ガンダムビルドファイターズトライの世界でがんばる話   作:キャプテンキャップ

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   1

 

 

 

 ショーさんがボクシング経験者かもしれないと判明した翌日早朝。

 つまりは試合当日。

 はいさい(おはよう)! アムロ・レンです! 目覚めた習慣から興奮MAX(マーックス)

 集合時間の13時まであと2時間ほど。外は快晴、体調は万全! ふ、勝ったな。(根拠のない自信)

 アホなこと考えてないで、まずはご飯にしますかー。そのあとお風呂に入って出かける準備。そしたらいい時間になるでしょ。

 うちなータイム*1にならないよう、30分前には家を出るようにしよーっと。

 

 そんなことを考えながら、とてとて階段を降りて台所(キッチン)へ。

 自分が発する音以外のない、しんと静まり返った人気のない家の中。冷房が効いているのもあって、空気が青く感じるなぁ。お昼ご飯を求めて台所の冷蔵庫を開けば、『これが朝食だぞ息子♡』と付箋が貼られた幾つかのタッパーが目に入る。……すまん母さん、アラフォー女性のハートはちょっとキツイです。

 付箋を「ていっ」と剥がしてチリ箱*2へポイしつつタッパーの1つを取って中を確認。

 

「おお、沖縄そば!」

 

 他のタッパーも確認すれば、お(つゆ)、二等辺三角形にカットされたポークにかまぼこ、ネギ、紅しょうがが揃っていた。よしゃーい。

 ソーキじゃないのが残念だけど、あれは手間がかかるからね。用意してもらっている手前、贅沢は言わない。

 いそいそと鍋を用意してお汁を移し替えて温めて、その間に給湯器(ポット)からお湯をヤカンに入れて、そのお湯でざるに移した(めん)を流しで湯通しする。これで麺を適度に柔らかくしつつ油を落とすわけさーねー。

 あとはドンブリに麺を入れて、ポークやらを添えて、そこにお汁を注げばー? 沖縄そばの完成ってわけよー。まだ麺が硬そうだったらレンジで調整するんだけど……うん、大丈夫そう。

 そいじゃあテーブルに持ってって食べようか――っとそうだ。椅子に腰を落としたところで、この前母さんがアレ(・・)を作っとくって言ったなと思い出した俺は、下したばかりの腰を上げて、冷蔵庫の扉ポケットを見やる。……お、あったあった。

 探していたのはコレ。しょうゆ差しに入った、若干黄色味がかった透明の液体と(びん)の底に沈んでいる大量の唐辛子。

 そう、これは沖縄名物、こーれーぐすー*3だ!

 そばにかけるもよし! 豆腐やカレーにかけてもよし! な万能調味料、それがこーれーぐすー。

 色がそんなに付いてないから、まだ唐辛子が溶け出してきてないかなー? とは思うものの、まあかけてみれば分るかと思い席に戻る。

 んじゃま――

 

「いったっだっきまーす!」

 

 ぱん! と勢い良く手を合わせてから箸を取り、いざ実食。

 まずはこーれーぐすーを入れる前に麺を一啜り。うん、美味しい! 小麦粉100%の麺特有の味だな。*4次にお汁……うん、カツオのベースに豚骨が効いてて、安定のサ○食品、沖縄そばだし(白)濃縮タイプの味で、いっぺーまーさん(美味しすぎる)*5

 素で楽しんだ後は、こーれーぐすーの出番だ。辛いのが好きなので、ちょいちょいと()らすよりはドバーッと入れる。

 しっかりとかき混ぜてお汁にと麺にしっかりと馴染ませてー、かーらーのー……ずるるる!! 一気に啜る!

 唐辛子特有の辛さを泡盛のアルコールがしっとりと受け止めて、かつそれが程よく絡み合い、独特な味と辛さが舌と鼻を()して――

 

「ブフウゥゥーーッッ!!!!」

 

 ――刺してこない! 辛さの代わりに口内を蹂躙してきたのは泡盛のツンとした匂いと辛味。唐辛子の辛味なんて全っ然しないんだけど?! びっくりして吹き出してしまったじゃないか。お陰でテーブルの上が大惨事。

 

「げほ、げほ……ってかこれ、げほ! ただの泡盛じゃん!」

 

 (むせ)て涙目になりつつ、こーれーぐすーの入ったしょうゆ差しに目をやると……よく見れば付箋が貼られていて、そこには2日前の日付があった。どうやらまだ漬けたばっかりのようだ。なるほど、そりゃ唐辛子が溶け出してないわけだ。

 布巾(ふきん)でテーブルの上を拭いて、それを片付けるついでにこーれーぐすーを冷蔵庫へイン。くそう、酷い目にあったンガー。

 こーれーぐすーを入れたそばはこのままじゃ食べきれないので、勿体ないけどお汁だけ捨てて新しく入れ直してっと。

 気を取り直してずるるるー! んー、まだ麺にこーれーぐすー(というか泡盛)が絡んでいるような気がするけど……気のせいだな、ヨシ!

 

 沖縄そばを2杯ほどおかわりして気分も上々。いつもはしない鼻歌を吹かしながら入浴。血行が良くなったのか体はいつも以上にポカポカ。

 即興の演歌(?)を口ずさみながら身なりを整え、部屋から今日のバトルで使うガンプラ入りケースと、GPベースや財布などが入ったリュックを持ってきてリビングの時計を確認。

 12:10。

 集合時間は13時ちょうど。……うん、まだ50分()あるさーねー! ってことはよー? あと50分はゆっくりしても大丈夫だばーよー。慌ててもいいことないよー。狭い沖縄、慌ててどこにいく、ってね!(※沖縄じゃないです)

 いやー、なんかそばを食べてからでーじ(凄く)気分がいいなあ! いやさっさー!

 

 んでもっていつの間にか13時。そろそろ行きますかー! ヒック! ……しゃっくり出たー(笑)。

 

 

 

   2

 

 

 

「レンよ。集合時間は何時だ?」

 

「んー? 13時?」

 

「今は何時だ」

 

「13時16分だね」

 

「遅刻だ馬鹿者ーーー!!!!」

 

「どんまい!(笑)」

 

「遅刻した者が言う言葉ではないわ!」

 

 どうも、プラモ屋『茨の園』に着いた途端、デラーズさんに怒られているレンです。ウケる。

 

「ニヤニヤするな! 体をふらふらとさせるな! 怒られている自覚はあるのか!!」

 

「えー? ニヤニヤもふらふらもしてないよー? 怒られている自覚もあるよー」

 

 ただ気分がいいだけ―。ニコニコ笑顔で答えたら頭を抱えたデラーズさん。どしたの? ちぶるやみーしちょん(頭痛いの)*6

 

 眉尻を一層釣り上げたデラーズさんが怒鳴り声を上げよ(雷を落とそ)うと口を開いたところで待ったがかかった。

 

「その辺で勘弁してやれよ、おやっさん。子供はそのくらい元気があった(やんちゃな)方がいい」

 

 そう言ったのは、レジカウンターに背中を預けて目を(つむ)り、黙って俺たちの会話を聞いていた男。

 長袖の赤いシャツにカーキ色のパンツ。色褪せた黄土色のキャスハンチング帽を頭に乗せたその()で立ち。

 そして何よりも目立つその髪型。大きく前方へと張り出し、片目を隠すか隠さないかの絶妙な前髪はまるで習字筆のよう……というか説明に困るその特徴的な髪型!

 

「さてはアンタがショーさんだな! あいたぁ!?」

 

 名探偵よろしくズバーン!と男を指させば、俺の頭をスパーン!と(はた)くデラーズさん。ぬーが(なんで)!?

 

「初対面の人を指さす奴がおるか!」

 

「ここにいるぞー! ヒャック!」

 

 しゃっくり交じりに答えたらもう一発叩かれた。だからぬーがよ!?

 

「ハハハ! 構わねーさ、おやっさん。そうだ、俺がショー。伏木(フキ)(ショウ)だ」

 

 よろしくな。そう言って手を差し出してくるショーさん。フキ・ショーって、この世界の『明日のジョー』こと『あさってのジョウ』の主人公、吹矢(ふきや)(じょう)とほぼ一緒じゃん。流石アニメの世界。さすアニ。服装も似てるし、これ絶対ボクシングしてるよ。

 そう思いつつ差し出された手を握りかえす。ついでに自己紹介。

 

「俺がバトルを募集した安室(アムロ)(レン)です! 今日はよろしくでっす!」

 

「はは、本当に元気いいな。にしてもアムロ・レンか。ファーストの主人公みたいな名前で良いじゃないか」

 

「どうせなら同姓同名が良かったんですけどねー。そういうショーさんこそ、あさってのジョウの主人公の名前と似てるじゃないですかー。もしかしてボクシングとかやってます?」

 

 などとジャブを入れてみる。

 

「お、鋭いな。名前が似てるからか、あの作品には小さい頃から愛着があってな。()()()()()

 

 言って、拳を軽く握りこむショーさん。

 やっぱですよねー。

 ショーさんはニヒルな笑みを浮かべながらそう軽く言うけど、力の入ってないその泰然自若とした立ち姿(ポーズ)とかもの凄い強者感出てるじゃんあぎじゃびよ(ヤダ)ー。

 

「ほう……体つきからして何かしらの格闘技をしているだろうとは思っていたが、ボクシングだったか」

 

 顎をこすりこすり鋭い目でショーさんを観察するデラーズさんだけど……絶対分かってなかったと見た! だって強者感が全く無いもん。ただのポーズ、知ったかぶりだな!? ジトーっとデラーズさんを見てたら、それに気づいたのか俺からスイっと目を逸らした。ほらやっぱりー! 目を逸らすのは(やま)しいことがある証拠なんだぞー。ソースは警察24時間に出てた若大将刑事(デカ)。ヒック。……あの番組の刑事につけるネーミングってすっごい昭和感あるよね。

 

 

 

   3

 

 

 

「そんじゃーショーさん、そろそろバトルするー? ヒック」

 

「ん、そうだな……それよりもさっきから()()()()()しているけど大丈夫か?」

 

なんくるない(大丈夫)よー」

 

 サムズアップ! してみせるも、“なんくるない”が分からなかったみたいで怪訝な顔されたので、沖縄の方言で大丈夫って意味だよーって教えてあげた。いえい!

 

「へえ、沖縄の方言か。レンは沖縄出身だったのか、珍しい苗字だとは思ったけど」

 

「父さんがねー。俺は生まれも育ちもこっちだよー」

 

 だから方言もそんなに多く知らないし、なんなら使い方も間違えてるかもしれないまであるよ。ヒックぃ。

 

「……レンよ。本当に大丈夫か? 今日のお前は何というかこう……アホっぽ――いやさヌケて……陽気にすぎると思うのだが」

 

「言い直そうとした()()()が微妙に隠せてないよデラーズさん」

 

「しかも呂律が怪しいときた。ころばではなくて言葉だろう」

 

「ただ噛んだだけだよー?」

 

 それでも心配そうにみてくrつ(見てくる)デラーズさんとショーさんに、とにかく大丈夫なの! 今日が楽しみすぎてちょっとテンションがおかしいだけだから! と強弁したら一応納得してくれたので、店の奥にあるガンプラバトルブースに移動。ショーさんはカウンターの上に置いていたズタ袋を背負ってついてきた。

 ほらほら早く早く、ハリーハリー!

 

「ええい背中を押すなレン!」

 

 あが(あ痛)ー!

 先頭のデラーズさんを()かしたら頭を叩かれた。またぶったね!? ショーさんにもぶたれたことないのに!

 

「そりゃー、まだ戦ってないしな」

 

 だよね!

 そんじゃあ、早速準備しまっしょい!

 というわけで、俺とショーさんはバトルシステムを挟んで向き合い、それぞれガンプラを準備。

 俺はケースからMG(マスターグレード)、 (スペリオル)ガンダムを取り出す。

 

「ほう、Sガンダムか。機動性で選んだか? ボクシング経験者だというショーを相手にするのであれば悪くないチョイスだと言える」

 

 対するショーさんは背負っていたズタ袋を床に置き、その中からガンプラを取り出したのは――

 

「ぬう! あれはMGの(ターンエー)ガンダム! ショーめ、それを持ってきおったか!」

 

 ∀ガンダム――

 

 形式番号WD-M01(元はSystem-∀99)。全高20m、重量28.6t。

 武装は胸部マルチパーパスサイロ(ミサイル、ビーム・ドライブユニット、他装備可能)ビームライフル、ビームサーベル×2、ガンダム・ハンマー、月光蝶、シールド

 ホワイトドールや白ヒゲといった愛称で呼ばれる∀ガンダムは、宇宙世紀が終焉した1万年後(劇場版では異なる)に開発された汎用MS(モビルスーツ)である。

 この機体は太陽系外に存在する敵性勢力に単機で対抗すべく開発されたとされ、そのためか破格の性能および機能を有している。無限のエネルギーを生み出す縮退炉、機体やパイロットの自己修復を可能とするナノマシン、胸部マルチパーパスサイロへ武器を空間跳躍させるシステム。

 その中でも最も凶悪なのが月光蝶であろう。∀ガンダムの背中から放出される大量のナノマシンによって触れる物質全てを砂に還すことができ、それで一度地球文明をリセットさせている。

 この機体に関しては語ると延々と長くなってしまうため、これ以上は割愛。興味がある方は是非調べてみてほしい。

 

 ちなみにMGシリーズでは記念すべき100体目での発売となった機体でもある。

 

 あと∀ガンダムのナノマシンとかは初めからガンプラバトルには反映されないように設定されているぞ。自己修復とか強すぎるもんね。あとプラフスキー粒子がどんだけ優秀でも自己修復を再現するのは無理なんだとか。前にテレビで言ってた。

 

「さて、今回は肉弾戦オンリールールだ。もちろん2人とも、武器は登録してないな?」

 

 デラーズさんの問いかけに俺とショーさんは勿論と頷く。

 

「ではレンよ! ショーよ! 己のガンプラをバトルシステムにセットするが良い!!」

 

「「おう!」」

 

『Please Set your GP-base.』

 

 そのシステム音声に従い、バトルシステムにGPベースをセット。

 GPベースを認識したバトルシステムの天板から青い光とともに同じく青い粒子が立ち昇る。

 同時に俺の四方を長方形のホログラムが囲い、アームレイカーが宙に現れてファイターのコクピットとなる。

 

『Beginning Plafsky particle dispersal.Field “Boxing-ring”.』

 

 バトルシステム上にフィールドが成型。今回はどっこかな~? わん(オラ)ちむドンドン(ワクワク)が止まらんやっさ(ねーぞ)*7……おん? ワクワクしすぎて聞き逃したけど、今フィールド名なんちゃらリングって言わんかった? ま、いっか。始まればわかるしね! ヒック!

 

『please set your Gun-Pla.』

 

 続いてGPベースにSガンダムをセット。スキャン開始ー……終了!

 Sガンダムのツインアイに緑の光が灯り、カタパルトデッキへと景色を変えたその場所で発進を待つ状態へと移行する。

 そしてお馴染みの『BATTLE START!!』というシステム音声が試合の開始を告げ――

 

『ガンプラファイト! レディィィィ――ゴォ!!』

 

 いやいつものと違うんだけど!? なんかGガンですっごい聞き覚えのある声がアナウンスしたんだけど!? ええ!? うえぇえ!?

 あ、出なきゃ! 混乱しつつも出撃コール。あんなセリフ聞いたらこう言うしかないでしょ!

 指パッチンからのーー!

 

 パチン!!

 

「出ろおぉぉぉぉ! スペリオルガンダァァァァァァァァム!!」

*1
沖縄特有の時間の過ごし方。予定通りに行動しないこと。時間に遅刻してくる人も多いが、それを咎める人も少ない。中には約束の時間に家を出る人も。もちろん時間を守る人のほうが多い……はず

*2
沖縄特有の言い方で、ごみ箱のこと

*3
こーれぐーすとも。泡盛(沖縄の地酒)に唐辛子を漬け込んだ調味料。当然辛い。

*4
一般的な沖縄そばの麺には、そば粉が使われていないのだ。

*5
沖縄方言。いっぺーは大変、まーさんは美味しい

*6
沖縄方言。ちぶるは頭、やみーは痛い。しちょん?はしてるの?になる。

*7
沖縄方言。ちむは心臓、ドンドンは鼓動の音と思われる。つまりはドキドキ。




 ∀ガンダムの解説、一応調べながら書いたのですが、間違えていたりおかしい部分があったらごめんなさい。
 作品の感想、お待ちしてます。
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