こんばんは。夜叉烏です。
マイラス君うらやま回。恐らく今年最後の投稿になるかもです。
作者のYouTube
(https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg/videos)
外交官として、ムーの持つ技術を見せることでロ連側の情報を引き出すという任務を命じられたマイラスだったが、もう彼は自信を失いかけていた。
当然である。あれほどの航空機を見せつけられてしまえば、"ラファーネ"の威信を賭けて開発した"アナクス"なぞ、彼らからすれば骨董も同然だろう。
陸戦兵器や艦船の技術水準は不明だが、あれほどの航空機を保有しているロ連が、ムー以下の装備を持っているとは思えなかった。
「…こちらは我が国の最新鋭戦闘機である39年式戦闘機"アナクス"で、700馬力の空冷星型9気筒エンジンを搭載。最高時速442キロを発揮します。武装はガエタン35型8ミリ機銃を4丁搭載。本機は我がムー国の最新鋭戦闘機であると同時に、初の単発単葉全金属製戦闘機です」
格納庫に案内したロ連使節団を案内したマイラスは、淡々と目の前に駐機してある"アナクス"へ手をやりながら、軽く説明を始めた。
本来ならもう少し誇らしげに説明するところだが、ロ連の飛行機械を前に圧倒されてしまった彼の声音は、どこか機械的なものであった。
「小さくて可愛らしいな」
「ちょっと頼りないわね」
「え~。何か虻とか蠅みたい」
角のように紫髪が跳ねた、曲刀を持っている2人と、腰にシザーバッグと紅く塗装された巨大な鋏を提げている少女――この少女が着いてくるとなった際、黒烏たちは分かりやすく嫌がっていた――が、自国の最新鋭戦闘機に対して容赦なくそんな感想を発した。
苦労の末開発に成功した、単発単葉・全金属製の戦闘機。だというのにこんな評価をされてしまえば、技術士官のプライドも形無しだ。設計主任のグラディアがいたら、涙目になっていたかもしれない。
それでも、マイラスは自分の責務を忘れてはいない。
ロ連の技術力の一端を聞き出さなければ。
「貴国の戦闘機はどのようなものなのでしょうか?貴女方の護衛として来ていた、あの四発機が主力なのですか?」
マイラスからすれば、四発戦闘機――Do335Zなどゲテモノも良いところな機体だった。
「いえ、あれは長距離飛行を行う爆撃機を護衛したり、敵地へ長躯侵攻しての偵察・爆撃が主任務の特殊な機体です。現在主力になっているのは…」
そう言い、軍用のタブレットを操作している黒烏を、ポカンとした様子で見つめているマイラス。
「あの、そちらの機械は…?」
「え?…あぁ、その…個人携行型高性能電算機、と言えば分かりますか?」
一応、ムーにもコンピューターはあるのだが、いずれも機械式の大型なもの。
利便性も計算速度も精度も、黒烏の使うタブレットとは、月とスッポンレベルの技術格差がある。
(計算機をこんな薄型の機械に収めてるのか!?いやおかしいだろ、一体どんな仕組みなんだ!?これも科学技術で作られたものなのか…!?)
理解の範疇にない科学技術の産物を前に、ムーの遥か先を行っている敗北感以前に、その意味不明さに畏怖を覚えてしまうマイラス。
わなわなと身体を震わせる彼を不審に思いながらも、タブレットに表示された画像を見せる黒烏。
「こちらが我が国の主力戦闘機である、Do335A12です」
「え、えぇ…うん?」
そこに映し出されていたのは、先ほど見た四発双胴機を丁度半分にしたような見た目をした機体。鮮明な色付きの画像に驚きながら、映し出された航空機をよく観察する。
Do335Zほどではないが、これも相当ゲテモノな――少なくとも、ムーの航空技術者には思いもつかなそうな形状である。
「最高時速は720キロ…」
「はいぃっ!?!?」
"アナクス"よりも高性能な戦闘機があるのだろうな、位は思っていたのだが、流石に最高時速700キロ越えは想定外だった。行っても時速500キロだとマイラスは思っていた。
突然の大声に、さしもの黒烏たちも驚いた。
「うわっ、も~。五月蠅いよお兄さん…アデッ!?」
「い、いえ、此方もいきなり大声を上げてしまい…」
外交の場ですべきではない武宮の言葉遣いを咎めるように、黒烏が裏拳を彼女の後頭部に叩き込んだ。
マイラスは特に不機嫌になることなく、寧ろ大声を出してしまったことを詫びる。
「因みに、今回護衛としてついてきた四発双胴機は、本機をそのまま連結させたものです。流石に寸法は改造時に弄っていますが。これは最高時速734キロ、航続距離7450キロとなっております」
「700キロ…7000キロ…」
なお、今回のDo335Zは特注の大型増槽を機体中央、各胴体下に搭載し、航続距離を無理やり10000キロまで伸ばしている。
それでも、マイラスにとって有り得ない数値なのは変わらず、伝えられたそれを何度も繰り返し呟いていた。
「なお、私たちが乗ってきた爆撃機は最高時速512キロ、上昇限度は10000メートル以上です」
「…」
爆撃機でさえ、このような非常識極まりない性能。"アナクス"や"マリン"では近づくことすら敵わず、ムーの都市は高空から投下される爆弾の雨で蹂躙されてしまうだろう。
ロデ二ウス連邦の技術力に完全に打ちのめされてしまったマイラスは、最早驚くこともできずに沈黙するしかできなかった。
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その後、特に驚く様子もなく自動車に身を預けた黒烏たちに、「自動車も普通にあるんだなぁ…」と思いながらロ連の交通事情を問いかけ、「軽く100万台は走ってるのではないかと」という返しをいただいたため、驚きのあまりハンドルを握るマイラスが危うく事故を起こしそうになったりしたが、何とかムーの最高級ホテルに到着した。
夕食を摂り、シャワーも浴びた。後は明日に備えて寝るだけだ。
「ふぅ…。流石に驚かせすぎたかしら…」
使節団にあてがわれた部屋の豪華さに驚きつつ、自分たちの技術力を示すことができ、務めを一応果たせたことに安堵しつつ、4つ並んだダブルベッドの内の1つに背中からダイブする。
スカートとノースリーブ、ブーツとニーソを脱ぎ、刺繍やフリルで彩られた黒の下着姿を晒しており、まだ国交も結んでいない国でやるにははしたないと思われるだろうが、ムーとの接触はロ連にとって死活問題。
今のところ問題なく進んでいるとはいえ、気が休まる時はなく、相手の目がないところならこれ位だらしなくしててもバチは当たらないものだ…そう黒烏は思っていた。
他のKAN-SENも、制服を脱いで下着やらベビードールやらを纏ったオフスタイルでダラダラしている。
高高度通信気球により、前世界と同じ感覚でインターネットは使えるため、彼女たちはスマートフォンやタブレットを弄っている。
「驚かせてなんぼだろ、指揮官。この世界じゃあ舐められちゃいけないって、散々思い知らされたじゃないか」
白に黒レースの下着を纏う飛鷹が言う。
確かにその通りなのだが、マイラスの驚き方を見るに、"アナクス"と呼ばれる戦闘機はただの最新鋭戦闘機ではなく、技術陣の苦労が積み重なった末に誕生した機体のようだ。
それを性能面で軽く上回る機体を見せつけ、更に軽空母KAN-SEN2人とサイコパス鋏少女が容赦のない感想を発したため、彼らのプライドはズタズタになっていることだろう。
「そうなんだけどね…」
独り言ちながら、自身の髪をクルクルと弄る。
デューク・オブ・ヨークがエクセターの髪を、ハウがヨークの髪をそれぞれブラッシングしている様を見ながら、複雑な思いを抱いた。
「その、ヨーク様…///」
「恐縮しないでも良いというのに…❤それに汝、随分可愛らしい下着を着ているのね…❤指揮官との夜伽に備えて…かしら?フフフ…❤」
「そ…っ///そんな、こと…っ///」
随分と甘い光景である。因みに、エクセターは白いフリルやリボンが施された濃いピンク色のタンクトップとショーツ、ヨークは真紅の透け透けなベビードールを纏っている。
(ヨーク…もしかしてエクセターのこと狙ってる?)
デューク・オブ・ヨークは、何かとエクセターのことを気にかけていることが多い気がする。
ヨークは妖艶なお姉様の如し雰囲気満々のKAN-SENだが、黒烏からすればエクセターのように真面目な娘を揶揄ったり、可愛がったりするのを楽しむ軽めのサディストという印象が強い。
エクセターが可愛いのは無論だが、下心を持って可愛がるとは言語道断――そんな思いを込めると、3人の座るベッドへ飛び込み、ヨークの手解きを受けている専属艦を奪い取るようにして抱き着く。
「エクセターは私のものよ!勝手にイチャイチャしないで!」
「し、指揮官殿っ!い、イチャイチャはしてませんっ///」
まるで、他人に許可なく自分の玩具で遊ばれ、早く返すよう促す幼子のような口調で力強く言った黒烏の言葉と、頬に感じる彼女の柔らかな双丘の感触に、エクセターは顔を真っ赤に染めた。
「何、其方の伴侶を取るほど、私も無作法ではないわ。誤解を生んでしまい申し訳ないわね。フフフ…❤」
「あ…っ///うみゅ…///」
軽い謝罪とともに、ヨークは猫を可愛がるように黒烏の顎を指で撫でる。
突然の行動に、黒烏は無意識に表情を蕩けさせ、嬉しそうに口角を緩めてしまう。
「…あ。…も、もうっ///」
いいように弄ばれていることに気付き恥ずかしくなったのか、エクセターに抱き着いたまま顔を赤くしてそっぽを向く黒烏。
ヨークは慈愛の籠った表情でその様を眺める。
飛鷹は「分かりやすっ…」と言いたげに呆れ、隼鷹は黒烏の可愛らしい仕草に胸を撃ち抜かれ、ハウも隼鷹ほどではないがその愛くるしさにドキリとしてしまう。
「隙ありよ…❤」
むにゅり…っ❤
「ひゃあぁぁぁっ!?!?///」
「あっ!?ちょ…っ!」
黒烏が目を離しエクセターを抱く腕の力が緩んだその瞬間、ヨークがエクセターを黒烏の腕から掻っ攫い、その双丘をタンクトップ越しに揉み始める。
突然の出来事に、エクセターはまるで露出狂に出くわした生娘のような叫びをあげてしまった。
「フフ…汝、中々のものを持っているのね❤これも、指揮官との夜伽の賜物かしら…❤」
「こっ、これは元々…っ///あうっ///」
妖艶なエルフのお姉様に胸を揉まれ、時折色々と危ない声を出す高潔な精神の真面目系な若い王族の女性。
世の紳士が見れば鼻血必須な光景である。
「こ、こらぁッ!!エクセターを返しなさいッ!!」
しかし、愛する者を奪われ、その身体を好き放題されてしまっている黒烏にとって、許容できない状況だ。
まだ国交の結んでいない国で、今後は自分たちの働きに懸かっている――そんなことも忘れ、ヨークに飛び掛かろうとする。
その直後だった。
「大丈夫ですか!?一体、何g…!?!?」
胸を揉まれたエクセターの叫びに、「まさか急病で誰かが倒れたのか」とでも思ったのだろう。
隣の部屋で今日受けた数々の衝撃により、疲れた身体を休めているはずのマイラスが、切迫したような表情で部屋に入ってきた。
…確かに、マイラスの行動は間違っていない。
女性ばかりの部屋で、男性がノックもなしに入室するのは失礼極まりないだろうが、中で誰かが倒れているとなれば別。その者の命には代えられない。
しかし、今ここに居る者たちは全員女性で、しかも派手な下着やベビードール姿、着ている本人は全員ナイスバディな若い女性。おまけに、エクセターが胸を揉まれている状況。
数メートルの間隔で、黒烏たちとマイラスは鉢合わせたのである。
「「「あ…」」」
「…え…ゑ?」
女の園の光景を目の当たりにしてしまったマイラスは、直ぐには状況が呑み込めず、意味のない言葉を繰り返すばかり。
と、そこへ謎の拮抗状態を終わらせる"トールボーイ"並の爆弾が投下された。
「ちょっと皆、何かあったn…」
扉が開く音に反応したマイラスが、それが聞こえた方向――シャワー室へ向けられた。
鋏を持っていた紫髪の少女――武宮凜哉大佐がそこにいた…のだが、問題はその恰好。
シャワーを浴び終え、服を着始めたところでエクセターの叫びに気付いた彼女は、バスタオルで頭を拭きながら、下着を穿いただけの状態で出てきたのだった。
上半身は裸で、KAN-SENには劣るもののかなり大きめと言える双丘の頂は、何とかタオルで隠せているものの、少し動けば見えてしまう。
下半身は一応穿いてはいるが、紫と白のチェック柄のショーツだけで、脚も鼠径部も丸見えなのだ。
この状況には、さしもの武宮も( ゚д゚)とした表情を隠せない。
――マイラスは将来有望な若手士官と周囲から持て囃される男であり、ムーの発展に全力を注いでこれまで生きてきた。
同期はそんな彼に羨望と憧れを抱いたものだが、彼は所謂"技術馬鹿"であり、積極的に同期とつるんだり等、知識を得ること以外の行動はしなかったほど。
それこそ、色恋といった話題とは無縁の生活をこれまで送ってきた。
…だが、やはり彼も男には変わらないのだ。
「ぶはぁッッッ!?!?」
現在の状況が漸く理解できた彼は、顔が熱を持つのを感じた瞬間、鼻から大量の血が噴き出し、痙攣しながら気を失ったのだった。
咄嗟に黒烏らが救護班を呼んだことで、マイラスはすぐに医務室へ運ばれ、命に別状はなく明日の案内も続けられることになったが、当の彼はずっと誰かに代わってほしいと思っていたのは言うまでもないだろう。
最後にいいもの見れたよね、マイラス。見れなかったとは言わせない。
じゃあ◯ね。( ・_<)┏▄︻┻┳═一バキューン