付き合いたての二人   作:おたふみ

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後編

「とりあえず、上がってくれ」

 

「…お邪魔します」

 

雪ノ下の本棚が見たいという申し出に答える為に、家に連れてきたんだが…。

 

「麦茶ぐらしかないが、飲むか?」

 

「ええ、いただくわ。ところで、比企谷君の部屋は…」

 

ニャ~ンと鳴きながらカマクラがやってきた。

 

「ど…こなの…かしら?」

 

カマクラをチラチラ見ながら言いかけた言葉をだした。

 

「撫でてやってくれ。カマクラも喜ぶ」

 

カマクラに手を伸ばそうとしたが、手を引っ込めた。どうした?猫大好きフリスキーじゃないのか?

 

「さ、先に比企谷君の部屋へ…。くっ!」

 

「いや、無理しなくていいからね」

 

「む、無理なんてしたないわ」

 

と、言いながらもカマクラを見つめている。

 

「んじゃ、俺の本棚を手早く見て、カマクラを撫でてやってくれ」

 

雪ノ下を俺の部屋へ案内する。

 

「どうぞ」

 

「失礼するわね。…ここね」

 

入るなり四つん這いになりベッドの下を覗いている。ほうほう白ですか、眼福眼福。…じゃなくて!

 

「エロ本ならないぞ」

 

「では、どこにあるのかしら?」

 

「ねぇよ。あったとしても教えねぇよ」

 

「…そう」

 

なんで、ちょっと残念そうなの?

 

「本棚見るんだろ?ほら…」

 

本棚の方へ向き直ると、背中に軽い衝撃とお腹のあたりにまわされた腕が…。

 

「雪ノ下?」

 

「比企谷君…」

 

「どうした?」

 

「私は比企谷君のことが知りたい…。部室で小町さんが私が比企谷君のことをわかってるみたいに言っていたけど、私は何も貴方のことを知らないしわかっていないわ」

 

「そんなこと…ねぇだろ」

 

「なら、言い換えるわ。貴方ことをもっと知りたい」

 

俺だって雪ノ下のことを知りたいという欲求はある。それと同じなんだろうか。

 

「私は少しずつだけど素直になろうと思うわ。本当は今日だって、素直に貴方の部屋に行きたいと言うべきだったと思うわ」

 

雪ノ下は素直になれない。俺だってそうだ。だが、俺が素直じゃないのと、雪ノ下ではまるで違う。

 

「だから、比企谷君も…」

 

「あ~、雪ノ下」

 

「何かしら」

 

「そんなに急に素直にならなくてもいいぞ。俺もそんなにすぐには無理だと思うしな」

 

「どうして…」

 

少し雪ノ下の声に不安が感じられる。俺は雪ノ下の方に向き直った。

 

「雪ノ下は少し素直じゃないところもカワイイんだよ」

 

「えっ」

 

「あ、いや、なっ、ほら、あれだ…」

 

シドロモドロになっていると、雪ノ下はクスクスと笑いだした。

 

「比企谷君」

 

「なんだ?」

 

「私、素直になってもカワイイって言われるようになるわ」

 

「お、おう」

 

「そうなったら、素直にカワイイって言ってほしい」

 

「わかった」

 

玄関から『ただいま』の元気な声が聞こえてきた。

 

「リビングでお茶にするか?」

 

「そうね。カマクラさんも待っているだろうし」

 

リビングに行くと小町が待っていた。

 

「小町さん、お邪魔しているわ」

 

「あの靴はやはり雪乃さんでしたか。ふむ、どうやら小町はお邪魔してしまったみたいですね」

 

ニヤニヤしながら小町は言った。

 

「そうね、比企谷君ととても良い雰囲気だぅたのに…」

 

不満そうに雪ノ下が答えると。

 

「またまた雪乃さんたら、そんか冗談を…」

 

小町の返事を聞き、さらに雪ノ下が残念そうな顔をする。

 

「お、お兄ちゃん、雪乃さんが…」

 

俺も雪ノ下にのるか。

 

「まったく、小町は空気が読めないなんて、八幡的にポイント低いぞ」

 

「お、お兄ちゃんまで…」

 

さらに小町が狼狽する。

 

「クスクスクスッ」

 

雪ノ下が笑い出した。俺も我慢出来ん。

 

「あはははっ」

 

「えぇ!なんで二人して笑うの」

 

「ごめんなさい、小町さん。あまりにタイミング良く帰ってきたから」

 

「そうそう、丁度話が終わったタイミングだったからな」

 

「二人ともヒドイよ!!」

 

「悪かったよ」

 

「まぁ、よく考えたらヘタレなお兄ちゃんがそんな雰囲気を作れるわけないよね」

 

「ほっといて」

 

「じゃあ、雪乃さん。お茶にしましょうか」

 

「ええ、そうね」

 

小町と雪ノ下でキッチンに向かう。雪ノ下が俺の横を通り抜ける時に一言…。

 

「次は本当に良い雰囲気になれるといいわね。私の素直な気持ちよ」

 

そう目配せをして言った。

 

これは本格的に俺も素直にならなきゃいけない。そう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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