さて、気が早すぎますが2号ライダーはどうしよう。最初は地底の鬼を考えてましたが、鬼のライダーもういました(響鬼)。ならばと紅魔館関連で吸血鬼をと考えましたが、コウモリのライダーももういました(キバ)。冥府・彼岸系はゴーストがいますし……どこから出てくるんでしょうね。
―――
あきら「慧音先生は信頼できる人だよ。秘密は守ってくれるから、話しても大丈夫」
けーね「…取りあえず、お前の正体はまだ誰にも言わないでおく。彰、お前が戦う義務はないはずだ」
じんさん「ケガレイドは君が思っているよりも残酷で、狡猾だ。それ相応の覚悟を持たなければ……ケガレイドを撲滅する事は難しいだろうな」
ようじょ「……お兄ちゃん……!!」
あきら「こんな奴らの為に……誰かの涙なんて見たくない!!人も妖怪も!みんなに笑顔で、いてほしいんです!!!だから…見ててください!僕の!!変身!!!」
―――寺子屋・慧音の書斎にて。
授業のないこの時間に集まっているのは二人。だが、声は三人分あったという。
「…しかし、これ何なんだろう?」
【ワーハクタク!】
『それは妖怪のコアエマキだ。ジンムを強化するための道具でもある』
一人は、この寺子屋の卒業生・多田彰。彼は現在、とある訳で慧音の寺子屋に邪魔していた。
一人の声は、人間からではなく、彰の持つ機械から発せられていた。彼はジンと名乗り、ジンム…彰の戦いをサポートしている。
「強化……あの夜の、角が生えたジンムの事か」
『そうだ慧音殿。アレらを使ってモードチェンジしながら戦う事で、ケガレイドに対抗してきたんだ。
しかし、本来なら、ある程度の力を持つ妖怪を
「そうなんだ」
【ワーハクタク!】
最後の一人は、上白沢慧音という、彰の恩師にしてワーハクタクという妖怪の女性である。
彼らの話題は、昨晩の戦いにて偶然手に入った、ワーハクタクのコアエマキについてだ。
「調伏? しかし私は、そういう自覚とかないぞ」
『あぁ。それは分かっている。しかし、そうなると今度はあのタイミングでワーハクタクのコアエマキが生まれた理由がわからない』
彰も慧音も、戦いの最中で現れたコアエマキに興味を持っていた。それのお陰で勝つことができたとはいえ、どうやって生まれたかが全く分からなかったからだ。ワーハクタクという種族のコアエマキという点でも、偶然とは思えなかった。
ジンは、妖怪のコアエマキの入手方法を知っていたものの、今回とは状況が違うために困惑している。
「僕の事を認めてくれたから、とかじゃないかな?」
『そう、かもしれないな…ジンムは変身者の精神が大きく影響する機能をつけているからな…』
「おそらくだが、彰の影響で腰の機械に何らかの変化が生まれたのではないか?」
「なるほど!つまり、僕次第でこのコアエマキが作れるかもしれないってことだね!」
【ワー・ワ・ワ・ワ・ワワワワワ・ワーハクタク!】
「……おい彰。それで遊ぶな…!」
ジンムドライバーの機能は変身者の精神が大きく左右する点もある。
そういう意味では、妖怪を調伏しなくてもコアエマキを得られる可能性がある。それに気付いたのは彰だが、先ほどからワーハクタクのコアエマキのボタンを連打して音声を出し遊んでいたため、慧音に取り上げられてしまった。
その様子に、相棒のジンも彰を嗜める。
『彰……コアエマキはそもそも邪素を封じ込めた代物だ。下手を打てば、それからケガレイドが生まれることだってあるのだよ。だからそうやって気軽に遊ばないで欲しい』
「え、えええええええええええええっ!!? そ、それからケガレイドが出てくるの!?」
『正しく使えばケガレイドとの戦いで頼もしい武器になる。刀と同じようなものだ。よっぽどおかしな使い方をしない限り、我々に害が及ぶことはまずない』
コアエマキがケガレイドを生み出すと聞いて驚き飛び上がる彰だったが、正しく使う分には悪い影響は出ないという話に、慧音もひとまず胸を撫でおろす心境となった。
「さて、これから彰はどうするつもりだ?」
その後、慧音が聞き出したのはこれからの彰の行動だ。
彰がケガレイドと戦う決心を持ったのは認めるしかない。ケガレイドに対抗できる唯一の存在たるジンムに変身できる人間が現段階で彰しかいないことも。
だが、それはそれとして、慧音は彰の行動方針を聞き出すつもりであった。ケガレイドの事を抜きにしても、妖怪は人間にとって危険である事に変わりはないのだから。
「流石に、まだ妖怪を探しに行く無茶はしません。
僕には家族がいますから。それに……ジンさんはここを知ってまだ日が浅いんです」
『幻想郷にどんな場所があるかわからない以上、無闇にここを離れられない。そういったことを調べられる場所がこの人里にあればいいんだがな』
「……というわけで、
「そうか。まぁそれが妥当なんじゃあないか」
彰の言った「阿求様」というのは、
人間の里に住まう名家「
稗田の屋敷は人里の中心部に位置しており、また稗田家の蔵書は一般の人間達にも広く開放されている。流石に阿求本人に会う事は難しいだろうが、里から出ないで調べ物をするには、そこか古本屋「鈴奈庵」くらいだろう。
「そうだ、彰。ひとつ忠告しておくが―――」
彰とジンは、稗田家へ向かうべく最後に忠告してくれた慧音に礼を言ってから、寺子屋を後にした。
―――その頃。とある橋の下で、一人のみすぼらしい男が、憤怒に顔を歪めていた。
「チクショウ…あの女…俺の告白を蹴りやがって……!!」
その姿は清潔感などなく、無精ひげが生えた顔立ちを更に醜く歪め、とある女性への怒りを募らせていた。
男の名前は
彼は、とある女性に一目惚れをして、彼女にアプローチをしていたのだが、運が悪かったというべきか、その女性は稗田家の使用人だった。しかもその女給と貞彦は関係などほぼない、赤の他人………貞彦には悪いが、高嶺の花であったのだ。
「どうしたのです。怖い顔などして」
「!」
そこに、声がかかった。
貞彦が顔をあげると、目の前には見慣れない恰好の男がいた。
スーツ姿に、中折れ帽……不気味なことに、黒いスーツの内側から見えるワイシャツもネクタイも真っ黒だった。
「…誰だ、あんた」
「僕はただの通りすがりさ。もう一度聞きます。どうしたんです?まるで意中の女性にフラれたような顔をして」
「!?」
貞彦は、目の前の自分のことを的確に見抜いてくるこの男を警戒した。なぜそんなことが分かる、薄気味悪い、と。
そして相手にするべからずと踏んで橋の下から立ち去ろうとした……が、スーツの男の一言で立ち止まった。
「思い通りのものが手に入らないなら、力づくで手に入れればいいんですよ」
「!!」
それは悪魔の囁きだった。
手に入らないなら奪えばいい。単純な力の理論。知性をまったく必要としない、獣の理論だった。
だが、それは確実に貞彦の理性の鎖に、ヒビを入れた。
「で、でも…あいつは稗田の使用人だ。手を出したら、後でどうなるか……」
「成程。ならば話は簡単、もっと強いチカラを得ればいい。」
「ひ、稗田家よりも…?」
稗田家は人間の里で一番と言ってもいい影響力を持つ。
それよりも強いチカラなど、どのようなものだろう。
胡散臭さこそあれど、貞彦はスーツの男から目を離せなかった。
だって……この男の言っている事は正しいのだから。あぁ、なんでこんなシンプルなことに気付かなかったのだろうか。どうせ普通に近づこうとしても相手にされないだろうから。そうだ、俺はあの女が欲しい。あいつが高嶺の花なのであれば、高嶺をよじ登るだけの力が必要だ。
「これをあげます。なんなら、今から使い方を説明して差し上げましょうか?」
「これは…!?」
「誰でも使えるマジックアイテムさ。だぁい丈夫、あたいも使っている。体に危険はないよ。ほら」
【ツクヨミ!】
真っ黒な巻物のようなアイテム―――コアエマキを取り出して起動するスーツの男。貞彦はそれに吸い込まれるように釘付けになる。
彼は真っ黒なコアエマキを懐にしまうと、今度は別のコアエマキを取り出した。その色はくすんだ
「だから…ね?使い方は貴方次第。わたくしは貴方を応援していますよ」
【アオダイショウ!】
蛇柄のコアエマキを握らせてくる黒スーツの男―――シンゲツの提案に、貞彦は頷いた。これさえあれば、彼女が手に入る、と……バラ色の未来を浮かべるその目に、狂気が宿り始めた。
だが、貞彦は気付かない。それは高嶺をよじ登る力などではなく、花ごと高嶺を破壊する力であることに。自然から離れた、忌むべき力であることに。狂気に濁ってしまった目は、そんなことすらも見抜けなくなっていた。
稗田家の蔵書は、現代で言うなれば図書館というほどに本の種類は多い。流石に物語系や児童書はないが、歴史や医術、農業・畜産の知識を記した本は数多ある。
特に読まれているのは『
「蔵書の閲覧ですね。持ち出さなければ、大丈夫です。開放時間は、午後5時までとなっております。」
「ありがとうございます!」
「どうぞごゆっくり…」
稗田家に到着した彰とジンは、門番の許可を得て、稗田家の書庫に入っていた。
「あ、女給さん!『幻想郷縁起』の写本ってありますか?」
「ございますよ。こちらです」
『彰、彰。ちょっと、医術関係の本も見繕ってくれると助かる』
「あと、医療関係の本とかあります?」
「はい。少々お待ちくださいね」
まずはジンに幻想郷のことを説明しようと考えた彰は、女性の使用人に目的の本のありかを尋ね、案内してもらう。そのついでに、ジンの希望を聞き取れない使用人に代わって尋ねたりもした。彼女は恭しく一礼すると、医療書を探すべく奥へと立ち去っていった。
案内してもらった場所の近くのテーブルに幻想郷縁起の写本を置き、椅子に座って読み始める。
『ふむ…天狗に鬼、河童……有名どころの妖怪はほとんどいるな』
「大体の妖怪はいるよ。ジンさん、思いついた妖怪あげてみてよ。多分いるから」
『うーむ……じゃあ、
「いますよ。ここに載ってます」
『おぉ、本当だな…………ここまで数多く妖怪を書き上げるとは、稗田阿求とは、何者なのだ?』
「阿求様は転生を繰り返す『
ジンは彰の「御阿礼の子」というワードにはっとする。
『稗田……御阿礼…ま、まさか彰、それって―――』
「お待たせしました。こちらが医術書でございます」
思い切って何かを聞こうとしたところで先程の使用人が大量の本を持ちながら近づき、テーブルの上にそれを置いた。
「あ、ありがとうございます! えっと…」
「
「すごいじゃないですか! あ、僕は……」
「彰さん、ですよね?」
「えっ?はい。でもどうして……」
「噂になっていますよ。何でも手伝ってくださるお人好しな方だって。」
『彰の人の良さは稗田家にまで及ぶ程の噂になっているのか……』
使用人―――
噂になるほどの彰の行動力に感心しながら、彰は医学書を読むフリをしてジンに読ませていた。
「あの」
「なんですか?」
紗百合が彰に話しかけてきた。
「本当に…なんでも引き受けているんですか?」
「はい、もちろん!」
「どうして、断ったりしないんですか?」
紗百合は、彰にそんなことを聞いた。心の底からの疑問だった。
どんなに大らかな人であっても、それぞれの事情なんてものがあるはずだ。「悪いんだけど、忙しいから他を当たって欲しい」と断ることは別に悪でも何でもない。にも関わらず、仕事に遅刻してまで頼み事を聞いたり頼まれなくても助けようとしたりするだろうか。そんなことを紗百合は考えていた。
その質問に対して、彰は笑顔でこう答えた。
「だって、僕はみんなの笑顔を見るのが大好きだから。みんなに笑顔になって貰いたいから、率先して誰かの手助けをするんです。断られちゃったら、誰だって辛いですからね」
頼まれ事を断るのは簡単だ。忙しいから、面倒ごとに巻き込まれたくないから、手伝いたくないから………等々、理由を浮かべながら申し訳なさそうにすればいいのだから。
でもそうした場合、頼んだ人は気持ちが沈み、「また断られるかもしれない」と次の人に頼みづらくなるだろう。
何より彰は、いま明言した通り、みんなに笑顔でいて欲しい……そう願う人間の一人なのだ。
晴れやかな笑顔の彰のその言葉に、紗百合も笑顔で返した。
『(彰…先日の一件で、覚悟を持てたようだな……っと、書の内容に集中せねば)』
そんな彰と紗百合の様子に、ジンも彰の成長を実感しながら医術書を読み進めた。
紗百合が立ち去った後、誰にも聞かれないように彰はジンに尋ねる。
「…ずいぶん熱心だね?」
『ベルトになる前は医者だったからな……私の時代から1300年経った今、どこまで医療が進んでいるのか知りたいんだよ。命を救う事に繋がるのなら尚更な』
「へぇ…ジンさんってお医者さんだったんだ! 幻想郷にもあるんだよ、病院が」
『永遠亭、だろう?迷いの竹林があるようだが、いつか行ってみたいものだ』
ジンのかつて医者だったという発言に、彰は幻想郷の医者を思い出す。
月の人々が住まう永遠亭、だったっけか。確か薬を売りにそこから
「お前、なにやって…ぐわあああああ!!?」
「『!!!』」
男性の悲鳴が聞こえた。
それは、彰達にとっては記憶に新しい声だった。
『門番殿の声だ!』
「行かなくちゃ…!」
すぐさま本を閉じて、片付けもせずに出口に向かって走り出した。
彰が入り口に到着した時、痩せぎすの男が紗百合に迫っているところだった。よく見ると、門番が隅に投げ捨てられていた。息はあるようだ。
「紗百合さん!どうして分かってくれないんだ!こんなにも好きなのに!」
「だから、良く知らない人とは困りますと言ってるじゃないですか…!」
男の様子はおかしく、必死に鬼気迫る勢いで言い寄っていて、気分の良い光景ではない。
普通なら恐怖に委縮してしまうだろう。そんな男に弱々しくとはいえ反論できるだけでも、紗百合は立派なものだ。
すぐさま彰が、男と紗百合の間に割って入り、彼女を背に庇う。
「お知り合い……じゃないですよね」
「最近付け回してくる男なんです…!」
「ストーカーか…!」
「誰だお前…急に出てきて俺の邪魔しやがって……!!」
男―――貞彦は、颯爽と現れた彰に怒りを示す。自分と彼女の仲を邪魔する障害物が、どうしてこう良いところにやってくるのかと。
だが、彰は動じない。彰には、紗百合が明らかに嫌がっていることが理解できたからだ。
「紗百合さんが嫌がっている。そのまま下がるんだ」
「黙れっ! 俺に指図すんじゃねぇよ、ガキが!
てめぇなんかに俺と紗百合さんの何が分かる!?」
脅迫や恫喝に近い雰囲気で、掴みかからんばかりに唾を飛ばしながらがなりたてる貞彦。それに紗百合は怯えるばかりだ。
この男、紗百合に執心のようだが、明らかに様子がおかしい。紗百合にしてみれば貞彦の言い分など冗談ではないのだが、それ以上に正気を保っているようには見えなかったのだ。
「邪魔するヤツは全員ぶっ殺す……!」
【アオダイショウ!】
「なっ!?」
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
狂気と憤怒に目を染めた貞彦は、蛇柄のコアエマキを取りだすと、そのまま露出していた腕にそれを突き刺した。
すると、雄たけびをあげた貞彦はたちまち肉体が変異して、黒い体と白い血管が浮き出た異形に姿を変えてしまった。更に彼の背中から、脱皮するかのように蛇の顔をしたケガレイドが現れたのである。
「サユリサンは、わたサナイ……!!」
「ジャアアアアアアア!!!」
『なんということだ……コアエマキから、ケガレイドが生まれてしまった…!』
街中……しかも、名家である稗田家の目の前で妖怪にも等しい醜い異形が現れたことで、周囲の人間は大パニックに陥った。人々はほとんど荷物等を放り投げて逃げ去ってしまい、その場には彰とケガレイド、貞彦だったマカイライ、そして腰の抜けた紗百合だけが残った。
彰は、すぐさま紗百合を安全な場所へ避難させるべく彼女を連れて稗田家を去ろうとした。
「ドコへイク…!!」
「ぐっ…!!?」
「シャアア!!」
しかし、マカイライが追いすがり、彰にボディーブローを入れた。
よろめくところに、今度は蛇のケガレイド……スネークケガレイドが追い打ちをかける。
彰は、稗田家の塀に吹っ飛ばされ、塀を破って庭の中まで突っ込んでいってしまった。
「うわあああああああああああ!!?」
「彰さん!!!」
「シュルルルルルル…」
「サユリサン~」
「ひっ!!!?」
思わず紗百合は声を上げるが、そこに邪魔者を始末してご満悦なマカイライとケガレイドが迫る。紗百合は、未だに腰が抜けて動けない。
「ドウしてニゲルんダイ? オレはアナタガコンナニもスキなノニ〜?」
そんな紗百合にマカイライが貞彦の声で話しかける。息は荒く、声色は完全に不審者のそれだ。おぞましい見た目も相まって、紗百合の恐怖心を更に煽った。
「こ、来ないでください…!」
「ヒドイなァァ!! イヤヨイヤヨもスキノウチッテイッテモ、ゲンドがアルヨォォォ〜〜!!」
「嫌ぁ…!」
マカイライが、紗百合の腕を掴む。
紗百合は、振り解くことができない。腰が抜けて座り込んでいるため、連れて行かれまいと抵抗するだけで精一杯だ。
思い描いた未来まであと少し。今は嫌がっていても問題ない。時間をかけてゆっくり調教すれば良い。マカイライの口元が三日月に歪んだ。
しかし、ここで貞彦ですら予想だにしなかった事態が発生する。
「シャアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「イヤあああああああ!!!?」
「オイ!!?」
なんと、スネークケガレイドが紗百合に襲い掛かり、食そうとしたのだ!
マカイライとなった貞彦は、咄嗟に紗百合の手を引いてスネークケガレイドの牙から逃して、スネークケガレイドに詰め寄った。
「ナニヤッてンダ!!ソノオンナはオレのダゾ!!!」
紗百合を庇った理由は身勝手極まりない。彰とは違って、貞彦は自分のことしか考えていないのだ。
貞彦は指をつきつけて怒鳴り散らす。
「オマエはオレノイうコトダケキイてイレバイインダ!!」
「………」
散々怒鳴った貞彦の言葉を黙って聞いていたスネークケガレイドは………
「―――え?」
貞彦の突きつけた腕に、齧りついた。
一方、稗田家の庭まで吹っ飛ばされた彰は、既に瓦礫から抜け出していた。ジンは、困惑しながら彰に問いかけた。
『彰、お前……どうしてすぐに変身しなかった!?』
そう。彰はその気になれば、貞彦がケガレイドとマカイライになった時点で彰はジンムに変身することができたのだ。だが、そうしなかったのには理由がある。
『もしや慧音殿の話を気にしているのか?』
そう。慧音が稗田家に向かう前の彰に言ったことであった。
「あの姿だが…あまり人前で変身しない方がいい。」
「やっぱり…そうですよね」
「分かっているだろうが、人が妖怪のような姿に変身するなど前代未聞だ。バレたらどうなるか分からないぞ」
彰もうすうす分かっていたことだったが、ジンムへの変身は、何も知らない者が見たら「人が妖怪になった」ようにしか見えない。事実、理解者となった慧音も目の前で変身を解いて彰になるまではジンムを「何故か仲間を倒す妖怪」だと思っていた。ケガレイドよりは整っているとはいえ、ジンムの格好は普通の人間というには無理がある。
彰は、周りに誰もいないことを確認すると、ジンの問いに答えた。
「慧音先生の言う事ももっともだけど……僕は…先に、紗百合さんの安全を確保するべきだって、思ったんだ」
紗百合が貞彦という男に怯えていたのは明らかだった。そして、貞彦がコアエマキでマカイライとケガレイドに変身した時はさらに恐怖していた。腰が抜けて動けない程に。これ以上、あのケガレイドとマカイライの近くにいたら、彼女が発狂してしまうかもしれない。だから、彰は紗百合の避難を最優先にしたのだ。
『…せめて、マカイライの動きを止めてから避難させるべきだったな』
ジンは彰の行動をそう評した。
紗百合に執着しているマカイライの前で、彼女を逃がそうとしたら止めに来るに決まっている。
決意を固めたとはいえ、彰の戦闘経験のなさが浮き彫りになった瞬間であった。
「反省は後だ。今は…紗百合さんを救いに行かないと!」
【ジンム!】
「変身!」
【ジンム召喚!】
【まつろえど
彰はジンムに変身して、紗百合の元へと走り出した。
駆け付けた時に彰の目に入ってきたのは。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァァァァァァァ!?!?
手ェェ! オレのテガァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
何かを咀嚼するスネークケガレイドと何故か片腕がないマカイライ、そして完全に気を失っている紗百合とそれを支える慧音だった。
「何があったんです!?」
「ヘビのケガレイドがマカイライの腕を食いちぎったんだ!」
「仲間の腕を…!?」
ケガレイドが何故か手下であるはずのマカイライの腕を食いちぎったと聞いてショックを受ける。
『手下とはいえ、元が人間だからか……! 所詮、ケガレイドにとっては食料にすぎないというわけか…!』
「先生! 紗百合さんとマカイライを任せてもいいですか!」
「あぁ、任せろ」
マカイライの方は腕が食われた事に発狂していて、悪事どころではない。戦闘力もそれほどでもないため、紗百合の避難と共に慧音に任せて、ジンムはスネークケガレイドに向かっていく。
腕を飲み込んだスネークケガレイドは、ジンムに向かって殴りかかる。それを片手で防いで、カウンターに腹へ拳を叩き込むジンムだが。
「ぐっ…!」
「シャアアアア!」
打撃をものともしない様子で、ジンムに噛みつき、拳を叩き込んでくる。
「こいつ…!」
【真価解放! ジンム!】
ジンムの装甲のお陰でダメージは軽減しているが、ゼロにはできない。
ジンムはスネークケガレイドを蹴っ飛ばして距離をとり、木の枝を拾ってジンムセイバーにする。
変化した剣を振るって、スネークケガレイドに斬りかかる。
「ギャアアア!!?」
「うわっ! ものすごい暴れるじゃんか…」
スネークケガレイドは、痛みからか暴れ出す。やたらめったらに振り回す拳が地面に当たってはそこに抉るような穴を開け、ジンムセイバーに当たってはジンムの手に凄まじい衝撃を与えた。
どうやら、ダメージは与えられたが傷は浅いようだ。
「パワーが足りないのか?」
『なら、あの姿だな!』
すぐにジンムは新たなコアエマキを起動する。
そして、ジンムドライバーの空きスロットにそれをセットした。
【ワーハクタク召喚!】
【
ワーハクタクモードにチェンジしたジンムは、ジンムセイバーを握りなおすと、再びスネークケガレイドに斬りかかった。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?」
「よし!」
今度はワーハクタクモードのパワーの乗った斬撃を受け、大きな切り傷を受けて吹っ飛ばされるスネークケガレイド。
よろめきながらも立ち上がったスネークケガレイドは、まだ終わりじゃないと言わんばかりに威嚇の声を張り上げ、口を大きく開き、おどろおどろしい紫色のエネルギーを口に溜め始める。
「勝負だ!」
おそらく強大な攻撃をしてくるであろうスネークケガレイドに、ジンムは真正面からの勝負を挑んだ。もしかわしたら、里の家や人々に当たるかもしれないからだ。
【奥義発動! ワーハクタク!】
【天地開闢!ファンタジック・ストラッシュ!!】
両手でジンムセイバーを握りしめ、上段の構えをとる。
「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
スネークケガレイドは、そのまま口から波動砲を放ち。
ジンムは、ジンムセイバーを振り下ろして、正面から迎え撃った。
剣と波動砲がぶつかり、激しい火花が舞い散る。そして。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ、ハァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!?」
両断、そして大爆発。
紫の波動砲ごと頭から真っ二つに斬り裂かれたスネークケガレイドは、そのまま光に包まれて爆裂霧散。
真正面からのぶつかり合いの勝者は、ジンムであった。
「終わった……」
ケガレイドを倒した今、慧音に任せていたマカイライが元に戻っていることだろう。紗百合の身も、もう安全なはずだ。
彰はひと息ついて、ジンムの変身を解こうとした……のだが。
『ちょっと待て!誰か、いるぞ!』
「!?」
急に待ったをかけた相棒の声に一瞬手が止まり、すぐに周囲を確認する。
すると、ジンムの後ろに、いつの間にか立っている少女がいた。
それは、緑のロングヘアーの少女だった。
左側の髪をひと房まとめにして前に垂らしている他、白蛇と蛙の髪飾りが目についた。
しかし何よりも目立つのは、彼女の服装。白地に青の縁取りがされた上着と、水玉模様の青いスカートという、いわゆる巫女装束が、彼女を特別な存在に見せている。
彰は、彼女を知っていた。彼女のいる神社に参ることはなかったが、それでもしばしば人里に来て、魔法のようなパフォーマンスをしつつ布教していた姿を知っている。
「
無意識に、彼女の名を口にしていた。対して、彼女―――
「あ……貴方は、まさか……………仮面ライダー!!?」
「『え?』」
目を輝かせながら、ジンムにそう問いかけた。
『仮面…』
「らいだぁ?」
少々様子のおかしい早苗の、興奮を隠しきれないその問いに、彰もジンも、聞きなれない言葉をオウムのように問い返すことしかできなかった。
というわけで第4話でした。
仮面ライダーの方はにわかではありますが、基本の3原則は守っているつもりです。
①同族争い(怪人もライダーも、元はショッカーの改造人間だ)
②親殺し(ライダーの目的は、ショッカーを倒すことだ)
③自己否定(ショッカーを倒した時、ライダーの役目は終わる)
各シリーズにおいてそれぞれの度合いは違いますけど、ちょっと悲しい戦士ですよね。③があるとはいえ、主人公には報われて欲しいものです。そういう意味では、震災のあった2011年頃に放送されてた、明るいテイストのオーズやフォーゼ、重い脚本だった鎧武の次作・ドライブは大好きです。
さて、最後の方に出てきましたが、早苗さん登場です。外の世界から来た設定で、ロボットアニメが大好きって印象が強い彼女ですが、特撮関係もそれなりに詳しいと思うんですよね。
ただし、早苗さんの初登場作品の「東方風神録」が2007年(!?)ですので、それ以降の現代作品には触れてないことに……!彼女にエグゼイドとかジオウ見せて反応見たい。
Q:一番印象に残ってる仮面ライダーは?
A:早苗「電王です!放送中でしたし。」
Q:一番好きなライダーは?
A:早苗「うーん悩むなぁ……龍騎、いや、アギト……でもやっぱりクウガですかね?」
Q:今の仮面ライダーこんなんだよ(っリバイス)
A:早苗「これは…恐竜?え、悪魔のライダーですか?なんか、凝ったデザインになってません?あぁ~、ちょっと見てみたくなってきたかも…」
仮面ライダー仁夢のヒロインを予想してみよう!
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若き彰の恩師 上白沢慧音
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永遠に消えない不死鳥 藤原妹紅
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その他