~SAO with Yuuki~   作:うずつるぎ

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 今回は、みんな大好きあの人に登場してもらおうと思います。
 では、どうぞ!


第4話 はじまりの日

 アルファ「完全に見失っちまった…」

 

 アルファは男を追ってひたすら西に進んでいたが、何度かモンスターとエンカウントしているうちに、気付けば一人となってしまっていた。しばらく一人で闇雲に西に向かって進むと、小道が残る森が見えてきたため、直感的にこの先に街があることを察する。小道がなければ、瞬く間に迷ってしまいそうな深い森を慎重に進み続けると次第に村らしきものが見え、近づくと圏内の表示が空間に現れた。ホルンカと呼ばれる村のようだ。

 ここに来るまでの道中、何度かリトルネペントという、植物モンスターとエンカウントしたが、中々に厄介な奴らだった。奴らは、鋭利なツルを見事に操り、口から溶解液を噴射して、こちらの武器防具の耐久度を減少させて来るのだ。一度リトルネペントの背後から奇襲をかけてみたのだが、見事なまでに綺麗に反応され、危うく反撃を貰う所だった。

 なのでお次はリトルネペントをじっくり観察してみると、植物モンスターであるせいか、奴らには目がないことに気が付いた。ともすれば、奴らは視覚ではない何かでこちらを認識していると予想を立てておく。幸い、何度か戦ううちにツルの根本が弱点だということが判明していたので、これからは効率良く狩れるだろう。

 村に入ると武器屋などがあったため、大量のポーションを買う前にラインナップを確認してみる。はじまりの街にはなかった<ブロンズロングソード>という名前の両手剣に一瞬惹かれたが、一応、デスゲームだということを考慮すると防御を固めることの方が重要かと思い、ポーションを購入してから、レベル上げのため再び森に入ることにした。

 しばらくリトルネペントを狩っていると、突然、東の方向から甲高い破裂音が響き渡った。

 

 アルファ「な、なんだ?」 

 

 アルファは危険だとは思いつつも、恐る恐る音源の方向へ向かっていった。

 

 

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 しばらく森を進むと、剣を振るう音がアルファの耳に入ってきた。近づいてみると一人の少年が大量のリトルネペントに囲まれているではないか!この包囲網に突撃することは自殺行為だと思ったが、目の前にいる誰かのピンチを黙って見過ごせるほど、アルファは冷徹な人間ではなかった。

 アルファは覚悟を決めてリトルネペントの大群に突っ込み、同時に上段ダッシュ斬りのソードスキル、アバランシュをリトルネペントの弱点部分に当て、素早く1体撃破する。

 

 アルファ「アンタっ、大丈夫か?」

 

 ???「お前、なんで突っ込んできたんだ!? 死ぬつもりか!?」

 

 アルファ「御託は後だ。まずはここを乗り切るぞ!」

 

 そこからは無我夢中に剣を振り続けた。隣りの少年は凄まじい剣捌きでリトルネペントを次々と葬り去っていき、アルファも負けじとそれに食らいつく。少年のあまりの強さに、思わず、自分の助けなんて必要なかったのでは?と思わされるほどであった。アルファは自身のHPが削れ、追い込まれるほど剣捌きを成長させていく。

 どれほどの間、戦い続けたのかは定かではないが、アルファにとっては、それは数十分にも及んだような気さえする。最後のリトルネペントを倒したとき、ふと、自身のHPバーを確認すると、レッドゾーンに突入していた。

 回復のためにポーションを飲んだ後、緊張状態が途切れたせいか、ふらりとその場に座り込んでしまう。すると、まだ余裕のありそうな隣りの少年が俺に手を差し伸べて、こう言った。 

 

 ???「ありがとう。助かった。…俺の名前はキリトだ。君は?」

 

 アルファ「あー、どういたしましてだ。俺はあゆ…じゃなくて、アルファだ。」

 

 思わずリアルネームを言ってしまいそうになり、慌てて訂正する。

 

 キリト「アルファかよろしくな。…アルファも<森の秘薬>クエやってるんだよな?」

 

 キリトと名乗った少年が、何かキーワードらしい言葉を放ったが、聞きなれない言葉に、アルファはそのまま彼の言葉を繰り返してしまう。

 

 アルファ「森のひやく、くえ、ってなんだ?」

 

 キリト「えっ、…知らないのか?このクエストをクリアすれば<アニールブレード>っていう優秀な片手剣が手に入るんだけど…」

 

 ここまで言ってキリトはある予想を立てた。もしかしてアルファはニュービーかもしれないということに。しかし、先ほどのまだまだ荒削りではあるが、きれいな原石のような剣捌きを見て、アルファが初心者であると考えることはあまりに難しかった。

 ここでアルファに初心者であるかどうかを尋ねるてしまうと、キリト自身がこの先恨まれるであろう存在となる、ベーターテスターであることを説明しなければならないかもしれない。だが、キリトは意を決して尋ねることにした。

 

 キリト「…もしかしてアルファはニュービーなのか?」

 

 アルファ「あ、あぁ、俺は今日始めたばかりだぜ。」

 

 キリトは驚愕した。そして同時に、これほどの逸材を腐らせるわけにはいくまい、と二人でホルンカの村に戻るまでに、ステ振りや周辺モンスター、装備やオススメクエストについて説明する。

 キリトが矢継ぎ早に今後重要となってくるであろう情報を開示していったからか、アルファに、キリトはベーターテスターなのか?という趣旨の質問はされなかった。

 

 アルファ「ってことは、トールバーナって街に行けば両手剣のクエがあるんだな?」

 

 キリト「そういうことだな……なぁ、アルファ」

 

 アルファ「ん、なんだ?」

 

 キリト「俺と一緒に行動しないか?アルファとなら、いいタッグになれそうな気がするんだ。」

 

 恐らく、このゲームの先駆者であるキリトからの提案。アルファからすれば、願ったりかなったりの状況だが、アルファはしばらく悩んだ末にこう答えた。

 

 アルファ「キリト、悪いがタッグは組めねえ。俺はキリトの攻略スピードについていけそうにねえし。…それにキリトは先を急いでんだろ?」

 

 キリト「!!」

 

 キリトは今日何度目かもわからない驚愕を感じた。アルファに自分が焦っていることを見透かされたのだ。不幸中の幸いか、それが己の強化を優先して、仲間を見捨てるような人間であることまでは、悟られていない気がする。 

 

 キリト「…あ、あぁ。こっちこそ悪かった。」

 

 アルファ「気にすんなって。女に振られたわけじゃねえんだからよ。」

 

 キリト「ハハッ!確かにそうだな」

 

 思わぬジョークに、キリトは茅場晶彦のチュートリアル以来、初めてその顔に笑顔を浮かべる。

 

 アルファ「とりあえず、フレンド登録だけしとこうぜ。」

 

 一瞬、キリトの中に、クラインたちを裏切った自分に新たな人間と関わる資格は果たしてあるのか?という疑念が脳裏をよぎったが、自分を窮地から救い出してくれた恩人とも言える存在からの提案を無下に扱うわけにもいかないだろうと考え、アルファのフレンド申請を受け入れることを合理化する。

 

 キリト「りょーかいだ。」

 

 アルファ「じゃあ俺はそろそろ宿屋に戻って休むわ。キリト、…死ぬんじゃねーぞ!」

 

 キリト「そっちこそな! また、トールバーナで会おう!」

 

 そうして二人は一時の共闘の末に、再会を約束してから、別々の道を歩み始めたのだった。 

 

 

────────────────

 

 

 アルファは宿屋の一室に入り、ベッドに飛び込んだ。疲労が限界にまで達していたのですぐに眠りにつこうと思ったが、急激に空腹を感じ始めたこともあり、村で買える食料品の一つである黒パンを取り出した。

 なんとこちらの黒パンは、たったの1コルで購入できたのだ。装備やポーションにコルを回したいアルファからすれば、最高の商品である。何も知らないアルファは口を大きく開いて、思いっ切り黒パンをかぶりついてしまった。

 

 アルファ「…硬った!」

 

 黒パンの歯が折れそうなほどの硬さに、思わず涙目になりながらも、慎重に食べ進めていく。

 …二度と黒パンは買いたくないし、買わない、と考えながら就寝前のお風呂に入ろうとして、ここでアルファは、気にしない人からすればどうでもいいことに違いないが、気にする人からすれば、死活問題である、重大な問題に気が付かされた。

 

 アルファ「風呂も、ない、な…」

 

 気にする側の人間であるアルファからすれば、お風呂に入れないというのは、少々気持ち悪いが、仕方ないのでそのままベッドで横になることにする。

 

 アルファ(今頃、皆は心配してくれてんのかなぁ、っていうか受験生だったけど、受験どうすんだろ?あと4カ月で100層クリアできるとは思えねえしなぁ。)

 

 などと、ぼんやりと現実世界のことを考えながら、デスゲームと化した仮想世界でアルファは初めての眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 あの人とは我らが桐ケ谷和人君でした!キリトが嫌いなんて言う人は中々いないですよねぇ。筆者は特にキリト君の優しさが好きです。

 …因みにユウキは暫く登場しません。タイトルと違うじゃねーか、ってツッコまれそうですが、後々その理由も明らかにするはずなので、勘弁してください。

 では、また第5話目でお会いしましょう!
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