リトルウィッチアカデミア~闇の魔女と11'sウィッチ~ 作:宣伝部長
「ホルブルック校長・・・お聞きしたい事があるのですが、少々お時間宜しいでしょうか?」
「まぁ~フランベルジュさん!!どうしたのかしら~私で良かったらなんでもお聞きしますよ~♪」
「それでは・・・こちらを確認して頂いても宜しいですか?」
笑顔で迎えるホルブルック校長に対してルアナはとある1枚の紙を机の上に置いた。
そこに書かれていたのは、『ルーナノヴァ献立表』と書かれていた。
ホルブルック校長はそれを手に取り内容を確認しながらチラッとルアナの顔色を窺っていた。
「そちらに記載されているのが、今週の献立みたいなのですがなにかお気付きになりますでしょうか」
「え、えっと~・・・どうでしょうかねぇ~・・・・・」
「月曜日、じゃがいものガレット。火曜日は、ジャーマンポテト。水曜日は、クリームポテトシチューとパン。木曜日は、ハッシュドポテト。金曜日は、ポテトグラタン。」
「ポ、ポテト料理がいっぱいねぇ~・・・・・」
「入学前から経営難だと言うのはお聞きしていましたが、これほど危機的状況だとは思いもしませんでしたよ」
この数日でルーナノヴァの現状を再確認したルアナは腕を組み頬杖をして考える素振りを見せる。
育ち盛りでもある魔女達にこの食生活を続けさせるのは、非常に悪い事だと思ってルアナは立ち上がったのだ。
「全生徒に協力をお願いしてルーナノヴァで改善して欲しい所のアンケート調査をしたんですが、1番多かったのが食に関することが多いようです。昼食もそうですが、購買部での品揃えも悪いと不満の声が届いています」
「・・・・・う~~~ん」
「ホルブルック校長・・・このままだと不満を持った生徒が増えてしまい、ストライキ・・・いや、最悪の場合だと退学もありえるかと」
「それは・・・いけませんねぇ~」
ルアナの一言一言に顔色が悪くなっていくホルブルック校長。
しかし、ルアナはバンッと机に手を付くとグイッとホルブルック校長に顔を近付ける。
「悩んでる場合ではありません!ここで動かなければダメなんです!食材の件はアタシが何とかしますので、購買部の件は教師の皆様にお任せしてもよろしいでしょうか?」
「で、でも・・・生徒であるルアナさんにやらせるのはちょっと・・・・・」
「問題ありません。アタシがこのルーナノヴァに来た理由の1つに今のルーナノヴァを再建すると言う目標もありますので、どうぞ気兼ねなく御頼り下さい」
「まぁまぁ・・・そんなにこのルーナノヴァを大切に想ってくださっているのね♪わかりました!!私も全力で今のルーナノヴァを再建させる事をここに誓いましょう!!それではこの件とこれからの事も他の先生を集めて改めて話し合ってみるわねぇ~♪」
「・・・わかりました。まだ入学したばかりのアタシの話を聞いてくださってありがとうございます」
「いえいえ!これからも期待していますよ♪」
「はい、それでは失礼いたします」
会釈をして部屋を出たルアナは考えていたプランを実行に移すのであった。
「手伝ってくれる生徒が欲しいって伝えたけど、いつものメンバーになるんだ」
「聞いてよ、ルアナ!!今回はなにも悪い事してないのに選ばれたんだよっ!!これっておかしくないっ!?」
「あはは・・・まぁ、アタシ的には指示をしやすいメンバーだから助かるんだけどさ」
「それで・・・アタシらはここでなにやらされんだ?」
「なにって・・・畑作りだよ」
「「「畑作り???」」」
カフェテリアの外周に集まったアッコ、ロッテ、スーシィ、アマンダ、コンス、ヤスミンカ。
6人はフィネラン先生に言われてこの場所に集まったのだと言う。
何をするかも聞かされていなかったのか、ルアナの言葉に首を傾げていた。
「毎日ポテト生活を阻止するための第一歩だ。みんな、手伝ってくれるだろ?」
「おっもしろそぉ~♪やろっ!やろぉ~!!」
「まぁ・・・あのポテト生活から逃れられるならやるっきゃねぇよな!」
「・・・・・・・・・・」
「さんせ~い♪」
「他の料理も食べてみたいし、私も手伝うよ!」
「イ~ヒッヒッヒッ・・・毒キノコとか栽培するのもいいかもね」
「そうと決まれば二手に分かれて作業をするんだけど、コンス!こう言うの作れたりしないかな?」
「・・・・・・・・・・っ!!」
そう言ってルアナが計画書を見せるとコンスは今までにないくらい目を輝かせているのがわかった。
「おっ、やる気満々って所か・・・期限はどれくらい掛かる?」
「・・・・・・・・・・」
「そうか、3日で出来るなら上々!ロッテ、スーシィ、ヤスミンカの3人はコンスのお手伝いをお願い」
「任せてっ!」「ほ~い」「ふんっ!!」
「それじゃあよろしく~♪」
そう言って4人を見送った後に振り返るとアマンダが嫌そうな顔をしていた。
「ど、どしたの?アマンダ」
「い~や~・・・アタシ達はルアナにこき使われるんだろうなぁ~って思ってよぉ~」
「なんでそうなるのよ、用意しているモノがあるから正門から運んで来てくれない?」
「へいへ~い、行くぞ~アッコ」
「ちょっと待ってよ、アマンダ!!」
ダルそうに歩くアマンダの横をアッコはなにやら盛り上げようと会話をしている素振りが見えた。
1人になったルアナは白い粉を片手に畑の範囲を決めていた。
「小さ過ぎず大き過ぎず・・・って所かな・・・。さてと、いっちょやりますかっと!!」
手に付いた白い粉をスカートではたくと親指で鼻先をはじきニィッと笑う。
「ふうぅぅぅぅ・・・・・っ!!はあぁぁぁぁっ!!!!!」
両手を地面に付けてから大きく深呼吸をした直後に大声でルアナが叫ぶ。
しばらくすると先程の白い粉で範囲を決めた場所の土を大きく隆起させたのだ。
しかし、それは維持されずにその場には掘り返された土だけが残っていた。
「はぁ・・・はぁ・・・これで耕すのはオッケーかなぁ~」
「驚きましたわ・・・ルアナがそんな大それた魔法を扱えるだなんて・・・・・」
額に流れる汗を拭いぺたんと座り込んだルアナ。
いつの間に来ていたのかダイアナ達が先程の魔法を目の当たりにしたのか目をぱちくりとさせていた。
「こう見えて四大魔法は扱えるし、上位魔法もある程度扱えるんだ」
「・・・初耳ですわね、ルアナとは長い付き合いだとは思っておりましたのに・・・・・」
「それはアタシがあまり火属性以外の魔法を使わなかっただけだよ」
「それならどうして火属性以外あまりお使いにならないんですの?」
「あぁ・・・魔法相性だよ」
ルアナの言葉にハンナとバーバラは小首を傾げる。
しかし、ダイアナは腕を組み口元に手を当てると気難しい表情を見せる。
「簡単に説明すれば、人それぞれには適正な魔法属性があるんだ」
「適正な魔法属性・・・ですか?」
「そっ!ちなみにアタシの適正魔法は火属性。この場合だと火属性の魔法を扱う時に使う魔力は少量で済むんだ」
「・・・だとすれば、適正でない属性の魔法を扱えば普通以上・・・いえ、倍以上消費してしまうケースも出てしまうと・・・」
「さっすが、ダイアナ!その通りだよ♪アタシはみんなとは違って魔導石から魔力を貰わずに自分の体内にある魔素を消費しているから身体に影響が出るんだ」
ごそごそと腰元からたばこのようなモノを1本咥えるとしれっと人差し指から炎を出して火を先端に灯すとルアナは一服し始めたのだ。
「貴女・・・どうしてそんなモノを・・・・・?」
「んぁ?あ、あぁっ!!こ、これはアタシの作った『マジックシュガレット』って言って魔力補給アイテムなんだよ」
「・・・・・信じ難いですわね」
「ほ、本当だって!最近では世界の魔法道具店に商品として販売されているんだから」
「バーバラ!それって・・・・・」
「あっ・・・!?もしかして・・・・・」
「2人共なにかご存じなんですの?」
「えぇ・・・それも購買部の商品の改善をされていたみたいなんですけど、その時に丁度先程のマジックシュガレットの名をお耳に入れましたので・・・・・」
「・・・・・ふぅ、2人がおっしゃるのなら満更ウソではなさそうですね」
「ははっ・・・・・アタシってそんなに信用性ないのかねぇ~」
「ルアナ~持って来たぞぉ~」
アマンダの声がしたかと思えば、荷車になにかを乗せて正門からアマンダとアッコが帰って来た。
「あっ!ダイアナもルアナのお手伝いに来たの?」
「・・・・・えぇ、まぁ・・・」
「ルアナ!持って来たのはいいけど、コレってなんなんだ?」
「それは魔素を含んだ肥料だよ。普通の肥料とは違って約10倍くらいの性能を秘めている代物みたいだって聞いてるよ」
「本格的ですわね」
「まぁ、やるからには本気でやらないとね!アッコ、アマンダ、ダイアナで肥料を撒いてくれる?ハンナとバーバラはアタシのお手伝い・・・おk?」
「もぅ・・・わかりましたわ」
「はい!ルアナ!!」「わかりましたわ!」
こうして畑作り作業が始まり・・・・・一週間が経過した。
「コレを短期間で仕上げるとは驚きですね」
「ほんっとうに・・・ルアナさんには頭が上がりませんねぇ~♪」
呼び出されたホルブルック校長とフィネランは完成された施設に感心していた。
そこにはビニールハウスが4つ並んでおり、外の看板には『春』『夏』『秋』『冬』を記載されていた。
「あっ、お待ちしていました」
「フランベルジュさん!コレは凄いわねぇ~こんな短期間でここまで仕上げられるなんて驚いたわぁ~♪」
「いえ、この成果は自分だけのモノではなく仲間の力あってこその賜物だと思われます」
「そうねぇ~・・・他のみんなは何処に居るのかしら?」
「今はチェック作業をしてると思いますから案内します」
そう言って『春』の札の刺さったビニールハウスに3人は入る。
するとそこには辺り一面に植えられた野菜や果物が目の前に広がっていた。
よく見るとロッテとスーシィの姿もあった。
「こんなに立派なモノが出来るなんて・・・正直言って驚きの連続ですね」
「手前が野菜、奥が果物と言った感じに分けていまして・・・ここには春の季節が旬のモノを置いています」
「・・・と言うと年中四季折々の食材を楽しめると言う訳ですね」
「その通りです。各ビニールハウスごとに適性温度を維持して適度な日光を浴びさせて毎日1度だけあのようにチェック作業をしています」
ルアナが指をさした先にはバインダーにある資料を片手にチェック作業をするロッテとスーシィの姿があった。
「水やり、収穫、運搬などはコンスタンツェさんにお願いをして色々と作成してもらったのでかなり助かりました」
「これは・・・立派な機械ねぇ~♪」
「効率性を考えたらこれが一番良いとおもいましたので・・・」
「・・・・・ですが校長、こう言った代物は校則的に反しているのではないでしょうか?」
「それなら・・・この学園を変えようとする生徒の努力を無下にする・・・と言う事と受け取っても宜しいのでしょうか?」
「そ、それは・・・・・ですね」
鋭い目付きに変わったルアナからの一言にフィネラン先生はたじろいでしまう。
横で固唾を吞んで見守るホルブルック校長。
そして、離れてチェックしていたロッテとルーシィもビクビクしていたと言う。
しかし、その空気を割って入るようにバドコック先生がやって来たのであった。
「校長っ!!こ、こちらにいらっしゃいましたか!?」
「あらっ、バドコック先生。そんなに慌ててどうしたのかしら~?」
「せ、正門に見た事もない方々がお見えになっているんです!!」
「それは本当ですかっ!!校長、どういたします!!」
「・・・・・期限通りか」
慌てふためく先生方を尻目にルアナはそう呟くとビニールハウスから出る。
「(ダイアナ、聞こえるかぁ~?)」
「(念話でどうしましたの?)」
「(例のモノが正門に来たみたい・・・来れる?)」
「(わかりましたわ・・・検品が済み次第向かいます)」
念話を済ませると先生方が先に急ぐように前を走るのに対してルアナは頭の後ろで手を組みながら正門へと向かった。
「だ・か・らっ!!許可のないモノをそう簡単に通せないと言っているだろう!!」
正門ではネルソン先生が代表者らしき人物が揉めていた。
先に合流した3人の先生の登場にネルソンは待ってましたとばかりにホルブルック校長のもとに向かう。
「どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないですよっ!!いきなりコイツらがやって来てココを通して欲しいって言うんですよっ!!だから理由も無く通せないって言ってるんですけど、コイツらは指示通りに来ただけの一点張りなんですよっ!!」
「そ、それは困りましたねぇ~・・・・・」
「・・・・・ご苦労様」
わちゃわちゃとしている教師陣を横目にダイアナがすっと横を通り抜けると代表者に一言掛ける。
すると代表者はとある用紙をダイアナに確認させるとダイアナはその用紙に一通り目を通すと代表者からペンを借りてサインを済ませるのであった。
「こ、これは・・・一体」
「このままだと主食がないんじゃないかと思いましてちょっとしたコネを使ってサプライズプレゼントとして隠れてアタシ達だけで色々と進めていたんです。アタシは肉類を担当でダイアナは魚介類を担当したんです」
「・・・・・事情は解りました。それで、この方達が持ってこられたのはなんなのですか?」
「そりゃあ・・・もちろん、食材提供ですよ♪」
「・・・と言いましても新鮮なモノをそのまま頂くとなれば金銭面敵に厳しいと考え、世界中のお世話になっています店舗にお声掛けをして売れ残りのような品物ははないか・・・・・と」
「それで集まったのが・・・この量と言う訳です!!」
話している間にも大型トラックからは沢山の商品が運び込まれており、教師陣は口をあんぐりとさせていた。
「・・・だとしても、この量はお金が掛かるんじゃないかしら・・・・・」
「通常よりは状態の悪いモノが多いので全体的には半額以上のお値段での契約で了承を得ています。また請求時に要相談も可能らしいですので、その時は先生方にお任せ致します」
「ですが、こちらの支給は月に一度だけのご利用になりますので、使い過ぎてしまうと追加分は来ないので利用は計画的にお願い致します」
「こ、この食材の数々があれば我がルーナノヴァの経営難も少しは解消するでしょう!!」
「短期間でこの対応力・・・・・見事としか言葉が見つかりませんね」
すると教師陣と代表者が今後の事を話し始めたのである。
眺めていたルアナとバーバラではあったが、作業を終えたのかアッコ達も揃って正門にやって来たみたいである。
「おいおい、こりゃあまたなにか大きなパーティーでもおっぱじめるつもりか?」
「まぁ、明日からのディナーが豪華になるのは確かってとこかねぇ~♪」
「美味しいモノ・・・いっぱい食べられるのはしあわせぇ~♪」
「そうだよね!!もうポテト生活からはおさらばなんだもんっ!!」
「それにしても・・・コレをすべて手配したのってルアナなんでしょう?どうやってこんな大きな事出来ちゃったの?」
ロッテの率直な問いに対してふとその場に居たメンバー全員が視線をルアナに向けた。
そんな熱い視線に対してルアナはとあるタブレット端末をみんなの前に見せた。
「このタブレット端末に世界のすべての取引先の情報が収集されているんだよ。自分も今では一経営者だからねぇ~・・・ここに入学する前は世界を旅しながら色々と従者を連れ回して情報収集に明け暮れてたんだよ。すべての商業を・・・ねっ♪」
「私も最初は冗談だと思ってはいましたが、その端末の中身を確認させてもらっては信じざるを得なかったですわ」
「ダイアナが言うんですからルアナは本当に凄いんですわね!」
「ルアナの事だと本当に嬉しそうですわね、ハンナ~♪」
「そ、そそ、そんな事ありませんわ!!」
賑わう最中にふとミランダがキョロキョロとし始めたのである。
「・・・・・と言うかよ?スーシィの野郎いなくねぇか?」
「あっ!!確かに・・・ロッテ!一緒じゃなかったの?」
「う~ん・・・途中までは一緒だったんだけど、忘れ物を取りに行くとかで戻って行ったような・・・・・」
「あぁ~・・・大丈夫じゃないかな?スーシィって時々なに考えてるかわからない事あるし・・・ねっ?」
「それもそっか!じゃあ昼ご飯でも行こうぜぇ~!!」
「賛成、賛成♪」
ぞろぞろとカフェテリアに向かう一行。
しかし、ルアナはホッとしたように胸を撫で下ろしたのであった。
ココはとある地下施設。
真っ暗闇の中に1人・・・スーシィの姿があった。
「イーヒッヒッヒッ♪ルアナにダメもとでお願いした甲斐があったって訳さ!!」
目の前に広がるのは世界各地に生息している毒キノコの数々。
それを目の当たりにしているスーシィの表情は、恍惚としているかと思えばゲスの極みと言わんばかりの表情になって不気味な高笑いが響き渡るのであった。