ガンダムビルドファイターズトライの世界でがんばる話   作:キャプテンキャップ

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 『サ○ゲっぱなし』。前世で大好きだった漫画だ。テンション高めの主人公(大企業の令嬢)が、ひょんなことからサバゲーを始め、沼に沈んで(ハマって)いく。

 そんな漫画の主人公とお友達&メイドさんのそっくりさんが今! 俺の目の前に! ヤバいっ、なんか――なんていうか――ほえぇぇ~~。(語彙力ェ)

 ……あ、でもイジュインお嬢様はいないのね……ショボン。

 

 に、しても。漫画に出てくる本人ではないとはいえ、本当にそっくりだな。ニ……じゃあなくて、こっちはミコって名前らしいけど、顔や体の造形はそのまんまだ。漫画でも凄かったけど、こうやって生で見るとその凄さが分かる……圧倒的な胸部装甲よ。もうね、こう……ばるんばるんよ?

 傍から見る限りハイテンションな性格も同じなようで今もキャーキャーと賑やかな声が聞こえてくるほど。

 

 断片的な会話から、残りの3人の名前も分かった。

 

 ミニマムボディをゴスロリ服で身を包んだ、丸眼鏡の童顔さんはリミ。

 長身の黒髪薄型フレーム眼鏡さんはメメ。

 ミコさん付きのメイドさんはマナ。……多分この人はミコさんの付き添いなのでガンプラサバゲーには参加しないだろう。原作でもサバゲーに参加してないし。

 

 さて、そっくりさんが居た所で彼女たちはこの世界の一住人でしかなく、そっくりさんだと認識しているのは俺だけなんだから別に特別な何かが起こるわけでもないので、世界はいつも通りの速度で回るのだ。

 そっくりさん4人を遠めに見ている間にある程度人数(60人程)が集まったらしく、スタッフさんによる開会式が行われた後、ガンプラサバゲーの簡単なルールと禁止事項がイラスト付きで説明が行われた。

 

 ルールと禁止事項は、ハールーに聞いたりASOBIYAホームページに載っていたのと大差なかったので割愛。

 んでこっからが初耳情報。

 

味方撃ち(フレンドリーファイア)は撃った人だけヒット扱いです。跳弾は無効。障害物に隠れつつ、銃だけを出して射撃を行うブラインドファイアは禁止です。フリーズコール*1も禁止となっていまーす」

 

 他にもフィールド内にある障害物は、動かしたり破壊できないようロックされているらしい。あと障害物によじ登るなどといった行動も禁止。

 

 次にチーム分け。スタッフさんの「はいっ、では自分を中心に、適当で構いませんので左右に分かれてくださーい」との言葉で、その場で人が左右に動き出す。俺とハールーはチームを組むつもりなので一塊となって右に移動。

 

「えぇっと…………うん、見た感じ良い具合に半々に分かれたみたいですね。では一先(ひとま)ずこのままで行きましょうか。ただ、ゲームの勝敗数によってはバランス調整のために若干の人員移動を行いますけど、そこはご了承ください。では向かって右側が赤、左側を青チームとしまーす。今からスタッフがそれぞれの色のついたマスキングテープを配りますので、後で自分のガンプラの腕などといった、目立つ場所に貼ってくださーい」

 

 なるほどー。それを目印に敵味方を識別するのね。……あれ? 確かバトルシステムって勝手に敵味方識別してくれるんじゃなかったっけ?

 疑問に思ってハールーに訊ねてみれば、ガンプラサバゲーにそんな便利な機能はないとのこと。それでチームの色分けかー、と納得していると、ファイターの間を歩くスタッフさんから赤く塗られた幅5㎝、長さ10㎝程のマスキングテープを貰う。貼って余った分は切るなりして捨てて良いらしい。ハールーからは、片腕だけではなく何ヵ所かに貼った方がいいと言われたのでそうするつもり。

 

「では次に、ゲーム内容を説明しまーす。本日のゲームは午前中に『フラッグ戦』、午後からは『殲滅戦』となりまーす。また、11時~11時50分の間は1回のみ復活あり、16時~17時の間はカウンター戦*2とルールが変更されますので、ヒットを取られた人は自陣フラッグポイントにあるボタンを押してから復活してくださいね。カウンター戦の時にはカウンターが置いてあるので、それを押してから復活するようお願いしまーす」

 

 フラッグ戦は敵陣にあるボタンを2秒押すことで音が鳴り、それをもって勝利とするらしい。なんで2秒?

 

「その方がスリルあるだろ? たったの2秒だけど、その間にどこからか弾が飛んできてヒット取られるかもしれないっていうスリルがさ」

 

 と、教えてくれたハールーの顔は人の悪い笑みを浮かべていた。……なにその邪悪な笑み。さてはお前、敵フラッグゲットの邪魔したことあるな?

 

「では、これよりバトルシステムを立ち上げてフィールドを開放しますので、10分間ほど自由に下見してもらって構いません。ゲーム開始前にお声がけしますね。ではどうぞ!」

 

 スタッフさんの声とともにバトルシステムが起動。バトルシステム上面から青く輝くプラフスキー粒子が立ち昇り、次第にバトルフィールドがその姿を現していき――

 

「な、なにこのフィールド!?」

 

 ソレを見た俺は、思わず驚きの声を上げた。ハールーはそんな俺を眺めてニヤニヤしている。

 

「驚いたか?レン。これがASOBIYAオリジナルフィールドだ!」

 

 いや驚くってこんなの! だってこのフィールド、どうみたって()()()()()()()()()()だぞ!?

 

 

【挿絵表示】

 

 

 フローリングの床に敷かれた白いマットレス。その上には子供用の足の短い丸テーブルや、横倒しになっている子供用のイスがあったり。

 あと部屋中に積み木やら汽車のおもちゃが散乱しているのが見て取れた。

 

 簡単に言ってしまえば、子供のおもちゃが散らかったリビング。

 

 しかもこれら全てが()/()()()()()()っていうね。ガンプラのスケールは1/60、1/100、1/144、SDと小さい。そんなナリで1/1(リアル)スケールのフィールドに入るとあっては、それは文字通り言葉通り、巨人の国に遊びに行くようなもんだ。

 ガンプラの視点から見るリビングの風景ってどんなかなぁ……と想像を膨らませていると、胸の奥底から湧き上がってくるワクワクとかドキドキとか、そんな感情に()()()と身震い。――おぉぉ! こいつは……(たぎ)る!

 

「ちなみにフィールド名は『リビング:子供の遊び場』っていうらしいぞ」

 

 まんまだ!

 

 

 

   2

 

 

 

 さて、こっからはフィールドの確認だ。ハールーと一緒にバトルシステムのそばまで寄り、フィールド『リビング:子供の遊び場』を眺めながらハールーが口を開く。

 

「テレビが置かれている壁側にあるのが()チームフラッグで、その反対側の壁際にあるのがオレたち赤チームのフラッグだな」

 

 頷きつつ、横に長いフィールド全体を見やる。畳換算で20畳くらいの広さはありそうだ。そう聞くとそこそこの広さにしか感じないけど、ガンプラで動き回るには十二分な広さだと思う。

 ブースター跳躍や飛行は使用禁止だし、実際にフィールドに立つと尚更広く感じるぜ? とはハールー。

 移動手段が歩くか走るしかないもんねぇ。

 

「このフィールドって、部屋中に散らばっている積み木とかを壁にしながらフラッグに近づいていく感じ?」

 

「おう。あとはあの子供用テーブルの上からの狙撃で、味方を援護ってのもできるぜ」

 

 ハールーがカーペット上に鎮座する足の短い丸テーブルを指さす。あー、あそこかー。確かにフィールドで一番高いから、見晴らしもよさそう。

 テーブル横に積まれた本の一冊が崩れてスロープみたいになっていて、あれを(のぼ)ってからテーブルの上に行くようだ。そしてそこが格好の狙撃ポイントになっていると教えてもらった。

 

 ……狙撃かー……狙撃ねー? 聞いてもそれほど気が乗らない。

 確かにあそこに陣取ることができれば、突撃してくる敵を撃ち取ることができそうだけどさ。このフィールド、上からの攻撃を防げるような屋根付きの障害物ってほとんどないし。運営側がわざとそうしてるんだろうけど。でも、う~ん……俺はパスかなぁ。

 

「なんで? HR417アーミーマリアントなら一応狙撃できるだろ」

 

 いやまぁ、そうなんだけども。俺も『サ○ゲにGO!』っていうラノベでこの銃好きなったし、そこでも触れられていたから狙撃銃的に扱えることも知ってるよ?

 

「ただ、俺にそんな腕があるとは微塵も思えないんよ」

 

「ああ……そういうね。そういやレンはガンプラサバゲー初心者なんだっけか」

 

「おうよ。何ならガンプラバトルすら、まだ2戦しかしてない正真正銘のルーキーだぞ」

 

 しかもその内の1戦は肉弾戦オンリーのバトルだったしな。ぶっちゃけ自分の射撃センスが良く分からんのよ。あと単純に突っ込みたい。撃ちまくりたい。狙撃と聞いても気が乗らないのは、結局はそういうことなんだろう。

 そう言うと、ハールーは笑いながら「オッケーオッケー、お前はアタッカー気質っぽいな」と肩をたたいてきた。

 

「ところでさ、あのテーブルってフィールド中央寄りにあるじゃん? あそこが狙撃に適したポイント(場所)なら、相手も当然()さえにくるよね? あそこ取れたら有利になるし」

 

「だなぁ。このフィールドの時って、毎回あのテーブルを狙って開幕ダッシュが恒例だな」

 

 スナイパーも、それを護衛するようにアサルトライフル持ちなども一緒にダッシュを決めるらしい。

 

逸早(いちはや)く着けば、向かってくる敵や上ってくる敵を倒す。相手が先に到着してたら、同行しているアサルトライフル持ちが奪取を狙いつつ味方スナイパーを退避させて、下からテーブル上にいる敵スナイパーが見えたら狙撃してもらう――と、流れはそんな感じだよ」

 

 うわーお。ん? もし同時にたどり着いたらどうすんだ?

 

「んなの勿論決まってるだろ……地獄絵図(奪い合い)さ」

 

 うわーおぉ(2回目)。あそこには近寄らんとこー。あ、でもやっぱり1回くらいは参加してみたいかも。

 お? あのカーペット……ん? 何ハールー? え、ラグカーペットっていうの?アレ。いや名前なんてどっちでもいいけどさ、アレって結構毛足(けあし)長くない?

 

 歩く分には問題ないだろうけど、1/144とかだと()()()()になったら意外と体が埋もれるんじゃないかな? カーペットとの色が噛み合えば、ワンチャン隠れることも(アンブッシュ)できそうに見える。

 

「お、いいところに気づいたねぇ」

 

 そう言ったのはハールー……ではなく『サ○ゲっぱなし』のキャラそっくりさん、長身黒髪薄型フレーム眼鏡(メメ)さんだ。ええっ、何で急に話しかけてきたの!? あ、ハールーの知り合い!? と思って見やるも、ハールーも突然話しかけられて驚いていた。あ、どうやら知り合いじゃないみたい。

 

「おいメメ、急に話しかけるな。見ろ、少年たちが驚いているだろ」

 

 長身のメメさんの後ろから、ひょっこり現れたゴスロリ眼鏡ロリ(合法)ことリミさんがメメさんの背中を叩いた。バチーン!と良い音が鳴る。けっこう容赦ないな。

 

「いって! いやーごめんごめん、会話が聞こえてきたからつい口を挟んじゃったよ」

 

 ごめんね。と手刀を顔の前に立てて謝るメメさんに「いえいえ大丈夫です!」と慌てて返す俺たち。大人に謝られると妙に落ち着かないよね……俺は中身おっさんだけど。なんかもう、そんな認識が鈍くなってきてるなぁ。これはあれか。肉体に引きずられているってヤツか。まあ困らないからいいんだけどね。

 それよりも――

 

「いいところに気づいたって言ってましたけど、やっぱり?」

 

「ああ、少年1の言う通りあそこのカーペットって伏せたら結構隠れきれるんだよ」

 

 少年1て……。いや別にいいけど。

 

「メメ、今日はスナイパーやるんでしょ? テーブルは狙わないの?」

 

「開幕ダッシュきめんの、めんどいから今回はパース。まあ見とけって、カーペットにうまく潜んで稼いでやるよ」

 

 リミさんの問いに胸をたたいて自信を見せるメメさん。おー、結構弾んだ。この人も何気に大きいよねぇ。

 

「キャーなになにー、何の話しているのメメちゃんリミちゃん」

 

 私も混ぜて―!と言わんばかりに、大きなお胸をゆっさゆっさと揺らしながら駆け寄ってきたのはミコさん。

 そして女性3人は俺たちそっちのけで話に花を咲かせていく。

 

 ……さて。蚊帳の外になったから、俺たちは俺たちでフィールドの下見を続けよっかハールー。

 

 それから少しして、スタッフさんの「そろそろ時間でーす! それぞれのチームに別れてくださーい!」との呼び声が聞こえてきた。

 ハールーを見やる。向こうもこっちを見て――ニヤリ。無言で俺の肩をたたき、歩き出す。俺もそれに続く。

 

 始まる――ついにガンプラサバゲーが始まる!

 

 

 

   3

 

 

 

 がやがやと騒々しさが俺の辺りを包んでいる。

 80台ものバトルシステムが連結して作り上げた長方形。その端っこの一つに、俺たち赤チームの面々が集まっていた。その数29人。今参加しているファイターはちょうど60人って話だから、向こうが2人ほど多い少し(いびつ)なチーム分けになっているけど、それはこっちのチームにいる合法ゴスロリ眼鏡ロリこと、リミさんの持っている武器――グレネードランチャーが強力だから、こういうチーム分けになったらしい。

 リミさんに相当する原作キャラもグレネードランチャー使い(グレネーダー)だったけど、どうやらリミさんも同じくグレネーダーのようだ。

 

 まあ、サバゲーやガンプラサバゲーのグレネードランチャーって、榴弾を発射する銃ではなく銃内部に装填されたモスカートから大量の弾(少なくても30発、多ければ100発以上)を発射するだけなんだけど、1発でも喰らえばヒットとなるガンプラサバゲーでは強力無比な武器なんだとか。相手が固まっていると、たった1発で制圧できたりもするらしい。そこは面攻撃できる利点だよねぃ。

 ただし、銃が重い、飛距離が短い、1発撃ったら装填に時間がかかる、かさばるために大量にモスカートを持ち歩けないなどの欠点もあるようだ。

 ともあれ、こっちにグレネーダーがいるので、相手の方が多少数に有利な方がバランス取れたりする。ってスタッフさんが言ってた。

 

 ともあれ、周りは同じチームだけど知らない人だらけ。

 自己紹介とかするのかなと思っていたけどそんなことはなく、みんなバトルシステムに自分のGPベースとガンプラをセットしていく。……なるほど。確かにこれだと、顔なじみでも名前とか知る機会はなさそうだなぁ。ハールーの言ってたことが理解できた。

 

 さて、俺たちもガンプラをセットしよう。ちょうど近くに2つ空いているバトルシステムを見つけたので、ハールーと隣り合ってGPベースをセットして、νガンダム.S.G.B.Cを指定位置に置いて読み込ませると、自分の周りをホログラム(立体映像)が取り囲んでコクピットとなる。

 

 ガンプラを置いた場所もホログラムでカタパルトデッキへと変貌――あれ、してないな? ホログラムで風景は変わっているんだけど、いつものカタパルトデッキじゃなくて……なんというか倉庫の中っぽい所。正面には無骨なシャッターがあるだけで、あとは何もなし。恐らくこれも、このフィールドオリジナルの待機場所なんだろうな。

 さて、あとはゲームが始まるのを待つばかり。……ふぇ~~、なんか緊張してきたー! もちろん楽しみでもある! あとソワソワもしているかな? とにかく色んな感情が絡み合って、混ざり合って、こう――口がもにゅもにゅするぅ!!

 なんせこれが初めてのチーム戦だからね!

 

『おーいレン、聞こえるかー』

 

「うぉあへイ!?」

 

 急に聞こえてきたハールーの声にびっくりして変な声が出た。

 

『ぷふ!……よし、ちゃんと聞こえてるな』

 

「おいそこ、なんで半笑いなのさ」

 

『気にすんなって。それよかもうガンプラ動かせるから、とりあえずそこのシャッターから外に出ろ』

 

 え、もう出れるの? まだゲーム始まってないのに? あ、本当に動く。ハールーが言うには、ガンプラサバゲーはそういうもんらしい。そうなのかー。正面シャッターは近づくと自動で開くとのこと。言われた通りに目の前まで行くと……おー、本当に開いた。んじゃま、こっから出ますかね。

 νガンダム.S.G.B.C……めんどいからνガンダムでいっか――を操作して倉庫(?)から出たら、たくさんのガンプラたちが()()()する1/1スケールの廊下(フローリング)だった。……何を言ってるのかわかんないと思うけど、大丈夫。俺もわかんない。

 目の前には高さ5mほどの白い壁が。左右を見れば、幅1.5m・長さ10mはありそうな板張りの廊下が続き。後ろを振り向けば、出てきたはずのシャッターが消えて白い壁があるばかり。

 

「え、何これ?」

 

『お、出てきたか』

 

 正面の壁をポカーンと見上げていたら、横から声をかけられたのでそっちを見ると……あれ? 誰もいない?

 

『下だ、下』

 

 およん? とνガンダムの頭を下に向けさせれば、腰ほどのところにハールーのゼクアインが「よっ!」と片手を上げていた。

 

「おお~、MG(マスターグレード)とHGUCだと身長差がエグいなぁ」

 

 なんせ今まで同スケールのガンプラとしかバトルしたことなかったもんな。記念すべきデビュー戦ではHGUC同士、次のショーさんとのバトルではMG同士。こうして違うスケールのガンプラが同じフィールドに立っているというだけで新鮮であり、なんか面白い。

 

『おい頭を叩くな』

 

 ゼクアインの頭をペチペチしてたら乱暴に払われた。いやだって、丁度いい位置に頭があるんだもの。あ、ちょ、謝るから股間にヘッドバッド決めるんじゃないよ。ごめんて。

 

「んで、ここって何? バトルフィールドじゃないみたいだけど?」

 

『ったく。……ここはセーフティエリアだ。復活なしのゲームでヒットされた時やゲーム終了時はここに戻って来いよ』

 

「分かったー。……ん? ゲーム終了の時もここに戻ってくるの?」

 

「おう。ガンプラサバゲーはサバゲーと同じく何回もゲームするからな。その度にバトルシステムを終了させるのは効率悪いだろ? だから自分でセーフティエリアに戻ってくるんだ」

 

 なるほどなぁ。ようは時間制限や明確な勝利条件のあるガンプラバトルと違って、時間無制限かつ勝利条件を設定しない状態でバトルシステムを起動しっぱなしにして、ゲームを何試合をしていくって感じかー。勝利条件が相手のブザーを鳴らしたり、敵のせん滅(といってもダメージ設定のない弾を当てるだけ)という本来のガンプラバトルにはないオリジナルルールだからこそできる事なんだろうなぁ。

 もちろん1ゲームごとに休憩時間はあるし、次のゲームに出るかは自由だけどな。とハールー。

 ちなみに休憩時間は5~10分くらいなんだとか。その間に水分補給したり装備の換装をしたりするみたい。あと休憩するときは基本的にガンプラは回収せずにセーフティエリアに置きっぱでいいらしい。ほへー。

 

『うおっ、MGのνガンダムじゃん! しかもVer.Ka!』

 

 ん? ハールーと話していると横から声が。見れば――誰もいない。あ、いやハールーの時と同じで下に視線を動かせばHGUCユニコーンガンダム(ユニコーンモード)がこっちを見上げてのけぞっていた。

 ……えーっと、どちらさま?

 

『ああ、すまんすまん。ガンプラサバゲーでMGは珍しい上にVer.Kaなんて滅多に見ないからねぇ』

 

 アッハッハと笑うユニコーンさん。どうやら珍しさに声をかけてきただけのよう。ユニコーンさんの声を皮切りに、近くにいた人たち……というかガンプラたちも近寄ってきた。

 ――おー、マジでVer.Kaだ(笑)。――しかもサバゲー仕様の装備してるぞ。好感持てるな。――本当だ。ベルトキットにダンプポーチか。……銃はHR417か!――長物とは分かってるねぇ。――……え、νガンダムさん今日が初ガンプラサバゲーなの?――お、マジか。おめでとー……でいいのか?――いいんじゃね?――記念にあとで0.25gのバイオBB弾を1パックあげよう。――しれっとサバゲーに引きずり込もうとしてる奴がいるぞ(笑)――そのデカール自分で貼ったのか? ……へー、いいセンスしてるよ。――初心者さんなら分からないことがあったら遠慮しないで聞いていいよぉ。

 

 ジムやらイフリート改やらヴァーチェやら……とにかく沢山のHGUC(HG含む)に囲まれ話しかけられ、あっちこっちに顔を動かしながら答えていけば、俺が初心者だと分かるや何故かお祝いモードになったり、バイオBB弾を贈られそうになったり(丁重にお断りした)。とにもかくにも賑やかだ。信じられる? 今話しかけてきた人全員初対面なんですけど。初対面の人に対する距離感じゃないよね。あと誰も名乗らないから自然とガンプラの名前で呼ぶことに。……なるほど、本当に名前とか知る機会はなさそうだ(2回目)。

 それとデカールのこと褒められたのは嬉しかった。ありがとう『宇宙〇戦士』に出てくる起動歩兵さん。…………ん?

 

「機動歩兵ぃぃ!?」

 

 アイェェ! キドウホヘイ!? キドウホヘイナンデ!?

 俺が驚いていると周りから『おいおい言われてるぞー、機動歩兵』『まあ初見だと驚くよな』などの言葉とともに笑いが起きた。

 

 機動歩兵――

 

 同タイトルの小説をアニメ化したOVA『宇宙〇戦士』に出てくるパワードスーツの名称。そのデザインは現在でも色褪せないほどに秀逸。めちゃカッコイイ。

 どうやら機動歩兵さんはガンキャノンⅡを芯に、プラ板やパテで改造して作ったらしい。

 

『ふっ、モンキー野郎どもの消毒と卵の回収は俺に任せときな』

 

 言いながら見せてきたのは、手に持つ小型の火炎放射器。こんなに小さいのにアニメでは結構な威力を披露していた。ちなみにこれは、ジムのビーム・スプレーガンのガワを被ったハンドガンなんだとか。あと卵の回収なんてものはガンプラサバゲーにはない。

 

「肩のキャノン砲も?」

 

『もちろん撃てるとも。……まあ出るのは砲弾じゃなくてガンプラサバゲー専用の弾なんだけどな』

 

 機動歩兵さんが肩を落とすと周りから『あるあるだなぁ』と苦笑がいくつも漏れる。

 あー、そういやそうだっけ。ガンプラサバゲーは、武器の種類関係なく、使用される弾は一種類のみ。キャノン砲からハンドガンまで全部一緒。これもサバゲー基準だから仕方ないね。

 そうやって近くの(ガンプラ)と交流することしばし、どこからともなくスタッフさんの声が聞こえてきた。

 

『皆様お待たせしました! それでは間もなく第1ゲームを始めますので、参加する人はフィールド入り口に集まってくださーい!』

 

 ――いよっしゃぁ、がんばるかー! ――テーブル狙いのスナイパーっているかー? ――あ、俺スナイパーやるんで行くっスよー。――オッケー、ジムスナⅡ。じゃあ護衛で付いてくわ。――あ、だったら俺も付いてくよ。――おなしゃーッス! ――じゃあスナ1機と護衛の2機は開幕ダッシュということで……他はどうします? ――まあ各自の判断で。――じゃあそれで。――ですね(笑)

 入り口に向かいながら周りの人たちが、作戦会議になっていない会話を交わして方針を決める。

 

「……思ったより自由行動なんだな?」

 

『ん? まあお金払って遊びに来てるんだし、誰かの指示で動くのは楽しくないだろ? サバゲーにしろガンプラサバゲーにしろ、こんなもんだよ』

 

 なるほど。ラノベ『サバゲ〇GO!』で言ってたのは本当だったのかー。

*1
敵に近づいてナイフ、もしくは銃を突きつけ「フリーズ」と声をかけることでヒットを取る行為のこと

*2
ヒットされたらカウンターを回し、その数で勝敗を決める




 前書きに置いた四コマ漫画は、『サバゲっぱ〇し』のオマージュです。

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