流島攻略戦において、宇井班は第三隊となる。役割としては前衛が切り開いた道を、
その作戦期間は実に一週間と見積もられていた。レートの低い喰種も含めて、アオギリの樹という組織を根絶やしにするためだ。
「佐々木上等と富良上等、そして伊東上等で班分けされる。そこで……本人の強い希望で佐々木班に参加したがっている捜査官がいる……入りたまえ」
「先せ……佐々木上等!」
「六月君……!?」
佐々木の教育したQs一期生は一人前と見なされ、各班のサポートに回されることも多かった。佐々木から貰ったアイパッチで赫眼を隠した、六月透もその一人だ。
「彼は事前の探索班に従事する予定だったけれど、君の班をサポートしたいと強い意志を見せたそうだよ。それに侵攻時はともかく、勝利した後の島内捜索には喰種同様に感覚が優れているQsの存在はありがたい……慕われているな佐々木くん」
中性的な外見からからは熱意が漲っているのを感じられた。しかし、琲世はそれに対してやや狼狽えていた。理由は月山家討伐作戦の際に殉職者が出たことだ。
「僕は……
「そんなことはありません! あれは、先生のせいでもないし不知君もそう思うはずない……瓜江君だって頭では分かっているんです……自分の力不足を認められずに……」
「そっか……そうなんだ。ありがとう。よろしく頼むよ六月一等」
「はい、佐々木上等!」
見せつけてくれるな、と思いながら宇井はタバコに火を点けた。しばらくくゆらせてから、紫煙を吐き出してもう戻ってこない前パートナーの思い出を一旦外へと出す。
「Qs班は真戸准特等の部下だ。第一班になる。アオギリの樹にはまだタタラ、オウル、ラビットとSSレート喰種が三匹も残っているんだ。かつての教え子のことを考えるなら、我々の役割を全うすることだ。そうすればそれだけ横槍を防げる」
言外に命令違反をしないようにと窘めながら、宇井は琲世に語りかけた。それは真実でもある。挙げられた三人を倒すことがアオギリの樹打倒の証だと考えている者は多い。
しかし。SレートやAレートの喰種もまた多い。武闘派喰種の代表格である白スーツも健在だ。
「地の利は向こうにある。確実に手早く済ますこと。それと……折角貸してるんだ。自分のクインケを見つけるまで、大事に整備しておいてくれ」
佐々木の箱を見やってから宇井は先に退室した。
流島攻略作戦が始まる。