リトルウィッチアカデミア~闇の魔女と11'sウィッチ~   作:宣伝部長

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始まりの日

「失礼します、校長先生・・・明日入学予定の生徒が挨拶にと訪れていますがお通ししても宜しいでしょうか?」

 

「えぇ・・・通してあげなさい」

 

 

 

ナインウィッチの間の扉が開くとフィネラン先生の後ろに付いて1人の女性がホルブルック校長の前に現れた。

真っ赤なセンシュアルショートに左目には黒革の眼帯を身に着けていた。

そんな彼女は、後ろ手にビシッと姿勢を正すと自己紹介を始めた。

 

 

 

「お初にお目にかかります。ルアナ・フランベルジュと申します」

 

「まぁ~良く来てくれましたね。私達ルーナノヴァ魔法学校一同、貴女の入学を心から歓迎いたしますよ♪」

 

「それは・・・ありがとうございます♪本日は事前に荷物を部屋に運んでおこうとやって来たのですが、お邪魔ではなかったでしょうか?」

 

「いえいえ、別に構いませんよ。当日に慌ただしくなるのは避けたいものねぇ~♪フィネラン先生、お部屋はもう用意出来ていましたっけ?」

 

 

ホルブルックの言葉に反応するフィネランではあったが、ばつの悪い表情を浮かべる。

 

 

 

「・・・・・も、申し上げにくい話なのですが、今日中に用意する見込みでしたので現段階ではまだお部屋にお連れするのは少々お待ちいただきたく・・・・・」

 

「あっ!それなら学内を見て回っても宜しいでしょうか?事前に場所の確認もしておきたいので・・・・・」

 

「まぁまぁ、それは良い考えですね!!フィネラン先生ご案内をしてあげてくださるかしら?」

 

「いえ、先生はお忙しいと思いますので1人で見て回りますからそれでは失礼いたします」

 

 

 

会釈をすれば、そそくさとルアナはナインウィッチの間を後にしたのである。

 

 

 

「ふぅ・・・・・・彼女には気を使わせてしまいましたね。あの若さから他の魔女にも引けをとらず近代魔女の先駆者として優れており、あのナインオールドウィッチのお一人様であられる『獄炎ヴァーミリオン』のご息女様だなんて今でも驚きを隠せませんよ」

 

「えぇ・・・この度の入学はこの歴史あるルーナノヴァ魔法学校にルアナさんが興味を持ってもらえたのがきっかけです。我々にとってもチャンスなのですからくれぐれも粗相のないようにお願いいたしますよ」

 

「・・・・・かしこまりました」

 

 

 

 

 

「さて、約1600年の歴史を持つルーナノヴァ魔法学校・・・・・こうやって中を見て回るのは初めてだけど、思っていたよりも構造はそこまで古い感じではないか。こうやって長い年月伝統を守る姿勢は素晴らしいものだなぁ~」

 

 

 

歴史ある魔法学校なのにしっかりとした校内の雰囲気に自然と笑みが零れる。

だが、そんなルーナノヴァにもとある悪い噂がある。

 

 

 

「しかし、現在は経営難と後継者不足により一般からの入学者も受け入れていると聞いているんだよねぇ~こんな素晴らしい場所がなくなるのは回避させなくちゃ・・・・・って、おやっ??」

 

 

 

現状では維持をするだけでもやっとだと言うのは知り合いの魔女達から伝って把握していた。

だから今回の入学はこの伝統あるルーナノヴァを護る為にやって来たのも1つの理由である。

などと考え込みながら廊下を歩いていると見知った後ろ姿に口端がにやりと上がる。

 

 

 

「ダ~イ~ア~ナ~♪」

 

「・・・っ!?!?そ、その声は、ルアナですの!?!?」

 

「大・正・解♪」

 

 

 

いきなり背後から抱きつかれたダイアナはびっくりして持っていた教材を落としてしまう。

そして、聞き慣れた声に振り返るとそこにはいたずらっ子のような笑顔を見せる顔見知りの姿が・・・。

いつもダイアナの傍に居るハンナとバーバラは口をぽかんと開けて見ている事しか出来ずにいた。

突き放すようにルアナを押し退けると落としてしまった教材を冷静に拾い、前髪をさらっと搔き分けてキリッと目を合わせた。

 

 

「どうして貴女がこのルーナノヴァにいらっしゃいますの?」

 

「そんなの決まってるじゃない!このルーナノヴァに明日から通う為の下準備で来たの。でも、まだ部屋が用意されてないから見学がてらうろついてたって訳さ」

 

「はぁ・・・貴女あんなにルーナノヴァへの入学を頑なに拒んでいらっしゃったのに随分あっさりと気変わりされたんですのね」

 

「ダイアナは解ってないなぁ~・・・・・乙女の心ってのは様変わりするモノなのさ」

 

「まったく・・・貴女って人はいつもそう・・・・・」

 

「あ、あの・・・ダイアナ?」

 

「・・・どうしました?」

 

「そちらの方はお知り合いですの?」

 

 

 

2人の言い合いを目の当たりにしたハンナとバーバラは申し訳なさそうに手を挙げてから質問を口にした。

ダイアナは2人に説明をと思ったが、ガッと肩を組んできたルアナが自己紹介を始める。

 

 

 

「アタシはルアナ・フランベルジュ。このお嬢様とは幼馴染って所か・・・君達は?」

 

「あっ・・・バーバラ・パーカーです。ダイアナとはルームメイトになりますわ」

 

「ハ、ハンナ・イングランドって言います!もしかして・・・ルアナ様は獄炎ヴァーミリオンの・・・・・」

 

「末裔に当たるのかな・・・?それよりもアタシの事は呼び捨てにしてくれない?こう堅苦しい空気に身体中がムズムズして嫌になっちゃうの」

 

「ふふっ・・・ハンナのその食い気味な雰囲気は初めて見ますわね」

 

「えっ・・・!?あっ、その・・・小さな頃憧れていたものでして・・・つい・・・」

 

「いいじゃ~ん♪ダイアナだって昔はシャイニィsy・・・もごがっ!?!?」

 

「ルアナさんっ!!!!」

 

 

 

ダイアナは咄嗟にルアナの口を手で塞ぐ。

その行動にハンナとバーバラは首を傾げるが、不意にとある事に気付く。

 

 

 

「えっと・・・ルアナさんの眼帯なんですが、どうしてキャベンディッシュ家の刺繡が入っていますの?」

 

「あ~あ・・・コレは昔ダイアナからもらった誕生日プレゼントなんだよ。アタシに似合うからって理由で特注品で作ってくれたんだよ。だから・・・失明もしてないのに付けてるんだよ、大事なモノだからね」

 

 

 

眼帯を外して自慢げにハンナとバーバラに見せつけるルアナ。

そんな姿にダイアナは恥ずかしそうに前髪をクルクルと触るもどことなく嬉しそうに見えた。

 

 

 

「明日から新学期だよ!!2人共っ!!また新たなストーリーが幕を開けるんだよっ!!!!どっきどきーのわっくわくぅー♪」

 

「イヒヒヒ、ま~た始まったよ・・・もうかれこれ123回は聞いてるね」

 

「あはは・・・アッコは本当に元気だよね」

 

「だって、だって!!日々の成果のおかげで箒にも乗れるようになったし、このままシャイニィシャリオみたいな立派な魔法使いになるんだから」

 

「まぁ・・・アッコならなれるんじゃない?・・・多分だけどさ」

 

「なっ、なにおーーー!!!!」

 

 

 

広場から聞こえてくる会話にルアナは反応をして視線を向ける。

するとダイアナ達も釣られて視線を向ける。

 

 

 

「またアッコが叫んでますわ」

 

「・・・アッコ?」

 

「・・・はい、カガリ・アツコ。一般家庭出身で落ちこぼれの生徒なんです・・・ま、まぁ最近は少しマシにはなっているみたいですけど・・・・・」

 

「あぁ~この前の事件でダイアナと活躍していた女の子でしょ?なかなか見込みあるじゃない」

 

「そうですね、アッコはまだ成長過程のスタート地点に立ったばかりですから」

 

「ははっ!お嬢様からのキツーイご言葉ありがとうございま~す」

 

「・・・・・ルアナ、貴女に彼女はどう見えますの?」

 

 

 

ダイアナの低いトーンでの問い掛けにルアナは手でフレームを作るとアッコを画角に収めて笑う。

 

 

 

「未知なる原石・・・ってとこかな?」

 

「ふっ・・・ルアナらしい言葉ですわね」

 

「ちょっと・・・ダイアナ!」

 

「あっ・・・えっと、御機嫌よう」

 

 

 

ダイアナはルアナの言葉を聞くとそのまま離れて行ってしまった。

急な事にハンナとバーバラもお辞儀をした後に慌てたようにダイアナの後を追って行った。

 

 

 

「(落ちこぼれ魔女か・・・しかし、あの一件で披露した魔法は人々の心を魅了したと言っても過言ではない。それに彼女はあの世界的に有名だったシャイニィシャリオみたいに光り輝いていたし・・・・・うん!間違いなく面白い娘っ!!)」

 

 

 

今はまだ時ではないと感じたルアナはアッコ達に近寄る事はせずに部屋が用意されるまでまた1人でぶらぶらと探索を始めるのであった。

 

 

 

 

 

「なんとか仕上がったな・・・・・」

 

 

ベッドに倒れ込むようにそう呟く。

部屋は夕方頃に用意されたのだが、なかった場所に急遽作成されたらしく不安定な状態であった。

しかし、先生方が離れたのを確認すれば自分の魔法で微調整して仕上げる事が出来た。

 

 

部屋の場所は、西寄宿舎の3-4らしい。

他の部屋では1部屋3人と言う構成である。

ひと段落して落ち着いたのか窓の外に目をやるともう日が沈んだ後であった。

 

 

 

「割と時間かかっちゃったな・・・・・ってか、落ち着いたらお腹すいたな」

 

 

 

ベッドに仰向けになってそう呟いた。

すると不意に部屋をノックする音に上半身を起こす。

 

 

 

「はい、どうぞ」

 

「おっ邪魔しま~す!!!!」

 

「ア、アッコ!?!?」

 

 

 

バンッと扉が開いたかと思えば、目の前に現れたのは満面の笑顔のアッコ。

そして、後ろから続いて眼鏡の女の子と左目を隠したロングヘア―の女の子がやって来た。

 

 

 

「えっと・・・コレはどう言う状況なのかな?」

 

「す、すみません!!私達アーシュラ先生にこちらを差し入れしてあげてって言われてて・・・・・」

 

「コレは・・・今日の晩御飯かな?」

 

「クリームシチューにパン・・・おかわりはないよ」

 

「足りない分は自分で何とかするよ」

 

 

 

食事の乗ったトレーを受け取ると近くのテーブルに置く。

ルアナは、とある木箱からウィンナーと小ぶりのフライパンを取り出した。

するとフライパンの上にウィンナーをばら撒くと指をパチンと鳴らす。

 

 

 

「炎・・・!?えっ、何処からっ!?」

 

「今の・・・無詠唱で・・・」

 

「アタシは魔女でもちょっとみんなとは構造の違った魔女なのさ。えっと・・・・・」

 

「あっ、私はロッテ・ヤンソン!」

 

「スーシィ・・・スーシィ・マンババラン」

 

「私はカガリ・アツコ!!アッコって呼んで!!」

 

「そっか!アタシはルアナ・フランベルジュ、よろしく~」

 

 

 

自己紹介を済ませると今度はギュッと拳を握りしめると炎が消えた。

そんな光景を目の当たりにした3人からは驚愕の声があがる。

 

 

 

「ねぇねぇ!!今の魔法ってどうやってやったの!?」

 

「魔素を利用したんだよ」

 

「魔素って言えば空気中にごく微量に漂う特殊な粒子の事・・・だよね」

 

「ほほぅ・・・ロッテは自然魔法学に詳しいんだね」

 

「じ、実家が魔法道具屋を営んでいて・・・その時に多少耳にした程度なんだけど・・・・・」

 

「いや、合ってるよ。アタシはそれを体内に吸収して魔力に変換し、魔法が使えちゃうって訳」

 

「・・・体内錬成か、面白い」

 

「現在ではかなり少数の魔女しか出来ないみたいだけど、昔はアタシみたいな魔女も多かったんだ」

 

「ねぇねぇ!!それって頑張ったら私でも出来ちゃったりするのかな!?」

 

「それは・・・アッコ次第じゃないかな」

 

「今のが私にも出来るようになったらもっと輝けるかもしれないじゃん!!くぅぅぅぅ!!」

 

 

 

4人が話に夢中で盛り上がっているとノックと共に扉が開かれた。

すると部屋に入って来たのは、ランタンを持ったフィネラン先生であった。

 

 

 

「こんな場所でなにをしているのですか?」

 

「げっ!?フィネラン先生」

 

「ミス・カガリ!!その言い草はなんですか!!」

 

「フィネラン先生、そんなに怒らないでください。彼女達を呼び止めたのはアタシなんですから」

 

「えっと・・・そ、そうだったんですね。私もついカッとなってしまいました・・・しかし、消灯時間も過ぎておりますので早くお休みなってくださいね」

 

「はい、見回りご苦労様です」

 

 

 

軽い注意だけを残すとフィネラン先生はそそくさと部屋を後にする。

残された4人も時間を確認すると夜が遅い事に気付いた。

 

 

 

「もうこんな時間・・・早く寝なくちゃ!」

 

「そうだね、またいつでも話は出来るから」

 

「・・・・・明日は始業の儀式か」

 

「じゃあルアナ、また明日っ!!」

 

「みんな、おやすみ~♪」

 

 

 

3人が部屋から出て行った後大きく背伸びをするとまたベッドに仰向けに倒れた。

 

 

 

「本当にルーナノヴァに来て正解だったな・・・とある調べモノの為に来てみたけど、これはまた色々と楽しめそうだ」

 

 

 

横目に見える一冊の本を見てふふっと笑うとそのまま静かに眠りにつくのであった。

 

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