EVANGELION -夢の後にあるセカイ- 作:KYON-
1,終わりと始まり
「最低だな…フフッ…」
青のプラグスーツを纏い、赤い大地で一人地平線を眺める一人の少年がいた。
名を碇シンジ、NERV所有、エヴァンゲリオン初号機の専属パイロットであり、かつそのNERVの総司令を務める人物でもあった。
彼は見かけこそまだ中学生ほどの少年であるが、実年齢は三十をゆうに超えている。数々の戦場と修羅場、そして大切な人の死を見つめ続けた、黒く、そして澄んだ目には、赤い大地と対照的な青空が映っていた。
彼の十メートルほど後方には、軍服を着た女性、彼が秘書としていつも伴っている山崎アズサが控えていた。彼女は先ほどから、しきりに携帯電話でどこかと連絡を取り合っている。
「どうしたんですか、山崎さん」
ちょうど会話の終わったアズサは、携帯電話をしまって報告する。
「司令、レーダーに敵影あり。AAAヴンダーです」
それを聞いたシンジは、一瞬表情を固まらせた。しかしすぐに彼の特徴である優しい目を、まるで悪魔のように細めた。アズサも表情を硬くする。
シンジは嘲笑するように、フッと息を吐いた。
「とうとうおいでなすったか…葛城ミサト…」
そう呟いた声も、氷のように冷たかった。
「全軍第一種迎撃態勢。非戦闘員はシェルターに退避。山崎さん、急いで帰りますよ」
乗ってきたジープの方へ走り出すシンジの後を、アズサは受けた指令を本部に伝えながら、置いて行かれまいと追った。
陽炎のカーテンの引かれた地平線には、無数の僚艦を伴うAAAヴンダーの姿が見え始めていた。
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A.D.2034
赤みがかった金髪を風に靡かせて、一人の女子高校生が家路を急いでいた。
名を、式波・アスカ・ラングレー。ドイツと日本のクォーターである彼女は、すれ違う人のほとんどが思わず二度見をしてしまうほどの美貌と、学校で他に肩を並べさせないほどの明晰な頭脳を持ち、近隣住民なら誰もが知っている『町のアイドル』である。
季節は桜、四月。この年から受験生となった彼女は、クラス替えの結果に満足していた。親友であるヒカリ、腐れ縁の鈴原と相田。その他にも、今年の彼女のクラスは彼女の知った顔ばかり。勉強に追われることになるであろうこれから一年であるが、この面子なら少し楽になりそう、と彼女は期待感を持っていた。
しかし、喉に引っ掛かった魚の骨のように、すこし気になる事も早々にある。
自分の左隣にやってきた転校生、名前を石狩ジンと言っただろうか…。至って普通で、真面目そうで、すこし気弱そうな男子の事だった。
普段から男子連中にラブレターを貰い、一蹴している彼女にとって、石狩は何も気に留めるに値しない、道端の小石に過ぎない。
何もしないなら関わらなくてもいいし、何か余計なことをするなら蹴飛ばせばいい。
アスカは空き缶を脳内のイメージ通りに蹴り上げた。缶は放物線を描いて側溝に消えていく。
だがアスカは感じていた。彼の気弱そうな目の奥に見える炎の熱を。
「ま、いいか」
首を振って思考をリセットしたアスカは、小走りで家へと駆けて行った。
もともと小説家になろうで書いていたのですが、二次基本禁止によりしばらくオリジナルを書いていました。ですがやはりエヴァ二次を完結させられないまま終わってしまった事が少し心残りなので、ハーメルンで復活させていただきました。
失踪しないように頑張りたいと思います。