EVANGELION -夢の後にあるセカイ-   作:KYON-

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4,アイツとパフェ

 アスカとテーブルを挟んで座る、彼女と同い年の青年、石狩ジン。クールで優しくて、そんな雰囲気を醸す彼の前には、全く不釣り合いなチョコレートパフェが鎮座していた。彼が頼んだものだった。

 

 アスカは目を輝かせ、幼児のように喜ぶ石狩を細い目で見ていた。

「アンタ、そんな物好きなの?」

「意外かい?」

 ソースを絡ませたアイスを口に運び、満面の笑みをたたえて石狩は訊き返す。

「意外に決まってるでしょ、学校ではあんなに猫被って静かなのに」

「猫被って静か? 一度会話しただけで陰気って決めつけるの?」

「じゃあ逆に、アンタ学校でもそんな顔見せるの?」

「…見せないな」

 

 やけに会話が弾む。

 会話しながら、目の前でパフェに夢中になっている同年代の男を見て、アスカはどこか安心感を感じていた。

 先ほどヤンキーたちから助けてもらったことも、その思いの原因にあるかもしれない、だがアスカの抱いたその感情は、もっと奥深いところから湧き上がってくるものだった。

 

「おっ、ここのパフェは果物が美味しい…」

 石狩のパフェはアスカが奢ってやったものだ。助けてもらった後に「何か礼をさせて」と願うと、コンマ一秒も空けずに彼が即答したのがそれだった。

 アスカはどんだけはしゃいでるのかと、苦笑いを浮かべる。

 

「アンタねぇ、子供じゃないんだから。そんなに慌てて食べるとこぼすわよ」

 石狩にそう言ってから気づいた、自分はこいつの母親か恋人か!? と。

 確かにはたから見れば、喫茶店に二人で入ってる年頃の男女なんて、恋人同士にしか見えない。この状況をクラスメイトにでも知られれば…。

 彼女は頭を振って、唐突に飛び出た妄想の霧を振り払った。

 そして肩を落とす。

「どうしたの、アスカ」

「なんで下の名前で呼ぶのよ、馴れ馴れしい」

 石狩はしばらく真顔でアスカを見つめていたが、やはり幼児のようにパフェに戻る。これじゃあ恋人同士ではなく、やはり保護者と被保護者の方がお似合いだろう。

 

 そうこうしているうちに、石狩がパフェを食べ終える。

「ご馳走様、惣…式波さん」

 携帯に目線を落としていたアスカは、その言葉に視線を石狩へ向ける。器から落ちんばかりに盛り付けられていたアイスや果物は、跡形なく消えていた。空の器の奥には、笑顔の石狩。

 

「美味しかったよ」

「それは良かったわね…てかアンタ、クッキーの欠片がほっぺについてるわよ。全く、どんな食べ方をしたのやら」

 石狩は頬に手を当てて欠片を探す。だがなかなかとらえられない。

「ああっ、もう不器用ね。ここよ」

 アスカは彼の頬を欠片を取るふりして、思いっきりつねってやった。予想以上に柔らかかった彼の頬は容易く歪む。

「い、いふぁい! あにすんだよ!」

「パフェ奢ってやった分、少しいじったって問題ないでしょ?」

「あんだよ、助けてあげたのに~」

 痛がるジンの顔。アスカはそれを可愛いと思ったのかは知らないが、突然目を出す悪戯心があった。それも、男を焦らせる方の。

「はい、取ってやったわよ」

 しぶとく残っていたクッキーの欠片をつまむと、アスカはそれを彼女自身の口に運ぶ。

「意外に美味しいわね、今度頼んでみようかしら」

 そう呟きながら、石狩にウィンクをしてみる。すると予想通り、彼の頬はみるみるうちに赤く染まっていった。

 

「顔、赤いわね」

「うるさい! つねられたからだよっ!」

 恥ずかしそうな表情をするジンを横目に見ると、彼女は席を立つ。

「会計は済ましとくから、じゃあね~」

 手を振るアスカに、ジンは小さな仕草で答えて歩行者天国へと姿を消す。

 ――面白い奴もいるもんね…

 

 彼女の頬が、少しピンク色に染まった。




テスト勉強に追われながらの執筆ですので、なかなか内容が…。
暫く平和な感じが続きますのでご了承を。
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