~SAO with Yuuki~   作:うずつるぎ

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 今日知ったんですけど、小説情報って箇所から色んな事が分かるんですね。
 というわけで、お気に入りに登録してくださってる15名の方々、本当にありがとうございます!
 皆様のご意向に沿った物語を作り上げることは出来ないかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

 では、どうぞ!


第9話 コンビ結託

 ユウキ「…えっと、ありがとうございます。助かったよ!」

 

 リトルネペントとの奮戦が終了し、少し間が空いてから、目の前にいる少女は敬語と常態が混じった言葉で、元気にお礼を言ってきた。その様子から、この少女は、アルファがこれまでに出会った女性プレイヤー…つまり、アスナの素っ気なさやアルゴのからかい上手な感じとは、また違った純粋な明るさを持っているように思えた。

 …何となくだが、この少女は敬語よりも常態で話す方が、その明るい雰囲気に似合っている気がする…と、第一印象による一通りの分析を終えてから、一つ質問をしてみる。

 

 アルファ「気にすんな。ところで、君は森の秘薬クエストをやっているのか?」

 

 ユウキ「うん、そうだよー…です」

 

 無理矢理敬語を使おうとしている少女を見て、思わずアルファは少し苦笑してしまった。

 外見で判断するのはあまり宜しくないことかもしれないが、この世界でリアルについて詮索したりすることは、どうやらマナー違反らしいので、見た目的には、お互い年齢は近いだろうと思い、タメでも構わないとの趣旨を伝える。

 

 アルファ「無理して敬語使わなくてもいいぞ。…秘薬クエやってんなら、もう胚珠は手に入れたのか?」

 

 ユウキ「そ、そう?…いやー、実はまだなんだよね、昨日からやってるんだけど、中々花付きに出会えなくてさぁ」

 

 それを聞いたアルファは、久しぶりに純度百パーセントのお礼を女の子から頂けた上に、当初の目的を達成出来ることに気が付く。素早く右指を動かしてアイテムストレージを開き、左の手のひらの上に胚珠を具現化させた。

 一石二鳥とは、まさにこのことであろう。

 

 アルファ「んじゃ、胚珠やるよ」

 

 ユウキ「…え?だ、ダメだよ!それレアアイテムだよ!?分かってて言ってるの!?」

 

 少女は一瞬、その両目をキョトンと丸くさせてから、次の瞬間には身を乗り出し、物凄い勢いでまくし立ててきた。腰に手を当ててガミガミと言ってくる様子は、まるで母親のようだが、身長が低いせいか、周囲からは、小っちゃな子供が文句を言っているようにしか見えないだろう。

 確かに、片手剣使いの少女にとっては重要なレアアイテムかもしれないが、アルファにとっては胚珠はもう必要のないものだし、何より少女の持つ、キリトに迫る力を見てしまった以上、この子が今後前線に出てくる可能性に賭けて、胚珠を渡すことに迷いはなかった。

 …それに、野郎にレアアイテムを渡すより、女の子にレアアイテムを渡した方が、女の子の笑顔が見れてお得だろ?俺は少女を宥めるように両手でストップの身振りを行ってから、彼女に伝える。

 

 アルファ「それは分かってる。でも、もう俺には必要ないものなんだ。見ての通り両手剣使いだからな」

 

 ユウキ「あ、ありがとう…」

 

 さっきとは違って、若干遠慮がちにお礼を言ってから、少女は受け取った胚珠をストレージに仕舞う。その動作のぎこちなさからして、少女はまだ、初心者なのかもしれない。

 一旦、安全圏に戻ったら、少女にこの世界での生活のイロハについて教えてあげよう。そう決意したアルファは、少女に声を掛けた。

 

 アルファ「取り敢えずホルンカの村まで戻らないか?」

 

 ユウキ「うん、そうしよっか」

 

 そうして二人はホルンカの村に向かって行った。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 ユウキ(どうしよう…すごいものタダでもらっちゃった…ボクは何も渡せそうな物はないし…も、もしかしてボク自身を差しだせってこと!?)

 

 などと、半ば冗談交じりで、そんな邪なことを考えながら森の中を歩いていく…が、もちろんアルファはそんなことは1ミリも考えていない。寧ろ、純度八十パーセントぐらいの善意だ。残りの二割は、自己満足とかだろう。

 

 アルファ「おい、村に着いたぞ。報酬もらってきたらどうだ?」

 

 ユウキは少しボーっとしていたようで、圏内に入ったことにまるで気が付かなかった。その場に立ち尽くして暫く考え込むと、ふと、ある事を思い出し、それをそのまま口にした。

 

 ユウキ「あ…その…お食事にでも行きませんか?」

 

 ユウキなりに考えた精一杯のお礼である。四六時中病院の一室で暮らしているユウキはこういう時にどうやってお礼をしたらいいのかはあまり分からなかったが、いつの日か読んだ小説やテレビ、漫画に、ご飯をお礼代わりにしているシーンがあったことを思い出し、それをそのまま彼に提案した。

 しかし…

 

 アルファ「!?お、お食事!?」(そ、そ、それってそういうことだよな??)

 

 目の前の少年は完全にテンパっていた。先程、颯爽と窮地から救い出してくれた大胆且つ冷静な判断を下せる人とは思えないほど、慌てふためいている。…だが、彼の考えているような意味でご飯に誘っているわけではないので、ユウキは冷静に、しっかりと訂正を入れて置く。

 

 ユウキ「うん、胚珠のお礼になりそうなアイテムは持ってないから」

 

 アルファ「あー、そういうことな、オーケーだ」

 

 ボクの一言で全てを理解したらしい少年は、驚くほど覚めた白い目をしながら、棒読みで返事をしてきた。…そんなに、そういう意味でのお礼を期待していたのだろうか。ユウキはたった数十分の間に様々な表情を見せてくれる少年を、心の何処かでなんだか少しだけ、面白く感じていたのだった。

 

 

────────────────

 

 

 ユウキ「そういえば名前はなんていうの?」

 

 俺達は今、はじまりの街にあるNPCレストランで食事をしている。俺は今日までの食事を、黒パンを工夫して食べたり、酒場や屋台の商品で間に合わせたりしていた。現実世界で同じような食生活を送れば病気まっしぐらに違いない。

 NPCレストランは上記の食事とは違って、少々値が張ってしまう為、少しでもコルを貯めておきたかった俺は、これまでは敬遠させてもらっていた。がしかし、女性プレイヤーにお食事に誘われて、断る道理など、当然アルファには無かった。それに、ボス戦で手に入った多額のコルがお財布を温めてくれているということも大きな要因だ。…やっぱり、お金って偉大だなぁ。

 メニューを吟味して、頼んだ料理はグラタンみたいなものだったが、実際に食べてみるとクリームシチューみたいな味だった。確かにおいしいのだが、グラタンだと期待して実はクリームシチューだったというのと、クリームシチューだと思ってそうだった時とでは、期待度の落差が生じてしまう。開発陣はせめて見た目と味ぐらいは一致させてようと努力してほしかったものだ。

 そんなことを思っていると、目の前に座る少女にそう問い掛けられ、自己紹介がまだであったことを思い出した。

 

 アルファ「俺はアルファだ。そっちは?」

 

 少女はスパゲッティ?のようなものを口いっぱいに頬張って、モグモグと食べてしまってから、自分の名前を述べる。

 

 ユウキ「ボクはユウキだよ。…アルファはすごく強いよね、もしかして最前線を目指してるの?」

 

 アルファ「いや…一応、前線組だ。」

 

 咄嗟に、一応、という言葉を使ってしまったのは、今の前線組の雰囲気が嫌になって逃げ出してきた俺に、果たして「前線組」を名乗る資格があるのかどうか分からなかったからである。

 だが、ユウキはそんな俺の迷いを気にすることなく、その顔には純粋な驚嘆が表れていた。

 

 ユウキ「えっ、すっごいね!通りで滅茶苦茶な強さしてたわけだよ」

 

 アルファ「そうか?俺よりやべー奴なんて五万といるぞ。それにさっきの戦いを見た感じだと、ユウキもそいつらに迫る強さだったぜ」

 

 アルファの頭の中にアスナ、そしてキリトの顔が思い浮かんだ。…今頃、キリト達はどうしているだろうか。恐らく、後を追いかけたアスナがキリトと一緒にいてくれているだろう。

 故に、攻略組の中でキリトが孤立することは避けられないだろうが、一人ぼっちになることは無いはずだ。

 

 ユウキ「そんなことないよ。…でも、実はボクも攻略に参加したいんだよね。その為にも、アニールブレードが欲しかったんだよ」

 

 攻略に参加したい、遠慮気味な声色ではあったが、強い決意の感じられるその言葉をユウキから聞いた時、アルファは一瞬考え込んだ。

 

 アルファ(ユウキを手助けして立派な剣士に育て上げれば、これからの攻略も少しは楽になるかもしれねえ。…あと、正直言ってキリトを追い出すような状況を作り出した奴らとは顔も合わせたくないからな。)

 

 結局、今の自分はユウキを補助するという名目を出汁にして、現状に目を背けていたいだけだ。心の中でそう気づいてはいるものの、アルファは意を決してユウキに尋ねてみた。

 

 アルファ「ユウキ…俺とパーティーを組まないか?まぁ、いわゆるタッグってやつだな」

 

 ユウキ「…え?だけど、ボクはまだレベルも低いし、アルファの足手まといになっちゃうから…」

 

 目の前の少年…アルファの口から語られた予想外の発言は、ユウキにとっては願ったりかなったりの提案だったが、ユウキとしては、前線組の邪魔になることはしたくないので、アルファの提案を断ろうとする。だが、アルファは思いのほか食い下がって来た。

 

 アルファ「レベルは二人で地道に上げていけばいい。俺が思うに、これからの攻略にはユウキの強さが必要になってくるはずなんだ。俺の勝手な願いだけど、どうか聞き入れてくれないか?」

 

 「ユウキの強さが必要になる」その言葉を贈られたユウキは、誰かに必要とされたことがずいぶんと久しいことに感じた。きっとそれは、まだ、姉ちゃんがパパ、ママが生きていた頃、みんなで一緒にあの家で暮らしていた頃以来だ。

 あれからボクは、病院でただひたすら死を待つだけの、居ても居なくても変わらない存在ようなになってしまっていた。メディキュボイドの被験者に応募したのも、ボク自身が誰かから必要とされていたいと、心の何処かで感じていたからだろう。

 そんなユウキは、本人からすれば深い意味のない些細な言葉だろうが、アルファの掛けてくれた言葉が心の底から嬉しかった。

 

 ユウキ「…ありがとう、…分かった。ボクがアルファとタッグを組んであげるよ!」

 

 つい先ほどとは打って変わってユウキは満面の笑みで提案を承諾してくれた。…不純な動機でパーティーを申し込んでいるのに、そんなに眩しい笑顔を向けられると、何だか悪いことをしている気分になってしまう。

 

 アルファ「サンキューな。パーティー申請を送るから届いたら〇ボタンを押してくれ」

 

 ユウキがパーティー申請を受諾してくれると、視界の左端にYuukiの文字がHPバーと一緒に現れた。改めてよろしく、とお互いに言い合う。

 

 アルファ「飯も食ったことだし、早速ユウキのレベリングに向かおうぜ」

 

 ユウキ「そうだね!ボクの華麗な剣技を見て腰を抜かしちゃダメだからね!」

 

 アルファ「あぁ、さっきみたいに腰を抜かしたユウキが見れるかもな~」

 

 ユウキ「あれは、仕方がなかったの!」

 

 それから、暫定タッグを組んだ俺達は、お互いに軽口を叩きながらフィールドに出て、二人はレベリングの鬼と化したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ってことで、暫くの間、アルファはボス攻略に参加することはありません。今のところは、第四層辺りで前線に復帰する構想を立てています。

 では、また第10話でお会いしましょう!
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