ガンダムビルドファイターズトライの世界でがんばる話   作:キャプテンキャップ

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「出ろおぉぉぉぉ! スペリオルガンダァァァァァァァァム!!」

 

 

 指パッチンとともにドモンばりに叫べば、なんとSガンダムがカタパルト射出されるのではなく、なぜか天井を突き破って上空へと放り出された。ぬーがよ(なんでさ)!?

 ぎゅんぎゅんと上昇していき雲を付け抜けたところで上昇終了。一瞬の静止。

 上を見れば深い色の青空はもう少しで宇宙に届きそうで。前を見れば緩やかに湾曲した地平線が見えて、地球が丸いことを実感させてくれる。というかここ、荒廃しすぎじゃない? 辺り一面がれきの山で文明崩壊後の世界って感じなんだけど? なんて悠長なことを思ってたら、今度は重力に引っ張られて地面へと急降下。ぐんぐんと迫ってくる地面! そこにポツンとある正四角形の白い物体!

 あそこが着地地点かなぁ!? いや本当に落ちているわけじゃないけど超怖いんだけどっ! うおおおぉぉぉおおあああ――――

 

「――っあーい!!」

 

 《vib:1,inview》ドゴォン!《/vib》

 

 轟音と衝撃をもって着地! なんちゅー発進シークエンスだよ! こういうのはGガンダムの世界でやって!? ビックリするから! はー……まーぶやーまぶやー。*1

 さて、無事にマブイも戻ってきたのでここがどこなのか確かめるため、辺りを見渡してビックリ。

 今俺が立っているのはなんと、ありそうなボクシングリングの上だった。床面積は一辺が6mくらい? 四方にはコーナーポストが立っていて、そこに3本のロープが通ってリングをぐるりと一周。紛うことなきボクシングリングだ。

 

「え? 何ここ、こんなステージあったっけ?」

 

 Gガン? Gガンなのか? でもリングで戦う話なんてあった?

 

「ふっふっふ……困惑しておるな、レン」

 

 その声、デラーズさん! ひっく!

 

「このステージに見覚えがないのも当然だろう。なにせここは、Gガンダムの世界(フィールド)をベースに作られた、()わばオリジナルフィールドよ」

 

「な、なんだってー!?」

 

 デラーズさん(いわ)く、このフィールドはバトルシステムを導入している店舗にのみ配布されているものらしく、フィールドの選択で店舗側が設定しないと現れないフィールドなんだとか。そんなんあったのかー。

 

「ボクサーのショーとの対戦には、ここはうってつけだろう」

 

「へっ、粋な事してくれるじゃねーか。おやっさん」

 

 そう言ったのは、いつの間にか青コーナーのポストに両腕をかけてこちらを見ているショーさんの∀ガンダムだ。次いで彼は「よっと」との声とともに、ポストに置いた手を軸に()()()とロープを飛び越えてみせた。おおー、かぁっくいー。ひっく!

 俺たちはリング中央で向かい合う。同じMG(マスターグレード)1/100シリーズだから、∀ガンダムより2㎝くらい高いSガンダムが少しだけ見下ろす形での対峙。

 ボクシングならあとは試合開始のゴングを待つばかり。なんだけど……一応もうバトルは始まっているわけだし、そもそもゴングなんてあるの?

 

 そんなものはない。byデラーズさん。ですよねー。

 

「ならやっぱり、ここはあのセリフですかね? ちょうどお互いにガンダムだし」

 

「ふっ、それもそうだな」

 

 ショーさんに(うかが)えば、俺の短い言葉で察したらしく、彼も小さく笑いながら頷いた。

 それじゃあ――

 

「ガンダムファイト――」

 

 俺が言えば、

 

「レディー」

 

 今度はショーさんが口を開き、最後は2人口をそろえて――

 

「「ゴオオオォォォォ!!!!!!!!!!!!!」」

 

 試合開始の雄たけびを上げた!

 

 

 

   2

 

 

 

 先手必勝!

 俺は不格好なファイティングポーズをSガンダムに取らせると同時にショーさんの∀ガンダムに突っ込み、右のストレートをおヒゲの顔目がけて放つ!

 初手が決まるかどうかで、俺が力石かホセになるかが決まる! ……あれ? どっちも勝ったんだっけ? 映画版しか見てないから(しかもちょろっとだけ)分からん!

 とりあえず殴っとけばいつかは勝つ!(暴論)

 

「おりゃあああああああっ、一撃必殺!!!!」

 

 大振りの右ストレートが∀の顔面に突き刺さ――らない!

 華麗なスウェーバック*2で躱す∀ガンダム。

 ブゥン! と空を切るSガンダムの右拳。お、俺の一撃必殺右ストレートを(かわ)しただと!?

 それだと一撃必殺にならないじゃないかオイ!(逆ギレ)

 

「一撃必殺! 一撃必殺!! いちげきひっさーーーつ!!!!!!」

 

 一撃必殺右ストレートに一撃必殺左フック、最後に一撃必殺ハイキックをかますも全てスウェーやダッキング*3で俺の一撃必殺の攻撃がことごとく(さば)かれていく。一撃必殺とは一体。(哲学)

 

「中々いい拳に蹴りじゃないか、レン」

 

 俺の攻撃を見て嬉しそうにそう評したショーさんは、

 

「それじゃ――こんどは俺の番だ!」

 

 ∀ガンダムが目を光らせて(ぎらついた眼で)Sガンダムを(とら)えながら、俺とは違って様になったファイティングポーズを取りつつ一気に間合いを詰めてきた!

 速い! 迎撃――間に合わない!? あっという間に懐に入られる。右拳を握り締め、腕を引き絞る∀ガンダム。右ストレートか! ぼ、防御!!

 咄嗟に両腕を顔の前で揃える。いわゆるピーカブースタイルってやつだけど、これで防げるか!?

 来る! 思った瞬間、ガツン!! 両腕に衝撃!

 思わずたたらを踏むも、どうにか直撃は免れた。ぃよっし、よくやったぞ俺!

 

「ピーカブーか! へへっ、少しはボクシングを知ってるようで嬉しくなるねぇ!」

 

 ニヤリと笑うショーさんに「どうも!」と返す。『はじめの一歩』で知ったんだけどね! というかこれしか知らんし!

 

「なら当然、そのスタイルの弱点も知ってるよな!」

 

 え、何それそんなのあったっけ? ちょっと待って今『はじめの一歩』思い出すから。「行くぜ!」あ、待ってくれませんかそうですか。

 って悠長に攻撃されるのを待ってられっか! 迎撃じゃい! 喰らえ左ジャブ(らしきもの)!!

 俺の左ジャブ(らしきもの)をまたもやダッキングで掻い潜った∀ガンダム(ショーさん)が、

 

「あーらよっとぉ!!」

 

 そのままSガンダムの腹に左のボディーブローを叩き込んだ。

 

「げふうっ!!」

 

 プラが(きし)む音を響かせながら、上体がくの字に折れ曲がり、頭を下げたSガンダムの横っ面に∀ガンダムの右ストレートが突き刺さる!

 

「マットでお寝んねしてな!」

 

 若干斜め上から入った右拳が振り抜かれ、それに押し出されるように床に叩きつけられた。(したた)かに頭を打ち、反動で大きくバウンドしてリングに沈む。ダウン。

 

(ワン)! (ツー)! (スリー)! 

 

 システム音声によるカウントが始まる。

 その間、俺は唖然としていた。

 無駄のない動きによる回避テクニック。攻撃を掻い潜る見事な足さばき。そして重い一撃。どれも腰の入った拳だった。

 

 これが、本物のボクサーの拳!

 

 圧倒的なまでの実力差。きっと今の俺に、勝つ見込みは1㎜もない。そんなのこの短い攻防でも理解できた。

 だけど、それがなんだ。

 それが諦める理由になんかならない。

 現に、俺のハートが真っ赤に燃えている。ショーさんを倒せと轟き叫んでいるっ。圧倒的な実力差? 面白いじゃないか!

 俺が求めているのは勝利じゃない! 楽しいガンプラバトルなんだから、この状況に興奮しないわけがない!

 だから――!

 

(シックス)! (セブン)! (エイト)

 

「燃 え て き たああぁぁぁっっ!!」

 

 気炎を上げながら勢い良く立ち上がると、システム音声が(ナイン)カウントを読み終わる前に止まる。それをロープに寄りかかって見ていたショーさん(∀ガンダム)が口笛を吹く。

 

「ひゅーっ、いい気迫だ。そのギラついた眼、嬉しくなんぜ。レン」

 

 言って、寄りかかっていたロープから離れてファイティングポーズ。

 

「ほう、あのボディーを受けて立ち上がったばかりか、まだ立ち向かうか。先ほどの攻防で実力差は歴然というのは理解しただろうに」

 

「冗談だろおやっさん。オープニングラウンドなんだ、レンは様子を見ていただけさ。なあ?」

 

 んな原作のセリフみたいなこと言われても様子見なわけないじゃないか、本気も本気だよ。ヒック。あとボディーブローはしっかり効いてたっつーの。ダメージ値を示す画面に表示されているSガンダムの腹部はすでに真っ赤よ? いいかげな(いい加減)にしろと言いたい。

 

 内心で愚痴りながら数mほど距離を空けた位置で、Sガンダム()もピーカブースタイルで向き合う。

 互いに無言。両者目を合わせたまま不動。隙あらば懐に飛び込んで必殺の一撃を見舞う、そんな気概で相手を威圧。

 左肩をわずかに動かしてフェイントを入れる――不発。間髪入れずに今度は(きき)足の踵をくいっと上げて、イクぞイクぞと発破をかけるも……不発。

 はやり現役ボクサーには漫画仕込みのフェイントなんて通じない。ひっくぃ。

 

 ……あー、しゃっくりが全然止まらない。時間が経つにつれ、だんだん頭がポーっとしてきた。ろれつもたまにあやしくnruし呂律もたまに怪しくなるし

。このまま突っ込んじゃう? 突っ込んじゃおっか! 突っ込もう!!

 体温も上がっているのか体の内側からポカポカして思考が雑になっていくのが分かるけど、まあいいだろ! よっしゃ突っ込むぞー!

 勢いに任せて飛び出そうとした瞬間――

 

ROUND1 END

 

『ROUND1 END!』

 

 カーン

 

 どこからともなく響いてきたゴングの音ともに、システム音声がラウンドの終了を告げる。

 同時に、俺とショーさんの機体がいつの間にか青と赤のコーナーポストへと転移された。おろ? 

 しかもイスまで現れた。これに座って休めってこと?

 それ以前に何、ラウンド1って? 教えてデラーズさん!

 

「む、そういえば伝えるのを忘れておったな。このステージは1ラウンド5分の3ラウンド制になっておる。ちなみに休憩時間は1分で、その間に少しではあるが機体ダメージも回復する仕様だ」

 

 ちょいとデラーズさん、初耳なんだけど? と言えば「今言ったからな」と悪びれもせずデラーズさん。おいハg――おっさん、そりゃないでしょうよ。

 

 いやまあ、そういうステージならいいんだけどさ。機体のダメージが回復するというのもありがたいし。

 どっこいしょとSガンダムを椅子に腰を下ろさせながらダメージ画面を見やる。……おお、確かにちょっとずつだけど、腹部のダメージが回復している。真っ赤だったのが少しずつ薄くなってってる。ヤッター!……ひゃっく!

 

 しゃっくりしながら、溜まった体内の熱を逃がすように息を吐く。

 はふー……息が熱い。体がさっきよりも熱い。脳が茹で上がりそうで視界が時おりぼやける。眠くないのに(まぶた)が半分程落ちる。だけど気分は上々。よく分からないけど笑いがこみあげてきた。あーもう楽しい! ガンプラバトルもそうだけど、何をするにも、何を考えるにも、とにかく無性に楽しい。

 まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな酩酊じみた感覚だけど、酔っぱらってるとかありえないよね! だって今の俺、中学生だし! ヒック!

 ……ん~? そういえばお昼ご飯のときに何かあったような気がするけど…………思い出せないからよし!

 

 なんてこと思っている間に1分が過ぎたようで、勝手にSガンダムが腰を上げるとイスが消える。どうやら第2ラウンドのようだ。見ればショーさんの∀ガンダムも立ち上がっていて、こっちを見ていた。腹部のダメージはー……1割ちょい回復ってところかな? 上等やっさ!

 

『ROUND2 FIGHT!!

 

 システム音声とともに対角線上にいるショーさん目がけて駆け出す! 今度こそ先手必勝ーー!

*1
沖縄方言。沖縄では驚くと魂――マブイを落とすといわれており、その魂を戻すために、背中を叩きながら「まーぶやーまぶやー」と唱えるのだ。

*2
顔を狙った攻撃を、上半身を後ろに逸らせて躱す防御技術

*3
上体を屈めて攻撃を躱す防御技術。そこから自分の攻撃につなげることも。




 バトル序盤に出てくる一撃必殺の攻撃を何度もするシーンは、昔読んだコミックスに載っていたガンダムのギャグマンガが元ネタなんですけど、知っている人いるかな?
 確か主人公はガンダムのMkⅡに乗ってる空手馬鹿で、山籠もりしている時(?)にVアンテナの片方を切り落としてて、弟子にジムがいて、敵はザクⅡだったかな?
 コッミクスのタイトルもマンガのタイトルも忘れたんですけど、これの他にザブングルのマンガとか他アニメのマンガもいくつか載っていた記憶があるんですよね。
 もし分かる人がいたら是非教えてほしいです!

 作品の感想お待ちしてます。
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