ガンダムビルドファイターズトライの世界でがんばる話   作:キャプテンキャップ

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   1

 

 

 

アムロ@いっきまーす

@amuroikiiki

 

・素組みオンリー。

・ガンプラのグレードは何でもOK。

・武器は一切禁止。武器はパンチとキック。関節技などはOK。

・ただし、シャイニングガンダムに代表される格闘戦を得意とす

るガンプラは禁止。

・それ以外のガンプラでの格闘戦。

・1vs1希望

・場所は○○県○○市

↑来れる人でこの条件で対戦OKな方を募集します!

   ◌1    ↺22    ♡35    ✉

明日はショータイム @showtime・30秒

返信先:@amuroikiiki

 

俺でよければ対戦を申し込みたい。

どうだ?

   ◌     ↺    ♡6    ✉

アムロ@いっきまーす @amuroikiiki・11秒

返信先:@showtime

 

もちろんOKです!

ありがとうございます!

   ◌     ↺    ♡2    ✉

 

 ツクートに返信をくれたのはショーさんという人で。

 このあとDM(ダイレクトメール)に切り替えてやり取りしたところ、ショーさんは同じ市内に住んでいるらしく、マイカーを所持しているので対戦場所はこちらに一任してくれるという。なのでプラモ屋『茨の園』を指名。向こうもそれを承諾。

 続いて詳細を詰めていく――んだけど、立ったままっていうのも何だったので積みプラ棚の前から机へと移動して座る。

 んで決まったのが次の通り。

 

 ・ガンプラは完全素組み。接着、ヤスリ掛け、デカールやシールを貼るのも禁止。二度切りはOK。

 ・対戦場所はプラモ屋『茨の園』。

 ・日時は来週の土曜日、13時までに現地集合。

 ・13:30からガンプラバトル。

 ・試合時間15分の1本勝負。

 ・ダメージ度は『C』設定。

 ・双方に余裕があれば何試合か行う。

 

 こんなところ。

 1番目の接着うんぬんは、向こう(ショーさん)の話を聞いて俺が提案したもの。どうやらショーさん、ガンプラを殆ど作ったことがないらしく、これからガンプラを買ってきて作るらしい。

 ショーさんは恐らく――というか絶対に俺以上のズブの素人だと思うんだ。GPベースでのスキャニングはデカールやシールでも評価が上がるから、少しでも工作面での評価値を揃えたい。そうじゃないと俺のしょぼい腕でも性能差が出てしまうと思ったんだ。

 本体の製作評価? そっちはどうしようもないので無視。一応、二度切りって知ってますか? ってきいたら「?」が返ってきたから、やり方を分かりやすく教えている動画のURLをいくつか教えたけど……大丈夫かなぁ?

 というか聞く感じ全然ガンプラに興味なさそうだったけど、そんな人がなんでバトルをしようと思ったんだろ? 動画かなんか見て興味持ったのかも?

 あと最後の余裕があれば何試合かやるっていうのは、時間もそうだけど、ガンプラのダメージ(痛み)具合を見てからっていうのもある。いくらダメージ度『C』といってもパーツはそこそこ痛むからね。ポリキャップが緩むっていうのが一番多いみたい。なので双方のガンプラの調子を見ながらやろうって話になった。

 なんにせよ、来週がでーじ(すっごい)楽しみやっさー!

 さー、作るぞー。今回は(なっに)にしーよぉっかなー♪

 

 

 

   2

 

 

 

 俺は机から積みプラしている棚の前まで戻り、腕を組み組み悩む。

 今回は格闘戦だ。しかも武器が禁止の純粋な肉弾戦。

 攻撃手段は、蹴って殴って掴んでぶん投げる。ただそれだけ。

 なんともシンプルだ。もちろん武道に明るければもっと複雑なこともできるだろうけどさ。この世界の主人公、カミキ・セカイの次元覇王流のようなトンデモ拳法だったり、イズナ・シモンのようにボクシングスタイルでデンプシロールだって決めることができる。……いやデンプシロールしてたのはセカイの兄弟子、イノセ・ジュンヤだっけ?

 あの人も半端ないよなぁ。デンプシーからの八極拳3コンボ。お前はどこのバーチャファイターだ。でも八極拳は憧れちゃう。だって男の子だもん。特に()書文(しょぶん)が興した李氏八極拳。はっさもー「二の打ち要らず、一つあれば十分」とか超言ってみたい!言われたい! ……え、李書文も李氏八極拳も知らない? あぎじゃびよい(なんてこったい)、だったら『拳児』っていう漫画を読むといいさーねー。面白いし、時おり図解入りで八極拳の技を説明挟んでくるから、きっと真似したくなること請け合い。

 ……まあ、この世界に『拳児』があるか分かんないけど……。きっとあってたとしても『拳児』そのものじゃないんだろうけど……。この辺は長くなるからまた今度。

 

 おっと、話が思いっきり脱線した。

 ともかく、俺に武道の心得はないので、攻撃は殴ると蹴るが基本になる。

 このことを踏まえてガンプラを選ばないと、きっと文字通り痛い目を見る。

 

 であれば頑丈さで選ぶか? ZZ(ダブルゼータ)とか、クスィーガンダム……はあの大きな肩が格闘戦では邪魔になりそうか。

 逆にヒット&ウェイを狙って機動力でいくってのも王道だよねぇ。(ゼータ)系に(ウィング)(スペリオル)、イフリート改等々……枚挙に暇がないけど、やっぱ元祖ヒット&ウェイ機体と言えば、ジムライトアーマーでしょ。あとは変わり種でフルアーマーガンダム? 装甲マシマシの重量マシマシで機動力低下ぁ?だったら推力もマシマシにすれば釣り合い取れるでしょ、増設増設ぅ。の結果、なぜか素の状態よりも推力が増大しているっていうトンデモ機体。

 

 ふむん。前回はファーストから選んだから、今回はそれ以外の作品からチョイスしようかなあ。と言っても、宇宙世紀モノが好きだから今回もそっちから選ぶんだけど。

 頑強さで選ぶか、機動性で選ぶか……よし、機動性で選ぼう。

 蝶のように舞い、蜂のように刺す。足で敵をかく乱し、隙をついて懐に入り込む。

 そんなヒット&ウェイに誰しも一度は憧れるよね。

 ってわけで、機動性に富むMSを選ぼう!

 

 ん~……――――ぃよっし! 今回はこれ!!

 

 俺が選んだのは『MG 1/100 MSA-0011 Sガンダム』!

 2002年10月に発売された、6,000円越えの大型キットだ。あ、その後に発売されたEx-S(ィクセス)とのコンパチ仕様のとは違う、旧キットのほうね。

 

 (スペリオル)ガンダム――

 試作MS、MSA-0011 Sガンダム。頭頂高21.73m。本体重量38.4t。

 武装はビームスマートガン、ビームサーベル×2、頭部バルカン砲×2、頭部インコムユニット×2、バックパック搭載の大口径ビームキャノン×2。

 Zプロジェクトから産まれた機体の1つで、分離合体可変機構(きこう)をもつMSだ。

 オプションの兵装も豊富で、状況に応じて兵装を選択できるのも魅力の一つだろう。

 また、ALICE*1と呼ばれる人工知能を搭載している。

 ND(ニューディサイズ)討伐のために編成されたα任務部隊に配属されたガンダムタイプの一機。

 メインパイロットはGコアのリョウ・ルーツ少尉。Gアタッカーにシン・クリプス中尉、Gボマーにはテックス・ウェスト少尉が搭乗。

 後にNDとの最終決戦で機体をロスト。パイロットは無事脱出を果たしている。

 

 ってのが、Sガンダムの簡単な概要だ。

 んでもって、このキットには残念ながら腰部ビーム・キャノンは付いていない。前世では買ってから知ってショックを受けたっけ。代わりに量腰に装備するのは、エネルギーサプライ/サポートユニットだ。これはビームスマートガンと連結するパーツだな。

 

 というわけで、コイツを来週までに作ってくぞー。

 今回はデカールもシール張りもないからな。パパっといきまっしょい!

 机の上に置いた箱を開けて、ふんす!と気合を入れて製作開始ー! まずは説明書通りに腕からだー!

 ……あ、そういえばこのキット、ビス(ねじ)を使ってるんだった。ドライバー、ドライバー……あった! んじゃ作ってくぞー。

 

 ふむふむ……ほうほう……なるほどねぇ……――――っは!?

 

「解説読んでる場合じゃない!」

 

 ……思わず手をとめて説明書にある解説を読みふけってしまうのはしょうがないと思うんだ。

 製作再開ー。

 でもこれ、最近のMGの説明書に解説イラストが付いてないんだけど、復活してほしいなあ。とまたもや手を動かしつつ思考が脱線。

 あと初期と後期ではイラストの質(?)がちょっと違うんだよね。*2

 初期のイラストは凄くリアルに描かれているのに対して、後期はちょっと簡素化されている感じ。あと、ポリキャップやピンの部分に相当する箇所を、その意匠を残しつつメカニカルに見えるようディティールを施しているのが、後期イラストの特徴だと思う。でも初期のころのイラストの方が個人的には好みだったなぁ。

 Sガンダムの説明書イラストは、後期に入ると思う。

 とまあ思考を脱線させつつも手は動かし続けている間に、両腕完成!

 足は明日作るか―。

 対戦は一週間後だし、あわてぃーはーてぃー(焦って)する必要はないさーねー。よんなーよんなー(ゆっくりゆっくり)行きまっしょい。

 

 

 

   3

 

 

 あっという間に次の週の金曜日。対戦日の前日になった。

 今は給食終わりの休み時間。お腹いっぱいになった俺は、前の席の友人、大林陽翔(はると)――ハールーと話に花を咲かせていた。

 

「んじゃあ、もうバトル用のガンプラは完成してるってわけだ?」

 

「もちろん。GPベースにも登録済みー。ってか明日が試合なのに今完成してないとかヤバいでしょ」

 

 俺が呆れたように言うと、ハールーはニカっと歯を見せながら「そりゃそーだ」と笑う。

 てかこの一週間、Main(マイン)*3で俺の進捗をしょっちゅう聞いてきたのハールーでしょうに。

 

「で? 相手の……何て人だっけ。その人も完成させてるのか? ガンプラに関しては素人っぽいんだろ?」

 

「ん、ショーさんな。俺もそれが気になっててさ、Sガンダムが完成したときにショーさんに聞いたんよ。こっちは完成しましたけど、そっちはどーですかー。って」

 

 試合当日に何かあった時のために、電話やMainのアドレスなどの連絡先は交換してたからな。Mainで聞いてみたのさ。

 

「そしたら、もう完成させたよって返事が来た」

 

「へぇ、素人のわりに作業が速いな」

 

「多分だけど、比較的簡単に作れるHGUCを選んだんじゃないかな。買うとき店員に相談するみたいなこと言ってたし」

 

 もしくは誰かに作ってもらうとか。そう説明すると納得したハールーだったけど、ふと疑問に思ったらしく、口を開いた。

 

「そもそもガンプラ素人らしいショーって人、なんでまたガンプラバトルをしようと思ったんだろうな?」

 

「それは俺も気になったけど、直接聞くのもどうかと思うし。多分テレビとかで試合見て、純粋にガンプラバトルに興味持ったんじゃない?」

 

 ガンプラバトル専用チャンネルとかあるし、そうでなくても、毎日どっかのチャンネルでガンプラバトルが取り上げられてるくらいにはメジャーなんだし。ネットの動画サイトともなれば、ガンプラバトルで検索すれば日本だけでも何百万ってヒットする。

 そんなモンスターコンテンツなんだから、今まで興味がなかった人でもテレビや動画をきっかけに興味を持ったとしても不思議ではないと思う。

 

「もしくはガンプラバトルはおまけで、格闘技の修行の一環だったりしてなー。去年の全国大会の『中高生の部』で優勝したチーム『トライファイターズ』のカミキ・セカイも、確か自分の習っている拳法の修行になると思って始めたんじゃなかったっけ?」

 

 そうインタビュー記事で読んだともらすハールー。

 

「おお、その発想はなかったなぁ。んでも、それってかなり特殊なんじゃないか?」

 

 ……あ、いやでも。セカイの兄弟子であるイノセ・ジュンヤも似たような動機だったっけ。ハールーが「そこんとこどうなのさ」って聞いてくるけど、んなもん知らんし。ショーさんも別に格闘技経験者って言ってないのよね。ショーさんの『ツクッター』でも別に触れられてないし。

 

「というかあの人殆ど呟いてないから分からん」

 

「そっか」

 

 ショーさんの『ツクッター』を眺めながら言うと、ハールーから気のない返事が返ってきた。

ちらりと見ると、ハールーも端末で何か見てた。もしかしたら向こうもショーさんの『ツクッター』を見てるのかも。そう思いつつ視線を端末に戻す。視界に映るのはショーさんの『ツクッター』画面。

 

明日はショータイム
  
⚙ ✉ フォローする

@showtime

 

 大学生

 連絡用に作った

 

 41ツクロー   41ツクロワー

 ツクート
   ツクートと返信   メディア
 いいね 

 

 ……うん、何度見てもシンプルな画面だなぁ。

 リツクートしてるのも通っている大学が発信しているものが殆どだし……って、うん?

 

「明日はショータイム?」

 

「どうかしたのか? レン」

 

「いや、なんか引っかかって……」

 

 俺の歯切れの悪い返答にハールーが首をひねる。うん、気持ちはわかる。俺も何に引っ掛かたのかよく分からないんだから……。

 というか、明日はショータイムのどこに引っかかったんだろう?

明日はショータイム――あしたはしょーたいむ――あしたはしょー……あしたのしょー……あしたのじょー……あしたのジョー!?

 

「あしたのジョーだこれぇ!?」

 

「急になんだ!?」

 

 いきなり叫んだ俺にハールーがぎょっと体をのけぞらせ、クラスメイトたちも何事かとこっちをみてくる。

 

「あしたのジョーだよ!」

 

「あしたのジョー? なんだそれ? それを言うなら『()()()()()()()()』だろ。……ああ、でも確かにこの、明日はショータイムって、あさってのジョウをもじってるっぽいなぁ」

 

 あしたのジョーではなく、あさってのジョウ。

 これはハールーがボケていたり覚え違いをしているのではなく、()()()()()()()()()()()だというだけ。

 前に言った『拳児』がこの世界にあるか分からず、あっても似たようなものしかないと言ったことにも繋がる話なんだけど。

 この世界には、前世ではお馴染みの漫画やアニメが何一つない。正確には、あるにはあるけど、似たような作品がある、だな。

 例えば『プリキュア』。こっちだと『プリティア』。

 例えば『ドラゴンボール』。こっちだと『ドラグーンボール』といった具合だ。

 (あわ)せて登場人物の名前もちょっと違うけど、相違点はその辺だけで内容はほとんど変わらないんだけどね。

 なんでそうなってるのかと言えば、恐らくだけどこの世界が『ガンダムビルドファイターズ』シリーズの世界だということに大いに関係していると思われるんよ。

 いわずとも『ガンダムビルドファイターズ』シリーズは、元はテレビアニメだ。

 タイトルに『ガンダム』と冠しているので、ガンダムシリーズのタイトル名やMS・MAの名前は出てくるけど、それ以外のアニメの名前は当然、出てこない。

 なぜか。

 さっきからメタ的な発言になるけど、著作権の問題だ。

 ガンダム関連の作品に、他作品をそのまま出すのはハードルが高いだろう。では出す場合には? それは他アニメや漫画でも多用されている手法を使えば解決だ。

 その解決方法とは――パロディ化だ。

 他作品のタイトルやキャラそのものではないけど、ニュアンスで何となく伝わるタイトル名にキャラ名。

 やりすぎると『銀魂』アニメのように色々と問題も出てきそうだけど。まあその時は、次のシーズン冒頭で謝罪会見を開いて「反省してまーす」といえばきっと許される……と思う。(個人の感想です)

 アニメ本編ではガンダムシリーズ以外の他作品のパロディは使われてなかったと思うけど、もしやるとしたら同じ手法が採られていたんじゃないかな。その結果がこの世界で、さっきハールーが言った『あさってのジョウ』だ。

 タイトルは違うし登場キャラの名前も違うけど、内容はほぼほぼ一緒。最終回での名言も一緒なら声優も同じだ。違うのは本当にタイトルとキャラ名だけだ。

 前世の記憶を持つ俺には違和感だらけだけど、『ガンダムビルドファイターズ』の世界が現実になったこっちでは、『あしたのジョー』ではなく『あさってのジョウ』が本物なわけで。

 つまり何が言いたいかというと――

 

「「ショーさん絶対ボクシング経験者だわ」」

 

 俺とハールーの言葉が重なった。つまりはそういうことだろうなぁ。

 

「……あれ? ショーさんがボクシング経験者だったと仮定して……俺って勝てるの?」

 

 なんかボコボコにされる未来しか見えないんだけど。

 

「ニュータイプでもないのにそこに気づいたか」

 

「いやニュータイプじゃなくても気づくでしょ」

 

「まああれだ。ショーさんがボクシング経験者って決まったわけじゃないし。ただのあさってのジョウのファンなだけかもしれないじゃん」

 

 ハールーが適当な慰めの言葉と一緒に俺の肩をポンポンと叩いてきたけど……はっしぇ(あー)不安やっさー。

*1
Advanced Logistic & Inconsequence Cognizing Equipmentの略。意味は発展型理論・非論理認識装置

*2
個人の感想です。

*3
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