海兵隊無双回になります。
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Youtubeチャンネル開設しました。執筆には影響しないよう努力しますが、予期せず投稿が遅れる場合があります。ご了承ください。
「糞ッ!!何なんだあいつらは!?」
東方征伐軍に所属するスワウロ・オルテガは、大盾を構えつつ独り言ちた。
謎の爆発により戦列が滅茶苦茶にされ、多数の兵力を失った自分たちへ向け、大量の高速で動く地竜が突進し、同僚たちを轢き殺していくのだ。
期待していた魔導砲も、別の敵地竜の爆裂魔法によって吹き飛ばされ、ロウリア側のリントブルムも全滅している。
着弾場所のズレと、盾の存在によって何とか命拾いしたものの、生きた心地がしなかった。
東方征伐軍は既に敗走状態に陥り、生き残りはジューンフィルアの居る本陣近くまで撤退している。
城塞都市エジェイの攻略など、思いも寄らない状態だ。
ジェーンフィルアは、前線指揮所周辺に生き残った兵力を配置し、徹底抗戦の構えを見せているが、末端の兵士の極一部は、逃亡の機会を得るべく上官の様子を窺っている有様である。
戦う以前の問題だった。
しかし、占領地帯に取り残された女性を強姦するような畜生――スワウロは妻一筋であるため、絶対にしないと決めている――の集まりでも、訓練を積み、国家に忠誠を誓った兵士であるのに変わりはない。
殆どの兵士が、圧倒的に強大な敵に向け、一矢報いらんとしていた。
それは、スワウロも同じであった。
前方に土煙が上がり、自分たちを蹴散らした地竜――04式兵員輸送車の大群が映り、思わず身体がガクガクと震え出す。
(何をしているんだ俺は!こんなんじゃ何も守れないぞ!)
そう自身に活を入れ、恐怖を封じ込めると、向かってくる敵を見据える。
速度はかなりのものだ。もう1キロもない。
「来るなら来…!?」
直後、敵地竜の頭部に光が明滅し、断続的な炸裂音が伝わった。
そこかしこの地面が軽く爆ぜ、スワウロは構える盾越しに、何かが高速でぶつかったような音と衝撃を感じる。
横や後ろからは、仲間たちの悲鳴が嫌というほど聞こえてきた。
(またこれか!)
ロウリアは、一部を除いて銃の存在自体知らない者ばかりだ。
現状、弓矢や魔法のような遠距離攻撃武器だということしか分からない。
銃声を聞いた比較的若年の兵士が情けない声を上げて地に伏し、上官から叱責される様子も、方々で見られた。
(これじゃあ顔を出せん!)
7.7ミリ弾直撃の衝撃に耐えながら、スワウロは心中で嘆く。
負傷はないが、現状盾を構えるのに精いっぱいだ。少しでも前を覗こうとするものなら、頭を貫かれるだろう。
直後、唐突に銃声が止んだ。
魔導が切れたのか…と思い、隠れていた兵士共々顔を出す。
「…!!」
彼らの目に映ったのは、もう目の前まで迫る04式の姿。銃撃にしか注意が行っていなかったため、轢殺される危険が頭から抜けてしまっていた。
「逃げろ!柵の内側まで逃げろ!」
生き残った兵士に叫ぶ。
前線指揮所周辺には、簡易的とはいえ、敵騎馬隊の奇襲を防ぐための馬防柵が設置されている。
その内側に居れば、敵の侵入は防げる筈だ。
スワウロは最後に柵の内側へ入り、盾を構える。
猛速で迫る04式に対し、細めの丸太を組み合わせて作った全高2メートル弱の柵は非力に感じてしまうが、現状これしか方法がなかった。
案の定、盾の影に身を隠すスワウロの耳に、木が纏めてへし折れる音が聞こえてくる。
その直後だった。
「ぐおぉぉッ…!?」
これまでに経験したことのない衝撃がスワウロを襲い、頑丈な筈の盾が大きく凹んだ。
骨が砕ける不快な音と共に、この世のものと思えない激痛が彼を襲う。
絶叫を上げるスワウロだったが、陣地内で発生したいくつもの爆発がそれを遮った。
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「切り込めぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉッ!!」」」
木製の柵を正面から突き破り、陣地内への強襲を成功させた04式各車から、得物を持った海兵隊員が躍り出る。
「「「誕生日おめでとう!!」」」
パンツァーファウストを装備する兵が、掛け声と共に一斉に榴弾を発射する。
馬防柵を薙ぎ倒して現れた四式を、恐怖の眼差しで見つめるロウリア兵が纏めて吹き飛ばされた。
収まりかけた爆炎を衝き、海兵隊員が肉薄していく。
ある隊員は、至近距離から小銃を射撃してロウリア兵を倒すと、ボルトを操作せずに銃床で頭部を兜毎叩き割り、銃剣を喉元に捻じ込んだ。
DP-28(SE)を装備する者は、走りながら乱射し、弾切れすれば空になったマガジンを投げつけて応戦し、銃口に取り付けられた銃剣で斬りつける。
少佐以上の実力者は、重桜刀1本で十数人単位の敵兵と渡り合い、斬り刻んでいく。
剣の扱いに慣れている筈のロウリア歩兵は、その動きを目視することすら敵わず、剣をへし折られ、鎧毎溶けかけのバターにナイフを入れるかのように斬り捨てられていった。
「オラァッ!!ロデ二ウス最強国家様よぉッ!!お前等の力はその程度かぁッ!?あぁッ!?」
「軟弱軟弱ぅッ!!ヒャッハ~~ッ!!」
「ヒィ…ッ!!こいつ等狂ってやがる…!!」
「悪魔の申し子だ…!!」
圧倒的物量で攻め、ブレード状に変質させた両腕で接近戦を挑んでくるセイレノイドとの実戦を経験していた重桜海兵隊第12師団にとっては、ロウリア兵などまるで赤子である。
銃のアドバンテージや射撃の腕のみならず、剣をはじめとした接近戦の腕っぷしも、ロウリア側を凌駕していたのだ。
自分たちとかけ離れた実力と武器、そして狂気を併せ持つ海兵隊員に、ロウリア兵はビビりまくっていた。
「お前等!ロウリアの連中はもっとくれと言ってやがる!撃ちまくれ!!」
「「「おっしゃ~ッ!!」」」
九九式小迫撃砲を載せ、自走化した四式からは、81ミリ榴弾が盛大に撃ち上げられ、前線指揮所後方に設営されたテント群を滅茶苦茶に荒らしていく。
無差別砲撃しているように見えるが、正確に味方のいない地点へ着弾している。中々の練度だ。
「し、死ねぇッ!!」
「遅ぇ」
乱戦の渦中を、師団長の荒川が重桜刀とメイスを手に駆け抜け、後者で大剣持ちの重装兵の頭を兜諸共叩き割った。
「た、隊長!?…ぐえッ!!??」
一瞬で戦死を遂げた上司に驚く数人の部下たちだったが、直後に目の前へ人影が現れる。
反応する間もなく、彼らは中段から上段にかけての連続蹴りを喰らい、くの字にへし折れた死体は味方を巻き添えにしながら飛んでいった。
「手応えないわねぇ。これで精兵なのかしら?」
「セイレーンの連中と此奴らを比べるのが間違っているんだ。俺たちの領域なら及第点位だろうな」
紫髪ショートカットの、オカマ口調で喋る軍医――
軍医だが、超人的な脚技の持ち主である。先ほど、スワウロの持つ盾を凹ませ、右腕を複雑骨折させたのも、彼の仕業だ。
現在はセイレーンの重桜本土空襲により焼けてしまったが、彼の実家はテコンドーの道場を営んでおり、隣国の半島国家
大河内は医者を目指し、医大に進学したのだが、彼の噂を聞いた軍人にスカウトされてしまったのだ。
最初は渋ったが、最前線で戦う兵士ではなく軍医として勤務してほしいこと、医大の学費等は軍が負担するといった条件を提示され、悩みに悩んだ結果それに乗った。どんな形であれ、医者として人の命を救えることには変わらないと割り切ったのだ。
卒業後は士官学校に入学し、次席で卒業――主席は荒川で4位が菊嶋だった――。
勧誘に来た軍人の言葉通り、軍医として第12師団への配属が命じられた。
セイレーン大戦時には、太平洋の島嶼攻略作戦にも参戦したが、その際に重桜・ユニオン両国の海兵隊、そしてKAN-SENと共に巨大戦艦『オロチ』への白兵戦も経験し、その際に上位個体数体を撃破。
その功績を称えられ、大佐に昇進した。
セイレーンとの戦いが終わり、更なる争いに向けて過ごしていたところに、転移騒動が起きた格好だった。
「化け物どもがぁぁぁぁぁッ!!」
敏腕の海兵隊を潜り抜けたロウリア兵数人が、2人に向けて突撃してくる。
しかし、両名は気にしない。
唐突に、後方から重々しい発射音が響いた。
ロウリア兵の周囲に土煙が舞い、彼らは悉く肉片へ変わる。
数秒後、2人の元へ菊嶋と少女が駆け寄ってきた。
前者はピストルグリップ付のDshk38重機関銃を右手に、左手には撃ち切ったパンツァーファウスト発射器を、後者は身の丈に合わない巨大なライフルを両手で抱えている。
「チッ…弾切れかァ…」
菊嶋はぼやくと、重量34キロの重機関銃を投げ捨て、背負っていたスコップを手にする。
「菊嶋、
「粗方片付いた。早く伯爵様に謁見しに行こうぜ」
その直後…。
「隙を見せたな化け物めぇッ!!」
背後から近づいてくる伏兵に気付いた菊嶋が、スコップの面を顔へ叩き付ける。
鼻先が潰れた敵兵は味方を巻き込みながら吹き飛ばされ、残り1人の首元に向け、鋭く砥がれたスコップを突き出した。
一瞬で首が刎ねられ、残った胴体は惰性で数歩歩いた後に倒れる。
少女にも何人かが向かってくるが、彼女は銃剣が付けられたPTRS1941を投擲し、纏めて串刺しにした。
生き残った2人が群がるが、最初に斬りかかってきた兵の顔面にグルカナイフの刀身を叩き込み、2人目には頭部側面へ回し蹴りを見舞う。
首がへし折れる不快な音が戦場に響き、兵士の頭が有り得ない方向を向いた。
少女――
某白い死神の再臨とも言うべき敏腕スナイパーである彼女は、やたらと敵に突っ込むことがあるため、FPSゲームを嗜む隊員からは、"リアル突スナガチ勢"と呼ばれている。
先の通り、近接戦闘の技量も優れており、セイレーン上位個体相手との戦いもこなす。
巨大戦艦「オロチ」艦上での最終決戦にも参戦したが、戦いの中で合流し、意気投合した黒烏を庇う形で"オブザーバー"の触手を喉に受け、彼女は声を失った。
声が出せなくなり、意志疎通が困難になったものの、元々物静かだった彼女にとってはそれ程問題ではなく、寧ろ部下からは好評だった――無口キャラが好きな者が多かったらしい――。
「隊長ぉッ!何か偉そうな奴を捕まえましたぜ!側近みたいな連中は全員死んでましたけど」
「ええい離せッ!私は伯爵ジェーンフィルアだzグホ…ッ!?」
「はいはい、静かにしてな~」
迫撃砲か擲弾筒の火力支援に巻き込まれたのか、華美な服が黒く汚れ、顔には切り傷を作ったジェーンフィルアが、屈強な海兵隊員に連れてこられた。
見苦しく口上を述べる彼だったが、気に障った隊員が頬に挙撃を食らわせ、黙らせる。
「よ~し、よくやった。取り敢えず捕虜第1号だな。丁重に扱え…と言いたいところだが、こいつの経歴次第じゃ、この先生きてられるかわからねぇな」
収束に向かいつつある戦場を一望しながら、荒川が言った。
――ロウリア王国東方征伐軍の先遣隊は、程なくして壊滅した。
「降伏すればどの道死ぬ」という考えが定着している彼らは、降伏の素振りを見せることなく重桜海兵隊員に斬りかかったが、その悉くが返り討ちになり、結局生き残ったのは、スワウロと名乗る重装兵の他10人に満たなかった。
閲覧ありがとうございます。
次は陸軍の皆様のターン!
そしてこれからもずっと《烏の巣》のターン!反撃なんてさせないッ(無慈悲)!