「あれ?雪ノ下…」
「比企谷君」
部室の前でたたずむ美少女…、雪ノ下雪乃。
俺こと比企谷八幡の、か、か、か、か、…彼女だ。
「小町さんが、まだ来てないのよ」
「なるほどな」
新生·奉仕部部長、俺の妹である比企谷小町がまだ来てないので、部室が開いていないのである。
「すいませ~ん、遅くなりました」
「大丈夫よ、小町さん」
「遅いよ、超待ったわ」
「そこは『今来たところだよ(イケボ)』って言うところだよ」
「誰だよ、そのイケボ」
「小町さん、比企谷君がそんなこと言える訳ないわよ」
なんだよ雪ノ下、その諦めた言い方は。
「ほほう。さすが雪乃さん、兄のことをわかってますね」
おい、小町。ニヤニヤするな。雪ノ下はそんなことでは動揺しないぞ。
ほら…。
「な、なななな何を言っているのかしら、小町さん。こ、ここここんな男のことなんて…」
うわぁ、すげぇ動揺してる。
「小町、早く開けろ。小説の続きが気になって早く読みたいんだよ」
「アイアイサー」
いちいちあざといよな、我が妹ながら。
部室に入り、定位置に座る。小町は由比ヶ浜の隣である。
その由比ヶ浜なんだが、まだ来ていない。以前なら同じクラスだったので待ち合わせて来ることもあったのだが…。
「あ、雪乃さん、結衣さんはクラスメイトと出かけるそうですよ」
「そう。わかったわ」
さすが由比ヶ浜。もうクラスに馴染んでいるのか。
「クラスに馴染めないお兄ちゃんとは大違いだね」
「おい、俺は関係ないだろ。俺は馴染めないのではなくて、一人が好きなんだよ」
「はぁ、比企谷君は相変わらずなのね」
「そんなに簡単に変われるかよ」
「これだから、ゴミぃちゃんは…」
「これだから、比企谷君は…」
二人して哀れな人を見る目はやめて!
と、とりあえず、本を読もう。
………
……
…
「どうですか?この角度のかーくん、カワイくないですか?」
「小町さん、このデータ後でいただけるかしら」
「いいですよ」
女子二人は猫談義ですか。
ん?ノック?
「はいは~い、どうぞ~」
「こんにちは~」
あざとく甘ったるい挨拶の言葉、生徒会長·一色いろはである。
「あ、いろは先輩、こんにちは」
「おう、一色。回れ右して帰れ」
「ヒドイです!」
頬を膨らませこちらを睨む。
「あざとい」
「あざとくないです!」
「それで一色さん、今日はどんなご用かしら?」
また面倒事を持ってきたんじゃないだろうな?
「新入生に早く学校に馴染んでもらう為に、何かイベントをやりたいんですよ」
またイベント?
「ほうほう」
小町が喰い付いちゃったよ。
「それでですね、企画を一緒に考えてほしいんですよ~」
語尾を伸ばすな。
また仕事すんのかよ…。
「ふむ、小町にお任せあれ」
「え?お米ちゃん?」
「さぁ、行きましょう、いろは先輩」
「わ、私は先輩に…」
「あ、部活は適当に終わらせてください。雪乃さん、鍵と兄をお願いします」
「え、ええ、わかったわ」
慌ただしく小町は一色の手を引き出ていった。
まったく、騒がしいヤツだな。さて、本の続きを…。
「…こほん」
ん?
「どうした?」
「比企谷君にしては珍しくハードカバーを読んでいるわね」
確かにラノベ以外は久しぶりだな。
「これは親父が読み終わったから借りたんだ」
「貴方、ライトノベル以外も読むのね」
「元々、乱読タイプだからな。この前は『封神演義』を読み直したな」
「そう、貴方のお友達が沢山出でいるから…かしら?」
「おい、俺は妖怪の類いじゃねぇよ」
クスクス笑うなよ。このやり取りは好きだけど。
「と、ところで比企谷君の本棚はどうなっているのかしら?」
「どうって、普通に書籍が並んでいるぞ」
「あの…」
どうしたの?もじもじして。
「比企谷君の本棚を見てみたいのだけど…」
はい?
同僚が戦線離脱した為に、プライベートが忙しくて、久しぶりの投稿です。