~SAO with Yuuki~   作:うずつるぎ

89 / 197
第89話 生まれながらの戦士に、ほんの一時の休息を

 ジリジリジリ──ッ!

 

けたましく目覚まし音が鳴り響いた。

 それに気が付き、徐にその音源の方向へと手を伸ばす。二度、三度、目覚まし時計があるであろうと思われる場所に手を振り回すも空回りで、四度目でようやく、目覚まし時計の轟音を堰き止めることに成功した。

 しかし、未だに頭の中にはの過度に五月蠅いアラーム音が響き渡っており、それに顔を顰めながら、一晩の間に凝り固まった身体をほぐそうと、布団の中で身体を大きく伸ばす。

 目覚まし時計を止めることは、毎日のように行うはずの作業なのに、なんだかすごく久しぶりにその作業を行ったかのような、よく分からない感覚に襲われながらも、ボクは体を起こし、重い瞼を開いた。

 背後にある窓からは眩い朝日が差し込んできて、目の前にはシンプルな勉強机が設置されており、その隣にはクローゼットやシンプルなタンスが配置されていた。とても女の子らしさ全開といったインテリではないが、ボクにはそういう女の子らしさの追求は向いていない気がするなぁ…。

 そんなことを思いながら、ボクはしばらく放心状態でベッドに座って居ると、扉の奥から、誰かの足音が聞こえてきた。コンコン、と丁寧にノックされてから、ガチャリと扉が開かれた。

 そこから姿を現した人は、ボクよりもほんの少しだけ長い髪の、なのにそれだけでボクよりも大人びたような、落ち着いた雰囲気を纏っていて、双子だというのに活発なボクとは大違い。運動神経やテストの点だって、ボクより少し良くて、いつも悔しい思いをさせられているわけだけど、そんな、ボクの一歩も二歩も先に居て、ボクを静かに見守ってくれている憧れの的でもある──

 

 「──ユウ。そろそろ起きないと、電車に間に合わなくなるよ」

 

 ユウキ「……ね、ねぇ…ちゃん……?」

 

 扉の向こうから穏やかな声でボクに語り掛けてきたのは、間違いなく、ボクの双子の姉である紺野藍子だった。

 …どうしてだろうか。紛れもなく目の前に、姉ちゃんがいるはずなのに、今すぐその手を掴まないと、次の瞬間にはボクの前から居なくなってしまう気がして、ボクはふらりふらりと姉ちゃんに近づいていく。

 不思議そうにボクを眺めている姉ちゃんを気に掛ける余裕なんて、今のボクに無くて、姉ちゃんの至近距離まで接近したボクは、彼女が確かにここに実在していることを確かめる為に、頬や身体に手を添える。

 当たり前の話だが、姉ちゃんの身体は、すごく温かかった。そこでようやく、姉ちゃんが生きていることを実感できたボクは、堪らず姉ちゃんを強く抱き締めた。

 

 ユウキ「……姉ちゃん…姉ちゃぁん…」

 

 藍子「ユウ?どうしたの?」

 

 ユウキ「……い、生きてるんだよね…?姉ちゃん…生きてるんだよね…?」

 

 藍子「…そうだよ。お姉ちゃんは生きてるよ?」

 

 ユウキ「うぅ…良かったよぉ…」

 

 ──姉ちゃんが生きている、それは極当たり前のことのはずなのに、ボクはどうしようもない程その事実が嬉しかった。ボクは姉ちゃんの身体に縋りつくように、涙を流しながら彼女の身体を抱き締めていると、姉ちゃんは優しく背中を撫でてくれた。

 それを長年味わっていなかったかのような錯覚に陥りながら、強く噛み締めていると、姉ちゃんはボクの手を引いて、階段の方へと誘導し始めた。

 

 藍子「さ、そろそろリビングに行かないと、パパとママが待ってるんだから」

 

 ユウキ「……ぇ…?」

 

 姉ちゃんの放った言葉に更なる衝撃を受けつつも、バクバクと鳴り響く心臓を抑えながら、リビングルームへと足を踏み入れた。

 するとそこには、姉ちゃんの言った通り、もう二度と会えないと思っていた、パパとママがそこにいるではないか。有り得なかったはずの日常が、疑いなくそこには広がっていて、ボクは遂に気持ちを抑えられなくなり、その場にへたり込んで、大声を上げて泣きじゃくってしまった。

 そんなボクを見て、ママもパパも困惑したような声を上げていたが、俯き涙を零していたボクに、ママの暖かな抱擁と、パパの大らかな掌がボクの頭を力強くさすってくれたのを感じた。

 

 ママ「木綿季…何があったの?」

 

 ユウキ「…えっぐ…ママも、パパも…姉ちゃんもみんなみんな死んじゃって…ボク一人になったはずなのに…なのに、どうして…?…みんな、生きてたの…?」

 

 パパ「…そうかそうか…きっと、木綿季は怖い夢を見ていたんだな…もう大丈夫だ。怖い夢の時間は終わりさ」

 

 ユウキ「…あれは…夢…?」

 

 ママ「そうよ。私たちが、木綿季を置いて死ぬはずがないでしょう?」

 

 ユウキ「……そっかぁ…あれは…ただの悪夢だったんだぁ…」

 

 滲む視界の中、ママとパパがボクのことを抱き締めてくれていることに気が付き、その先では姉ちゃんがボクを微笑ましく眺めている様子が見えた。

 …そうだ。パパもママも死んじゃって、姉ちゃんまでも他界し、そしてボクも、そのうち病気に負けて死んじゃうだろうだなんて、そんな救いようのない世界が、現実であるはずがなかったのだ。あれは、長い長い悪夢だったのだろう。

 思い返してみれば、ボクは家族四人で、この十六年間の楽しい時を過ごしてきた。家族全員がエイズ…?しかも薬による治療の難しい薬剤耐性型…?ボクにとって一番大切な家族が居なくなった…?そんな悲劇的な話が、あるわけが無い。あっていいはずがない。

 ボクにしては、随分とリアルな夢を見ていたんだなぁ…と、自らの想像力が悪い方向に働いていたらしいことを理解し、しかし実際の現実では、みんな病気知らずで元気に生活できていることを思い出したボクは、ようやく涙を抑え、確かな足取りで立ち上がった。

 

 ママ「さ、イエス様にお祈りしてから、朝ご飯を食べましょう?」

 

 木綿季「……うん…あ、ロザリオ部屋に置いたままだった!ごめん、ちょっと待ってて!」

 

 藍子「今日のユウはいつも以上に抜けてるねぇ」

 

 勉強机の上にロザリオを置きっぱなしにしてしまっていることを思い出したボクは、ハハハッ!と陽気に笑うパパの声を聞き流しながら、急いで階段を登り、自室へと飛び込んだ。

 チラリと勉強机を見やると、その右端に木製のロザリオが置いてあった。それを掴んですぐに姉ちゃん達の元へ急ごうと思うも、ふと、そのロザリオに微細な違和感を感じて足を止め、ジッとロザリオを眺めてみた。

 …なんだろう。このロザリオは…誰かボクの大切な人から貰った…?…あぁ、そうだった。これはボクの…二年前の十四歳の誕生日に、プレゼントとしてママとパパから貰ったものだ。

 あの日は楽しかったなぁ…とありありと過去の記憶を想起するも、リビングルームでみんなが待っていることを思い出し、ボクはリビングルームへと急いだ。

 

 木綿季「持ってきたよ~」

 

 ママ「ロザリオは木綿季を守ってくれる大切な聖道具なんですからね?肌身離さずいつも傍に置いておくのよ?」

 

 木綿季「はぁ~い」

 

 ママがボクや姉ちゃんに口酸っぱく言うその言葉に、ボクはゆるく返事をしてから、お祈りを始めたママに倣ってイエス様に祈りを捧げた。

 ママは厳粛なカトリック教徒ではあるが、ボクや姉ちゃん、パパにまでその信仰を強いて来ることは無い。しかし、お祈りやミサだけは、少なくとも実家を出るまでは、参加するようボク達に言い聞かせていた。

 ママは、イエス様はわたし達に、耐えられない苦しみをお与えになることは無い、とよく言っている。確かに、ボクはこの十六年間、嬉しい事、楽しい事だけじゃなくて、辛い事や苦しいことも一杯あった。

 だけど、ボクはみんなの力に支えられながら、それを何度も乗り越えてきたのだ。だからイエス様が、ボクの心の中に思い浮かべる神様なのかは分からないけれど、ママが言っていることは、事実なのだと思う。

 …そう言えば、彼は、どんな神を信じているのだろうか?そもそも神を信じているのだろうか?……あれ?彼?彼って、いったい誰だったろう…?不意に頭の中に浮かび上がってきた「彼」、しかし、それが誰なのか、ボクとどんな人間関係だったのかが、思い出せない。……彼、彼は確か──

 

 パパ「木綿季~、朝ご飯の配膳手伝ってくれないか?」

 

 木綿季「う、うん…今行く!」

 

 パパに名前を呼ばれて我に返ったボクは、キッチンまで移動し、スクランブルエッグやウインナー、食パンなどの朝食を人数分テーブルに並べていく。

 最近の朝食は和食系が多くて、朝ご飯を作っていたのは…ボクで、料理を運んでくれていたのは…?また頭の中が疼いた気がするが、みんなで頂きますを唱えて、ママの作ってくれた懐かしくも美味しい料理を口に運んでいると、なんだかその疑問もどうでもいいことのように感じてきた。

 朝食を食べ終えるとすぐに、パパは仕事に向かおうとしていたので、そのお見送りをママと姉ちゃんと一緒にしてから、ボク達も急いで学校へ行く準備を始める。

 まずは寝ぐせ直しをしてから、自分の部屋に戻って、クローゼットを開き、限りなく黒色に近い紺色のブレザー、それよりは薄めの黒をベースとしたチェック柄のスカート、白いカッターシャツに黒い靴下、これらを身に纏って、最後に赤いリボンを付けてから、忘れ物が無いよう昨日の内に準備しておいた鞄の中身を再確認した。

 部屋を出ると、同時に姉ちゃんも準備を終えて部屋から出てきたようで、ボクと目が合う。

 

 木綿季「お~…やっぱり姉ちゃんは制服が似合うんだね~」

 

 藍子「どうしたのよ改まって。ユウもだって、ちゃんと似合ってるじゃない」

 

 木綿季「ん~…なんか、しっくりこないんだよねぇ~…制服を着ることに違和感があるというか…なんというか…」

 

 藍子「…あ!それは多分、今日はネクタイの日なのにリボン付けてるからだよ」

 

 木綿季「……あ!ホントだ!ちょっと着替えてくる!」

 

 姉ちゃんに言われて違和感の正体に気が付いたボクは、再び部屋に入って、リボンを外してから青いネクタイを結び直す。もう電車までの時間が迫っていることに慌てながら、ボクはネクタイを結んでから、再び部屋を飛び出した。

 

 木綿季「お待たせっ!」

 

 藍子「うんうん、やっぱりユウはリボンもネクタイも似合ってるねぇ~…でも、そんなに結び方が汚いと、せっかくの可愛らしさが半減だよ?」

 

 木綿季「…だって、まだ一年生なんだもん。ネクタイ捲くのが下手なのは仕方ないの!」

 

 姉ちゃんに微笑みながらそう言われ、わざわざ姉ちゃんにボクが捲いたネクタイをもう一度、今度は歪みなく綺麗に結び直された。ボクはそれに口をとがらせながらも、内心は、ボクに世話焼きな姉ちゃんが好きで好きで仕方がない。

 二人で一階に降りて、ママが準備してくれた水筒とお弁当を、忘れないようしっかり鞄に詰める。行ってきまーす!!と姉ちゃんと息を揃えてママに伝えてから、白色を基調とした我が家から、駅へと向けて自転車をこぎ始めた。

 最寄り駅である星川駅までは、徒歩で向かうにはちょっと距離がある。だからボク達は自転車を使って、風に呷られながら駅へと向かって行くのだ。歩いたり運動したりする分には、まだまだ秋のほんのりとした温かさを感じられるが、自転車で坂道を下って行く時ばかりは、少し肌寒く感じてしまう。

 髪型が崩れないよう気を付けながら駅の駐輪場に到着し、駅構内へと足を進める。

 

 藍子「ユウ。さっきからそんなにキョロキョロしてどうしたの?」

 

 木綿季「なんだか、今日は全てが新鮮に感じるんだ」

 

 藍子「良い心掛けね。そんな風に毎日が過ごせたら、ありきたりな日々も、きっと輝く宝物になるよ」

 

 ボク達の住んでいる家は、高級住宅のように煌びやかなものだというわけでもない。今通って来た最寄り駅までの道のりだって、もう何十回、何百回も繰り返してきた光景のはずなのだ。

 なのに今日のボクには、それがとても掛け替えのないものに思えていた。ボク達は駅のホームに入って、あと五分ほどで来るであろう電車を待っていた。

 

 藍子「今更だけど、今日は忘れ物してないよね?」

 

 木綿季「今日は大丈夫…って、ボクが忘れ物するのが当たり前、みたいな言い方しないでよ~」

 

 藍子「だったら忘れ物をしないようにして欲しいな?」

 

 姉ちゃんの言う通り、ボクは往々にして忘れ物をしてしまう。その頻度は、実に週に一回ほどで、ボクは自転車を漕いでいる時や、駅に到着した時になって忘れ物を思い出し、その度に、家にまで取りに帰る嵌めになっているのだ。

 登校は姉ちゃんと一緒にしていることもあって、姉ちゃんはボクが忘れ物をすることを見越してか、一本早めの電車に乗るようボクに言い聞かせている。しかし、今日はちゃんと忘れ物が無いことを確認しているわけで、その点に関しては確信を答えられた。

 …でも、一番肝心な「何か」を忘れてしまったような気がするのだが、それも思い過ごしだろう。確かに忘れ物は無いのだから。

 そんな何気ない会話を交わしながら、ボクらは到着した電車に乗り込んだ。ボクの通う高校は、県の中でも二番目に頭の良い公立高校で、去年の受験期には、それはもう大変な思いをした。何度も受験を投げ出したくなったが、それを支えてくれたのが、姉ちゃんやママ、パパにボクの友人だ。

 合格発表の際に、自分の受験番号が書かれていた時は、家族の皆で大喜びしていたのだが、そうしてまでその高校に行きたかったのは、そこに姉ちゃんが通っているから、ということ以外に理由はない。

 姉ちゃんは運動も勉強もボクよりちょこっとだけ上手なもんだから、高校受験の際には、一番頭のいい公立高校にボクが入学することで、苦節十六年、遂に姉ちゃんよりも一歩上に進んでやろうと意気込んでいたのだが、流石に公立トップの学校は無理だと判断したボクは、姉ちゃんを追っかけるように二番手の高校を受験したのだ。

 今でもボクの心の中には、姉ちゃんに勝ちたい、という闘志が燃え滾っている。しかし同時に、いつまでも姉ちゃんの突き進む道を、一緒に追って行きたい、という憧れのような感情の方が強く出ている気がする…。

 いつも通り電車に揺られ、一度乗り換えを挟み、もう一度電車に乗って合計四、五十分、もうすぐ学校に辿り着ける…そんな時に、ふとボクの目の前で、ボクと同い年ぐらいの茶髪の女の子が、キャーッ!と叫んだ。そして──

 

 「こ、この人、痴漢ですっ!」

 

 「アァ!?オレァ、痴漢なんてしてねぇぜ!?」

 

 混雑する車内で、その女の子が腕を掴み、高々に掲げさせられたその人は、恐らく大学生ぐらいであろう男性、声はドスの効いた低音であった。周りにいた人間が、ガヤガヤと騒ぎ始めた中、数人の屈強な男性が、その大学生を押さえつけ、女の子の友達らしき人達が数人、茶髪の女の子を慰めるように傍に寄っていた。

 

 藍子「…痴漢だって、世の中恐いねぇ…」

 

 姉ちゃんはあくまでものほほんとした表情で、そう呟いていた。

 だが、全く意味が分からない、といった表情を浮かべながら、必死になって弁解を試みるも、周囲の人間に半ば恐喝まがいの怒声を浴びせられている様子を見て、ボクにはどうしても、その大学生が嘘をついているように見えなくて、余り考えを纏めないまま、その場の勢いで彼らに声を掛けてしまった。

 

 木綿季「え、えーっと、すいませんっ!!そ、そんなに寄ってたかってその人が痴漢した、みたいになってますけどっ、それがホントかどうか、次の駅のホームでお巡りさんに、繊維片の微物検査をしてもらってからじゃないと、なんとも言えないんじゃないかな~…って…」

 

 「あ、アンタ…」

 

 ボクが勢いだけでそう言うと、ざわざわとした囁きと、数多の視線がボクに注がれるのを感じ取った。

 …ど、どうしよう…!?次の駅まではあと三分ほど、もし彼らがボクに何か言い掛かりをつけてきたりしたら…何も言い返せないよ!?…と、ボクが慌てふためいていると、隣に立っていた姉ちゃんが、ボクの耳元で、頑張ったね、と囁いてから、ハッキリとした声色で彼らに告げた。

 

 藍子「ユウの言う通りわたしも、兎に角次の駅で、微物検査をしないと何とも言えないと思います。少なく結果がはっきりするまでは、彼に罵声を浴びせる理由にはならないんじゃないですか?今すぐに、彼が痴漢をしたという決定的証拠があるならば、別だとは思いますが」

 

 姉ちゃんの言葉に、何か言い返してくる人は誰も居らず、それから数分は、ただざわめきが聞こえてくるだけだった。

 次の駅に到着すると、女の子とその友達、大学生、そして彼が逃げ出さないように見張っている男数人と、言い出しっぺのボク達が電車を降り、程なくしてやって来てくれたお巡りさんに微物検査をお願いした。…緊張の一瞬、結果は…

 

 「……指紋が、検出されませんね…」

 

 「な?言ったろ?オレは痴漢なんてやってねぇんだ!オイ、テメェ痴漢でっち上げようとしたんじゃないだろうなァ?」

 

 「…ッ!!でも、あんたが痴漢したの!被害者の私が言ってるんだから、間違いないでしょ!!」

 

 「…取り敢えず、事情聴取させてもらってもいいかな?」

 

 「…ぐ…」

 

 痴漢冤罪、この言葉が真だったのか、痴漢を申し立てた女の子とその仲間は、一気に苛立ちと焦りを見せたように感じる。大学生の彼は無事に解放されたようで、彼に罵声を浴びせていた男たちからの謝罪を受け取るのも程々に、ボク達に話し掛けてきた。

 

 「アンタら、助かった。礼を言わせてくれ」

 

 木綿季「い、いえ、ボクはそんな大したことは…」

 

 藍子「ううん、お手柄だったよ、ユウ。確かにユウは読めないところがあるけど、まさかこんなことをするとは思わなかったかな~」

 

 大学生の彼に素直な感謝を述べられて、タジタジになってしまったボクを後押しするように、姉ちゃんがボクを褒めてくれた。

 そして、姉ちゃんの言葉を聞いて、それが褒め言葉なのかどうなのか怪しく思いつつも、確かにどうして、見過ごしても良かったはずのあの場面で、ボクが話に割って入ったのかをふと疑問に思う。

 

 木綿季「あ、あはは…でも、なんでだろうね。お兄さんによく似た知り合いがいた…?…気がしたからなのかなぁ…」

 

 藍子「え?わたしはそんな人見たこと無いけど?」

 

 「オイオイ、口説き文句か?生憎、オレはガキは相手に出来ねぇぜ?」

 

 木綿季「ち、違うよ!?」

 

 ボクの言葉に、冗談っぽく笑いかけてきた大学生に、ボクは若干焦りながら、それを否定しておく。

 …と言うか、ボクはもう高校生なんだけどね。ガキって年齢じゃないと思うんだけど、ボクってそんなに子供っぽく見えるのかなぁ…。

 大学生の彼はこのあと警察と話し合うらしく、ボク達も学校へ急がなければならないこともあって、その場でお別れをした。

 そしてそれからは何事もなく、高校の最寄り駅に到着し、小走りに学校へと向かって行って、なんとか登校時間残り五分で正門を潜ることが出来た。正門から下駄箱までは、朝練の後片付けをしているサッカー部やら陸上部やらを眺めながらゆっくりと歩いて行き、下駄箱でスリッパに履き替える。

 

 藍子「それじゃあ、また後でね。授業中に寝たりしたら、ダメだよ?」

 

 木綿季「分かってるよ~、姉ちゃんこそ居眠り厳禁だよ!」

 

 三階にある教室へと向かって行く姉ちゃんに手を振ってから、ボクも一階にある自分の教室1年2組へと向かった。教室のドアを開く手前、なんだかいつもと違って凄くドキドキしている自分に気が付くも、ボクは思い切って扉を開けた。

 

 木綿季「おはよ~っ!」

 

 「「おはよー!」」

 

 いつも通り元気に挨拶をすると、教室に居る大勢の学友が返事を返してくれた。ボクはそれを凄く嬉しく思いつつも、ボクの座席…教室の特等席である、左斜め後ろの一番端っこの机に、鞄を下ろした。

 

 穂香「木綿季っ、今日は遅かったね。また忘れ物したの~?」

 

 木綿季「違うよ穂香~、今日は痴漢冤罪を見破ったの!」

 

 綾「お~!朝からそんなことするのは、木綿季ぐらいだろうなぁ…」

 

 木綿季「ふっふーん、綾だってこんなことはしないでしょ~?」

 

 綾「わたしはそんな破天荒な人間じゃないけどね」

 

 穂香「そう?木綿季を除けば間違いなく一番破天荒だよ~」

 

 穂香と綾、二人はこの高校で知り合った、ボクの大事な友達だ。この二人以外のクラスメイトとも仲良くしているが、とりわけこの二人とは仲が良く、頻繁に遊びに行ったりもしている。そしてあと一人、ボクと仲が良い女の子がいるんだけど、まだ朝練から戻ってきていないようだ。

 

 葵「ユウっち!おっはよーっ!!」

 

 木綿季「うわぁ!?ビックリした~!」

 

 まだ教室には居ないと思っていたのに、いつの間にか教室に侵入しいたらしい彼女は、いきなりボクの背後から抱き着いて来ていた。勿論それに驚いたボクは、情けない声を上げてしまい、その一部始終を見た三人を含む学友が朗らかに笑う。

 彼女の名は葵。葵とは中学からの仲で、共に受験を乗り越えてきた戦友でもあるのだ。三人に、ボクが本日如何にして痴漢冤罪を見破ったのか、という話をしていると、ショートホームルームの時間がやって来てしまった。担任が教室に入って来たのを皮切りに、皆イソイソと自分の席に着席していく。

 手短に本日の連絡事項が述べられ、一時間目の授業までの時間は残り五分となった。ボクは穂香、綾、葵の三人以外のクラスメイトとも男女の隔たり無く仲良く喋っていると、一限目の担当先生がやって来る。それと同時にチャイムが鳴り、今日の日誌係が号令を掛けた。

 

 「──では、問題③を解いてください」

 

 一限目は、数学Ⅰだ。今ボク達が勉強している範囲は二次関数。そして今日は、その応用編だ。二番目に偏差値が高い高校、ということもあって先生に出される課題や問題の難易度は高めである。

 しかし、自分で言うのもなんだけど、ボクは中々に頭が良いらしく、問題文を読んで、余白に曲線の図を描きながら、式を構築し、答えを導き出した。心の中で一息ついてから、先生の指示が出るまでの時間を持て余していると、ボクの前に座って居る綾が、眼をウルウルとさせながら、ボクに話し掛けてくる。

 

 綾「ねぇ、これ全然分からないんだけど…」

 

 木綿季「…仕方ないなぁ…えっと、まずは──」

 

 数学が苦手な綾に、今回の応用問題の解き方の手順のヒントを教える。そんな調子でかなりヘビーな一時限目を終了し、続く二限目は情報の授業なので、コンピュータールームへと移動を開始した。二限目に行ったのは、再来週に迫っている、各グループが手掛けた旅行プランのプレゼンの為の、パワーポイントなどの準備だ。

 パソコンの操作に慣れていないボクは、今度はパソコンが得意な綾に助けてもらいながら、なんとかその時間中に目標として定めていた地点にまで到達できた。

 そして、三、四限目は、お楽しみの体育である。今の体育はハンドボールなので、ボク達は急いで体操服に着替えてから、グラウンドへと向かった。

 

 穂香「…ゼぇ…ぜぇ…アップにグラウンド二周だなんて、全然アップじゃないよこれ…」

 

 木綿季「このぐらいでへばってたら、持久走始まったらどうするのさ~」

 

 穂香「…そ、その話は言わないで……わたしは、ユウキと違ってお胸が重いからね~?」

 

 木綿季「…むぅ…」

 

 勉強はボクよりも得意だけど、運動は苦手な穂香を煽るようにそう言うと、穂香がボクにそんなことを言ってきた。なんだかんだで、ちょっとだけ気にしているウィークポイントを突かれたボクは、頬っぺたを膨らませて抗議しておく。

 ボク達がアップと準備体操を終えた頃には、体育教師がハンドボールをカゴで運びながら、グラウンドにやって来た。

 

 「みんな、準備運動は終わった?」

 

 葵「白ちゃんセンセー、終わりました~!」

 

 「そうか~、じゃあ、まずは前後で二人一組になって、キャッチボールからやってこか~」

 

 体育係の葵が、先生に準備体操が終了したことを伝えると、まずはキャッチボールを、という指示が関西弁で飛ばされた。

 白ちゃんセンセー、と可愛らしいあだ名で呼ばれている先生の本名は、白崎先生である。年はまだ二十代と若く、容姿も端麗で、今は教育実習生としてこの学校にやって来ているのだ。噂によると剣道の腕が凄いらしく、この高校に在学していた時代には、全国優勝にまで登り詰めたとか。

 ボク達はキャッチボールやシュート練習などをしてから、いったん休憩を挟み、そして待ちに待ったゲーム形式の遊びを始めることになった。一試合目は、ボクのチームと葵のチームだ。

 

 木綿季「葵!ハンドボール部だからって、手加減はしなくていいからね!」

 

 葵「アハハ!ユウっちに手加減してる余裕なんてないよ~」

 

 そして始まったたった十分間のゲーム形式。一進一退の攻防が繰り広げられ、点数は同点、残り二分と終了時間が近づいて来る。ボクはチームの皆と上手くパスを繋ぎながら、ゴール目前でシュート体勢に入ろうとするが、そこで葵が、ボクの前に立ちはだかった。

 

 葵「行かせないよっ!!」

 

 木綿季「くっ!……とりゃあぁあああッ!!」

 

 既に三歩歩いてしまったし、ドリブルもやめてしまった。これ以上はダブルドリブルで反則になっちゃうし、チームメイトが完全にマークされる前に何処かにパスを回す……と見せかけて、ボクはその場で体を捩じり、葵のブロックを突き抜けるようにシュートを放った!

 しかし、やはり現役でハンドボールをプレイしている葵のブロックは完成されており、ボクのシュートはゴールの中心にしか飛ばないよう計算されていた。しっかりとキーパーに球を受け止められ、結局試合は同点のまま終了してしまう。

 試合終了後に葵と固い握手を交わしていると、彼女はボクに笑い掛けてきた。

 

 葵「流石ユウっちだね。まさか無理矢理ブロックを突破されるとは思わなかったかなぁ」

 

 木綿季「嘘ばっかり。ちゃんとしっかり後ろのことまで考えたディフェンス出来てたじゃん」

 

 葵「そこまで分かってるの!?ねぇ、やっぱり今からでもハンド部入らない?ユウっちなら絶対レギュラーになれるよ!」

 

 木綿季「いや~、そこまで言われても、部活は入らないよ?」

 

 葵「…え~、残念…」

 

 ボクが部活動に参加しない理由は、家族との時間を大切にしたいと考えているからだ。ボクも姉ちゃんも身体能力が高いこともあって、こうして各クラブ員から引き抜きされそうになるのは、よくあることだ。

 三、四限目はこうして白熱した試合を後二回ほど繰り返し、良い汗を十分に掻いて終了した。四限目の十分前に授業を切り上げ、更衣室でしっかりと汗の処理をしてから制服に着替え…更衣室の中で、穂香に胸を触られたりしてひと悶着あったけど…終えたボク達は、お腹ペコペコで教室に戻り、お昼休み兼ランチタイムに突入した。

 ボクもお弁当を手に取り──。その時、ボクの中で嫌な記憶が蘇った。それは小学生の頃、クラスメイトの誰もがボクと机をくっつけてくれなくて、ただ時折、あの子は普通の人間ではないのだと、周囲から異質なものを見つめる視線をチラチラと感じ、物理的にも精神的にも、大きな隔絶と痛みを実感しながら、一人寂しく給食を食べる日々。

 しかし、次の瞬間には、皆と仲良くワイワイとおしゃべりしながら給食を食べ、余ったプリンの獲得権を巡ったジャンケンに勝利し、皆がボクと仲良くしてくれていた日々を思い出す。

 その二つの記憶は、まるで相反するものでしかない。ボクにとっては、どちらが正しい記憶なのか判断が付かない。だけど、きっと後者が正しい現実の記憶で、前者が悪夢に見た記憶のはずなのだ。

 そうして、一人動きを止めていると──

 

 綾「木綿季、一緒にご飯食べようか」

 

 穂香「今日は木綿季の席の近くで食べよっか~」

 

 葵「今日のユウっちのおかずは何かな?私の玉子焼きと交換しよっ!」

 

 木綿季「……み、みんな…」

 

 三人が、ボクの方までわざわざやって来てくれて、近くの使われていない机を、ボクの机にガチンとくっつけてくれた。三人が屈託のない笑顔でボクに笑いかけてくれた様子を見て、ボクはつい堪らなくなって、涙を目尻に浮かべ、微かに涙を流してしまう。

 

 綾「ちょ、ちょっと、どうしたの?」

 

 葵「ご、ごめん!おかずは無理に交換してとは言わないから…」

 

 木綿季「…違う…違うよみんな……ボク、みんなと一緒にご飯が食べられるのが、凄く嬉しくて…」

 

 穂香「木綿季はわたし達のことが大好きなんだねぇ~」

 

 穂香が冗談っぽくそう言うと、綾も葵も楽しそうに笑う。そんな雰囲気に呑まれて、ボクも気が付けば、心の奥底でジワリと痛む気持ちを忘れて、彼女たちと一緒に笑っていた。

 それからは四十分ほどのお昼休みを楽しく過ごし、とうとう魔の五限目がやって来た。窓からは暖かな日光がボクに注ぎ込まれ、窓からはそよ風が吹き込む。お昼前にしっかり運動し、お昼ご飯も食べちゃったボクにとっては、五限目の古典の授業はまさに催眠術だった。

 ……どうしよっかなぁ。もう寝ちゃおっかなぁ…でも、姉ちゃんと居眠りしない、って約束しちゃったしなぁ…。

 身体はウトウトとしながら、心の中では天使と悪魔の囁きに引っ張りだこになっているボクに、不意に古典教師からの声が聞こえてきた。

 

 「では、紺野さん。この助動詞の文法的説明をお願いします」

 

 木綿季「は、はいっ!え、えぇっと…」

 

 完全なる不意打ちを喰らってしまい、慌てて反射的に、上ずった声で返事を返したボクは、古典教師が指示していた一文に目を通し、その助動詞を確認する。今日一番頭を総動員させ、その答えを探った。

 …これは、「なり」だけど、その直前の同氏が連体形…ということは終止形…?ううん、更にその前に「こそ」が付いてるから、これは…!

 

 木綿季「……断定の助動詞「なり」の已然形…です」

 

 「正解です…お日様が気持ちいい時間ですが、出来れば外の様子ではなく、私の授業に集中していただければいいんですけどね」

 

 木綿季「あ、あはは…すいません…」

 

 ボクが正解を導き出すと、クラスメイトは、おおっ!と驚嘆の声を上げていたが、古典教師に注意された途端に、クスクス…とボクを笑う声も聞こえてくる。その中には葵もいるわけで…あとでしっかりとお灸を据えなきゃ、と思う。

 一度古典教師に問題を当てられたこともあってか、それからは眠気に襲われることなく授業に集中できた。続く六限、七限もなんとか勢いで乗り切り、ようやく放課となる。綾も穂香も葵もそれぞれが部活動に参加しており、教室にて、バイバイ~また明日ね~、とその日のお別れの挨拶をした。

 教室を出ると、そこには姉ちゃんが既にボクを待っていてくれて、さぁ帰宅部としての部活動を始めようか、と意気込んでいたのだが…

 

 「紺野さん、今ちょっと時間ある?」

 

 木綿季「あるけど…朝宮、どうかしたの?」

 

 朝宮「紺野さんに、健からの伝言があってさ、体育館裏で待ってる、だって。確かに伝えたからな!」

 

 木綿季「う、うん…?」

 

 クラスメイトで、男子バスケットボール部に所属している健が、一体ボクに何のようなのだろう。しかも、用があるなら自分で直接言いに来たらいいのに…なんでわざわざ朝宮に伝えさせるなんて、回りくどいことをしたんだろう…と、ボクが、健の行動を不思議がっていると、姉ちゃんは若干いつもとは違った微笑みをボクに向けながら、一つ訊ねてくる。

 

 藍子「…ユウ。行ってあげなよ。先週の週末に、健君と遊びに行ったんでしょ?きっと、何か大切な用事があるんだよ」

 

 木綿季「…う、うん…」

 

 ……先週末に、健と遊びに行った…?……違う。確か、先週末は誰かの看病を……あれ?誰…だっけ?絶対に忘れちゃいけないことのはずなのに、どうしても思い出せないや。…いや、そもそも誰かを看病してたっけ?ボクが看病するような人は…居ないじゃん。みんな元気だったよ?

 …あぁ、そうだ。そう言えば健とは、先週末に映画を見に行ったんだった。あの映画の、最強の味方が一転して最恐のラストボスに転じる所は、驚かされたなぁ…と、先週末の出来事を今になって思い出したボクは、姉ちゃんに言われるがままに、体育館裏へと向かって行った。

 そしてそこには、部活用のウェアに着替えていた健が、何処か緊張したような真面目な顔つきでボクを見つめている。

 

 木綿季「健、ボクに用って、何かな?」

 

 ボクが何気なくそう訊ねると、健はますますその顔に緊張感を募らせた。そしてそれが限界地点にまで達し、爆発したかのように、その口を勢い良く開いた。

 

 健「……お、俺、木綿季のことが好きなんだ!だから、良かったら俺とお付き合いしてください!!」

 

 木綿季「……」

 

 …え!?え!?え!?多分、ボクは今、顔には笑顔を張り付けているだろうが、内心は滅茶苦茶に焦っている。

 …ど、ど、どういうこと!?健がボクのことが好き!?そうなの?そうだったの!?想像の斜め上を行くどころか、一周回って正面からやって来たようなドストレートの衝撃を受けているボクに、健は真剣なまなざしを返してくる。

 …これは、ボクも真面目に答えないとダメだよね。一瞬の静寂の後、決心したボクは、自然と言葉を口にしていた。

 

 木綿季「……ごめんね。気持ちは嬉しいけど、お付き合いは出来ない、かな…」

 

 健「……そうか。ちゃんと答えてくれて、ありがとう」

 

 ボクがそう答えると、健はボクに最後まで微笑みながら、しかし何処か少し悲しそうに体育館へと戻って行った。

 それを見送ったボクは、何とも言えない気持ちで、姉ちゃん元へと向かって行った。姉ちゃんはボクに何があったのか、何となく察しがついているようで、暫くは話し掛けてこなかった。だけど、正門を出る直前で、ピタリと足を止め、ボクに訊ねてくる。

 

 藍子「…わたし的には、健君はカッコいいし、優しいし、スポーツも勉強も頑張っていて、いい子だと思ったんだけど…ユウのタイプじゃなかったの?」

 

 木綿季「……分からない。ボクも分からないけど、健じゃない、ボクの求めている人は、他に居る気がしたんだ…」

 

 姉ちゃんが付け加えるように、わたしのクラスでも健君はイケメンだって、噂になってたけどねぇ、と呟いていたが、ボクは胸の内に秘める、よく分からない感情をそのまま姉ちゃんに伝えた。

 すると姉ちゃんは、クスクスと笑いながら、ボクを揶揄うように言葉を返してきた。

 

 藍子「…ふふっ、ユウは案外、ロマンチストなのかな?」

 

 木綿季「案外、ってそれどういうことかな~?姉ちゃんこそ、引く手数多なんだから、彼氏の一人や二人作りなよ」

 

 藍子「ん~、わたしは、せめてユウに彼氏が出来るまでは、心配でおちおち恋愛なんてしてられないわよ」

 

 木綿季「アハハ~、なにそれ~」

 

 姉ちゃんの意味不明の解答に、ボクは笑い返しながら、二人で高校を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次回の投稿日は、十二月七日の火曜日となります。

 では、また第90話でお会いしましょう!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。