EVANGELION -夢の後にあるセカイ-   作:KYON-

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10,思考の夜 後編

 雨雲が晴れた夜闇に、月が天高く上る。

 月光は、ジンの眠気を雨雲のように四散させていた。

 

 日付が変わり、人気のない付近は静まり返って、ジンの感覚を逆に研ぎ澄ます砥石になるように思えた。

 

 彼は再び思い出す。彼が碇シンジだった世界、今の彼女と出会った時のことを。

 

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「なんでくっつくんだよ…暑いのに…」

 

 第七使徒襲来二日後、碇シンジにはまた別の危機が襲来していた。

 その危機とは、EUROからやってきた2号機パイロット。彼は戦闘が終わって顔を合わせ、前世のようにめちゃくちゃ言われたかと思うと、その日の夕方には彼女に公園に呼び出された。

 

 そして、

 

「アタシと付き合ってくれない?」

 

 夕焼けに照らされた彼女の顔は、あまりにも美しく、シンジは息を呑むようにしてOKと答えた。

 

 

 こうしてその二日後の午後、学校帰りの彼の腕には嬉しそうな顔をしたアスカがくっついている。態度が前世の彼女とはまるで違った。

 

――いや、違うのはそれだけじゃないか…

 

「ねぇ…し…惣流さん…?」

「だから、アスカって呼んでよ」

 

 シンジが最も心配する前世との差異は、アスカの名字にはっきりと現れていた。

 

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「惣流・アスカ・ラングレー…」

 

 ジンは小さく呟いた。月に雲がかかり、部屋が一瞬暗くなる。

 その時、後ろから声が聞こえた。

 

「前世の私は、アンタにとって都合がよかったでしょ」

 ジンは目線を鋭くして声の方向を向いた。

 

「アンタを誰よりも大切にして、アンタの夢に協力して。アンタは好きだっただろうけども、アタシに言わせれば、そんなあの女の態度は幼すぎるわね」

「めちゃくちゃに言うね、自分の事なのに」

「アタシの名前は式波・アスカ・ラングレーよ。まあ一時は同じ体に入ってたけど」

 

 そう強気に言う少女は、ガムテープ補修の赤いプラグスーツの上から、それより少し暗めの赤のパーカーを羽織っていた。そして左目は眼帯に覆われている。

 今彼の部屋で寝ているアスカとは同じ姿だが、纏っている雰囲気が全然違う。歴戦を越えてきた武将のような圧迫感と、ジンに対する憎悪の念が滲み出ていた。

 

「で、今更何の用? 用が無いなら帰ってよ、君に構う暇なんてないから」

「月を眺める方が優先度高いってわけね、言ってくれるじゃない」

 アスカの眼帯の奥が青く光る。

「第11使徒…」

「…殺されたいわけ?」

「思念体の君にこの世界に干渉する力は無い、戯言を吐くのを止めてくれないか」

「あら、そうかしら。アンタを世界再編に突き動かしたのは、渚とかいう奴の思念体だったんじゃないの?」

「僕が言いたいのは物理的な干渉だよ」

 

 彼がそう言い終わると同時に、月が再び顔を出す。そして、彼の前にいたアスカは姿を消していく。最後にこう言い残して。

「待ってなさいよ、バカシンジ」

 

 月の光が彼女の姿を消したとき、ジンは残された仕事の難しさを改めて感じた。




すいません、更新大幅遅延しました。
文化祭の準備やら勉強やらで…申し訳ありません。
今日一日だけで、勢いのみで書いてしまった話ですので、リライトリスト筆頭ですw
水曜からまたテスト一週間前なのでまた更新が遅くなると思われますが、ゆっくりとお待ちいただけると有難いです。
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