白銀の烏と異世界母港【再演】   作:夜叉烏

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 こんばんは。夜叉烏です。

 今回は少し短めです。

 作者のYouTube
 (https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg/videos)


未知との邂逅

 

 「な…何なんだあれは…」

 

 空港職員や非番のパイロットといったギャラリーに混じり、着陸してきたロデ二ウス連邦使節団の機体を見ていたマイラスは、それらの巨大さ、異形さに圧倒されていた。

 なまじ技術に詳しいだけあって、驚愕さ加減は周囲の職員・パイロットとは比べ物にならない。

 

 後者は驚きこそすれ、技術的な事象には疎いため、『あぁ、そういう飛行機なんだなぁ』といった感想を抱くに落ち着くが、マイラスは必死の目の前に駐機している機体のメカニズムを理解しようと頭をフル回転させていた。

 

 (全長は30メートル…翼幅は40メートルは余裕で越えているぞ!?なんて巨体なんだ!?それにあの双発…いや、四発機…なんて形してるんだ)

 

 彼が出した結論は、『航空技術に関しては確実に負けている』であった。…非常に不本意であるが。

 

 ラ・カオスよりもずっと大きく、洗練されていた四発機はまぁ分かる。ラ・カオスが発展していけば、あのような機体が開発されていくだろう。

 …それが何年先になるのかは分からないが。

 

 旅客型と思しき、機首が鳥の嘴のように尖ったものを護衛するように駐機した、機体上面・下面・側面・尾部・機首から太い銃身を生やした機体の物々しさに身震いしながらも、明らかに20ミリを超えている口径の機銃を見、砲熕兵器の製造技術も優れていると判断した。

 

 ムーは最近、ワイバーンの硬い外殻を遠距離から打ち砕ける機銃として、38式75口径13.9ミリ重対空砲を開発している――ホチキスM1929 13ミリ機銃に酷似――。

 だが、20ミリ以上の機銃を開発したことはなく、しかも航空機に載せるなど考えもつかない。

 

 しかし、マイラスが何よりも頭を悩ませているのは、共に飛来してきた機体だった。

 2つの胴体と、それぞれの胴体の前後に装備された大直径の四翅プロペラ…マイラスが持つ知識では、あの形状の意味が真面に分からない。

 分かったことと言えば、機銃を固定装備していることから戦闘機の可能性が高いことと、途轍もない航続性能を持っている機体であるということだけだ。

 

 (あぁ…駄目だ。今の俺は一応"外交官"なんだからな)

 

 今すぐにでも目の前の機体を分析したい欲に駆られるが、自らの任を思い出し、その欲望を押さえつける。

 現在の彼は技術士官でもあるが、ロデ二ウス連邦の使節団を迎える"外交官"でもあるのだ。

 

 すると、非武装の四発機の機体側面に設けられたドアが開いた。

 機内からタラップが降ろされ――なお、これは饅頭がやっており、巨大な可愛らしい鳥の雛がタラップを担いで下している場面を見、( ゚д゚)とした表情になっていたのは言うまでもない。

 マイラスもその1人であった。

 

 それからやや間をおいて降りてきた人物たちに、この場のムー人は全員息を呑んだ。

 

 最初にタラップを下ってきたのは、角のようにピンと跳ねた紫髪が特徴的な、変わった曲刀を携えた2人の女性。

 前を歩く女性は黒い眼帯を身に着けており、軍属男性顔負けの鍛え上げられた美しい腹筋、細くそれでいて筋肉のついた二の腕と太ももを晒している。武人としての凛々しさと、女性としての美しさを備えた美女だ。

 その後ろからは、前者と違って髪を伸ばした女性が歩いてくる。こちらは、前者と違いミニスカートを穿いており、生脚が嫌でも視界に飛び込む。

 …が、直後に鋭い目つきで下心を露にした者が睨みつけられ、彼らはビクリと身体を震わせながら引き下がった。

 

 さて、その2人に続いて降りてきたのは、またもや2人の美しい女性。

 華美な、貴族が纏うような装いをしており、いずれも帯剣している。胸元の露出が気になるが、エルフらしい耳長・桃色長髪の女性が醸し出す、何とも言えない威圧感に、まるで蛇に睨まれた蛙のように動けない。

 

 最後に降りてきたのは、銀髪ロングで黒づくめの格好をした女性と、ウェーブのかかった茶髪を左側から垂らし、王冠を被った女性だった。

 前者は曲刀を、後者は金の装飾が少しだけ付いたショートソードを両腰に提げている。

 

 全員、街中で擦れ違えば思わず振り向くほどの美女ばかりだ。

 ハニートラップでも仕掛けるつもりだろうか…と、ロ連側からすれば失礼極まりない考えが浮かんでしまう。

 

 銀髪の女性が他の間を抜け、マイラスの元へ向かってくる。周囲と違い、きっちりとした正装で固めているため、外交官だと分かったのだろう。

 謎に露出度の高い民族衣装(?)を身に着けている一団の中では、比較的肌の面積は小さい方なのだが、やけに身体の線が浮き出る前開きでヘソがギリギリ見える丈のノースリーブ、左側にスリットが入ったロングスカートから見える美脚に、目が行きそうになる。

 

 「…ぶ、文明圏外から遥々お越しいただき、感謝いたします。本日、皆様の案内役を務めさせていただきます。マイラス・ルクレールです」

 

 (随分若いなぁ…。もしかして有力な将校か政治家の御令嬢?)

 

 努めて冷静さを取り戻し、自らの名を名乗るマイラス。

 同時に、見るからに20歳程度の外交官らしき美女がこんな場所にいるのかが分からず、疑問を浮かべる。

 

 「貴国の歓迎に感謝いたします。本日、ロデ二ウス連邦を代表して参りました。白銀黒烏です。外交官とFATO軍総指揮官を兼任しております」

 

 「はい、よろし…うん!?」

 

 外交官…というのは何もおかしくはない。この場に来ている以上、その肩書を持っていることに不思議はない。

 だが、目の前の女性はFATO軍の総指揮官も兼任していると言った。

 

 FATO軍…文明圏外国を中心とした国家連合である『第四文明圏』、その加盟国から戦力を抽出することで構成された、国家に依らない軍隊。

 その頂点に立つ人物となれば、階級は大将…いや、元帥である可能性も…。

 

 その考えに思い至ったマイラスは、驚きのあまり暫く声が出なかったのは言うまでもなかった。

 

 





 閲覧ありがとうございました。

 《オリ兵器解説》
 ・38年式75口径13.9ミリ重対空砲

 ムーが開発した対空砲。
 パーパルディア皇国がロード種とそれを搭載する竜母の大量配備、オーバーロード種の開発などの事情から、既存の8ミリ機銃では将来威力不足になることを予想し開発された。
 試験の結果、弾道低進性や威力に問題はないと判断され、採用に至った。軽快に動作するとして機銃員にも好評。弾丸は35発入りのボックスマガジン。
 陣地防空や艦載用として配備が進められている。なお、後年民間から徴用した農業用トラクターにポン載せした車両(フランス軍のP4T AAに酷似)が開発され、奮戦することになる。
 外観はホチキスM1929 13ミリ機銃に酷似。基本は連装砲架だが、四連装型も存在。

 使用弾薬:13.9×97ミリ弾
 発射速度:毎分270発
 有効射程:3200メートル
 
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