課題、YouTubeの動画編集、執筆…やることが多い…。
「おら乗り込め!置いてくぞ!」
上官の指示に従い、九九式小銃やDP-28(SE)、PPSh-41(SE)を構えた歩兵が、四式装甲兵員輸送車の後部ドアより次々と乗り込んでいく。
別の場所では戦車兵が愛車に乗り込み、九七式自動二輪に跨った兵が、軽機関銃にパンマガジンを装填しつつ、口の端を吊り上げていた。
「…う~ん。見れば見るほど禍々しいのぉ」
「ゾンビでも倒しに行くみたいだね。私たち」
相変わらず古臭い口調で話す、背中に全長1メートル程度と思われる巨大な十手を背負った少女――
彼女たちの他、歩兵が乗る四式装甲兵員輸送車には、ちょっとした改造が施されている。
荷台の前方にDP-28(SE)軽機関銃が2丁横並びに配置され、助手席の窓からも同銃の銃身が突き出ており、車体前方にスパイクが付いたドーザーブレードが、タイヤからも痛々しい棘が生えている。
これこそ、四式装甲兵員輸送車の轢殺車仕様だ。
銃火器を持たない敵集団相手には有効だとして、既存の車両を改造したものである。
兵員室側面にもスパイク付の板が張り付けられ、敵によじ登られないよう工夫が施されている他、歩兵が搭乗中に銃撃戦へ参加できるよう、防盾がいくつか設けられている。
「早く乗れ。目標はロウリア東方征伐軍の本拠地だ」
十四年式二型のスライドを引いてホルスターへ仕舞い、腰の後ろへ柳葉刀を提げた神奈川に急かされ、幹部たちもいそいそと乗り込んでいく。
「そういや、大将は来ないのか?」
「あぁ。簡単に死ぬような方ではないだろうが、念のためな…」
華賀江の問いに神奈川が返答した。
栗林本人は来たそうな感じだったのだが、ノウの説得もあり、渋々城壁に留まっている。
直後、頭上から大柄な男が文字通り降ってきた。
兵員室内に着地すると、すぐさま前方に据えてあるDP-28(SE)の銃把を握っていた。
「…何故に来てるんですか!?」
「後方で指揮執ってるばかりじゃつまらん。以上」
指揮官先頭の精神を具現化したかのようなこの男に、神奈川は思い切り溜息をついた。
正直、前線に出たところで栗林が戦死するビジョンが浮かばないのだが、明らかに近代戦に反した行為だ。
「指揮官先頭は前時代の遺物ではなかったかの?」
「そんなものに大将が従うわけないじゃ~ん」
藤堂が呆れたように独り言ちるが、武宮はニヤニヤしながらそう返した。
部下たちの会話を他所に、栗林は無線を手に話し始める。
「よ~し、お前等。神奈川から色々聞いてると思うが、取り敢えず敵に突撃して撃ちまくれ。相手は銃火器を持っていないから心配するな。一応火砲はあるようだが、射程が2キロもないし、そいつらは戦車部隊が処理する。制空権については、空の連中が敵の飛行場を破壊する手筈になってるから、心配せんでもいい」
「突撃して撃ちまくる」。何とも単純な指示だが、数以外は全て劣る敵であるため、今回ばかりは別だ。
それに、長距離砲撃によって敵集団は散り散りになっているし、ワイバーンに対する対抗策も完璧である。
「果たしてここまで杜撰な戦術があっただろうか…」
神奈川が微妙な表情で呟く。
元より神経質な性格で、栗林の側近の中でも戦術眼に秀でた彼女にとっては、あまり綺麗な作戦とは思えなかったらしい。
「勝てばいいのよ。勝・て・ば❤」
青のネイルが塗られた自身の爪を見ながら言った孤狼に、神奈川は口を閉じると、操縦手へ声を掛けた。
「よし、出してくれ。手加減はするなよ。容赦なく轢き殺せ」
「は、ははははいっ!!」
幹部全員のみならず、師団の最高責任者を乗せる羽目になった操縦手は、ご愁傷様としか言いようがない。
助手席でDP-28(SE)を構える兵も、彼へ同情の眼差しを向けると共に、自分のすぐ後ろにいるであろう雲上人を気にし、無意識に姿勢を整えていた。
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『ワイバーン200騎、全騎発進完了しました』
「ふむ。しかし、シャークンがあそこまで切迫するとは、解せぬな」
本国のロウリア軍司令部にて、魔信を取り扱う兵の報告に、最高司令官パタジンは眉間に皺を寄せながら独り言ちた。
少し前、軍船に座上し指揮を執るシャークンから直々に、ワイバーンによる航空支援要請が届いたのだ。
彼と東方征伐艦隊司令長官のシャークン・ケロウドは、個人的な付き合いもあったため、互いの性格などもよく知っている。
報告を受けた際、シャークンは声を聞くだけでも冷静さを失っていることがはっきりと感じ取れた。
普段から冷静沈着で、狼狽する様子など見たこともない身からすれば、シャークンをここまで狼狽えさせる敵に、思わず身震いしてしまいそうになった。
(嫌な予感がする。敵は何なのだ?まさか、我々はとんでもない存在を敵に…)
そんな思考は、屋外を警備する兵士の報告に掻き消された。
「報告!上空に未確認飛行物体!」
「何だと!?」
入念な調査の下、クワ・トイネ軍のワイバーン保有数を割り出した軍上層部は、本土の防空に専念するのがやっとだと判断していたが、その誤算が外れた結果になった形だ。
一応直掩騎は上げているが、万が一防空網が突破された場合、地上にいる無防備なワイバーンが導力火炎弾に焼かれることとなる。
「早く直掩隊を向かわせろ!」
手短に命じたが、この時の未確認飛行物体はワイバーンではないこと、そしてそれとは比べ物にならない強敵だったことなど、知る由もなかった。
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≪烏の巣≫に駐屯する重桜空軍所属の四式戦闘機"疾風″2型甲24機と、Do335A-12(SE)"プファイル″戦闘爆撃機12機は、ロウリア王国王都ジン・ハークのワイバーン基地を攻撃すべく、突撃を開始した。
「時速300キロに満たんトカゲばかりだし、心配はないか」
攻撃隊の指揮を執る
彼らが身を預ける機体は、鉄血空軍の最新鋭機Do335A-1"プファイル"の複座型である。
四式戦闘機"疾風"の後継として、空軍に納入されたばかりだ。
重桜空軍初の
様々な陣営の技術が結集されており、時折"同盟の象徴"とも呼ばれている。
最高時速は720キロで、上昇限度は13000メートル。爆装量の向上に伴う機体構造と武装の強化、機上レーダー、過給機の搭載によって速度性能は若干低下しているが、それでも十分すぎる。
固定武装は、プロペラスピナーと両翼に計3門備えられたNS-23 23ミリ機関砲、機首2門のイスパノ20ミリ機関砲で、追加装備として3.5トンの爆弾を搭載可能だ。
当初、国産の30ミリ機関砲を20ミリ機関砲と併せて搭載する予定だったのだが、NS-23は経戦能力が高く、威力も近いということで、同砲に変更された。
実際、23ミリ機関砲に装填されている新型の高速徹甲弾は、鉄血のⅥ号重戦車"ティーガー"ⅠやⅤ号中戦車"パンター"などの砲塔、車体上部を撃ち抜いている。
また、ユニオンのF-82"ツインマスタング"と同様、主翼と尾翼を連結し23ミリ機関砲6門、20ミリ機関砲4門という重武装と、6000キロ以上もの航続距離を持たせた型も、限定的な数だが存在している。
元は、海軍が艦上攻撃機"流星"の後継機として鉄血から導入したもので、艦上機型は空母運用が可能になるよう、機体構造がさらに強化され、着艦フックが装備されている。
大きく盛り上がった後部席には、レーダーマン兼爆撃手の饅頭が陣取っている。
垂直旋回時に機首が若干ふらつくのが欠点だが、パイロットたちからの評価はすこぶる高い。
四式戦を気兼ねなくクワ・トイネ、クイラに供与できたのも、いつかは全機体をこれに置き換える予定だったためだ。
「少佐!"疾風"が行きます!」
二番機の
護衛として着いて来ていた四式戦"疾風"が、機体を翻して敵編隊に突っ込んでいく。
ワイバーンの数は、およそ30騎といったところだ。もう少しいるかと思ったが、クワ・トイネとの航空戦力差から、直掩騎はそれほど上げなくても良いと判断したのかもしれない。
数の差をものともせずに真正面から突進する"疾風"の機首と両翼に、発射炎が閃いた。
イスパノ20ミリ機関砲から放たれた無数の20ミリ弾が、ワイバーンの硬い鱗を粉砕し、頭部を木端微塵にし、愛騎の首の影から顔を出していた乗り手の頭部を、ザクロのように弾けさせた。
時速300キロも出ていないワイバーンだ。一騎当千の空軍搭乗員からすれば、静止目標と同義だろう。
たった1回擦れ違っただけで、ロウリア軍のワイバーンはその全てが散華し、残骸が地面に落下していた。
彼我の飛行性能の違いが大きすぎるとはいえ、信じられないほどのあっけなさだ。
《烏の巣》転移以前から軍事訓練を実施し、練度でいえばクワ・トイネ、クイラの竜騎士隊を上回っていると聞いていたが、これほどまでに容易く堕とせるものか。
邪念を振り払うと、無防備となった飛行場に向け、僚機と共に突撃する。
900メートルという低高度から、眼下に佇む飛行場を見る。
荒れ地を均して造られたと思われるそれは、全長およそ1.5キロといったところか。
これを中世程度の文明が手作業で作ったのかと思うと、正直感心する。
「悪いが、ぶっ壊させてもらうぞ!」
饅頭が爆弾を投下したらしく、直後に機体が軽くなり、僅かに上昇する。
作戦に参加しているDo335には、800キロ爆弾を改造した四式八十番三号爆弾を、胴体内に1発搭載している。
所謂クラスター爆弾であり、800メートルの範囲内に無数の小弾や弾片をばら撒く兵器だ。
250キロや500キロ爆弾に比べれば、子弾1発当たりの威力は遥かに劣るが、面制圧には最適であり、飛行場を余すことなく穴だらけにすることができると期待されている。
投下した三号爆弾は、飛行場の上空で炸裂し、地表へ無数の土煙を沸き立たせた。
遅ればせながら発進しようとしていたワイバーンも何騎かいたが、子弾の直撃によって肉片と変わり、弾片が突き刺さって絶叫を上げさせる。
一帯は土煙に覆われ、その合間から穴だらけになった飛行場が見え隠れしていた。
重機もないし、手作業で埋め戻し、地面に刺さった弾片を1つずつ取り除くのは、相当な労力と時間が掛かるだろう。
「…あいつにするか」
比較的無傷を保っている、簡素な櫓に機首を向ける。
木材を四角形を描くように積み上げたものだが、近代兵器に対しては心許なさそうに感じる。
「喰らいやがれ!」
照準もそこそこに、伊東は発射把柄を握る。
プロペラ・スピナーと両翼に備えられた23ミリ機関砲、機首の20ミリ機関砲から放たれた無数の大口径弾が、櫓を構成する木材を貫通し、頂上の屋根を見張り員毎打ち崩した。
小隊の2、3番機も機銃掃射を浴びせ、大穴だらけになった櫓は、四隅の柱をへし折られ、間もなく倒壊した。
直下で右往左往している兵が押し潰されていくが、そこまでは伊東らに確認できなかった。
一部のDo335は竜舎に機銃掃射を浴びせ、轟音で気が荒くなったワイバーンや、それを宥める飼育員も、一纏めに粉砕していた。
「よし、仕事は終わりだ。帰るぞ」
完全に飛行場の機能を喪失したのを確認し、伊東は麾下全機に命じた。
手近な建物に機銃掃射を行っていた各機も命令に従い、急上昇に移る。
攻撃を終えた彼らを追うものはなく、ただの芝刈り作業を終えた攻撃隊は、猛速で青空へと消えていった。
閲覧ありがとうございました。
ホントは"流星"を魔改造してA-1"スカイレイダー"並みの性能を持った奴を配備させようかな~と思ったのですが、今作はユニオンからの影響をあまり受けていない感じにしたかったので、Do335の魔改造機にしてみました。
案の1つとして、IL-10の魔改造ver.もありました。
さて、制空権を完全に手中に収めた後は…何をするかわかるよなぁ(^^)?