仮面ライダー仁夢~東方輝炎章~   作:伝説の超三毛猫

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―――是迄(これまで)()仮面騎手仁夢(かめんライダージンム)は!

さなえ「知らないんですかッ!? その姿をしておいて……『仮面ライダー』を!!?」
にとり「何だよその『仮面らいだー』ってのは」
あきら「何だか……僕のあだ名?二つ名?みたい、だよ?」
さなえ「仮面ライダーというのは……人々の自由と平和を守るヒーローの名前です!!」
あきら「僕は、仮面ライダーじゃありません。その人達の足元にも及びません。僕はただ……目の前の命を守るために戦ってるだけなんですから」
にとり「ジンム関係の発明は諦めてないからね! 手始めにコレだ!」
さなえ「これが、バイクです!」
あきら「ちょっと、練習させて…」


第6頁:射命丸と鴉のあやかし寄稿

「な、え、ちょ……!!」

 

 妖怪の山の天狗の住処。その家々の一つにて。

 一人の少女が、言葉を失っていた。

 

「これ…これ、超・大スクープなんじゃないの!!?」

 

 手には写真を持ち、小声で大興奮するという器用なマネをしていた。

 その写真には、弾幕の中、蛙の異形相手に拳を振るう先鋭的でメカメカしい格好の異形の躍動感溢れる姿が映っていた。

 

「いける……これなら、(あや)の新聞の先を越せる………!」

 

 嬉々とした様子で鉛筆を手に取り、原稿用紙に向き合う少女。

 その部屋には、独り言をつぶやく少女と薄ら明かりに照らされる作業机と、所狭しと並んでいる本と古い新聞しかない。

 

 

花果子念報(かかしねんぽう)……ですか。なかなかに良い情報が載っているではありませんか」

 

「!!?」

 

 ない―――はずだった。

 少女は今まで聞いたことのない声を聞き、すぐさま振り向いて……真っ黒なスーツ姿の男と目があった。

 悲鳴をあげようとした口が塞がれる。そして、そのまま壁に抑えつけられた。彼女はそれでも声をあげようとするが、喉が震えるだけで塞がれた口から声を出すことができない。

 

「おっと。野暮な質問はせずとも、尋ねたいことは分かりますとも。

 拙者の名はシンゲツ。ただの通りすがりでございます」

 

 ただの通りすがりがどうやって家の中に無音であがってくるんだと少女は抗議したかったが、それも叶わない。

 全身黒スーツ姿の男・シンゲツは、コアエマキを取り出してスイッチを起動した。

 

カラス!

 

「出会ってすぐで申し訳ないんだけど……君には、あっしの実験の実験体になって欲しいんだ」

 

「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」

 

「ごめんねぇ、小生は事前の質問は受け付けない主義なんだ」

 

 傍若無人な言動のシンゲツ相手に少女は全力で抵抗するが、どうしても拘束を振り解くことが出来ない。彼女自身、妖怪である為生半可な人間や妖怪に遅れを取らない自身はあった。しかし、それでもシンゲツの力を跳ね除けられない。

 

「だぁい丈夫、痛いのは一瞬だけだ。俺っちが保証するよ」

 

「~~~~~~~ッッ!!? あがあ‶あ‶あ‶あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」

 

 シンゲツはそう言って不気味な雰囲気を醸し出すコアエマキを、少女に突き刺した。

 すさまじい悲鳴をBGMにしながら、シンゲツは先日の会合を思い返した。

 

 

 

 

 

「おいシンゲツ、勝手に行動すんなっつってんだろうがよ……!そんなこともわからねェーのか、アァン!!!?」

 

「おいおいサノー、落ち着いてよ。そんなカリカリしてると寿命が縮むよ?」

 

「新手の煽りか? この野郎…!!」

 

 サノーが、シンゲツの首根っこを掴む。

 シンゲツは、「まったく何も応えていませんよ」と言わんばかりの表情で、基本的に不死なケガレイド同士であるサノーに宥めのような煽りを口にして、それが更にサノーを苛立たせる。

 今にもサノーが拳を振り上げそうな修羅場。そこに、待ったの声がかかった。

 

「やめるんだサノー。内輪もめなんかしてどうするんだ。

 シンゲツもシンゲツだ。君くらいの賢さなら我らと足並み揃えることができるはずだ」

 

「…チッ」

 

「はいは~い」

 

 ザナギだ。彼が仲裁に入ることによって、サノーは渋々ながらも手を放し、シンゲツは揚々と返事をする。そして、2人の騒ぎが治まると、まずはサノーに尋ねた。

 

「サノー。この場所の調べがついたんだよね?」

 

「あァ。なんでもここは『幻想郷』っつって、人間の科学進歩から逃げ出した妖怪どもが住まう最後の理想郷らしいぜ」

 

「妖怪……というと、鵺とか鬼とかが…!?」

 

「いる、ってコトさァ。他にもわんさかいるぜ。吸血鬼、亡霊、死神、妖精……俺らが生まれた時代の連中以外にも山ほどいるだろうな」

 

 サノーの報告は、闇に蠢く者たちの指針の基盤になった。

 ザナギは口角をあげ、シンゲツはフフ、と笑い声をこぼし、マーテラは神妙なる覇気を強めた。

 

「血潮が湧いてくる……ジンム以上の強敵の予感がするぞ…」

 

「妖怪、か…コアエマキを使って色々遊びたいなぁ」

 

「シンゲツ、マーテラ!好き勝手は許さねぇっつったろ!!」

 

 新たな強敵との邂逅を期待するマーテラに、妖怪の人体実験を想像するシンゲツ。そして、二人を叱り飛ばすサノー。そんな三人に、ザナギは笑みを湛えて指示を出した。

 

「マーテラ、君はまだ待機だよ。幻想郷の管理者と事を構えるのに君が必要だ」

「む…仕方ないか」

 

「サノー。今回の調査、ありがとう。また新しい情報を手に入れたらよろしくね」

「おォ」

 

「シンゲツ。君には…実験を頼みたい」

「実験、ですか?」

「人間にコアエマキを挿したことがあったろう。

 アレを妖怪で試したらどうなるか……知りたいんだ。」

「分かりました。様々なデータを用意しておきましょう」

 

 シンゲツは、ザナギからの命令に従う。

 実験にあたって、サンプルは多い方が良いだろう。こうして、最初の獲物を選定しだしたのだ。

 

 

 

「ほう。これは…面白い結果になったねぇ」

 

 シンゲツの目の前で、妖怪の少女が烏の頭と翼を持った、おぞましい見た目のケガレイドに変わる。

 

「それなら、あたしが彼女に成り代われば………これでオーケー!」

 

 ひと息でシンゲツの姿が、先ほどまでのこの家の家主であるはずの少女―――姫海棠(ひめかいどう)はたての姿に変化する。

 この“実験”が、最終的に何を招くのか……それは、この場の誰も、まだ知らない。

 

 

 

△▼△▼△▼

 

 

 

 幻想郷の人里からやや離れた場所に位置する玄武の沢。

 それよりも更に奥に進むと、妖怪の山への道が存在する。

 妖怪の山とは、天狗を中心とした、文字通り妖怪たちが住む山のことである。早苗の自宅でもある守矢神社は、この山の中腹にあるのだが、天狗が排他的な社会を形成している為、普段は守矢の信徒ぐらいしか山に入らず、その参拝客たちも参道から脇道に逸れたりはしない。

 

 さて、そんな排他的で保守的な天狗たちの中で、ひときわ異彩を放つ天狗の少女がいる。

 

「なにかこう、決定的なものが欲しいのよね~。写真とかなら一発なんだけど」

 

 彼女の名前は射命丸(しゃめいまる)(あや)

 黒い翼を背に持ち、黒髪をボブスタイルにして、フリルのついた黒いミニスカートと白いフォーマルな半袖シャツに身をつつみ、頭には赤い頭襟(ときん)を乗っけている。黒翼の天狗から連想する通り、彼女は鴉天狗であり、天狗社会では報道や諜報の担当となっている。

 

 そんな文は現在、新しい情報を集めに人里に寄って聞き込みをした帰りであった。

 結果から言えば、目新しい情報を聞くこと自体には成功した。

 『人間を襲う妖怪と、それを倒す白い妖怪』。

 里の人間いわく、数日前から人里に近づいたり、人里の中に侵入する妖怪が増えてきているらしい。だが、それと同時に、そういった妖怪達の元に白い全身鎧(フルアーマー)の妖怪が現れ、人を襲う妖怪を倒しては立ち去るという事があるのだとも。

 

「白い全身鎧(フルアーマー)の妖怪……是が非でも記事にしたいとこ、なんだけど……」

 

 文が里で聞き込みをしていた理由は、新聞を作るためだ。

 文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)、という新聞がある。幻想郷中に配られる新聞たちの中で最もメジャーなものだ。その文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)を編集・発行している者こそ、この射命丸文なのだ。

 

「まだ情報が足りないわね。このままじゃ、面白い記事にはならないかも…」

 

 文は、人を襲う妖怪も人を守る白い妖怪も情報が少なすぎると判断した。その妖怪の写真もなければ、人里を襲おうとする、あまりに愚かな妖怪がいる証拠を掴むこともできていない。肝心の証言も、妖怪を目撃した場所以外の情報を詳しく話してくれる人もいなかった。

 強いて気になることといえば、稗田阿求のこんな証言くらいだろうか。

 

『我が稗田家の女給さんにしつこく言い寄る男性がいたのですが…その男性が何かを腕に突き刺したかと思うと、男性から異形が現れ、男性自身も異形になったのです。そこから先は避難したため見ていません』

 

『…容姿ですか? 少々お待ちください……』

 

 稗田阿求は『一度見たものを忘れない程度の能力』を持ち、もしそのことを知っているならと尋ねたのだが、これが大当たり。阿求は文に当時見た異形―――貞彦が変身した、マカイライとスネークケガレイドのことだ―――の姿絵を描いて、文に渡したのだ。

 阿求から貰った、白い血管が浮かんだ黒い人型の異形とヘビを模したおぞましい異形の絵を見ながら文は唸った。

 

「こんなのが人里に現れた、ねぇ……」

 

 阿求の能力を知っている文は、彼女の描いた絵を疑ってはいない。

 だが、彼女のブンヤの勘が告げているのだ。まだネタが眠っている筈だ、と。

 その勘に従うのであれば、まだこのネタを記事にするべきではない。この足と最速の翼で、隠れたネタを集めるべきだ、と思った時。

 

「あ、文!どこほっつき歩いていたのよ!」

 

「え…はたて?」

 

 文のように白の半袖シャツと赤紫のミニスカートを身につけた、ツインテールの少女が飛翔して文に近づいてきた。

 文は訝しんだ。なぜ、よりにもよって彼女が飛んできたのか。なぜ……

 

「どうして、引きこもりのあなたがここに…?」

 

「うちらの縄張りが襲われてるってのに、早く防衛に手を貸しなよ!!」

 

「は…!? 天狗に、襲撃!?」

 

 天狗は、妖怪の山を縄張りとして統治している。

 そのため、不用意に山に入ると天狗に見つかり、敵対的な対応をされてしまう。注意されれば良い方で、酷い時には仲間を呼ばれて集団リンチの的にされてしまうだろう。

 文は、妖怪の山付近で天狗の縄張りにうっかり入る誰かがいても、襲撃かける大馬鹿がいるとは思ってなかったため、「襲撃される」という表現が出てくるとは思っていなかった。

 

 

 

 妖怪の山・麓部分。

 天狗の縄張りに入っているこの森林にて、騒動は起きていた。

 狼の特徴である耳や尻尾を生やした天狗・白狼天狗たちが集まって、ことに当たっていた。

 

「な、なんだこいつは!」

「負傷者を下がらせろ!」

「応援を呼べ!」

 

 黒い鳥のような人型の異形が、一番前線の白狼天狗を殴り飛ばす。

 お返しとばかりに他の白狼天狗たちが斬りかかったり、弾幕を放ったりして攻撃するが、煙が晴れた後の烏の異形は、なんともないと言わんばかりに進撃を続けていく。

 

「…あれは?」

 

「天狗じゃあないことは確かよ。言葉通じないし」

 

「あんな天狗いるわけないでしょ」

 

 そんな烏の異形と白狼天狗たちの戦いを空から眺めている文とはたて。

 今までに見たことのない、不気味な異形に白狼天狗たちがどう戦うのかを観察している。

 

「狗符『レイビーズバイト』!!」

 

 白狼天狗の一人、犬走(いぬばしり)(もみじ)がスペルカードを放つ。

 狼の牙のような尖った弾幕が、烏の異形に襲い掛かる。

 それに対して烏の異形は………

 

「アアアアアアア!!!」

 

「なに!!?」

 

 両目が光ったかと思えば、シャッター音が鳴り響き、椛の弾幕を消し去ったのだ!

 烏の異形が弾幕を消され動揺している椛に、無慈悲な拳を振り下ろそうとした―――その時。

 

「デヤァァァァァァ!!!!」

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」

 

「「「「「!!!?」」」」」

 

 なんと、どこからともなく誰かが烏の異形を蹴り飛ばしたではないか!

 その存在は、人型を基本にして、黒いアンダースーツに汚れの一切ない真っ白の装甲を身に纏っていて、先鋭的な顔と赤い瞳、それに触角が生え、顔の側面には美豆良(みずら)のようなサイドアーマーがついていて、ショウリョウバッタをデフォルメしたかのようなデザインであった。

 お気づきであろうか? そう……たった今、椛を庇うように現れ烏の異形……否、クロウケガレイドに一撃を加えた白い異形こそ、多田彰が変身する仮面ライダー仁夢であるのだ!

 

「え、ちょ、アレ……!!」

 

「? あれがどうかしたの?」

 

「どうかしたの、じゃないわよ! まさかアレって……」

 

 文には、ジンムの姿に見覚えがあった。

 人里に聞き込みをする時に、ジンムを見た人間から、特徴を聞いてまとめていたのだ。

 白い全身鎧に、仲間であるはずの妖怪を攻撃するさま………聞き出せた特徴は少ないが、目の前の異形と一致している。

 文は確信した。目の前で戦うこの白い異形こそ、自身が追い求めたネタの正体であると!

 しかし、文達天狗の驚きはこれだけでは終わらない。

 

真価開放! ジンム!

 

「な!?」

 

「木の枝が、剣に…!?」

 

「ハアッ!」

 

「アアアアアア!?」

 

 ジンムの真価解放で木の枝から剣を生成。そのままクロウケガレイドを斬りつけたのだ。

 さっきの天狗たちの総攻撃でも一切怯まなかったはずのケガレイドが、それで呻いてダメージを受けているのだ!

 

「アアアアア!!」

 

 堪らずクロウケガレイドは空を飛びながら、逃走を開始した。

 

「逃がしませんよ!」

 

「アアアア!!」

 

「っ……また弾幕が消された…!」

 

 空にいた文が逃がすまいと高密度の弾幕を即座に放ったが、クロウケガレイドの瞳が再び光り、シャッター音が鳴ったと思ったら弾幕が消され、そのまま逃亡を許してしまった。

 

「あやや……」

 

 失敗してしまったものは仕方がない。

 クロウケガレイドの詳細を一切知らない文にとっては、逃亡した存在は気になるが、今は切り替えるとしよう。

 

 

 

 クロウケガレイドにあと一歩のところで逃げられてしまったジンムこと多田彰だが。

 戦闘が終わった直後、白狼天狗たちに武器を向けられていた。

 

「え、え……!? な、なんで!?」

 

天狗は排他的な存在と書物で見ていたが……

 

「我らに同行してもらおう、白き妖怪よ」

「ここを天狗の縄張りと知っての狼藉だろうな?」

 

「あ、あの!確かに、勝手に入っちゃったのは……僕が悪いけど!

 でも、僕はたださっきのケガレイドを追ってただけで…」

 

「けがれいど?何言ってんだコイツは!」

「言い訳無用!」

「見た目からして怪しい奴め。先の奴の仲間ではあるまいな?」

 

「ち、違う!仲間なんかじゃない!」

 

 ジンムは必死で怪しくないことの弁明をしようと試みるが、話せば話すほど心証が悪くなっている雰囲気を感じ取っていた。…というより、もとよりこっちの事情を聞く気はさらさらないようだ。

 

「ど、どうしよう……!」

 

これは撤退するしかないな。相手は、私達の言う事を最初から聞くつもりはないようだ

 

「そんな……」

 

 なんとか誤解を解きたいが、話を聞いてくれない以上、この場で誤解を解くのはほぼ不可能。

 こうしている間にも、白狼天狗の武器がじわじわと迫ってきている。捕まったら厄介な事になるのは火を見るよりも明らかだ。

 

「あ、あの!」

 

「…なんだ?」

 

「天狗のみなさん、今日は、その。縄張りの中に入っちゃってゴメンなさい!」

 

「あっ!逃げたぞ!!」

「逃がすな!!追え!」

 

 追い詰められたジンムは、頭を90度下げて謝罪した後、即座に振り向いて逃走を敢行した。白狼天狗たちもそれを追いかける。

 だが、ジンムは規格外の生命体・ケガレイドに対抗するための力だ。ファーストモードのジンムでさえ、ただの人間を遥かに超えた脚力を持つ。それをもってすれば、白狼天狗たちを撒くことなど朝飯前だ。

 

「はぁ…はぁ…ここまで来れば…」

 

「…逃げられると思うな!」

 

「うわあああ!?」

 

 ―――ただし、犬走椛ただ一人を除いては。

 

「ど、どうしてここが!?」

 

「この千里眼からは誰一人逃がさん!」

 

「せ、千里眼!?」

 

 犬走椛には『千里先まで見通す程度の能力』がある。陸路をひたすら走っている限り、妖怪の山で彼女から逃げ切ることなどできない。

 ならばとジンムは新たなコアエマキを起動してベルトに装填した。

 

カッパ!

 

「ホントはこんな使い方したくなかったけど…!」

 

カッパ召喚!!

(しず)けさを (やぶ)飛泉(ひせん)と (かわ)(わら)!】

 

「!!? す、姿が、変わった…」

 

 ジンムは、カッパモードに変身すると、すぐさま近くにあった川に飛び込んだ。

 

「な!? 水の中を!!」

 

 いくら椛の千里眼といえど、水中を遠くまで見通すにも限度がある。

 また、白狼天狗は泳ぎが得意な種族ではない。泳げない訳ではないが、カッパモードのジンムに敵うスピードで泳ぐ事などできない。追跡は不可能だ。

 こうして、ジンムは白狼天狗たちの追手を振り切ることに成功したのだった。

 

 

 

 

 

 ジンムは玄武の沢にある、川の最下流まで来ると、川から上がって変身を解いた。

 

「いや~…酷い目に遭った…」

 

もう少し、天狗たちの縄張りを下調べするんだったな…

 

 彰は、たまたま見つけたクロウケガレイドが河童を襲う姿を見つけて、変身して戦ったのだが、逃げながら戦うクロウケガレイドを追ううちにどうやら天狗の住処にまで足を踏み入れてしまったようだった。それからは白狼天狗との追いかけっこである。

 

「はぁ……あのケガレイド、まともに戦おうとしなかったね」

 

そうだな…それにあのケガレイド、空を飛んで逃げていたな。再戦の時に同じやり方をやられてはたまらないぞ

 

「どうすればいいんだろ?」

 

作るしかないだろうな。空を飛べる妖怪のコアエマキを

 

「いっそ天狗の方々にケガレイドのこと話せりゃいいのにな…」

 

「『けがれいど』というのはさっきの化け物のことですか?」

 

「えぇ、そうですよ…………ん?」

 

 彰は、ジン以外の誰かの声がして顔をあげる。

 そこには、黒髪ボブカットの鴉天狗の少女がいた。

 

「うわぁ!!? だ、誰!?」

 

「これは失礼しました。

 私、文々。新聞の記者をしております、射命丸文と申します! どうぞよしなに」

 

「文々。新聞……あぁ、あの新聞の! たまに読ませてもらっています!」

 

 彰は、文とは初対面だったが、彼女の新聞には覚えがあった。多田家が文々。新聞を取っているわけではないが、稗田家に保存されている新聞なら何度か読んだことがあったし、バラまかれる号外を読んだ事は一度や二度ではなかった。

 

「おぉ、購読者でしたか!いつもありがとうございます!

 さて、私の新聞をより良くするために、少々聞きたいことがあるのですが…良いですか?」

 

「もちろん! なんでも聞いてください!」

 

 この場に慧音か早苗がいたならば、「待たんかコラ」と彰をひっぱたいて止めただろうが、彰はいつもの頼み事を断らない癖で文の取材協力を快諾してしまう。

 OKを貰えた文は、早速核心に斬り込んだ。

 

「では………けがれいど、とは何なのですか?」

 

「!! ……僕も詳しくは分からないんだけど…ケガレイドは人間を襲ったり、怪人にしたりする、化け物らしいんだ」

 

「どうして、そのケガレイドは人間を襲うのでしょうか?」

 

「ケガレイドにとって、人間は食料らしいんです」

 

「人里では、どんなケガレイドが出たんですか?」

 

「えぇと、まず蜘蛛みたいなやつと…」

 

 文の取材に、彰は素直に応じていく。

 ケガレイド関係のことを、ジンムには触れないように話していく彰。

 話も後半になった頃、文は最後にこんな質問をした。

 

「彰さん…どうして、そんなにケガレイドの事を知っているんですか?」

 

 ケガレイドの名を口にしたのも彰が最初だ。しかも、こんなにペラペラ話してくれちゃって、これは間違いなく今回のケガレイド騒動の重要関係者だ。文は、彰をそうだと踏んでいた。

 そんな文の内心などいざ知らず、彼女の質問に対して、彰はこう答えた。

 

「蛇みたいなヤツに襲われた時、ジンムに助けられたんだ」

 

「ジンム?」

 

「白い鎧を全身に着た妖怪みたいな人でさ。助けられた後、色々と教わったんだ」

 

「それを、証明する人は?」

 

「証明する人? う~ん、そうだなぁ……慧音先生かな?」

 

 文は、限りなく怪しいと思った。間違いなく何か隠している様子だ。

 だが、そんな事は慧音に聞けば分かることだ。それに、決定的な証拠はない。文の新聞は、思想や思考の誘導はするが捏造はせず、事実100%で記事を書く主義だった。

 

「…分かりました! 以上で取材は終了になります!」

 

「いい記事が書けそうですか?」

 

「はい!お陰様で……ご協力ありがとうございました!」

 

 営業用の笑顔でお礼を述べた後、文は飛び去っていく。そして、あっという間に姿が見えなくなっていた。

 

今回は肝が冷えたぞ、彰

 

「ごめんって、ジンさん」

 

 文が去った後、ジンが彰に話しかけた。

 取材に応じてケガレイドについて話していた時、うっかり秘密も話してしまうんじゃないかと気が気でなかったのだ。

 だが、彰は文々。新聞の読者であった。だから―――彼女の新聞の書き方も何となく理解していた。

 

「流石に文さんには話さないよ。秘密喋ったら、記事にされそうだもん」

 

違いない。さて、本来の用事を済ませに行こう

 

「えっ? な、なんだったっけ……?」

 

バイクの練習だろう。にとり殿の所へ行くはずだったじゃないか

 

「あ!そうだった。ごめんごめん……」

 

 彰は、ジンに半ば呆れられながら、にとりのラボへと向かった。

 

 

 

 

 

 翌朝。

 はたては、文の元へと訪れていた。

 

「それで? あの白い鎧の妖怪、どうだったのよ?」

 

「おーしーえーまーせんー。もう、新聞のネタは早い者勝ちって知ってるでしょうに」

 

 話題は、昨日の縄張りに入った烏の異形と白い鎧の妖怪のこと。

 文は、先日の彰への取材で烏の異形がケガレイドであり、白い鎧の妖怪がジンムであることに確信を持っていたが、新聞のネタになりそうな事をおいそれとライバルに話すわけにはいかない。

 

「えーいいじゃーん。ちょっとだけ。ちょっとだけでいいからー」

 

「イヤったらイヤです!」

 

 文は、すぐさま空を飛んで逃走。はたても、それを追いかける。

 文の速度は、幻想郷最速だ。同じ鴉天狗であろうとも、はたてが追い付ける道理はない。

 しかし、だ。

 

「(おかしい…いつもならとうに撒いてるはずなのに……今日のはたては珍しく粘るわね)」

 

 今日はなかなか距離を離せないことに、文は違和感を抱いていた。

 

「(それに……はたては出不精のはずなんだけどなぁ。最近、やけに出かけるじゃない)」

 

「隙ありー!」

 

「しまっ……うわああああああああ!!」

 

 考え事をしている内にはたてに突撃され、バランスを失って錐揉み回転しながら墜落していく鴉天狗ふたり。やがて、人里の寺子屋付近に墜落した。

 

「いってて…」

 

「なにすんのよはたて!」

 

 空を飛ぶことに慣れている筈の鴉天狗が滅多にやらかさない大ポカに、文は目を回すはたてに声を張り上げるが。

 

「大きな音がしたかと思えば……」

 

「文さん!?大丈夫ですか!!」

 

 墜落した文たちの元に駆け付けてきたのは、青筋を立てた慧音と心底心配したように駆け寄る彰だった。

 

「子供たちにぶつかったら危ないだろうがッッ!!!」

 

「「「ごめんなさーーーい!!!」」」

 

 慧音の雷が落ちる。そのすさまじさは、鴉天狗ですら怯ませる勢いだ。

 近くにいた彰も怯えきって天狗少女二人と一緒に謝ったが、彼は何も悪いことはしていない。

 

「ネタ探しに熱中するのも程々にしてくれないか!」

 

「あややや………いや、本当に申し訳ありません」

 

 その後、慧音と彰は文から墜落してきた経緯を聞き出していた。

 いくら特ダネの匂いがあったとしても、天狗のネタ取り合戦に子供が巻き込まれるなどたまらない。

 寺子屋付近に落ちたのは本当に偶然だったとはいえ、あわや大惨事になっていた所だったのだ。幸い寺子屋が休みだったから良かったものの……

 

「それで……さっき街の方に行っちゃった、ツインテールの天狗さんは?」

 

「はたてよ。姫海棠(ひめかいどう)はたて。私と同じ鴉天狗で、私の………商売敵です」

 

「商売敵?」

 

花果子念報(かかしねんぽう)ってチャチな新聞を書いてるんですよ」

 

「お前のも大差ないだろうが、ゴシップ記者」

 

 慧音の辛辣な発言に「心外ですね~」とおどけて笑う文をよそに、彰は問いかける。

 

「どれくらい、新聞を書いてるんですか?」

 

 彰の素朴な疑問に、文も面食らって、一瞬だけ笑顔が抜けかけるが、すぐに取り繕う。

 

「そうですねぇ……もう、数えるのも億劫な程には。はたての花果子念報もだいぶ長く続いてると思いますよ。あっけなく潰れそうなんですけどねぇ」

 

「いいライバルじゃないですか」

 

「ライバルぅ? あんな弱小新聞がですか?」

 

「はい。ライバルがいるのは良い事だと思います。僕は、そういう人とは、まだ出会えてませんから…」

 

 はたてと文がいいライバルだなんて言われて、文は「誰があんなヤツと」と思ったが、目の前で「ちょっと、羨ましくなりますね」なんて言ってる彰は、本気で、心の底からそう思っている様子であった。

 しかし、文がはたてとの関係を改めて考えだす前に―――女性の悲鳴が聞こえた。

 

「!! 慧音さん…!」

 

「あぁ。聞こえた。彰、避難していろ!」

 

「はい!」

 

 慧音は彰に逃げるよう指示して、文と悲鳴の元へ駆け付ける。

 すると、はたてが烏のケガレイド………クロウケガレイドに襲われているではないか! よく見ると、人間達はほとんど逃げ出しており、彼女が逃げ遅れた人間を庇う形で攻撃を受けている!

 

「はたて!?」

 

「ケガレイドか……おい射命丸、手伝え!」

 

「身内が巻き込まれているなら、仕方ありませんね!」

 

 その様子を見て、慧音と文はすぐに割って入る。

 クロウケガレイドに突風が襲い掛かり、よろめいた所を慧音の飛び蹴りが入る。

 

「アアアアア!!?」

 

「まったく……なんで、あんたは巻き込まれてるのよ!」

 

 その隙に、文がはたてを救出。

 文がはたてに、クロウケガレイドに襲われていた理由を尋ねる、が。

 

「取材中に襲い掛かってきたのよ。身を守るために仕方なくね」

 

 その答えに、文の中の点の数々が線になって繋がる感覚があった。

 文が懐から葉団扇を取り出して、はたてに向ける。それは、まるで……敵に、武器を突き付けて脅しているようであった。

 

「射命丸、何をしている!?」

 

「……あんた、はたてじゃないわね?」

 

「え、なに言ってんの、文……!?」

 

 文が言い放ったのは、まるで目の前のはたてが偽物であるかのような台詞。鋭い目で武器を向ける文に、はたては弁明しようとするが、その前に文は続ける。

 

「はたてはもっとハッキリした物言いをすんのよ。何より、物凄い引きこもりで、見栄っ張りなの。

 ……そんなはたてが、表へ出て取材ですって? 本物ならそんなこと絶対にしないわ」

 

「な、なに言ってるのよ! それじゃ、取材ができないじゃない?」

 

「あら、貴方には念写能力があるじゃない。ド忘れしちゃった? ケータイ壊しちゃったのかしら? それとも……化けたヤツの能力まではわからないのかしら?」

 

 決定的な証拠をつきつけるように、文ははたてに追及した。

 文の言う通り、はたては『念写をする程度の能力』を持つ。これによって、自宅にいながらあらゆる場所の撮影が可能であるのだ。

 それを行わずに外で取材を行うはたてに、文の違和感はほぼ確信に変わったのである。

 

「………」

 

「正体を見せろ!でなければ、力づくにでもその顔を…」

 

「……フフフ」

 

 はたて………否、はたてだと思っていた少女は、薄気味悪い笑いをこぼす。そして。

 

「おっかしいなぁ~…身長、声、妖力…全部完璧にマネたつもりだったんですけどねぇ」

 

 ツインテールの少女から……一変。

 全身が揺らいだと思えば、次の瞬間、その身をスーツ姿の青年に変貌させたのだ!

 

「まさか見抜かれるとは…私のリサーチが足りませんでしたか」

 

 スーツだけでなく、ワイシャツ・ネクタイまで真っ黒に統一するという異様な服装をした青年は、しかし、変身を見抜かれたというのに愉快そうに笑っている。

 

「貴様、一体……」

 

「本物のはたてをどこにやった。答えなさい!」

 

「アタシの名はシンゲツ。君の言う本物のはたてとやらは……アレだよ」

 

「「!!!?」」

 

 シンゲツが親指でさしたのは、先程まで暴れていたクロウケガレイドだったのだ。

 

「嘘…なんではたてが、あんな…」

 

「貴様ッ!何者だ!!」

 

「僕ちゃんが何者かって? そりゃ勿論―――ただのケガレイドだよ」

 

ツクヨミ!

 

 シンゲツは、闇を閉じ込めたような真っ黒なコアエマキを首筋に挿しこんだ。すると、肉体に変化が生じる。

 薄めの胸板から三日月のような鎧が生え。人間の手が刺々しい爪を持った異形の手になり。黒いスーツの全身が半月を連ねたような禍々しい体になり。青年の顔が、満月を縦に割ったかのようなおぞましい怪物の顔になって。

 一呼吸した後にそこに立っていたのは、ありとあらゆる部分が鋭く刺々しい、あらゆる月が重なったようなデザインの異形だった。

 

「貴様も、ケガレイドだったのか!」

 

 慧音が、怪物と化したシンゲツに飛び掛かる。

 

「デリャアアアアアアア!」

 

「アアアアアアア!!?」

 

 それと同時に、クロウケガレイドにジンムが殴りかかった。

 慧音が避難させた時に、人目を避けて変身した彰が、ここを見つけ出したのだ。

 だが、一発パンチを当ててケガレイドを怯ませたところで、ジンムの手を止める存在がいた。

 

「待って、ジンムさん!」

 

「あ、文さん!?」

 

「その化け物、はたてなの!」

 

「なんですって!?」

 

 文だ。はたてが見る影もない化け物に変身させられているという事実を突きつけられて動揺しているのか、ジンムの腕を引っ張って彼の追撃を止めたのである。

 

「どうにかして、元に戻せないの!?」

 

「えぇと…」

 

 ジンム自身も、文の知人が怪人化したクロウケガレイドを元に戻す方法など知らない。

 その様子を見た慧音は、シンゲツを攻撃しながら問い詰める。

 

「貴様!姫海棠を元に戻せ!」

 

「小生が知るワケないでしょう。というか、戻そうなんてやめた方が良いですよ。下手を打ったら…あの実験体は死にますから!」

 

「ぐっ!」

 

 敵からは有益どころか最悪の情報が出てきて、慧音もたじろいだ。

 クロウケガレイドは放っておけない、しかしもし倒したらはたてがどうなるか分からない。

 ジンムが僅かな可能性をかけて攻撃対象をシンゲツに変えようかとも思った、その時。

 

ジンム、問題ない。ケガレイド化の解除なら可能だ

 

「「!!?」」

 

 ジンムと文だけに聞こえるように、ベルトのジンが断言したのだ。

 

「ほ、本当!?」

 

ケガレイドが誰かの体を乗っ取る可能性も考慮してつけておいた機能だ

 

「それなら、はたてを助けられるの?」

 

 文は、実のところものすごく強い。しかし、ケガレイドを倒すことが出来ない上、はたてを人質に取られて手を出せずにいる。

 

私とジンムを信じてほしい

 

「なら…………」

 

「はたてさんを助けたい…ですよね?」

 

 ジンと彰に確かめるように尋ねられ、言葉に詰まる文。

 しかし、それも一瞬だけ。文は言葉を続けた。

 

「あいつは…本音と建前を知らない三流記者よ。

 でも…だからって。あんな醜い化け物にされていい理由はないわ!

 だから……信じても、いいかしら?」

 

「はい!!」

 

 文の託された思いに、ジンムは力強く返事をした。

 それと同時に、空からコアエマキが降ってくる!

 

「これは…?」

 

好機だ。空を飛べる妖怪のコアエマキ……ここで来るとは運がいいな

 

「本当!?なら……!」

 

カラステング!

 

 墨色の地に秋の紅葉のようなデザインが散りばめられたコアエマキを、ジンムドライバーの空きスロットにセットして、レバーを引いた。

 

カラステング召喚!

天翔(あまか)ける (あらし)(つばさ) ここにあり!】

 

 瞬間、竜巻がジンムを包んだ。

 白い鎧が秋のような鮮やかな朱色に染まり、背中には翼のような黒く輝くアーマーが連なって装着された。

 これこそ、「仮面ライダー仁夢(ジンム)・テングモード」。鴉天狗の力をその身に纏った、ジンムの新たな姿である!

 

「行くぞ!」

 

 背中の連なったアーマーが開いたと思ったら、鳥の羽のように広がる。

 かと思えば、ジンムの身体が宙に浮き、鋼鉄の翼の羽ばたきで高度を増していくではないか!

 

「はぁぁぁっ!」

 

「アアアアア!!?」

 

 そのまま、宙を舞い好き放題暴れていたクロウケガレイドに殴りかかる。

 横っ面を殴られてバランスを崩すが、すぐに立て直してジンムに鋭いクチバシで突撃する。

 ジンムは、その目にも止まらぬ一撃を止めてみせた。

 

彰。先に言っておくが…ケガレイド化を解く方法はただ一つ。蹴り……キックだ。くれぐれも、それ以外の方法で倒さないようにしてくれたまえ

 

「えぇぇっ!!? 今それを言う!?………うわっ!!」

 

 地味に衝撃的な事を言われ、動揺したジンムはクロウケガレイドに突き飛ばされ、空中のバランスを失う。

 高度を少々落とすが、すぐに翼をはためかせて姿勢を立て直すと、即座にクロウケガレイドへ突撃。すれ違いざまに次々と拳を叩き込む。

 

「そういうことはもうちょっと早く言ってよ! キックって、奥義でいいんだよね?」

 

そ、そうだ。思いっきりかましてやろう!

 

奥義発動! テング!

 

 外の世界のジェット機を思わせるスピードで攻撃し、相手が対応する間もなく離脱して空を舞う空間殺法には、クロウケガレイドはまるで対処できていない。

 目にも止まらぬ速度で三次元攻撃の連打を放ったジンムは、最後にひときわ高く舞い上がった後、クロウケガレイドに向かって超急降下キックを放った。

 

天地開闢(てんちかいびゃく)!ファンタジック・フィニッシュ!!

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?!?」

 

 直撃したクロウケガレイドから、意識を失ったはたてが放り出される。

 ジンムの剛脚は、ケガレイドだけを見事に貫いた。

 

 そして、大爆発。

 依り代を無くしたクロウケガレイドは、ジンムのキックの衝撃に耐えきれず、そのまま消滅した。

 ジンムが急旋回して落下するはたてをキャッチした姿は、ジンの作戦が上手くいったことを意味していた。

 

「よし……良かった…!」

 

「ほう……思った以上に面白い結果になったなぁ。じゃ、あたいはこの辺で」

 

「! 待て、逃げるな!!」

 

 はたてが助かったことを静かに喜ぶ文。面白いものが見れたと闇に紛れて逃げ出すシンゲツ。直前に慧音が気づいて引き止めようとするも、既にシンゲツはその場から影も形もなくなっていた。

 その場はシンゲツを取り逃がしたことで重い空気になると思いきや、ジンムがはたてを抱きかかえて下りてくると同時に安堵の空気が流れた。

 

 

 

 

 

 ジンムによってクロウケガレイドが倒され、はたてが救出された後、すぐに文々。新聞の号外が人里中にバラまかれ、そのすぐ後に花果子念報も発行された。

 

「ほぅ…ジンム、ねぇ。新しく幻想入りした妖怪にも、変わったヤツがいたもんだ。」

 

「へぇー…! 人間の味方なんだ!仲良くなれそうだね、お兄ちゃん!」

 

 二つの新聞にデカデカと書かれていたのは、謎の人食い妖怪・ケガレイドとそれらから人々を守る謎の妖怪・ジンムのことだった。

 自宅で文の新聞を読む彰の父・一弘(かずひろ)は興味深そうに読み進め、妹の由花(ゆか)は嬉しそうに彰に話しかけた。

 彰も父の後ろから新聞を覗き込む。そこには、クロウケガレイドと戦うジンムの写真が派手に掲載されていた。隣の家から借りてきた花果子念報には、流石に自身がケガレイドにされた事は載ってなかったが、弾幕の中を悠々と泳ぐカッパモードのジンムが載っている。

 社説には、それぞれの記者の考察と、ほんの少しの互いの新聞への苦言が載っていた。

 

「……文さんとはたてさん、やっぱりいいライバルだね」

 

妖怪同士の絆……いいものだな。昔では考えられなかった

 

「…? お兄ちゃん、なにか言った?」

 

「いいや、なにも」

 

 文とはたての二人らしい友情に、ジンと笑いあいながら、彰は記事の内容を詳しく読み進めていくのであった。

 




はい、というわけで第6話でしたー。意外と長くなってしまった……
ディケイドを限定的にこの世界に通りすがらせたい………が…駄目ッ!あいつは劇物だ……下手を打ったら「仮面ライダー仁夢」の世界が破壊しつくされてしまう……おのれディケイド……

ちなみにですが、あややは早い段階ではたてが偽物かもって思っています。ダンマクカグラでお互いにライバル関係だってあったから思いつきました。
東方キャラって出不精多すぎませんか。アレですか、価値観が江戸・明治に近くて毎日働くって習慣がないんでしょうかね。現代の価値観で言ったらみんなNEETになっちゃうぞ。

ほたて「……」
ゆゆこ「……」
ぐーや「……」
さとりん「……」

仮面ライダー仁夢のヒロインを予想してみよう!

  • 若き彰の恩師 上白沢慧音
  • 仮面ライダーを知る巫女 東風谷早苗
  • 稗田家に仕える女給 紗百合
  • 永遠に消えない不死鳥 藤原妹紅
  • 最速果断の天狗記者 射命丸文
  • 楽園の素敵な巫女 博麗霊夢
  • その他
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