EVANGELION -夢の後にあるセカイ-   作:KYON-

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5,私は二番目

 アスカがジンに助けられてから約二週間。

 テストを乗り切ったクラスの面々には、不安そうな表情が浮かぶ。

 

「なぁトウジ」

「なんや、ケンスケ」

 教室の後ろの方でパンを頬張るトウジは、口に含んでいたものを強引に呑み込んで訊き返した。教室は先ほど六限目が終わったばかり。この日は、あとHRを残すのみとなっていた。

「自信あるか? 今回」

「あるわけないやろ、今回は無茶苦茶難しかったわい、わてはジ・エンドや」

 トウジがそう溜息交じりに言ったところで、白髪のクラス担任が教室に入ってきた。トウジは咄嗟に食べ残しを隠し、ケンスケは自分の席に戻る。

 

 教室が落ち着いたところで、担任が鞄から長細い紙を取り出す。クラスの面々の表情は、それを見ると同時に強張った。

 

「わかってると思うが、今日はテストの結果が帰ってきている。今から返すぞ~」

 

 生徒にとっての第二関門、テスト結果返却だった。

 

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 学校が終わり、アスカはいつも通り靴箱を開けた。中からは雪崩のように崩れ落ちながら、十数通はあろうかという手紙が床の上に散らばる。

「めんどくさい…」

「わぁ、今日も多いわね、アスカ」

 彼女の横で驚いたのは洞木ヒカリ。

 アスカはヒカリの目の前で、手紙達をを足蹴にして見せながら愚痴をこぼした。

「ったく、何度断っても無駄なのによくやるわよ。男ってバカばっかりなのかしら」

 

 眉間に皺を寄せて、アスカは何度も何度も手紙を踏みつける。ヒカリはぐちゃぐちゃになってゆく手紙を、哀れな表情で見つめていた。

 いつもなら、流石のアスカでもここまではしない。今日の彼女の態度から、ヒカリは感じ取っていた。

 

「アスカ…何か悪いことでもあったの…?」

 アスカの動きが止まる。

「……まぁね、これなんだけど」

 彼女は自分のカバンから、さっきのHRで配られた紙を取り出した。この前のテストの結果だ。

「学年順位なのよね…」

 紙を受け取ったヒカリは、言われるがまま目線を学年順位の方へ持っていく。

 少し視力の落ち始めたヒカリの目が、ピントをその欄に入っている数字に合わせたとき、彼女は驚いた。あまりの衝撃に、口を手で覆う。

「2位…!? アスカが!?」

「しかも1位とは80点差、やっちゃったってわけ」

 

 アスカは答えて笑ってみせたが、内心余裕が全くない笑顔だった。

 

 ヒカリが知る限り、アスカはあらゆる学校のテストで常に1位を取り続けてきた。なのに今回、80点も差をつけられて2位となることなど、誰が予想しただろうか。

 周りで二人の会話を耳にした生徒たちも、何処か動き方がたどたどしい。例えるなら、未だ人間の動きを再現しきれてない人型ロボットと言ったところだ。

 

「ということで今日はストレス発散させたいから。ヒカリ、付き合ってくれる?」

 彼女はヒカリに対してそう首を傾げた。

 ヒカリは紙をアスカに返しながら「うん、いいよ」と返事をしそうになる。だが先ほど担任から頼まれたことを思い出した。

「ごめんアスカ。今日はちょっと用事があるの…」

「なに? 鈴原とデート?」

「そうじゃないわよ、今日休んだ石狩君のところに、プリントを届けに行かなくちゃならないのよ」

 

「石狩…?」

 

 テスト結果で少し歯車の狂ったアスカは、思わぬ行動に出た。

 

「じゃあ私が届けてくるわよ、地図貸して」

 

 ヒカリの口が、洞穴のようにぽっかりと開いた。

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