~SAO with Yuuki~   作:うずつるぎ

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 今回は軽く二話分ぐらいの長さです。筆者にしては結構長めになりました。


第61話 心の呼び声

 ツルツルツル、という擬音が聞こえてくるような麵のすすり方をした俺達は、蕎麦の香り、というか風味を楽しみながら、昼食を摂っていた。この店では、そばつゆみたいな味付けのスープが蕎麦と一緒に提供されるのだが、見事に蕎麦の香りとそばつゆモドキはマッチしない。

 なので、俺は蕎麦単体で頂いているわけだが、ユウキはそれがあまり気にならないようで、そばつゆにつけて蕎麦を頂いている。しかもこの店、蕎麦湯が飲めないらしく、蕎麦湯が大好きな俺としては、そこも残念ポイントだ。まぁ、蕎麦自体は美味しいので、それなりには満足している。

 

 ユウキ「全然関係ない話だけどさ、アルファって目玉焼きと玉子焼き、どっちが好き?」

 

 アルファ「断然玉子焼きだ」

 

 ユウキ「奇遇だね。ボクも玉子焼き派だよ」

 

 アルファ「俺は中でも、だし巻き卵が一番好きだな」

 

 ユウキ「へぇ、ボクは普通の玉子焼きかな。あの砂糖で味付けしたちょっぴり甘い感じが好きなんだよねぇ…」

 

 アルファ「え?玉子焼きって甘くないだろ?砂糖とか入ってない気がするぜ」

 

 ユウキ「え?玉子焼きは甘いよ?砂糖の入ってない玉子焼きなんて、それこそただの目玉焼きじゃない?」

 

 アルファ「いや、目玉焼きと玉子焼きは断じて別物だ…ってことは、地域差か…?」

 

 ユウキ「そうかもね~」

 

 なんて、在り来たりな会話をしながら、蕎麦湯の代わりの〆として、温かいお茶で一服する。するとその時、俺の耳にメッセージ着信音が聞こえてきた。誰からだろうかと思って、差出人を確認すると、タイラだ。内容は、今日明日の暇な時間に、お店に遊びに来てください、というものだった。

 そんな内容を見た瞬間、絶対に面倒事の予感しかしなかったわけだが、無視するわけにもいかないので、パッパッと返信してから、ユウキに話しておく。

 

 アルファ「なんかタイラが、暇なときに店に来てくれだってさ。いつ行く?」

 

 ユウキ「んー…今日の日暮れ?」

 

 アルファ「了解」

 

 俺達は、これから日が暮れるまでの間、報酬の美味しいクエストを何件かクリアしたり、レベリングに励んだりと大忙しなわけだ。食事処を出た俺達は早速、一つ目のクエストクリアするために、フィールドへと飛び出していった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 アルファ「来てやったぞ」

 

 タイラ「あぁ、ちょっと待っててくださいね」

 

 お昼から夕方にかけて俺達はしっかりとクエストやレベリングを終えて、少し早めの夕食を摂ってから、タイラの店に訪れていた。タイラの店は繫盛しているようで、俺達が店に入ってきた瞬間も、お客と商品の引き渡しをしていた。

 一旦、店内にいる客たちとのやりとりを切り上げたタイラは、店の奥、つまりタイラの居住スペースで待ちぼうけしていた俺達の前にやってきた。

 

 アルファ「んで、今日は何の用だ?」

 

 タイラ「そうですね、迷いの森に出現するカメレオンみたいなモンスターから手に入る素材を手に入れたいんですが…」

 

 ユウキ「ボク達がゲットしてきたらいいんだよね?」

 

 タイラ「えぇ、その通りです。ユウキちゃんは察しが良いですね」

 

 アルファ「…ったく、俺達は便利屋じゃねぇんだぞ」

 

 一年以上前に、アルゴに同じようなことを言われたことを思い出しながら、俺は今さら自らの本分でないことをやらなければならない煩わしさを覚えていた。タイラの他にも、リズベットに鉱石の採掘を手伝わされたり、エギルの素材集めを手伝ってやったりとこの手のお使い事はよくあることだ。

 …最も、タイラやリズベットをはじめとする職人クラスのプレイヤーのお陰で、俺達は支えられているわけだから、多少のお使い程度なら引き受けてやるのが筋だろう。

 

 ユウキ「別にいいじゃん、ボク達が素材集めする方が効率いいし、安全でしょ?」

 

 アルファ「まぁ、そうだけども、なんか安くで提供してやってるのに、ここで商品を購入する時は何倍にも価値が膨れ上がってるのが納得いかないんだよなぁ…」

 

 俺がそうぼやくと、タイラは一瞬、言い淀むように視線を逸らした。

 

 タイラ「……人件費ですよ」

 

 アルファ「いや、この店にバイトとかいねぇだろ…」

 

 ユウキ「ま、利潤を追求するのは、職人クラスの性って奴なんだろうね」

 

 タイラ「…ユウキちゃんに身も蓋もない言い方をされると、中々心に来ますね…」

 

 アルファ「取り敢えず、明日にでも素材集めに行くか?」

 

 ユウキ「そうだね、お昼過ぎには行こうか」

 

 俺達には、今日だけでは消化しきれていないクエストが山ほど残っている。それを明日中に消化し切ることも考慮すれば、朝と昼の初め辺りまでは、クエスト関連に時間を費やすこととなるだろう。俺はユウキの提案に乗ることにした。

 

 アルファ「ってことで、仕入れは夜分になりそうだけど、いいか?」

 

 タイラ「大丈夫ですよ。私は安くで仕入れて高くで売れればそれでいいですから」

 

 アルファ「お前なぁ…」

 

 俺は金欲を包み隠さないタイラに呆れながらも、ユウキと共にギルドホームへと帰宅した。いつもなら、ユウキとくだらない会話をしながら、アイテムの整理や確認やらを済ませ、お風呂の順番を巡って拳で勝負し、風呂場で一日の疲れを癒して、ベッドにインするわけなのだが、今日はいつもとは違ったのだ。

 ユウキが、珍しく夜にキッチンに立った。ユウキがキッチンで何かを調理するのは、基本的に朝型であり、そこで新開発した何かを、寝ぼけた俺に食べさせることで実験台にしている。俺は今日はどんな感じのものが登場するのだろうか、とワクワク二割恐怖八割の…そこからユウキが開発に成功する確率が見え隠れしているわけだが、兎に角、ユウキが何かを完成させるのを待っていた。

 …因みに、一応擁護しておくが、ユウキは普通に料理すれば、美味しいものを作れる。数分後、ユウキが二つのお皿の上に、綺麗な筒状の黄色い物体を登場させた。それは俺にとっては馴染み深いものであった。

 

 アルファ「…玉子焼きか!」

 

 ユウキ「こっちが砂糖ありで、こっちは砂糖なしね。アルファの話聞いて、食べ比べしようかな、って思ってさ」

 

 アルファ「なるほどな。んじゃ、砂糖ありから食べてみてもいいか?」

 

 ユウキ「うん、ボクは砂糖なしを食べてみるよ」

 

 これは、ユウキがおふざけなしで作り上げた料理だ。故に美味しいことは確定している。俺は、砂糖入りの玉子焼きとは、どんな味がするのかと好奇心で一杯になりながら、砂糖入り玉子焼きを口に入れた。モグモグ、と良く噛んで味わってから、玉子焼きを飲み込む。

 

 アルファ「…玉子焼きなのに、甘い…」

 

 …なんか違う。食べ慣れていないからか、俺はそんな感想を述べた。俺がそう言うと、ユウキもなんだか微妙な顔をしながら、砂糖なし玉子焼きの感想を述べてくれる。

 

 ユウキ「…これ玉子焼きじゃないよ。甘くない玉子焼きなんて、あんまりだよ…」

 

 口直しだと言わんばかりに、俺達は自分たちの食べ慣れた玉子焼きを口に放り込む。それから、パクパクと食べ進め、お皿が空になったところでようやく一息ついてお互いに口を開いた。

 

 アルファ&ユウキ「「やっぱこっちだな(ね)!!」」

 

 ハハッ!とお互いにハモったことを俺達は笑い合って、それからは、いつも通りの流れが始まったのだった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 アルファ「…おっ、そこにいるな」

 

 俺は自然と思ったことを口に出して、木々の合間に隠れていたカメレオンに剣を振り下ろした。カメレオンはそれに気が付くも、その場から飛び跳ねる前に、俺の両手剣によって体力バーをゼロにした。リザルト画面から、カメレオンの抜け殻なる素材を手に入れたことを確認する。

 この抜け殻こそが、タイラの求めている素材だ。この素材はここ第三十五層迷いの森に出現する<モレストム・カメレオン>というカメレオン型モンスターからしかドロップしないらしい。名前の前半部分、モレストム、という単語はラテン語で、厄介な、という意味らしく、その名に恥じず、深い森の色彩に擬態している。

 しかも、その擬態は索敵スキルなどでは看破することが出来ず、己の目で周囲の風景との違和感を見つけ出さねばならないので、名前の通り非常に面倒だ。

 

 ユウキ「まだストレージに余裕ある?」

 

 アルファ「あぁ、問題ない」

 

 彼是、迷いの森でカメレオンハンティングを始めて三時間ほど経過するが、俺達は未だストレージを満タンにすることは出来ていなかった。このモンスターは、見つけにくいだけでなく、出現率も低い、おまけにドロップも確定ではないと、本当に厄介な奴だ。

 その代わり、素材として使用したときの隠蔽ボーナス効果は高く、素材の質も高いことから、ポーチやコートを作る際にいい外膜として機能してくれるらしい。迷いの森に自生する木々の隙間から、陽が落ち行く様が見えたことに気が付いた俺は、ユウキに声を掛けた。

 

 アルファ「そろそろ、迷いの森を出ようぜ」

 

 ユウキ「そうだね」

 

 幾ら最前線よりもに十層ほど下の層とは言え、夜のフィールドは油断できない。安全性を考慮して、俺はユウキにそう提案すると、ユウキは快く受け入れてくれた。ユウキの持つ、迷いの森専用のマップに従って、正解のエリアへと進んでいく。

 前にも説明したが、迷いの森は、森自体が数百のエリアに区分されていて、一つのエリアに足を踏み入れて一分経つと隣接エリアの連結がランダムに入れ替わってしまうというギミックが存在する。故に、森の中で迷ってしまわないように、ユウキがマップを購入して、それに従って森の出口を目指しているのだ。

 このエリアがあと十秒で入れ替わる、次は前のエリアへと進めばいい、そんなタイミングで、突然ユウキが左側に移動した。

 

 ユウキ「見っけ!」

 

 ユウキが、木に向かって剣を振るう、すると、カメレオンが擬態を解いて、身体をポリゴン片へと四散させた。だが、カメレオン狩りに夢中になっていたユウキは、もう秒数は残されていないことに気が付かなかった。

 

 アルファ「ユウキ!」

 

 俺が声を掛けると、ユウキはそれを思い出したようにこちらへ向かってくる。だが、時すでに遅し、俺とユウキは、別々のワープポイントに足を踏み入れてしまった。

 

 

────────────────

 

 

 

 ユウキ「あちゃ~、やっちゃったね…」

 

 たった今ボクは、カメレオンに夢中になってしまい、アルファと森の中ではぐれてしまったばかりだ。残念ながら、迷いの森の地図はボクしか購入していない為、アルファは絶賛迷子中ということになる。

 ボクは地図を眺めながら、アルファが今いるであろう位置と、ボクが今いる位置を考慮して、何処をどう行けばいいのか、頭を働かせる。キッチリ一分以内にそれを逆算し終えたボクは、まずは後ろのワープポイントへと足を踏み入れた。

 するとそこには、短剣使いと片手剣使いであろう男性プレイヤー二人組がその場に立ち尽くしていた。二人はボクがワープポイントしてきたことに気が付き、びくりと肩を震わせてから、恐る恐るボクに話し掛けてくる。

 

 「あ…あのぉ…実は俺達、この森で迷っちゃって…」

 

 ユウキ「地図は持ってないの?」

 

 「は、はい…モンスターと闘ってるうちに仲間とはぐれてしまったんです…」

 

 二人の言葉を聞いたボクは、ふと、今朝見た新聞を思い出す。迷いの森では、彼らが今体験していることはよくあることらしく、それによって命を落とすプレイヤーも少なくないのだと、注意喚起されていた。

 二人の装備は見たところ、前線には出ていない中層プレイヤーぐらいのものだ。既に夕日が沈みかけていることも考えると、彼らをこのまま放置しておけば、最悪、彼らはここで死んでしまうかもしれない。

 …勿論、例え昼間であったとしても、彼らを見捨てるという選択を取るつもりなど更々無いのだけれど。

 

 ユウキ「良かったら、ボクと一緒に森を出ない?」

 

 ボクがそう声を掛けると、二人は安心したような顔を浮かべる。

 

 「いいんですか!?助かります!」

 

 ユウキ「ただ、ボクもちょっと仲間とはぐれちゃって、少し遠回りになるけど、それでも良かったら」

 

 「構いませんよ!俺達、危うくモンスターの餌食になるところでしたから」

 

 ユウキ「じゃあ、取り敢えず右のワープポイントに──」

 

 二人は、そう笑顔で答えてくれる。ボクは、何だか良いことしたな、と少し気分が良くなり、後でアルファに自慢してやろうとか、そんなことを呑気に考えていた。

 その時、ドスっと背中に何かが刺さったような不快感と僅かな痺れの感覚を認識する。…モンスター?でも、迷いの森に刃物を持ったモンスターは出てこなかったはずじゃ…。ボクは後ろの二人がモンスターに襲われたのかと心配で、後ろを振り向こうとする。

 だが、身体が思うように動かず、ボクはふらりと地面にうつ伏せになって倒れ込んでしまった。

 

 「……くっくっく…思ったよりも簡単じゃねぇか」

 

 「そうだな。まぁ、単にコイツがカモだっただけかもしんねぇけどよ」

 

 ユウキ「……なに…?」

 

 さっきまではボクの後ろに控えていた二人が、先程までとはまた違った種類の悪趣味な笑いを浮かべながら、地に伏せるボクを覗き込むようにして眺めていた。不意に、視界の右端を見やると、そこには麻痺毒のアイコンが表示されている。そして、グリーンであった二人の内の一人のカーソルが、オレンジに移行していた。

 そこでようやく、この二人が何らかの意図をもってボクを麻痺毒で行動不能状態に陥らせたのだと、嫌でも理解させられた。…犯罪プレイヤーっ!直感的にその答えに辿り着いたボクは、すぐさまその場から離脱するために、二人に気が付かれないように右手を慎重に動かして、ポーチにある解毒クリスタルを取り出そうとする。

 だが、何処からか飛んできたダガーがボクの右腕にグサっと突き刺さり、右手の動きの軌道をずらされた。ダガーが飛んできた方向に視線を移すと、木々の陰にハイドしていた第三のプレイヤーが姿を現す。…ボクの索敵スキルで看破出来ないということは…相当な熟練度だ。

 

 「しっかりと注意しないと…このヒト解毒結晶使おうとしてたよぉ~?」

 

 第三のプレイヤーはその少年のような甲高い、無邪気な声色に反して、全身を黒のタイツで覆い、その上にも体のラインに沿った黒のレザーアーマーを身に付けていて、頭にはこれまた黒の頭陀袋を被った不気味な風貌をしている。

 だが、全身を装備で覆っているというのに、目の部分だけ丸く切り取られた頭陀袋の隙間からは、奇怪な視線が見え隠れしていた。ボクはその全身に襲い来る何とも言えない感覚に、自然と固唾を吞む。

 そんなボクとは裏腹に、彼ら三人はまるで何事もないかのように普通の調子で会話を始めた。

 

 「どうすかジョニーさん!俺達の演技、上手かったすよね!」

 

 ジョニー「そうだねぇ…70点ぐらいは上げてもいいかな?取り敢えず、第一試験は合格ってことでよろしく~」

 

 「ジョニーさんから70点なんて中々貰えないぜ?それだけ俺達は才能があるんだろうな?」

 

 …片手剣使いと短剣使いは敬語、ジョニーと呼ばれた男がリーダー格?状況を整理しながらもボクは再び、ポーチから解毒結晶を取り出そうとしていたが、ジョニーにはお見通しだったようで、右腕を踏みつけられ、腕を動かせないようにしてくる。そしてそのままボクが身体を動かせないのをいいことに、ジョニーにポーチの中に隠し持っていた結晶類を茂みに放り投げられた。…これでは、挽回の余地が無い。

 

 ジョニー「しっかし結構いい装備してんじゃねぇかよ!こりゃあいい資金源に…ん?コイツ、どっかで見たことが…」

 

 「…あ!ジョニーさん!こいつ多分<月光>ですよ!ユニークスキル持ちの攻略組です!」

 

 ジョニー「……あぁ…確かにこんな顔してたな…お前らでかした、こいつ相当な大物だぜ!」

 

 ユウキ「がッ…!」

 

 ジョニーと呼ばれる男が、右手にギザギザと刃を生やしたダガーをボクの右腕から強引に引き抜き、クルクルと手の上で回しながら、ボクを眺めてくる。その身がよだつような不快感溢れる粘着的な視線を向けられると、体中に嫌な汗が流れてくるのを感じた。

 男は、ボクの腹を蹴り上げて、後ろにあった木に激突させる。何の抵抗も出来ず、されるがままに木にぶつかったボクは、その衝撃と共に身体から声が漏れる。今度は木にもたれ掛かりながら、仰向けの体勢になってしまった。男は、ザクリザクリと足元を踏みしめながら、ボクの方へと近づいて来る。

 …殺される。本能的に、ボクはそれを理解していた。だが、身体を動かすことは出来ない。最早ボクには、死を受け入れる以外の選択肢はないのだ。

 …少しでも、生ける人達の助けになれただろうか。もしそうであるのなら、ボクが生きた意味も、少しはあったかもしれない。男は、とうとうボクの目の前まで迫り来た。右手に持つダガーを振り上げ──

 

 それをボクの顔の真横に突き刺した。男は、ボクに顔を近づけてくる。

 

 ジョニー「…へぇ~…月光ちゃんって、結構いい顔してるじゃ~ん」

 

 そんな意味不明のことを言ったかっと思うと、ボクの顎をクイっと持ち上げて、まるで得物を見つけた蛇のような獰猛な瞳で、言葉を続ける。

 

 ジョニー「…決~めた!ちょっと味見しちゃおうか!」

 

 ユウキ「…?」

 

 …味見?何のことを言っているのだろうか。ボクは男の意図を掴めないままでいた。だが、後ろに控えていた二人は意図を理解できたようで、興奮交じりに若干声を上ずらせていた。

 

 「ジョニーさん!俺、月光ちゃん好みの顔なんですよ!ジョニーさんがヤった後は、俺に回してくださいよ!」

 

 「ちょっと発育が足んねぇ気がするけど、まぁいいや」

 

 ジョニー「ってことで月光ちゃんを今から強姦しちゃいたいと思いま~す!」

 

 ユウキ「……え?」

 

 男が、調子はずれな陽気な声でそう言った。ってきり、殺されると思っていたのに、想定外の展開にボクは思考が一瞬、フリーズする。

 そして、男たちが話していることの意味を理解し、途方もない得も言われぬ恐怖に襲われた。社会から隔絶された生活を送っていたボクでも、強姦、の意味ぐらいは分かる。死の覚悟は出来ていたというのに、ボクはとってはそれだけはどうしても受け入れ難いことであった。

 ボクは何とかして全身の力を振り絞り、どうにかしてこの場から逃げ出そうとするが、麻痺毒のせいで自由に体を動かすことが出来ない。ボクは懇願するように、男に対して言葉を発する。

 

 ユウキ「や、やめて…お、お願いだから…」

 

 ジョニー「いいねぇ~その怖がってる顔、そそるね~?」

 

 男は、そんなボクを面白がるように、陰湿な笑い声を上げながら、ボクの不自由な右腕を掴んできた。そしてそのまま、ボクの右腕を動かして、メニューウインドを開く。何をするのかと思えば、アイテムストレージにあった回復アイテムを根こそぎ放り捨ててから、メニューウインドのオプションを開いて、その項目をドンドン下ってい行った。

 そしてその最奥に、倫理コード解除、という項目があった。男からはボクのメニューウインドは見えていないはずだが、男はそれが何処にあるのかを知っていたらしい。ボクのメニューウインドにある倫理コードを解除し終えた男は、ボクに対して、絶望の一声を掛ける。

 

 ジョニー「実はさぁ~倫理コードを解除すれば、この世界でも性行為を可能とするんだよねぇ~…つまり、どういうことか、もう分かるよね?」

 

 ユウキ「……やだ…やだやだやだやだやだやだやだやだ!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、ボクはもう頭の中で冷静な思考なんて出来なくて、ひたすら目の前の男にそう喚くことしか出来なかった。そんなボク見た男は、心底楽しそうに大声を上げて笑う。

 

 ジョニー「キャハハハッ!喚いたってどうしようもないよぉ?犯されるしかないよぉ~」

 

 そう言って男は、僅かながらの力で抵抗するボクの右手をグイと掴んで、メニューウインドを操作し、ボクの装備の一部であるロングスカートを解除した。ボクの下半身は、下着姿になる。すると、男の視線がまた一段と粘着的なものへと変化した。

 ──嫌だ。気持ち悪い。こんな奴に犯されたくない。もっと、ボクの大切な人とがいい。怖い。誰か助けて。いっそ殺して。そんな色々な感情がボクの頭の中でぶつかり合い、脳内で木霊する。

 そして、とうとう男が、下半身の下着を解除しようとしたその時、このエリアのワープポイントから、彼が現れたのだった。ボクは、彼に手を差し伸ばしながら、心の内を訴える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──アルファ、助けて…

 

 

 

 

 

────────────────

 

 

 

 

 ──不味いな。

 

 ユウキがワープポイントで何処かに移動してしまった後、俺は一人その場で立ち尽くし、これからどうするべきかを思考していた。残念ながら、俺は迷いの森のマップを持っていない。まさか、こんなことになるとは想像もしていなかったため、ユウキが購入すればそれで事足りると思っていたのだ。

 …まぁ、冷静に考えれば、ユウキが俺を迎えに来てくれるだろうから、この場で待機しておけばいいだろう。そう思った俺は、ユウキがもう一度このエリアに帰ってくるまで、辺りのモンスターに見つからないようハイドして待つことに決定した。

 だが、俺の考えは数分後に、百八十度ひっくり返る。その要因は、ユウキの体力ゲージが僅かに減ったからだ。最初はただモンスターと交戦したからだと思っていたが、ユウキの戦闘時回復スキルを持ってすれば、その程度のかすり傷は、普通は十秒立てば満タンに戻るはずなのだ。しかし、十秒経過しても、ユウキの体力ゲージは一向に回復しなかった。

 ──戦闘時回復スキルが発動しない局面、それはその本人が、何かしらの毒状態に陥った時。そして、時間経過で体力が減って行かないということは、それは通常の毒状態ではなく、麻痺毒。そこから導き出される答えは、ユウキは誰かに襲われた…?

 その結論に至った瞬間、俺は無我夢中で森を駆け抜けていた。迷いの森には、麻痺毒を付与してくるモンスターはいない。つまり必然的に、ユウキはプレイヤーに襲われたということになる。どこへ向かえばいいのかは分からない。だが、あのままジッとしているわけにもいかない。

 俺はエンカウントしたモンスター達に目もくれず、森の中を駆け巡った。だけど、都合よくユウキを見つけられるわけでもなく、一分の時間制限によって何処かへワープさせられる。そうしているうちにも、ユウキの体力は時々、じりじりと減っていた。

 俺は焦りに焦って、それでも森を駆け巡る以外の方法なんて無くて、周囲をひたすらに駆け巡る。だが、再び何処かへ転移させられる。それでも諦めきれず、森を全力で駆け抜けた。しかし、現実は無常か。やはりユウキを見つけることは出来ない。そして、再び一分の制約がやってきた。

 …頼む。俺は祈る気持ちで、ワープポイントへと足を踏み入れる。そして、目の前に広がった光景は、二人のプレイヤーが後ろで嗤いながら談笑していて、すぐそばの木陰ではユウキが頭陀袋を被った気味の悪いプレイヤーに押し倒され、下半身はいつものロングスカートではなく、下着、という不思議なものだった。

 何が起こっているのか、分からない。理解していないような理解したくないような、そんな訳の分からない感情に板挟みになりつつも、俺は迷うことなく彼らに声を掛けた。

 

 アルファ「……おい、何してんだ…」

 

 普段は、少し高めの声をしている俺も、この時ばかりは、自分でも驚くほどドスの効いた低い声を発していた。そんな俺に対して、頭陀袋を被ったプレイヤーは、調子はずれな声で言葉を返す。

 

 ジョニー「あ~あ…せっかく月光ちゃんぶち犯して、気持ちよくなろうとしてたのに、横やり入っちゃったよ~」

 

 アルファ「てめぇッ!!」

 

 そんな衝撃的な発言を聞いた瞬間、俺の頭の中は真っ赤に染まっていた。そして、ユウキが光を見たような瞳で、俺に手を差し伸ばし、──助けて、と救いを求めてくる。

 そんなユウキを見た瞬間、俺はもう、止まることは無かった。愚直に、頭陀袋を被った男に、俺は突っ込んでいこうとする。だが、その前に出た二人のプレイヤーが俺を牽制してきた。

 

 ジョニー「んじゃあ、第二試験はこいつを殺すことで~」

 

 「りょーかいっす!こんなプレイヤー瞬殺っすよ!」

 

 「見た目からして弱そうだしなぁ!」

 

 二人のプレイヤーがそんなことを言いながら、俺に剣を向けてくる。俺は、激情に駆られながらも、心の奥の奥では冷静さを保っていた。いや、激情を越えてある種の冷徹さを取り戻していた。

 迫りくる短剣と片手剣を、予め対人戦を想定して刀に変形させておいた太陽の戎具を使って器用にいなしていく。二人のプレイヤーは連携が上手いわけでも、各個人の能力が優れているわけでも、対人戦を知り尽くしているわけでもなかった。

 故に、右わき、左側足の太もも、と俺はすぐに二人の隙を見つけて、簡単に刀を一閃することが出来た。レベル差が大きいのか、二人の体力は一気にイエローゾーンに落ち込む。

 

 「なに!?」

 

 「ま、麻痺毒だ!毒を使え!」

 

 予想外の事態に焦ったのか、二人は取り乱している。俺はその隙を逃さずに、更に刀を一閃するが、流石に彼らもギリギリで回避し、身体を掠めるに収まった。二人は、俺を挟むように移動して、前後から突っ込んでくる。

 頭陀袋を被った男は、何故か俺達の戦いに干渉してくる気配を感じさせないが、いつ参戦してきてもおかしくはないため、俺は円を描くように刀を振るうことで二人を一閃するという隙の大きい行動ではなく、奴らが俺の身体にナイフを突き刺す直前まで、どちらに逃げるか迷うようにその場に立ち尽くして、ギリギリのタイミングで敏捷ステータス全開のスピードでその場を離れる作戦を取った。

 想定通り俺の動きに付いて来られなかった二人は、見事中央にてお互いのナイフを刺し違えた。

 

 「おまっ!?」

 

 「おいっ!」

 

 彼らの宣言通り、その先端には麻痺毒が塗られていたようで、麻痺状態に陥った二人はそのままガクリと地に伏せる。俺はその隙を逃さずに、無心で刀振るってその首を搔っ切り、呆けている彼らのHPを全損させた。

 …今はまだ、何も考えるな。すると、頭陀袋を被った男は、パチパチパチ、と乾いた拍手を俺に送ってくる。

 

 ジョニー「お~やるじゃないの!オレ、グリーンでそこまでヤれるプレイヤー初めて見たかも~?」

 

 アルファ「…てめぇも、殺してやる…」

 

 俺は無機質にそう言ってから、全力で頭陀袋の男に斬りかかった。

 だが、刀身が片手剣ほどの大きさの、巨大なダガーでそれを受け止めた男は、お返しだと言わんばかりに俺に斬り返す。首を逸らしてそれを躱した俺は、そのまま手首を返して刀を斬り上げるが、男はそれを回避してその場から離れる。俺はすぐに投げピックを投擲したが、ほとんど同じタイミングで男も投げピックを投擲しており、俺達の中央にてそれは相殺された。

 ──コイツ、強い。この一合で俺は頭陀袋の男がさっきの二人とは違って、対人戦、もっと言えば、殺し合いに慣れている人間であることを悟る。

 

 ジョニー「もしかして、同業者?」

 

 頭陀袋の男はまだまだ余裕そうな声色でそんなことを言ってくるが、俺は至って真剣そのものだ。今の俺の手持ちには、麻痺毒はない。周囲に散らばるアイテムを横目に見るが、俺が殺した二人のプレイヤーも、麻痺毒が付いた武器はさっきので終いだったらしい。

 つまり、俺はコイツを殺さなければ、ユウキを救い出すことは出来ないという状況であるということだ。…二人のプレイヤーを殺したのも、自らの武器で、麻痺毒で行動不能にしておくことが出来ないからだ。俺は覚悟を決めて、太陽の戎具を投げつけた。男は、一瞬呆気に取られつつも、それをギリギリで回避する。

 

 ジョニー「武器捨てるとか馬鹿かなぁ!?」

 

 俺の行動を苦肉の策とでも捉えたのか、勝ちを確信したような声でそんなことを言っているが、俺は男に接近しながら、右手に光る銀色の指輪の効果を発揮して、片手剣に変形した太陽の戎具を呼び戻した。男もこれは想定外だったらしく、ワンテンポ回避行動が遅れる。

 俺はそこをすかさず横一閃して、二割ほどの男の命を削る。減り方からして、俺ほどの高レベルプレイヤーではないらしい。男が態勢を崩している間に、右脚で相手の足元を払おうとしたが、それは見事に躱され、逆にダガーで反撃される。

 しかし、俺は慌てて片手剣でそれを受け止め、ギリギリ身体に刀身が触れないように気を付けた。ダガーの先端には、麻痺毒が塗られた跡が見える。…まだ、これを喰らうわけにはいかない。

 俺は、再び、投げピックを投擲して、男に圧力を掛けていく。男も負けじと投げピックを投擲するが、どうやら俺の方が投げピックの所持数が多かったらしい。何本かの投げピックが男に命中し、残りの命は7割2分ほどだ。

 

 ジョニー「…チッ!」

 

 男は、俺に剣戟を挑んできたが、俺は確かな剣技でそれを全て防ぎ切る。男は痺れを切らしたのか、一旦距離を置いてきた。

 …何をするつもりだ。俺は男が取ってくる行動に身を構えて、カウンターの準備を整えていたのだが、男は突然、未だ麻痺状態で倒れ込むユウキ目掛けて走り出した。

 

 アルファ「ッ!ユウキッ!!」

 

 ジョニー「ヒャアッ!」

 

 …野郎、ユウキを殺すつもりか!?そう考えた俺は反射的に、ユウキを守ろうとそちらへ動いたが、それが失敗だった。

 男は、急旋回して俺にダガーを突き出してくる。ユウキを守るための態勢を取ろうとしていた俺は、それに付いて行くことが出来ずに、麻痺毒の塗られたダガーを右胸辺りに喰らった。

 

 ジョニー「甘いんだよ!馬鹿が!コイツはレベル五の麻痺毒だ!十分は動け──」

 

 今度こそ、勝利を確信したように、男は俺に対して煽るように両手を広げながら、ゲラゲラと俺を嘲笑う。だが、俺は麻痺毒など物ともせず、男に斬りかかった。

 

 アルファ「バカはてめぇだァ!!」

 

 ジョニー「なッ──!」

 

 俺は瞑想スキルの熟練度がマックスになったお陰で、戦闘毎に一度だけ状態異常を無効化出来る。故に、例え俺が今喰らった毒がレベル5であったとしても、そんなことに関係なく俺は毒をレジスト出来るのだ。

 やはり、男はこんなマイナースキルの効果など知らなかったようで、見事に俺の作戦に引っかかってくれた。俺は片手剣を右へ左へと素早く斬り返して、一気に男の命を残り2割半にまで追い詰めた。男は遅れて防御態勢を取ろうとしているが、このタイミングなら俺の剣の方が先に届く。

 そうすれば、俺はこの男に命を奪って──。その時、──やってはいけないことを、俺はそのことを深く考えてしまった。俺がもし、この男を殺せば、それすなわち、俺は自らの手で三人の人間を殺したことになる。

 しかも、上手くやれば先の二人から麻痺毒の付いた武器を回収できたというのに、俺は自らの怒りに任せて彼らを殺してしまった。それは紛れもない事実だろう。

 ならば、自分の負の感情に従って人を殺すという、俺がやっていることは、ただの殺人…?そんな、俺の心の迷いを表すように、男に向けて振るったとどめの剣はブレた。男はその隙を逃すわけもなく、俺に今度こそ麻痺毒の付いた武器で俺の右腕を抉った。俺は麻痺状態に陥り、その場に崩れ落ちる。

 

 ジョニー「ヒャッハー!どうしたのかな~?」

 

 アルファ「…クソっ…!」

 

 男は素早く俺のポーチから回復アイテムを奪ってから、迷うことなく俺の身体にダガーを何度も振り下ろし、俺の命を削る。身体中に刃物が出し入れされる不快なダメージ感覚が俺を襲い来るが、俺は痛みを喘ぐことしかできず、どうすることもできない。

 やがて、俺の命が2割ほどにまで落ち込んだ時に、男はその行動に満足したのかその手を緩め、少し離れたところに倒れているユウキの方へと向かって行った。

 

 ジョニー「そろそろ十分経つから~ちゃんと毒の追加~」

 

 大層愉快そうに、ユウキに再び麻痺毒を付与させた男は、そのままユウキを引きずりながら俺も目の前まで移動させる。そして、ユウキの首根っこをひょいと持ち上げたかと思うと、心底楽しそうに俺の目の前で話し始めた。

 

 ジョニー「お前って月光ちゃんの名前呼んでた辺り、月光ちゃんと知り合いなんだよね?月光ちゃんが無惨にもレイプされるところ、そこで見てよね~?」

 

 アルファ「…なッ…!てめぇ…!」

 

 俺は必死に身体を動かそうとするが、麻痺毒に抗えず、その場を藻掻くことしかできない。そうこうしているうちに、ユウキは無理やりメニューウインドを操作され、遂に全身下着状態にされてしまった。

 

 ジョニー「んじゃあ、そろそろ始めるとしますかぁ~」

 

 アルファ「…やめろ…」

 

 ジョニー「ん?なんか言ったかな?」

 

 煽るように俺にそんなことを言ってから、再びユウキに手を掛けようとした。だが、ユウキがなけなしの力を振り絞って、その胸に伸ばされる腕を抑える。ユウキは、一心不乱に男に許しを請う。

 

 ユウキ「お願いだから、やめてくださいっ!何でもするからっ!それだけは──」

 

 ジョニー「ん?月光ちゃんはここで犯した後、ヘッド達にも提供して、回すから~、今からコイツに、ここで犯される様をしっかり見てもらお?ね?」

 

 ユウキ「……ぇ…」

 

 ジョニー「もっと楽しそうな顔をしないと~」

 

 男の悪趣味な言葉に、ユウキは表情を抜け落ちさせて絶望する。だが、抵抗することは止めず、今なお男の迫る腕を拒否し続けていた。

 …なのに、麻痺状態にある彼女はこの絶体絶命の状況で、決して諦めずに抗い続けているというのに、俺は、地で這い蹲るだけで、ただこれから起こり得る出来事を眺め、己の無力さを呪うことしかできないというのか。

 …違うだろッ…!お前も最後まで抗えよッ!彼女がまだ闘い続けているというのに、どうして俺が諦めていい!?諦めるな!訪れる最後に瞬間まで!!俺は、最後の闘志を振り絞って、全身に力を巡らせて、再び立ち上がろうとする。

 だが、上手く体に力が入らず、やはり地を這い蹲るだけか。徐々に、力負けしているユウキは、その胸に男の手を迫らせている。──動け!動けよ!ここで動けなくていつ動くんだよ!!また後悔を繰り返すのかよ!?一回無効化出来る麻痺ぐらい越えて見せろ!俺!──動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け!動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動け動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動動け──────ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、ビキ、ビキ、と身体を軋ませながら、システムの理に反するように周囲に歪な電撃を走らせながら、死に物狂いで限界を超えて立ち上がった俺は、再び呼び戻した剣を構える。頭陀袋の男は、僅かに遅れてそれに気が付くも、もう遅かった。

 

 アルファ「うおおおおお……あああぁぁ!!」

 

 ジョニー「なッ──!?」

 

 無理矢理麻痺状態を解除したせいか、尋常ではない程に痛む身体に鞭を打って、俺の全身全霊の心の叫びが、頭陀袋の男に剣を振り抜くと同時に放たれた。その剣は、頭陀袋の男を縦一文字に斬り裂く。

 頭陀袋の男は最期の瞬間に、その頭陀袋の耐久値が尽きたのか、素顔を露わにした。襟足を伸ばした長髪に、白く染められた髪色、顔はやせ細っていたが、目はギョロリとギラついている。

 

 ジョニー「──おめでとう!これで君も今日から、真っ赤なレッドプレイヤーだねぇ~」

 

 男は、その命を終えるその瞬間まで、これまでと変わらない口調で俺に囁いた。そして、その身体をポリゴン片へと変化させ、その不快な音の元凶が消え去ると、当の昔に陽が暮れ切った森の中は、まるで何事もなかったかのように静寂さを漂わせ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 キリトがザザを担当するのならば、アルファはジョニーブラックを担当してもいいんじゃないかと思い、彼にはここで登場してもらいました。(無情にも死んでもらいました)
 そして、とうとうシステムの壁を越えたアルファ君、これが主人公補正と言う奴なのか!?
 遂に物語が加速する…?

 では、また第62話でお会いしましょう!
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