その日、琲世は久しぶりに羽を伸ばす時間が増え、病院へと足を運んだ。
身だしなみのチェックをする際に琲世は自分の髪は以前のような真白でも無ければ、黒髪メッシュでもない灰色の髪になっていた。
また以前感じていた眼窩を貫かれるような痛みも感じなくなっている。どこか健康的な気分さえ感じていた。
そんな状態で病院へ行くと言っても、琲世自身が世話になるわけでもない。見舞いだった。
「いやー! こんな時でもマメだな琲世。病院食に佐々木メシがしみる~」
「あはっ。内緒ですよ」
見舞われたのは伊東上等捜査官。琲世とは一緒に飲みに行くぐらいに仲が良い。半喰種であると琲世を差別しない貴重な人物だ。
戦歴も大したものだが、月山家討伐の際、アオギリのSS~レート喰種ノロによって負傷していた。
「琲世はS1に残ったんだって?」
「うん。まだ信じられないけど、ハイルとキジマさんが殉職して大きく穴が空いちゃったから……」
「そっか……」
伊東の顔は親しくならないと分からないぐらいに曇った。彼の班員は黒磐武臣を残してほぼ全滅していた。長年の同僚も失った。彼の様子は空元気なのだろう。
「うちのブジンなんかはS2班に協力してるし、色々心配だなぁ……噂じゃ大規模な作戦も準備が進んでいるらしいから、俺もさっさと治さないとな」
「大丈夫? なんか喰種に肋骨を改造されたとか聞いたけど……」
「琲世、話大きくなりすぎ」
二人で笑い合うが、それもどこか空虚だった。現在もっとも勢いのある喰種集団アオギリにはA+レート以上の強力な喰種が残っている。命の保証は無かった。
「こう言っちゃなんだけど、宇井特等って琲世のこと嫌ってると思ってたけどパートナーとか意外だな」
「それは僕も思ったけど……ハイルの死でどこか思う所があったんじゃないかな。同じ0番隊経験者だし、宇井特等も……不安なのかな」
その後しばらく談笑してから琲世は病室を後にした。
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最近の喰種駆逐作戦はアオギリに集中しているが、それもだんだんと数が減って来たのも皆が感じていた。それはS1班も同じだった。
理由も皆分かっていた。アオギリの構成員が段々と引き上げているのだ。組織には根城が必要で、そこに集結しつつあるのだろう。
琲世もその一人で、野良喰種を
そして宇井特等から琲世は知らされた。アオギリ討伐作戦、流島攻略の詳細を。