~SAO with Yuuki~   作:うずつるぎ

94 / 197
 


第94話 純情なる乙女

 キリト「アスナ、ただいまー」

 

 アスナ「お帰り、キリト君」

 

 アルファ「ま、俺もいるってこと、忘れないでくれよ」

 

 ユウキ「だったら、ボクが代わりに言ってあげる。お帰り」

 

 アルファ「サンキュー」

 

 ユウキの連絡を受けて、再びログハウスへと戻ってきた俺とキリトは、それぞれの想いの人から温かい言葉を投げかけてもらった。

 ふと時刻を気にしてみると、もうすぐお昼頃だ。時間帯的にもそろそろ帰ってもいいな、と俺は思っていたのだが、その前に一つやらねばならないことがあるので、俺はアスナに話し掛ける。

 

 アルファ「なぁ、アスナって、キリトの惚気話聞きたいか?」

 

 キリト「アルファ!?」

 

 アスナ「…アルファ君、お願いするわ」

 

 アルファ「ん」

 

 俺がアスナにニヤリと笑い掛けながらそう訊ねると、外野のキリトが焦る表情で俺を眺めていた。しかし、俺の問い掛けた相手方であるアスナが、極真剣な表情で惚気話を要求してきたので、俺はコートのポケットから録画結晶を取り出し、それを再生した。

 

 「キリトって、アスナの何処が好きなんだ?」

 

 「…答えないと、ダメか?」

 

 「当たり前だ。等価交換だろ。いや、寧ろ俺の方がまだ天秤が上だ」

 

 「……そ、そうだな……一緒に居て楽しかったり、落ち着いたり、顔だけじゃなくて仕草とかがいちいち可愛かったりするのもあるけど…やっぱり一番は、アスナの持ってる芯の強さ、なのかな」

 

 アルファ「…とまぁ、こんな感じだ」

 

 俺があの時にコッソリ使用していた録画結晶に内蔵されている記録の一部をこうして再生すると、キリトもアスナも顔をゆでだこのように紅潮させていた。それを見た俺とユウキは、何処と知らぬ顔で、ニヤニヤするのみである。

 

 アスナ「き、キリト君…そうだったの?」

 

 キリト「ま、まぁ…うん。本当はアスナの全部が好きなんだけどな」

 

 アスナ「……わたし、嬉しいな…」

 

 アルファ「熱々だな、二人共。一応ここには俺とユウキもいるんだけどな」

 

 結婚する以前からは考えられないアスナの初々しくも素直な反応に、俺も素直に驚かされ、ついでに二人だけの世界を創り上げようとしているキリトとアスナにツッコミを入れておく。

 …多分、結婚する以前のアスナなら、キリトにはツンツンした反応見せつつも、裏では一人身悶えながら、デレデレしてたんだろうなぁ。

 そんなツッコミを入れた俺に、キリトがヤケクソだと言わんばかりに反論してくる。

 

 キリト「…元はと言えば、アルファのせいでもあるだろ!くそ、こうなったら俺もアルファから聞いた惚気話を……はっ!?ア、アルファは…惚気話をしていない…!?」

 

 アルファ「ハハハッ!甘いなキリトよ!俺は最初からこれを計画していたのだ!そんな初歩的なミスを犯すわけがなかろう!!」

 

 キリト「…ま、負けた…」

 

 このように、今回の…と言うか、次回があるのかは分からないが、狸の化かし合いには俺が完全勝利し、思いの外悔しそうに項垂れるキリトに対して、俺は大袈裟に役を演じながら、勝利の余韻を味わっていた。

 だが、敗北宣言をしたキリト自身が、何か突破口を見つけたように、アスナに話し掛けるではないか!

 

 キリト「……そうだ!アスナ!さっきの女子会で、ユウキと何を話してたんだ?その中には一つや二つぐらいユウキとアルファの惚気話があったはずだろ!?」

 

 アスナ「あ……あぁ~…それは…あれよ、あれ。流石に女子トークを男の子に漏洩するわけにはいかないかな~…?」

 

 アルファ「そういう言われ方すると、逆に気になるだろ、おい」

 

 ユウキ「アルファ!大丈夫だよ!アルファにはプラスになる話しかしてないから!」

 

 アルファ「お、おう…?」

 

 キリトが渾身のカードを切るも、それは妙に歯切れの悪いアスナの発言により、ジョーカーとは化さなかった。

 しかし、その普段とは違う焦りを伴ったアスナの反応に、これは何かあるだろう、と俺は勘づいて、アスナに探りを入れようとしたのだが、それはユウキの、これまた妙に気合いの入った発言によって阻止されてしまう。

 …まぁ、この手のユウキの反応は、大体本当に俺にとってプラスにしかならない時のやつだから、そんなに心配はいらないだろう。

 そして俺達は、そろそろお昼だから、という理由でお暇させてもらうことにして、キリト達のログハウスを出発した。

 俺達の後姿を見送ってくれたキリトは、ふとアスナに訊ねる。

 

 キリト「…なぁ、ホントに何話してたんだ?」

 

 アスナ「……ごめんね、キリト君。これだけは、言えない。絶対に言えないの…」

 

 キリトの瞳に映ったアスナの表情は、まるで取り返しのつかない事態へと繋がるトリガーを引いてしまったような、トンデモナイある種の絶望感に襲われているものだった。

 しかし、対するユウキはやる気満々、と言った様子だったので、これといった心配は無いだろうと、キリトはそう判断してしまう。

 彼は、今夜アルファの身に起こることになるであろう惨事を食い止める、最後のチャンスを自ら手放してしまったのだった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 キリト達のログハウスを後にした俺達は、75層へと舞い戻った。まずはそこで適当に昼食を済ませてから、フィールドを駆け巡って、街や村に点在する残りのクエストを消化しに掛かる。

 ──75層。区切りの階層であることもあって、フィールド上に仕掛けられた砂塵や地盤の崩落などの天然トラップが。フィールド上でも、そこらの迷宮区と比べて遜色ない…寧ろ、それらよりも強いのではないだろうかと思われるモンスターが出現し、その攻略難易度は圧倒的に高かった。

 なので俺達も、いつもよりも一層気を張り巡らせて、フィールド上を移動していたのだ。そしてなんとか、迷宮区の近くにある街と、その街と主街区との間にある村で受けられるクエストの全クリアに成功する。

 その過程でレベルをお互いに1ずつ上げ、俺はレベル95、ユウキはレベル96となったところで、夕焼けに染まる空の様子を眺めながら、本日の攻略を終了することにした。

 夕食は、いつも通り俺達のお気に入りの店に行くのも良かったのだが、75層の主街区にあるちょっと高額なお店を試してみることにして、だけど結局、味自体は美味しかったものの、お気に入りには及ばないという判断に終わり、俺達は再び二十二層に降り立つ。

 その理由は言わずと知れたデュエルの為なのだが、最早ラフィン・コフィンが壊滅した以上、俺もユウキもこれ以上、対人戦の腕を上げる必要性が薄いことは、理解している。だが、デュエルは最早俺とユウキのルーティンワークと化しており、これをやらねば1日を締め括ることは出来ないのだ!…と、丸っきり戦闘狂の考え方をしてしまっている。

 最近のユウキは、俺に遠慮なく全速力の剣をぶつけることが多くなってきていて、ユウキもいよいよ本気で剣を振らねばならぬ程に、強くなってきている自身の成長を感じる一方で、まだこれでもユウキには追い付かないのかと、彼女と俺との間にある絶対的な距離を実感させられてしまう。

 …ユウキとデュエルをしていると、どうしても、キリト対ヒースクリフの闘いで見たあの光景が脳裏をよぎるが、今は考えても答えが出ないだろうし、今後どうしても気になるようなら、誰かに相談すればいいだろう。

 結局、今日もデュエルはユウキに一歩及ばず俺の敗北に終わった。最近は長らくユウキに勝利出来ていないので、そろそろ黒星をユウキにプレゼントしたいところではある。

 ホームに戻るまでの道中に、デュエルの勝者であるユウキが所望したブドウみたいな果物飴を購入してあげた。ユウキはそれを美味しそうに食べながら、でもそれを一口俺に分けてくれたりして、そんな調子でホームに帰還した。

 

 アルファ「最初はグー」

 

 ユウキ「じゃんけんポン!」

 

 アルファ「はい、俺の勝ち」

 

 ユウキ「…アルファって、なんでそんなに運強いの?」

 

 アルファ「悪運の強さも、この世界を生き残るために必要なシステム外スキルってことだろ。んじゃ、先に風呂入らせてもらうぜ」

 

 俺達の中で最近流行っている、じゃんけんによるお風呂の順番決めに勝利した俺は、宣言通り先に湯船に浸からせてもらうことにした。

 因みに、じゃんけんの勝率は俺が七割でユウキが三割と、随分と偏った確率となっているが、俺は何の不正も行っていない。ユウキに言い残したように、ただ悪運が強いだけなのだろう。

 風呂を終えた俺は、部屋着に着替えてリビングへ戻り、次はユウキがお風呂場へと向かって行った。ユウキがお風呂から上がってくるまでの時間を、俺はアイテム欄の整理に充てておく。

 やがてお風呂から上がってきたユウキは、少々浴槽に浸かり過ぎたらしく、その表情はほんのりと赤い。

 

 アルファ「上せたのか?」

 

 ユウキ「う~ん…ちょっと、お風呂長く入りすぎちゃった」

 

 アルファ「だったら、ちょっと離れたらどうだ?あんまりくっついてると、熱が籠るぞ」

 

 ユウキ「…意地悪なこと言わないでよ…アルファの身体には、冷却機能も付いてるの!」

 

 アルファ「最高に意味わからん発言だな、今の」

 

 つまり今はどういう状況かを説明すると、上せてしまったらしいユウキは、ソファに座って居た俺の隣に腰掛け、身体をこちらに預けている状態だ。

 なので俺が、「離れたら?」だなんてことを言ってみると、ユウキは赤みがかった頬を膨らませて、更に俺の身体に引っ付いて来る。その行動と共に言い放ったユウキの謎過ぎる発言に、俺はしっかりツッコミを入れつつも、もちろん彼女から離れるつもりなど、俺にも一切ない。

 こうして一日の攻略を終えた俺達は、夜はリビングでまったりとイチャついているわけだ。しばらくの間軽く雑談しながら時を過ごし、そろそろおやすみの時間だな、ということになって、俺はユウキにおやすみのハグをした。

 そのまま一緒に二階へ上がり、それぞれの自室へと移動しようとしたのだが…

 

 ユウキ「ア、アルファ…待って」

 

 アルファ「…どうした?」

 

 俺が自分の部屋で睡眠を取るために、自室のドアを開けて部屋に入ろうとしたその時、突然ユウキに服の裾を掴まれて、俺は彼女に呼び止められたのだ。

 おやすみのキスでも迫られるのかと思った俺は、ユウキの方を振り向いてみたのだが、どうやらそうではないらしい。

 ユウキは俺の服の裾をくいっ、くいっ、と引っ張ってから、俺をユウキの部屋に入るよう誘導してきた。なので俺は大人しくその誘導に従ったのだが、ユウキの部屋に入るのは、実はこれが初めてのことで、俺は僅かな緊張感を募らせる。

 

 アルファ「お、お邪魔します…」

 

 ユウキ「何言ってるの?ボク達同じ家に住んでるじゃん」

 

 アルファ「…そ、そうだけどさぁ…」

 

 ユウキの純粋なる正論に、俺はなんの反応も出来なかったのだが、しかしこれは致し方ないであろう。

 何せ俺は、ユウキの部屋どころか女の子の部屋にも入ったことが無い…訳ではないが、少なくとも、好きな女の子の部屋に入ったことは無い。ならば緊張感を孕むのは当然であろう。

 

 ユウキ「…そんなにキョロキョロして、どうしたの?」

 

 アルファ「…い、いやぁ…ユウキらしい部屋だと思ってな…」

 

 俺が初めて目にするユウキの部屋は、女の子らしさ全開、と言ったような内装ではなく、小テーブル、クッション、クローゼット収納、そして何故かダブルサイズのベッドに、カーペットというシンプルな内装とは言えども、その所々に女の子っぽいデザインが施されており、それが正しくユウキらしい、の一言に限る。

 しかし俺の発言に対して、ユウキが若干表情を顰めた。

 

 ユウキ「それ、どういう意味かな?」

 

 アルファ「褒めてるぜ?もちろん。ユウキらしさが出てて、俺は良いと思う」

 

 ユウキ「そ、そう?…ホントは、もっと女の子らしい方がいいのかな、って思うんだけど、ボクには難しいかなって…」

 

 アルファ「今のままでも充分可愛らしさは出てると思うけどな。ま、ユウキのやりたいようにやればいいんじゃねぇの?」

 

 ユウキ「そ、そっか…」

 

 俺はユウキにそれとなくエスコートされて、小テーブルのある位置に座らさた後に、飲み物を渡されたので、こうしてユウキとお喋りしていたわけだ。

 しかし、俺が緊張しているせいか、いつもならば弾むはずの会話も、どうにも上手く繋がらない。そんな俺を見かねたのか、ユウキが「よしっ!」と、気合いというか決意みたいなものを露わにした声で呟き、徐に立ち上がった。

 不意に部屋のライトを落としたユウキは、ハッキリとした口調で、目の前の俺にこう告げた。

 

 ユウキ「アルファ、夜の営み、しよっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルファ「………え……?」

 

 …ん?何かの聞き間違いだろうか。俺に対してハッキリ告げられたはずの彼女の言葉は、俺の脳内で判断される頃には深く曖昧なものと化しており、俺はユウキから視線を外さないまま、なんとか絞り出した発生音で疑問を呈示した。

 するとユウキは俺から目線を逸らして、今度はほんの少しだけ恥ずかしそうに、俺にもう一度その言葉を告げる。

 

 ユウキ「…だ、だから、夜の営みしよ、って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルファ「……は……?」

 

 …あれ?やっぱり聞き間違いじゃなかった?それとも、実は俺は既に眠りについていて、これは何時ぞやの都合の良い夢だったりするのか?いや、それ以外にあり得ないだろう。

 ユウキから送られた二度目の発言により、ようやくその言葉の意味を理解出来た俺が、次に絞り出したものは、理解不能の呆けた声だ。

 それを聞いた彼女は、少し傷付いたように、そして寂しそうに、呟く。

 

 ユウキ「……ご、ごめん…もしかして、嫌だった…?」

 

 

 

 

 

 

 アルファ「嫌じゃないに決まってるだろ!?…っていうか、これって夢?それとも現実?」

 

 ユウキ「…げ、現実だと思うけど…」

 

 そんな顔で言われては、どう足搔いても嫌だとは答えられまい。…と言うか、どんなパターンだったとしても、ユウキからの誘いを断る道理なんて、俺には一切ないんだけどな!?

 俺は純粋に、これが夢なのか現実なのか、それを確かめるためにユウキに訊ね返し、彼女から現実だという答えを聞いて尚、自身の頬っぺたを抓り、痛みからこれが現実であることを判断する。

 そんな俺に対して、彼女は更に恥じらいを強めた声色、そして火照った表情で、俺に告げる。

 

 ユウキ「じゃ、じゃあ…い、一緒に、寝よっか?」

 

 

 

 

 アルファ「……」

 

 …さて、どうしたものか。…分かっては、いる。誘われて嫌じゃないと返事をし、その誘いに乗った以上、今更「まだ心の準備が出来てないから!」だなんて理由で誘いを断った日には、一気に彼女との関係性を悪化させてしまうことぐらい、素人の俺にでも分かる。

 …しかし俺には、肝心のその経験が無いのだ。つまり、俺は彼女をリードすることなど到底不可能。寧ろ彼女にリードされる可能性が高い。だが、ここでリード出来ねば男が廃るというもの…!?どうする?どうすればいいんだ!?

 俺が人生最大の葛藤に襲われている中、ユウキは更に問い掛けてくる。

 

 ユウキ「…どうしたの?」

 

 アルファ「い、いや、何でもない!ハハハッ!安心しろ!ユウキ!俺は仮にも夜の帝王と呼ばれてるんだ。何の心配もないからな!?」

 

 ユウキ「……?う、うん…?」

 

 …やってしまった。

 

 俺は今、人生最大のミスを犯した!!馬鹿か俺は!?見栄張る前に素直に「僕童貞です。リードのことよろしくお願いいたします」って言えやボケッ!?なんであんな嘘ついたの!?あぁ!?あれだ!彼女の前でカッコつけたいランキング堂々一位の場面だ今のはっ!!

 …って言うか!そもそも夜の帝王ってなんだよ!?そもそも俺がSAOにログインしたの、まだ中三だっただろうが!その年で夜の帝王って、マジで何なんだよ!?普通に警察にお世話になってんだろ!?あー、もう、俺のバカバカバカバカバカッ!!

 なんて、迷走に迷走を重ね、地球一周分以上錯綜し切った俺の脳内に反して、俺の表情はポーカーフェイスの達人ばりの仏頂面だ。フッ、どうだ?鉄仮面全国大会は俺が堂々の一位に違いないだろう?

 そんな中ユウキは、すぐ後ろにあるベッドへと向かって行く。たった数歩のそれに合わせて、俺の緊張感と高揚感は、倍々どころか十倍置きぐらいのペースで増加していき、心も体も、今すぐにでも爆発しそうになる。

 やがてベッドに身体を横たわらせた彼女は、それがオーケーのサインであるかのように、俺の瞳を見据えてきた。

 

 ユウキ「…アルファ?早く一緒に寝ようよ?」

 

 アルファ「あ、あぁ…」

 

 緊張感が極限にまで達した状態で、俺はふらりふらりとユウキの待つベッドへと近づいて行った。

 …え、え、え、えっと、た、確かアルゴに教わった情報によれば、システムウインドウの最深部に、倫理コード解除の項目があって…それを解除すれば…そういうことなんだよな!?

 …待て待て待て待て!?そもそも行為に至るまでの道筋は!?その後は!?分からん!?分からないことだらけじゃねぇかおい!?やばいやばいやばいやばいやばいやばい────ッ!!

 しかし、今更俺に猶予が残されているわけもなく、たった数秒の内に、気づくと俺は、彼女の目の前に到着してしまっていた。

 すると彼女は、自らが寝転がるベッドの隣を叩いて、こう言う。

 

 ユウキ「ほらっ、どうしたの?早くこっち来てよ…」

 

 アルファ「お、おう!?」

 

 俺はユウキに言われるがままに、彼女の隣のベッドに横たわった。彼女と至近距離で向かい合わせの状態となり、彼女の表情は、羞恥心と艶めかしさを併せ持ったような火照りを見せていた。

 その顔つきは、既に明かりの落ちた部屋の暗がりでは分かり辛いものだったが、しかし窓辺から差し込む淡い月光が、それを俺に教えてくれる。

 …ま、ま、まずはキスからがいいのかな!?確かネットにそんなこと書いてた気がするもんな!?嘘で塗れてるってよく言われてるネットだけど、中には役立つ情報もあるもんな!?

 さぁ、もう後がないことを理解させられた俺は、己の直感を信じてまずは彼女にキスをして──

 

 ──しまおうと思ったのだが、その直前に、彼女がストレージから取り出した大きな掛布団で俺達の体を覆ってしまい、それに驚いた俺は、思わず動きを止めてしまう。

 

 アルファ「…ふぁ…!?」

 

 …なになになになに!?なんでユウキは掛布団なんか取り出したんだ!?全くもって意味が分からんぞ!?

 ……ハッ!?まさか!?ユウキはそういうプレイが好きなのか!?いや、しかし掛布団を使った行為なんて、俺知らないんだけど!?

 ………もう無理だ!!限界!!アンリミテッド!?流石にそこまでの知識は俺には無い!もう諦めてユウキにホントのこと伝えるしか…!!

 

 アルファ「ゆ、ユウキ…じ、実は俺──」

 

 ユウキ「…こうやって夜の営みをするのも、久しぶりだね」

 

 アルファ「?」

 

 何の根拠もない自称夜の帝王を前言撤回し、素直に自信がチェリーボーイであることを独白しようとしていた俺だったが、その言葉に重ねて彼女が放った一言に、俺は放心してしまった。

 そんな俺に対して、ユウキは懐かしむように、言葉を続ける。

 

 ユウキ「初めて一緒に寝たのは、ガレ城でベッドが一つしかなかった時だよね。それ以外だと、アルファがボクを助け出してくれたあの日の夜かな…。もしかして、アルファってその時から、一緒に寝ることが夜の営みだって知ってたの?……だとしたら、ボク、ちょっと恥ずかしいな…」

 

 アルファ「…え?夜の営みって、男女が一緒に寝ること…だよな?」

 

 ユウキ「え?うん。少なくともボクはそう聞いたよ。恋人や夫婦が、夜一緒にベッドで寝ることが、夜の営みだって。だからボクとアルファも、今同じベッドで寝てるでしょ?」

 

 アルファ「………ハァ…うん、そうだな……そうだよな…」

 

 ユウキ「アルファ?どうかした?」

 

 アルファ「イヤ、ナンデモ?」

 

 俺は彼女の言葉に些細な違和感を感じ、お互いの認識が嚙み合っているかどうかを確かめようと、それを言葉にしてみた。

 そこでようやく、ユウキの中での夜の営み=男女が一緒に寝ること、というものは、文字通り解釈された、如何にもユウキらしいものであることに気が付いた。

 ユウキが何食わぬ顔で俺に語り掛けてくる様子を見て、俺は途端に魂が抜けたような感覚に襲われる。

 …要するに、一歩先を進んだ、逸った解釈をしていたのは俺だけらしい。

 

 ユウキ「……その、ごめんね?アルファも一緒に寝たかったんだったら、もっと早くから言ってくれたらよかったんだけど…ボク、恋愛経験が無いから、そういうの分からなくて…」

 

 そんな純粋なユウキを見ていると、余りに薄汚すぎる欲望に支配されていた己が恥ずかしくなり、そして同時に、そんな彼女が堪らないほど愛おしく思えてしまう。

 だからこそ、俺はそれを伝えるために、ベッドの中で思いっ切り彼女の身体を抱き締め、いつもは言葉を選んで伝える気持ちを、今日この時ばかりは思った通りに、胸から溢れ出てくるのに任せて伝える。

 

 アルファ「…うん、ユウキってホント可愛いな。マジで可愛すぎる。なんでそんなに可愛いんだ?こりゃ駄目だわ。もう無理。ユウキ以外考えられん。俺はユウキが大好きなんだ」

 

 ユウキ「え、えへへ…ボクもアルファ以外なんて、有り得ないよ?ボクはアルファのこと、大好きだから」

 

 アルファ「……やっぱり、ユウキの良い所って、そういうとこなんだろうな。…これからもその調子で頼む」

 

 ユウキ「……ん?分かった…?」

 

 俺はユウキを胸に押し付けるように身体を抱き締めて、彼女の頭を撫で、そして爆発した気持ちの一部を伝えると、ユウキは大層嬉しそうに蕩けた表情で、俺にも同じように愛を囁いてくれる。

 俺は、純粋過ぎるユウキの新たなる一面に気が付き、その新鮮さを大切にしていきたいと思ってそれを言葉にしたのだが、ユウキはいまいち俺の言葉の意味を理解できていないようだった。だが、それがいい。

 

 アルファ「そんじゃあ、一緒に寝ますか」

 

 ユウキ「ん、一緒に寝よ」

 

 そうして俺達は、肌寒くなり始めたこの冬間近のこの季節に、お互いに温もりを求めるよう同じベッドの中で身を寄せ合い、目を閉じた。

 眠りからは到底程遠かったはず心模様も、彼女の穏やかな吐息を耳にするうちに溶かされ、やがて俺は微睡始めたのであった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 アルファとキリトが何処かに出掛けてから数分後、ボクとアスナはログハウスの中で、ちょっとした女子会を開くことになっていた。

 何やらアスナがボクに聞きたいことがあるらしく、それも、男性陣には聞かれたくない話らしい。アスナが新たに淹れてくれた紅茶を口にしていると、アスナが話を切り出してきた。

 

 アスナ「ねぇ、ユウキは普段、アルファ君とどんな風にイチャイチャしてるの?」

 

 ユウキ「えぇっ…どんな風に、って言われても…」

 

 アスナがニヤニヤ顔…ではなく、中々に真剣な表情でそう訊ねてきたので、ボクも真面目に答えるべきかと思い、アルファとの日々を思い出して、それを言葉にするのは少し恥ずかしかったけれど、ボクはアスナに返事を返した。

 

 ユウキ「……ア、アルファに好きだって言ってもらったり、一緒に手繋いだり…抱き締めてもらったり……キ、キスとか…!?」

 

 アスナ「なるほどなるほど…」

 

 いつものアスナならば、ボクがこんなことを言うと必ず茶化してくるのだけれど、今日のアスナはやはり、やけに真剣で、ボクを揶揄うことなく深く頷きながら相槌を打ってくる。

 …一体、どうしたのだろう?ボクがそんな漠然とした疑問を抱いていると、アスナは紅茶を一口嗜んでから、ふぅ、と一息つく。

 そして若干顔を赤らめながら、勇気を振り絞ったように、ボクに本題を切り出してきた。

 

 アスナ「……じゃ、じゃあ…その…ユウキは夜の営みとかって、どんな感じなの…?」

 

 ユウキ「…よ、夜の営み…?」

 

 アスナの発言に、ボクは一瞬固まる。

 …夜の営みって、何なんだろう?…いや、よくよく思い出してみれば、いつか読んだ小説にそんな一節があった気はするが、なにせボクは、沢山の本を読んでいるのだ。全ての本の概要を思い出せるほどの超記憶を持っているわけではない。

 故にボクは、アスナに訊ね返す。

 

 ユウキ「…アスナ、夜の営みって、なに?」

 

 アスナ「!?」

 

 ユウキの純粋なる瞳を見て、アスナは感じ取った。これはまだ、わたし達とは違って、ユウキとアルファ君は、まだそういう関係には至っていないのだということを。

 わたしは、一般的な夜の営みについて、わたし達よりも長きにわたって交際を続けているユウキならば、恐らくよく熟知しているのではないだろうかと思い、それを訊ねようとしていたのだが…これは正に、踏んではいけない地雷に踏み込んでしまったに違いない。

 アスナはこの状況を打開すべく、ユウキへの言い訳を、脳内で必死に構築する。

 

 アスナ「え、ええっと…よ、夜の営みって言うのは…夫婦とか恋人とかが夜に…その、男女で一緒に寝ることなの…」

 

 ユウキ「男女で、一緒に寝る…?」

 

 アスナ「そ、そうよ…同じベッドで一緒に寝るの」

 

 ユウキ「……え……そ、それなら、ボクもしたことあるけど…あ、あれって恋人同士でやることだったんだね…」

 

 そこでようやく、ボクは理解した。アスナの言う夜の営みとは、好きな人と一緒に眠りにつくことなのだということを。

 だが、悲しいかな。ユウキも勿論のこと、性行為に関する知識も、ある程度は持っている。しかし「男女が一緒に寝る:ということが、性行為を表す遠回しの表現であることまでは、彼女もまた知らなかったのだ。

 故に、それを素直に受け取った彼女は、これまでに二度、アルファと共に一緒に寝た出来事を思い浮かべていた。

 …ってことは、ボ、ボクはあの時から既に、アルファに好きバレしてたっていうことなの!?無意識だったけど、凄く恥ずかしい!!恥ずかし過ぎるよ!?ボク!?

 

 ユウキ「それで、夜の営みで、ボクに聞きたいことって何かな?」

 

 一旦そのことは置いておいて、夜の営みが何たるものか、そしてそれを経験しているユウキは、アスナの質問に答えるべく、彼女にそれを訊ね返してみた。

 しかし、その時同時に、アスナも理解していた。多分ユウキは、盛大な勘違いをしているのだと。そして、それを正直に訊ねることすなわち、ユウキとアルファ君との間の関係を大きく変容させてしまうのではないか、ということを。

 故に、アスナが取った行動は──

 

 アスナ「う、ううん!もういいの!だから、別のお話しましょ!?」

 

 ユウキ「…ん?そうなの?」

 

 アスナ「うん!…そ、そうね。わたし、ユウキとアルファ君のラブラブなお話聞きたいかなぁ~?」

 

 ユウキ「…もう、アスナは仕方ないなぁ…その代わり、ボクもアスナとキリトのお話聞かせてもらうからね?」

 

 これが、今晩彼の身に起こった大事件の発端となる出来事なのであった。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 ユウキ「……んん…」

 

 いつの通りの朝、いつも通りの布団の温かさ…に加えて、ボクの大好きな、お日様の香りように落ち着く匂いと、ボクの右手に感じる彼の温もりを感じて、ボクは重い瞼をようやく開けた。

 するとそこには、やっぱり彼が微笑みながら、ボクを眺めていた。

 

 アルファ「おはよう」

 

 ユウキ「…おはよう」

 

 アルファ「…もうちょっと寝ててもいいんだぜ?そしたらもっと、ユウキの寝顔を楽しめたんだけどな」

 

 ユウキ「じゃあ、お返しに明日はボクがアルファの寝顔を眺めようかな」

 

 アルファ「あ、明日…?」

 

 ユウキ「うん。今日も…じゃなくて、毎日夜の営みしよーよ」

 

 アルファ「……ウン、ソウダナ」

 

 ユウキ「なんでカタコトなの?」

 

 アルファ「キニスルナ」

 

 何故か表情を無に固定させて、まるで日本語不慣れな人が発するような片仮名文字で喋って来るアルファを不思議に思いつつも、ボクはお布団の中で思いっ切り彼の身体にしがみ付く。

 すると彼は、ゆっくりとボクの頭を撫でながら、その抱擁に答えてくれる。

 

 ユウキ「…あぅ~…幸せぇ~…」

 

 たったそれだけの行為で、ボクの心はポカポカとした幸せで満たされていた。朝一番からこんなにも幸福感を感じられるなんて、夜の営みってなんて素晴らしいものなのだろう。

 …と言うか、恋人同士なのに、どうしてこれまで一緒に寝てこなかったのだろう。ボクは時間が無いんだから、もっとアルファと一緒に居たいのに…。

 …そう言えば、アルファってどうして、これまで夜の営みを提案してくれなかったんだろ?…もしかしてアルファ、ボクに遠慮とかしてたのかな?そんなことしなくても、ボクはいつでも受け入れ態勢整えてるのに…。

 たっぷり何分かの間、彼がボクだけに注いでくれる愛をこの身に一身に受け続けていると、彼がふと思い出したように、ボクに話し掛けてきた。

 

 アルファ「……そう言えばユウキ、昨日の夜、夜の営みってのが、誰かから聞いたような口ぶりだったよな?こんなこと、誰から教わったんだ?」

 

 ユウキ「アスナだよ?」

 

 アルファ「へぇ~…そっかそっか…」

 

 アルファにそう言われて、ボクは昨晩の出来事を思い出す。

 …ボクが夜の営みをアルファに提案した時、アルファすっごく焦ってたよね…。でも、一旦お布団の中に入ると、アルファ凄かったなぁ…。

 いつもは、ボクには冷静に想いを伝えてくるアルファが、あの時ばかりは想いのままに、ド直球で愛を囁いてくれたなぁ…凄く新鮮で、嬉しかったしドキドキしたなぁ…。

 「ボク以外考えられない」だなんて、最高に胸がときめく言葉だったよ…と、ボクは一人脳内お花畑状態でいたのだけれど、対するアルファはメニューウインドウを操作していたらしく、突如、ベッドから降りた。

 

 ユウキ「…どうしたの?…」

 

 アルファ「…ユウキ。俺、ちょっとキリト達に用あるから、今から二十二層の主街区行ってくる」

 

 ユウキ「…ボクも一緒に行くよ?」

 

 アルファ「あぁ、大丈夫だ。すぐに帰って来るから…そうだな。俺、今日の朝ご飯は、どっかのお店じゃなくて、ユウキのパンが食べたいかな」

 

 ユウキ「分かった!それじゃあ、パン作って待ってるね!」

 

 アルファ「ん、んじゃあ行ってくる」

 

 ユウキ「ん、行ってらっしゃい」

 

 部屋着からいつもの装備へ切り替えたアルファは、ボクに優しく口付けをしてから、ギルドホームを急いで出て行った。

 最初はボクもついて行こうかと思ったけれど、アルファが朝ご飯に、ボクの手作りパンを所望しているなら、ボクは彼の為に、パンを焼いて待つことにしよう。

 まだ仄かに残る彼の唇の感触を嬉しく思いながら、ボクはキッチンへと向かって行った。

 

 

 

────────────────

 

 

 

 アスナ「…遅いわね…」

 

 わたしは二十二層主街区の一角にて、現在アルファ君を待っている。しかし、その心の内は、若干の不機嫌であった。

 本来ならば、キリト君の寝顔をたっぷりと眺めてから、朝のやり取りを交わし、夜の続きで第二ラウンド突入するなりなんなりするというのに、彼のせいでその全てが台無しになっているのだ。

 だから私は、アルファ君がここにやってきたら、「用事があるならメッセで済ませるか、対面する必要があるなら朝っぱらからは止めてよね!」と小言の一つや二つぶつけようと考えていたのだが…

 

 アルファ「よぉ、アスナ、おはよう」

 

 アスナ「お、おはよう…アルファ君」ゾクッ

 

 随分とにこやかな表情で、わたしの前に現れた彼は、その笑顔からは想像も出来ないほどの憤怒のオーラを身に纏わせていた。

 背中に嫌な感覚が過るも、それを見たわたしは直感的に、何故かは知らないが、アルファ君がわたしに対して途轍もなく怒っていることを察する。

 …そうか、これはにこやかな表情などではない、スマイルを張り付けているだけだ。

 

 アルファ「なぁ、アスナ?」

 

 アスナ「な、何かしら?」

 

 アルファ「何か俺に、謝ること、無いか?」

 

 アスナ「…な、何のことかしら?」

 

 アルファ「へぇ~、あくまで知らないフリするのか。…昨日な、俺、ユウキに夜の営み誘われたんだぁ?」

 

 アスナ「え!?…よ、良かったじゃない…」

 

 アルファ「そうだろ?でさぁ、俺、勇気出して一緒にベッドインしたんだよね」

 

 アスナ「そ、そう…」

 

 アルファ「マジで、ユウキめっちゃ可愛かったんだぜ?ホント」

 

 アスナ「…」

 

 …ん?私を呼び出した理由は、惚気話を聞かせるためだったの?それならキリト君とかにしてよね。わたしだって女の子なんだから、そんな話異性からはあんまり聞きたくないんだけど…。

 それを言葉にしようとした時、突如として、彼の憤怒のオーラが溢れ出した!

 

 アルファ「…いや、それは一旦置いておいて、だ。いざユウキと一緒にベッドで横になったら、ユウキそっからどうしたと思う?」

 

 アスナ「…?」

 

 アルファ「そのまま俺と一緒に寝たんだよなぁ、これが」

 

 アスナ「良かったじゃない」

 

 あれ?憤怒のオーラなんて気のせいだっただろうか?やはり、彼はわたしに惚気話をするつもりなのだろうか?

 

 アルファ「文字通り、寝たんだ。行為に及ぶことなく、文字通り俺と一緒に同じベッドで寝たんだ。如何やらユウキは、夜の営みをそういうものだと勘違いしてたらしい」

 

 アスナ「……あ…」

 

 そこでようやく、わたしは思い出した。昨日、わたしがユウキに間違った夜の営みを教えてしまったことを。

 そして彼が怒りを露わにしている理由も、そこからなんとなく察することが出来た。途端に冷や汗を掻き出したわたしを、彼はニッコリと眺めながら、言葉を続ける。

 

 アルファ「…それで、夜の営みだなんてこと、誰から教わったんだ?って聞いたら、アスナから、って答えてくれたんだ。…もう分かるな?俺がここに呼び出した理由」

 

 アスナ「……ま、待って!?弁解の余地を!?」

 

 一歩ずつ、一歩ずつこちらに向かって歩みを進めてくるアルファ君から逃げようと、わたしは全パラメーターを駆使してその場からの撤退を図ろうとしたのだが、まるで蛇に睨まれた蛙のように、私の身体はピクリとも動かない。

 そして、遂に私の目の前にまで来た彼は、遂に怒りを爆発させた。

 

 アルファ「……アスナァ!!純粋無垢な俺のユウキにっ!変なこと教えてんじゃねぇッ!!」

 

 アスナ「ご、ごめんなさーいっ!!」

 

 閃光をも超える光速の速さで、彼の拳から突き出された全身全力のパンチは、私の腹部に捻じ込まれる…直前にアンチクリミナルコードによって保護され、しかし私の身体は大きく吹き飛ぶ。

 …なるほど、わたしをわざわざ圏内に呼び出したのは、怒りをぶつける為だったのか!そして、わたしは地雷を回避したと思い込んでいたけど、実際はもう一つの地雷を踏んじゃったのね!?と、心の中では冷静な分析を行う。

 いつもの私ならば、文句の一つや二つ言っていたと思うが、今回に限っては、完全にこちらの落ち度なので、わたしは大人しく、彼の怒りをその身で受け止めた。

 しかしその過程の中で、「俺のユウキ」という、本人に聞かせれば必ず喜びそうな発言を聞き逃さなかったことだけは、恋する乙女としての矜持が故なのだろう。

 こうしてわたしは、いつかの日に、アルファ君を絞めた懐かしい記憶を思い返しながら、今度はその当時の彼と同じように、誠心誠意謝罪の言葉を口にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 というわけで、二人が事後に至るまでに…というか、ソレを描くのかは分かりませんが…書きたかったことは全て書き終えました?
 因みにですが、アルファ君は朝露の少女には関与致しません。キリアスとユイの親子愛を邪魔するわけにはいきませんから。
 キリト一行が第一層地下ダンジョンに赴く理由は、結局キバオウが改心しようとも、部下の傍若無人を抑えることが出来ず、それによってシンカーも地下ダンジョンに幽閉されたとでも考えておいてください。(投げやり)
 なので次話は、75層が舞台となったお話となります。

 次回の投稿日は、十二月十六日の木曜日となります。

 では、また第95話でお会いしましょう!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。