前作の設定であったワープ機能、宇宙から地上を見張る"心眼"、その他"ミズホの神秘"関連の兵器とかは除外しています。
後有人の艦隊もいません(伊藤さんと醍醐さん、劉さんも出ません)。無人艦隊も少な目です。
前作は流石に兵力が多すぎた。
アズレン世界では衛星とかないだろうにどうしてスマホ・タブレット・ノートパソコンが使えるの?って今でも疑問なんすよ。
成層圏あたりに通信気球でも上げてるのか?
戦艦『リットリオ』の艦橋からは、古めかしい帆船や、古風な街並みが遠望されていた。
沿岸には鎧を着た騎士や民衆が押し寄せており、こちらへ視線を向けている。
「良い街ね、リットリオ」
「あぁ。中々風情のある所だ」
司令官席に腰かける女性――重桜海軍硫黄島駐留艦隊指揮官
見たところ、この国の港には、全長50メートル未満の帆船が停泊しているだけで、機械動力で動くようなものはなさそうだ。
そのような船が主力の国に、いきなり全長300メートルを超える戦艦が来訪してきたのだ。注目されるのも無理はない。
「このリットリオの新たなる姿を見せるのが異世界の住人だとは、思いもしなかったな。ハハハ…」
《烏の巣》に所属するKAN-SENは、セイレーンとの新たな戦いに備えた――セイレーンと戦う前に転移してしまったわけだが――新型艤装の受領を行っている最中である。
ヴィットリオ・ヴェネト級は一足早くそれが終了し、以前よりも遥かに強力な艤装が与えられている。
全長は305メートル、全幅45メートル、基準排水量11万4000トンという巨体に、鉄血製47口径48センチ3連装砲3基9門を装備。
副砲は全廃し、八九式40口径12.7センチ連装高角砲を22基44門、MK303 Flak 30ミリ四連装機関砲34基、エリコンSS 20ミリ連装機銃(M45銃架)を20基搭載している。
防御面でも、主要防御区画を守る装甲板は最大495ミリの厚さを誇り、決戦距離からの48センチ砲弾、及びそれ以上の直撃にも耐えられる構造だ。
また、サディア独自のプリエーゼ式水雷防御機構も備えており、魚雷2~3本の命中程度ではビクともしない。
鉄血海軍のH43級と同じオール・ディーゼル機関(出力280000馬力)を装備し、さらに艦首水線下がバルバスバウとなったため、最高速力も32ノットと高速だ。
航続距離も、巡行19ノットで20000浬と長大である。
燃料事情もある中、このような巨艦を派遣したのには理由があった。
街並みや人々の格好、装備する帆船などを見た結果、中世のエウロパに似たような文明だと判断したのだが、その時代では前世界ほど人命への考えが発達していない。
戦争で負けた相手の兵士を皆殺しにしたり、占領した都市に残された女性を強姦したり、子供を売り払ったりなどは当たり前といった有様だ。
彼らも、そういった人道的考えが欠如している派遣国家の可能性がある。
決して舐められてはならないようにとの判断だった。
「さて、ブルックリン。交渉お願いね」
「畏まりました。そちらの領分に関しましては、お任せください」
敏腕外交KAN-SENであるブルックリンが、事務的にそう言った。
こういった困りごとは、彼女がいれば大体何とかなる。
「リットリオ。流石にこの艦が入れるような場所じゃないわ。内火艇を降ろして」
「よし。では行こうか」
1人でにクレーンが操作され、穏やかな海面に降ろされた内火艇へ、3人が乗り込んだ。
操舵室へ一抱えほどの大きさを誇るヒヨコ型アンドロイド――饅頭が陣取り、軽快に小型の艇体を操っていく。
東煌の新興企業である饅頭電子工業で開発された饅頭は、人口が大激減した地球では幅広い活躍を見せており、今のように軍用として用いられている場合もある。
「おや、護衛が到着したな」
「ん~?…って」
許可を得て徴用した、某財閥が保有する重桜籍の豪華客船『河合丸』より降ろされた内火艇が、黒烏たちの護衛を乗せて並走してきた。
まぁ要らないかもしれないが。
が、その面子を見た途端、黒烏の表情が消えた。
「…何で貴女たちがここにいるのよ」
「あっれぇ~?私は会えてうれしいよ、黒烏中将♪」
「すみません…。止めたんですけど聞かなくて。栗林大将もOK出しちゃったし…」
「本当貴女たちの上司って適当よね」
満面の笑みでグッドサインをする栗林を思い浮かべ、黒烏は思い切り溜息をついた。
三十年式銃剣を取り付けた九九式短小銃、PPSh-41(SE)機関短銃を構え、ガスマスクで顔を覆う黒ずくめの歩兵たちに混じり、20歳も超えていない少女が2人佇んでいる。
1人は紺色の長髪をポニーテールにし、腰に紅く塗装された大きな鋏、ポーチを提げ、もう1人は桃色の長髪を同じように後ろで纏め、手甲を嵌めていた。
両者とも、指定の黒いブレザーに赤のネクタイ、黒のプリーツスカートを穿いているが、後者は上を少し着崩し、シガレットを咥えている。
「指揮官。彼女たちは…?」
「陸軍の7幹部、
セイレーンとの戦いにより人手不足に喘ぐ重桜軍は徴兵制を施行しており、15歳以上の男子は兵学校乃至士官学校へ行かなければならない――同年齢より女子も志願制で入隊可能。
そして、戦いに次ぐ戦いは、年功序列的な古い体質を取る上層部を強制的に納得させていき、程なくして実力主義の形が取り入れられた。
実力のある者ほど年齢に関係なく昇進していき、その過程で経験を積み、20歳程度で佐官以上になる天才が、細々とではあるが誕生している。
そして、その"天才"たちは《烏の巣》にも多数が存在しているのだ。
「…ッ。そうですか。頼もしいです」
ブルックリンが一瞬顔を顰めたが、直ぐにそれを止めて一礼した。
武宮の体中から滲み出る血の匂いがそうさせたのだ。数多のセイレーン個体や人間を刻み、得物と身体が血を大量に吸っている証だろう。
「頼もしい護衛だ。2人とも、この後は暇かな?私特製のエスプレッソとティラミス、ドルチェをご馳走しよう」
「え!?良いの!?やったぁ!誰か知らないけど、お姉さんも大好き!」
「お、おい、武宮!」
「「「た、大佐ァ!?」」」
リットリオの言葉に反応した武宮が、並走している内火艇同士の間(4メートル前後)を跳躍し、黒烏たちの乗る艇へ飛び込むと、そのままリットリオへと抱き着いた。
「おっと…。急に抱き着いてくるとは、中々積極的なシニョリーナね」
「はいはい。これから私たちの今後に関わる交渉なんだから、もう少し緊張感を持ちなさい。あとリットリオ、私というものがありながら口説くのはやめて」
すると、リットリオに抱き着いたままの武宮が、目を輝かせて黒烏を見た。
「えっ!?何々?2人付き合ってるの!?…でもぉ、私このお姉さん気に入っちゃったし、奪っちゃおっかな♪」
直後、黒烏の額に怒りの四つ角が出現した。
笑顔の裏で鬼のような形相を浮かべる。
「…殺す…ッ!!」
「指揮官!?駄目ですよ!?」
「お前等!武宮を押さえろッ!!」
「「「は、はいッ!!」」」
鯉口が切られた直後、紫色の閃光が揺らめき、2隻の内火艇を轟音とともに発生した巨大な水柱が覆い隠した。
「なっ、何!?」
マイハーク防衛騎士団長イーネ・ヴァイス以下、騎士と民衆たちが突然の事態に驚き、万が一に備えて待機していた海軍の軍船が、救助のため動いていった。
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「いやぁ~。いいお風呂だったねぇ~」
「あぁ。だが、それなら我がサディアのテルマエも負けないわ。1度来てみると良いよ」
クワ・トイネ側の好意で、来客用の大浴場を使わせてもらった一行は、全員ローブ姿のまま、自分たちの服が乾くのを待っていた。
しかも、ありがたいことに1人ずつメイドを付けてくれている。
「指揮官、いくらケッコン相手を奪われそうになったからといって、いきなり実力行使に移るのは感心できません。しかも、これから交渉だというのに、その前にこういった形で相手国のお世話になるなど…」
「『砲艦外交も立派な外交』って常日頃からほざいてるアンタに言われたくないわよ」
メイドに髪を梳かされながら、黒烏はブルックリンの小言を受けていた。
しかし、当の彼女は意に介した様子を見せずに、海水に浸かってしまった十四年式拳銃を分解し、各部品の拭き掃除を行っている。
因みに、従来まで用いられてきた8ミリ南部弾は威力が不足していることが指摘されたため、北連製の7.62ミリ×25ミリトカレフ弾に変更されている。
全体的に見て、比較的扱い易い拳銃だ。
また、黒烏の十四年式はとある"大切な人"から貰ったもので、純白に塗装され、所々に桜の紋章が描かれている。
「あの、ホントすみません。うちの武宮が…」
華賀江が申し訳なさそうに言った。
「はぁ…。もういいわ。リットリオも女癖が悪いことだし。自由過ぎる上司共々、貴女たちは本当大変ね…」
「失敬だなシニョリーナ。私は全ての女性を愛しているんだ。多くの人々を平等に愛せるなんて、素晴らしいことだとは思わないか?」
「お姉さん、完全に浮気した人の言い訳にしか聞こえないんだけど」
武宮が散髪用らしい鋏を弄りながら、リットリオに突っ込んだ。
散髪用にしては、やけに刃先が長く鋭い。丁寧に手入れされている。
と、扉が開けられ、着替えの入った籠を持った数人のメイドが入ってきた。
「失礼いたします。皆様のお召し物が乾きました」
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「では、これより会談を行いますが…先ほどは、大丈夫でしたか?」
マイハーク城の食堂で始まった会談は、カナタの心配そうな声から始まった。
「はい。貴軍将兵の方々による早急な救助、誠に感謝いたします。まさか、整備不良であんなことになるとは思ってもいませんでした」
嘘を交えつつ、黒烏は一礼しながら応えた。
流石に、「船上で斬り合った余波で船が沈んで海に投げ出されました」など恥ずかしくて言えないし、話したところで信じてはもらえないだろう。
「え?沈んだ原因って私tムグッ!?…グヘェッ!?」
要らぬことを口走ろうとした武宮の両手と口を、瞬時に護衛兵が押さえつけ、続いて華賀江が手甲を嵌めた拳で軽く小突いて黙らせた。
「申し遅れました。…まず、先日の貴国に対する領空侵犯の件、及び今回の艦隊による接触で、貴国の国民の皆様へ多大な不安感を与えたことを謝罪させていただきます」
起立し、黒烏をはじめとした全員が深く頭を下げる。
カナタ以下クワ・トイネ公国首脳部は、自分たちとは隔絶した軍事力を持っているにも拘らず、他の列強とは違い全く見下すことなく謝罪した黒烏たちに好感を覚えた。
「貴女方のことは、我が軍の軍船『ピーマ』より報告が上がっています。よれば、異界から転移してきたとか…」
「その通りです。信じていただけないかもしれませんが…」
――2時間程の話し合いの結果、
・クワ・トイネ公国と《烏の巣》による連邦国家は樹立する。
・《烏の巣》はクワ・トイネ公国に対して技術・軍事支援を行う。
・見返りとして、クワ・トイネ公国は食糧を輸出する。
・クワ・トイネ公国は一部の土地を居留地、工場用地、軍事基地用として無期限租借する。
・《烏の巣》はこの後クイラ王国とも国交を結ぶ予定であるため、クワ・トイネ公国はその仲介を担当する。
という形に纏まった。
4番目の項目はひと悶着あったが、クワ・トイネ公国にとっては珍しく作物の生えない不毛の大地を提供すれば良かったため、齎される技術と軍事の支援に比べれば、そのような土地を手放しても十分お釣りがくると判断された。
ロウリア王国の脅威が日々強まっているという事情もあるが。
「後ほど、そちらへ視察団を派遣し、各種技術を精査させていただきます。不毛とはいえ、自国の土地を引き渡す形になりますから」
「大丈夫です。そちらの事情も十分理解しております。ですが、こちらには取り残された観光客のこともありますので…」
世界でも有数の観光地として生まれ変わり、さらに大勢のKAN-SENが所属する艦隊が駐屯していることも相まって、彼女らを一目見ようとする観光客が大勢訪れていた中での転移騒動である。
チェックインしたホテル等で生活するのも限界があるため、早急に民間人の住まいを獲得する必要があった。
そして、議題はクイラ王国のことに移る。
口を開いたのはリンスイだ。
「クイラ王国は主に獣人の暮らす国家になりまして、我が国の古くからの同盟国です。ですが、土地は痩せ気味で、山岳や砂漠、荒れ地が広がっています。また、そこらの地面を少し掘り返しただけで"黒い燃える水"が湧き出してくるとか…」
「「「…!?」」」
直後、黒烏をはじめとした《烏の巣》側の者たちが目を大きく見開いた。
クワ・トイネ公国、クイラ王国からすれば燃える以外何の特徴もないただの黒い水なのだが、《烏の巣》からすればそれは財宝としか言いようのないものである。
「…分かりました。貴国の視察団が精査を終えた後、我々はすぐにクイラ王国へ出向こうと思います。その際は仲介の件、よろしくお願いします」
「それは構いませんが、燃える水に何か…?」
「ええ。その燃える水が山ほどあれば、私たちの発展は約束されたも同然ですよ」
満面の笑みを浮かべた黒烏たちを見て、クワ・トイネ側は疑問符を浮かべていたが、それほど喜んでいるのであれば、彼らにとって非常に利用価値のあるものなのだろうと、無理やり自分たちを納得させていた。
「そしてロウリア王国なのですが…、こちらは我々のような人間以外の種族を"亜人"と称し、長い間迫害を続けており、現在でも隙あらば戦争を仕掛けようと画策しております。万が一開戦した場合、クイラ王国と共同戦線を張ることになっていますが、それでも勝つ望みは薄いでしょう」
「現国王ハーク・ロウリア34世は当初、亜人排訴を取り止めるよう動いていたそうですが、それも噂に過ぎなかったようで…」
しきりに頷く黒烏。周りのKAN-SENや軍人たちも頷いている。
「なるほど。どうやら、その国とは仲良くできないようですね。国交を結ぶつもりでしたが、諦めましょう」
それで、会談は終了となった。
ひとまず、食糧問題と資源問題という問題が一気に解決したため、黒烏たちは安堵感から思い切り息を吐いた。
前作で『鋼鉄の咆哮』レベルの艤装を持ったKAN-SENですが、空母たちはあくまで"普通に"発展させる予定です。
戦艦KAN-SEN?…ロマンは作者の原動力です(・∀・)。
魔改造の限界を知りたい(切実)
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ちょっと前までパンターⅡ優勢だったけどいつの間にかセンチュリオンが優勢になってるだと!?さては皆ガルパン好きだな(偏見)