~SAO with Yuuki~   作:うずつるぎ

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 これから二、三話の間、主人公的立ち位置になるキャラは…


第47話 特異点

 僕は今、第四十層、迷宮区タワー二十三階を訪れている。アインクラッド自体が百層にも及ぶ階層によって区分付けされているというのに、迷宮区タワーの中まで階層によって隔てられているとは、何とも分かりずらいものだが、そういう仕様なのだから、仕方なく受け入れるしか無い。

 迷宮区タワーは全長約百メートルほどの高さで、その内部は三十層ぐらいに分けられているらしい。そして、その最上階には、次の層へと続く螺旋階段を死守する、ボスモンスターが待ち構えているのだ。迷宮区タワーが三十層ぐらいに分かれているというのは、僕も実際にこの目で見たことがあるわけではなく、単にギルド内で得た情報である。

 僕は、この第四十層で初めて、迷宮区に足を踏み入れ、攻略組としての仲間入りを果たした。デスゲームが始まって以来半年の間、延々とソードスキルの熟練度上げに勤しみ、それからひたすらレベル上げに励み続けた。その甲斐あってか、僕は攻略組の中核である血盟騎士団にスカウトされ、そこから二軍メンバーとして、愚直に努力し続けてきた。そしてつい先日、幹部プレイヤーによる話し合いの結果、僕は遂に一軍に躍進した。僕の一軍としての初の任務は、他の一軍メンバーと共に、この迷宮区タワーの最上階までの道のりをマッピングすることだ。

 僕達一軍メンバーは、副団長の指示に従いながら、迷宮区を登り詰めて行く。その道中に出現したモンスター達も、副団長の巧みな指揮と、一軍メンバーの技量によって、難なく撃破出来た。勿論僕も、彼らに負けじとモンスター達を倒していった。そして、しばらく迷宮区を歩き続けていた時だ。二十四階へと続く階段を登ろうとする僕達に立ちはだかるように、巨大なモンスターが出現した。まるで血が酸化したかのような色合いの肌、異常に発達した右腕には、鋭いトゲを生やした金棒を握り締めて、顔面部分には血色の滲んだ鋼鉄のマスクを装備した巨漢の二足歩行型モンスターだ。

 そして何よりも注目すべきはその瞳だった。仮面から見えるその両目は、怒りをたぎらせた鈍く光る黄色い目。──アイツは、僕達を殺そうとしている。とその目を見て、不覚にもプログラム相手に、僕は途方もない恐怖を感じた。その恐怖から、恐らく、この迷宮区の中ボスである<ルースレス・ワーダーチーフ>を前にして、全身が竦み、いや、まるで見えない何かに体中を拘束されたように、金縛り状態に陥ってしまった。今はC隊がボスを引き付けているが、次のスイッチが入れば、次は僕の所属するB隊が前に出ないと──。

 

 アスナ「B隊、C隊、パーティースイッチ用意!」

 

 「おう!」

 

 「了解!」

 

 副団長が指示を出すと、僕以外のメンバーはそれぞれ、勢い付いた返事を返す。

 

 ──動けッ!

 

 どれだけ、全身に、そう命令を下しても、その意思に反して、僕の身体は硬直したままだ。そして、遂に、その時がやってきた。

 

 アスナ「スイッチ!」

 

 ノーチラス「ッ!」

 

 C隊の六人が、それぞれソードスキルを発動させ、ボスの攻撃を相殺した。そこで生まれたブレイクを利用して、僕を除くB隊の五人が前へと出る。僕の役目は、同じくB隊のクロススピア使い、サンザに足りない防御力をサポートすることだった。故に、僕が前へ出られなければ、サンザはボスの攻撃を凌ぐことが出来ない。予感は的中し、サンザは武器もろともボスの金棒によって吹き飛ばされた。軽いスタン状態に陥ったのか、サンザは動かない。そして、僕も同じギルドのメンバーが死に瀕しているというのに、時が止まったかように動けない。

 サンザに向けて、ボスはとどめの一撃を仕掛けた。だが、突如として後方から現れた、謎の人影がボスの攻撃を相殺した、通常攻撃で、だ。それから、その男は、僕とサンザの空いた枠を埋めるようにして、戦闘を続行した。その、黒いコートに身を包んだ男は、空いた枠を埋めるどころか、一人でボスの攻撃を相殺し続けるという離れ業をやってのけ、瞬く間にボスの体力を削っていく。そして、ものの数分で、ボスはその㏋バーを全損させた。

 …これが、攻略組の実力。僕はその男の圧倒的な力を前に、ただ驚愕と実力の差を思い知らされた。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

 ユウキ「そろそろ、攻略会議の時間だよ」

 

 アルファ「…もうそんな時間か。主街区に戻ろうぜ」

 

 ユウキ「ん」

 

 今日の攻略会議は、夜の六時から始まることになっていたので、それまでの時間をフィールドでのレベリングに費やしていた。現在の最前線、第四十層のテーマは<監獄>といった所で、全体的に薄暗い印象のダンジョンや、悪趣味なモンスターなど、俺としては、あまり長居はしたくない階層である。だが、経験値効率だけは良いので、仕方なくこの層でレベリングをしているというわけだ。

 この層の主街区である<ジェイレイム>も層のテーマと呼応するように、街中が数十メートルの高い城壁に囲まれており、雰囲気は冷たい。…もし、この主街区が、かつては何らかのモンスターを閉じ込める監獄として機能していた、とかいう設定があったとすれば、今回のボスは、どれだけ巨大でヤバい奴なのだろうか。

 そんなあっては欲しくない想像を膨らませながら、俺達は攻略会議が行われる予定地に辿り着いた。攻略会議が開始されるまでには、後十分ほど時間はあるが、ギリギリに来るよりはマシだろう。幾人かいる先着の中で、一人の落ち武者が声を掛けてきた。

 

 「よう!アルファ!生きてたか!」

 

 アルファ「おかげさまでな。…それに、クラインも遂に攻略会議に参加、か。お互い、頑張ろうぜ」

 

 クライン「おう!今回のLAは俺のもんだぜ!」

 

 ユウキ「…LAはボクのものだよ!」

 

 恰好から無粋な髭まで、まるで落ち武者のような姿の男は、ギルド<風林火山>のリーダー、クラインだ。クラインと出会ったのは、まだ最前線が十層前半辺りの頃だったが、クラインはその当時から、誰一人ギルドメンバーを死亡させることなく、見事目標通り、攻略組の目の前までやって来た。

 周りのギルドは、まだクライン達を、完全な攻略組とは見なしておらず、新興の侍ギルドという扱いにしているが、実際のボス戦経験はともかく、そのギルドメンバーの連携プレーは、攻略組の中でもハイレベルであることは間違いない。

 それに、俺から言わせてみれば、ギルドメンバーを誰一人欠けることなく最前線にのし上がってきた時点で、俺よりも優れた存在だ。俺の所属するスリーピング・ナイツは俺のせいで壊滅してしまったのだから。そして、第四十層で初めてクライン達と遭遇した時、俺は途方もない罪悪感に襲われた。クラインの顔を見た時、クラインが、攻略組になれた暁には、サツキとフレンド交換をするという約束を交わしていたことを、俺は思い出したのだ。だが、クラインは、サツキが死んだことなど知るはずもなく、「久しぶりだなアルファ!それにユウキの嬢ちゃんも!元気にしてたか?」などと、この時を楽しみにしていたかのように嬉しさを滲ませた声で呼びかけてきたのだった。俺はすぐさま、クラインに頭を下げて、俺のせいでサツキが死んでしまったことを全力で謝罪した。俺はその時、クラインから、拳の一発や二発、飛んでくるのは当然だと思っていた。

 だが、クラインはそんなことをすることはなく、あまつさえ俺の肩を掴んで、「それは残念だったな。お前のせいじゃねぇよ」と俺を擁護してくれた。そんなクラインの寛大さを見せつけられた瞬間、俺の中でもクラインの尊敬度が有頂天にまで達したのだが、その数秒後、ユウキに「ユウキちゃん、今度食事でも行かない?」と、冗談っぽく手を出した瞬間、そのメーターは地に落ちた。なので、クラインの尊敬度は差し引きゼロ…いや、かなりプラスの位置に収まっている。本心を言えば、彼のような優しい人間に、この先地獄を味合わせてしまうかもしれないボス戦などには赴いてほしくはないのだが、ボス戦に参加することが、彼らの望みであるのなら、それを止めるわけにはいかない。

 それから、攻略会議が始まるまでの間、クラインと話していたが、そこで以外にも、クラインがキリトの知り合いであることを知った。…キリトの現状を伝えるべきか否か。その判断に迷っているうちに、攻略会議を主導するアスナが到着したことから、一旦、クラインとの談笑を打ち切ることにした。

 

 アスナ「─ということで、今回のボスの注意点は─」

 

 毒状態を引き起こす範囲攻撃と沈黙による結晶の無効化だ。アスナが言い終える前に、俺は心の中でそう唱えて、ボス戦の予習が完璧であることを確かめる。そしてボスの情報開示が終われば、次は肝心のレイドメンバーの構成に入るのだが…。

 

 アスナ「…風林火山の皆さんとスリーピング・ナイツの二人には、今回のボス戦には、参加させられません」

 

 アルファ「は!?」

 

 クライン「なンッ!?」

 

 次々と、ボス戦でのフォーメーションを組み立て上げていく中、俺は、いつもの定位置に組み込まれないことを疑問に思いながら、アスナが俺とユウキをどの位置に組み込むのかを待っていると、突然、アスナが名指しでそんなことを言ってきた。

 これまでには、ボス戦に参加することを拒否されるようなことは無かったので、流石に驚きの余り、阿呆な声を上げてしまった。クラインもこれは想定外だったようで、目が飛び出しそうになりながら、そんなことを言ってきたアスナに釘付けになっている。アスナ自身も、極めて真面目な顔つきで言っているので、冗談ではないらしい。

 

 ユウキ「どうして?」

 

 クライン「何でだ!?」

 

 ユウキとクラインがアスナに食いつきながら、同時にそう聞き返すと、アスナはきっぱりと言い切る。

 

 アスナ「まず、風林火山をボス戦に参加させない理由。…それは、今回のボス戦が十の倍数だからです」

 

 アルファ「…難易度、か」

 

 アスナ「その通りよ。十の倍数の階層では、他の層に比べて、ボス戦の難易度が上昇している。まだフロアボス戦の経験のない風林火山を、いきなり40層で動員するのは危険が大きい…」

 

 アスナ「それに、これから攻略組の新たな戦力になる、風林火山をここで失うわけにはいきませんから」

 

 クライン「…そこまで言われちゃ仕方がねぇか…。お前ら!今回のボス戦は見送るぞ!」

 

 クラインはアスナの筋の通った説明に納得がいったようで、他のギルドメンバーにもそれを伝えた。顔を見るに、納得した者、納得できない者の両者が存在していたようだが、クラインがその悔しさをバネにして、ギルド内の士気を上げていた。

 …本当に、よくできたリーダーだ。だが、問題は俺達、だ。これまで幾度となくボス戦に挑んできた俺とユウキに、同じ理由を提示するわけにもいかないはずだ。俺は一体どんな理由があって、今回のボス戦に参加できないのかをアスナに訊ねる。するとアスナは、若干呆れながら、その理由を説明してくれた。

 

 アスナ「…今回のボスは、レイド人数によって、お供の数が増えるって聞いていたのかしら?」

 

 アルファ「…つい、ボーっとしてて…」

 

 だって、実際攻略会議なんて、黙って聞いているだけだから、眠くなってくるんだよ。仕方ないだろ?と心の中では言い訳しながら、それでも悪いのは俺なので、それに関しては申し訳なかったと思う。

 

 ユウキ「でも、それでも人数は多い方がっ!」

 

 アスナ「今回のボスは、ある一定の人数を越えると、無限湧きのお供の数が三倍になるの」

 

 アスナ「その人数が五十人、丁度ワンレイドと二人よ」

 

 アスナが続けて話し続ける。

 

 アスナ「それで、うちから2パーティー、DKBから3パーティー、DIDから2パーティー、HONから1パーティー、これでワンレイド48人よ」

 

 DKBとはリンド率いるドラゴンナイツ・ブリゲード、DIDとはアインクラッド解放軍が下層に身を引くのと同時に、攻略組の中で頭角を現したデヴァイン・ディヴィジョン、HONとはディアベル率いるホープ・オブ・ナイツのことだ。因みに、アスナの所属する血盟騎士団はKOBと略されている。今回のボス戦にはエギルたちは参加しないようなので、これでピッタリ48人、ならば、俺とユウキが入っても50人と、定員以内ではないのだろうか。

 

 アルファ「じゃあ、俺達が入っても、ギリギリ行けるんじゃねぇの?」

 

 アスナ「…あの人がいるでしょ」

 

 アスナが、これまた呆れながら、指差す方向を眺めると、攻略組の中でポツンと一人、隅の方で佇んでいる黒ずくめのプレイヤーがいた。

 

 アルファ「なるほどな。キリトは絶対ボス戦に出たがるだろうからな…」

 

 アスナ「だから、アルファ君とユウキが入っちゃうと、50人をを越えてしまうの。…という訳なんだけど、それでもいい?」

 

 アルファ「…じゃあ、俺ら抜きでも、頑張ってくれよな」

 

 ユウキ「なら仕方ないね。今回は、諦めるよ。…アスナ、死なないでね…」

 

 アスナ「…勿論よ。私はこんなところじゃ死ねないわ」

 

 そういうわけで、俺とユウキは今回のボス戦には参加しないことに決定した。なので、これ以上攻略会議に参加する意味のないので、その場を後にする。少し遅めの晩御飯を食べた俺達は、毎日恒例のデュエルを行ってから、ギルドホームへ帰宅し、眠りについた。

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 

 アルファ「今日は、レベリングでもするか?」

 

 翌朝、ベッドの上で目を覚ました俺は、自室から出て、リビングの椅子に掛けながら、ユウキが下りてくるのを待っていた。程なくして一階に降りてきたユウキと共に、ギルドホームを出てすぐにある軽食屋に入って、朝食を取る。恐らく、今日の午後一時からは、ボス戦が始まるとは思うが、作戦上俺達は参加できないので、後はもう彼らの無事を祈ることしかできない。

 なので予定外の空き時間が生まれたわけだが、攻略組足るもの、日が出ているうちはレベリングに励むべきだろう。今日も居心地の悪い40層に足を踏み入れなければならないのは不本意だが、効率的なレベル上げの為だと思えば致し方無い。ユウキは、口に放り込んだ白米を食べ終えてから、答えた。

 

 ユウキ「そうしようか…ちょっと、試したいこともあるしね」

 

 アルファ「試したいこと?」

 

 ユウキ「うん、新たなる試み」

 

 俺はユウキに聞き返すが、ユウキも答えをはぐらかす。

 

 アルファ「…何なんだよ?」

 

 ユウキ「それは、後のお楽しみだよ~」

 

 結局、ユウキは何も言わないまま、朝食を食べ終えてしまった。何をするつもりなのかは、俺には想像もつかないが、まぁ、安全なことならなんでもいいか、と適当に考えていた。それから、ポーションなどのアイテムが十分にあることを確認して、第四十層へ赴き、経験値効率の良いフィールドのエリアにてレベリングを行う。お昼過ぎまでレベリングを続け、俺とユウキのレベルが一ずつ上がったところで、レベリングを切り上げることにした。ふと、フィールドから主街区へと戻る途中で、ユウキが立ち止まる。

 

 ユウキ「試したいことっていうのは、ここでやるんだよ」

 

 アルファ「…?」

 

 ユウキは、左側に聳え立つ、ちょっとした崖を指差した。

 

 ユウキ「ここを登ろう!」

 

 アルファ「何で?」

 

 何の脈絡もなく、そんなことを言われて、はいそうですか、と言う訳にもいかない。俺は理由を訊ねる。

 

 ユウキ「丁度この崖の向こう側に、フィールドダンジョンがあるじゃん」

 

 アルファ「あるな」

 

 ユウキ「もしかしたら、この崖のてっぺんから、ダンジョンの外壁の上に乗れれば、そこに宝箱とかあるかもじゃない?」

 

 …確か、ガレ城の屋根から崖に飛び移れば、そこから、大賢者の住処に突入できたって、キリトが前話していたな。だが、SAOは妙に現実主義なところがあるから、そんな場所には宝箱なんて無さそうだ。しかし一方でSAOは同時に、ゲームらしさも大きく孕んでいる。それも考慮すると、外壁の上にレアアイテムが眠っている可能性は、三割ぐらいだろうか。

 

 ユウキ「今日はそういう検証だよ!…アルファが先に、登ってよ」

 

 アルファ「はいはい…」

 

 俺は、口では、ユウキに呆れているような素振りを見せているが、内心は、ダンジョンの上部がどうなっているのかを知れることに、ワクワクしている面もある。掴みやすそうな突き出た岩肌に手と足を置き、グイグイと崖を登っていく。身体の三点を、常に岩肌に密着させると、崖を登るときに、安定しやすいとかいう話を、何処かで聞いた覚えがあった。

 ここアインクラッドでは、敏捷値と筋力値、そして、プレイヤースキルが物を言う世界だが、一応、俺はその知識に従って、慎重に登っていく。…なのに。

 

 ユウキ「アルファー!ちょっと、遅すぎるんじゃないのかな~?」

 

 ユウキは、軽々と崖を駆け登っていき、直ぐに俺の位置を追い越した。軽業スキルの影響もあるだろうが、それでもこれ程の崖をいとも簡単に登ってしまうのは、ユウキのアバターの動かし方が上手いということも関係しているに違いない。

 ユウキに遅れること数分、ようやく崖を登り切った俺は、そこから見えるフィールド全体を見渡せるのではないかと思われるほどのパノラマに、目を奪われた。

 

 ユウキ「今度は、落ちないようにしないとね」

 

 恐らく、ユウキの言っていることは、火山ダンジョンでの出来事の話だろう。…あんな経験は、もう二度としたくない。俺はふと、このダンジョンに出現するモンスターの持つデバフ攻撃<沈黙>に対処できるアイテムを持って来ているかを確認する。万が一、ダンジョンの内部に落ちてしまうようなことがあれば、それが無いとクリスタルが使えない。

 

 アルファ「咳払いは持って来てるか?」

 

 ユウキ「三つならあるよ」

 

 アルファ「それはよかった…んじゃあ、いっちょ行きますか!」

 

 ユウキ「お、アルファも乗ってきたねっ!」

 

 崖から、例のダンジョンまでの幅は、僅か6メートルほどだ。現実世界ではどう足掻いても届きそうにないこの距離も、高レベルプレイヤー達のステータスを持ってすれば、しっかりと飛び越えられる範囲にある。俺達は崖の端まで移動して、そこから一気に駆け出した。崖の終わりのギリギリで大きく前へ飛んだ俺達は、見事、ダンジョンの外壁の上に立つことが出来た。外壁は分厚く、プレイヤーが二本足で立てるぐらいの幅がある。

 このダンジョンは、牢獄をモチーフに作られており、天井は吹き抜けだ。故に俺達は、ダンジョンの上部から中の様子が伺える。また、このダンジョンは、入り口の開閉門はわずか二十秒で閉じるという鬼畜仕様であり、更にはギミックを解除せずに無理に開閉門を開こうとすると、ボスがアクティブ状態に移行するという面倒な点もある。その分実入りのあるダンジョンではあるのだが、俺からすれば、少しばかりリスクが大きすぎるように感じていた。

 

 ユウキ「…何も無さそうだね…」

 

 アルファ「…無念」

 

 しかし、折角ここまで来たというのに、宝箱一つと無いとは。こういう場所に設置されている宝箱を見つけ出すのも、ゲームの醍醐味なのではないのか。…まぁ、SAOは景観を優先するタイプのゲームだったということだろう。

 

 アルファ「…飯食いに、戻ろうぜ」

 

 ユウキ「…待って」

 

 俺が吞気にそう声を掛けると、ユウキは真剣な表情で、何かに集中していた。

 

 ユウキ「誰かが、ボスと闘ってる」

 

 俺も、集中して、耳を澄ませてみると、ダンジョンの奥の方から、

 

 「─だらぁッ!!」

 

 という、複数人の雄叫びが聞こえてくる。方角的にも、間違いなくダンジョンボスと戦っているのだろう。

 

 ユウキ「アルファ、一応、見に行こう」

 

 アルファ「…分かった」

 

 ユウキの提案に従い、俺達は外壁の上部からから内壁の上部へと、次々に飛び移っていく。ダンジョンの上部には、モンスターも湧かないらしく、俺達は直ぐに、幾人かがボスと交戦している部屋の上部に到着した。そこには、風林火山のメンバー二人と、何処かのギルドに所属しているであろうプレイヤー達が十人余り、そして、血盟騎士団のユニフォームを纏った見たことの無いプレイヤーと、白いとんがり帽子に白いローブの、目立つ服装をした女性プレイヤーが懸命にボスと交戦していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 筆者はホープフル・エンチャント未読勢なので、少々展開に違和感が生じるかもしれませんが、ご容赦ください。

 では、また第48話でお会いしましょう!
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