できるかもしれない。しかし、敵が待ってくれる訳がない。
『まずは棒状の何かを手に持って欲しい』
「ぼ、棒状の何かって……」
『木の枝でも何でもいい!それさえあれば、ジンムの力で武器が作れる!』
急に棒状の何かを探せというふわっとした指示に戸惑いながらも従うジンム。マンティスケガレイドの鎌をかいくぐりながらも周囲を見渡すも、そう都合よく木の枝などが落ちている筈もない。
「……あ!」
しかし、ジンムは見つけた。
慧音が手に持っていた、巻物を。
「すみません!これ借りますね!」
「あっ、お前ちょっと!!」
ひとこと言って巻物を取り上げるジンム。
「ジンさんこれでいい!?」
『確かに棒状だが…まぁいい!そのまま真価開放だ!』
【真価開放! ジンム!】
コアエマキのスイッチを押して真価開放をする。
すると、その時不思議な事が起こった。
「え?」
「な…な……」
なんと、ジンムが持っていた巻物が、ひと振りの両刃剣に変化していたのだ。重量も巻物のそれではなく、ずっしりとしたものへと変化している。
「ええええええーーーっ!!ま…巻物が剣になったぁぁぁっ!!?」
「おい、お前! それ元に戻るんだろうな!!?」
『彰!それこそジンムのもう一つの真価開放、ジンムセイバー!それなら相手の鎌もいなせるはずだ!』
「あぁ、分かった!」
そのままジンムセイバーを手に斬りかかるジンム。両手の鎌で迎え撃つマンティスケガレイド。双方の刃がぶつかり、火花を散らした。
巻物から変化した剣のはずなのに、マンティスケガレイドの刃をものともしない。
「この剣凄いな!? …っと!でやぁ!!」
「ギャアァァ!!?」
鍔迫り合いからジンムセイバーで鎌を押し返し、そのままマンティスケガレイドに一太刀浴びせる。
剣を持ったことによって、リーチの不利を解決したジンムは、その勢いのまま二回、三回と斬撃をお見舞いした。
五月雨のような連撃を受けたマンティスケガレイドは、思わぬ大ダメージにたまらず地面をゴロゴロと転がった。
『彰!トドメを刺してやろう!』
「分かった!!」
【奥義発動! ジンム!】
両サイドのボタンを押して必殺技の準備に入る。
すると、ジンムのエネルギーがジンムセイバーに集まり、光り輝いていく。
【天地開闢!ファンタジック・ストラッシュ!!】
そのまま、光り輝くジンムセイバーを振り抜いて一閃。
マンティスケガレイドは、腹部を真っ二つに切断され、その傷から全身にヒビが走っていく。。
「ウ…ガッ……ガギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
そして、光を放ちながら大爆発。
しばし時がたつも、煙から復活する様子もなく、マンティスケガレイドは完全に撃破された。
『なかなかに良い太刀筋だったよ。』
「……あ! これ、元に戻るのかな……?」
元々は慧音の巻物だったジンムセイバーだが、ジンムが元の持ち主に返さないといけないと思った時、ジンムセイバーは光が弾けたかと思えば、元通りの巻物に戻っていた。
「あ……戻った…」
『ジンムセイバーは本人が戻そうと思えばいつでも戻せる。』
「それは良かった。あの、これ、ありがとうございます!」
戦闘中に借りた巻物を返せなくなる可能性に悩むことがなくなってひと安心したジンムは、慧音に巻物を返そうとする。
「………」
「……? あの、どうしたんですか?」
しかし、慧音は巻物を受け取ろうとしない。
その表情は……まるで、「信じられないものを見た」。そう言っているようであった。
「あの…これ……」
「……お前! なぜ…
「『!!?』」
慧音がジンムに掴みかかった。そして、やっと開いた口からそんな事を言った。
2人にとっては衝撃だった。慧音からそんな質問が出てくる意味。それは……
「……
―――彼女が、
ジンは、己の失言にここで気付く。だがしかし、言い訳するにももう遅い。
彰は、人々からケガレイドを守るための鎧の中で、つぅ、と冷汗が流れる感覚を覚えていた。
仮面ライダーリバイス、面白いですね。
2話でバイスが一輝にマジ説教されてるシーンなのにジャイアンボイスで「銭湯で戦闘♨」って言われたら笑うよコレは。3話でも幼馴染に「よぅ…」ってなる一輝を茶化しまくったりと好かれるキャラになりそう。あと大二が心配ですね。某ミッチの様に闇堕ちしそう……
話は変わりますが、執筆しながらもジンさんの声がクリス・ペプラーさんの声にしか聞こえなくなっている私がいます。間違いなくユーチューブで放送中の仮面ライダードライブにハマっているからですね。