白銀の烏と異世界母港【再演】   作:夜叉烏

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 こんにちは。夜叉烏です。

 前作だと異性のイチャイチャ書いてなかったなぁって思い出した。

 作者のYoutube
(https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg)



恋心

 

 ムー国使節団が謎の巨大戦艦2隻と共に持ち帰った書状には、

 

 ・ロデニウス連邦を列強に相応しい国家として承認すること

 ・ロデニウス連邦を含む文明圏外国家群からなる新たな領域『第四文明圏』の承認

 

 2つの要求の他、ムーへ輸出する兵器の内訳やライセンス生産の規約が書かれていた。

 この2つを容認しさえすれば、ムーは高性能兵器を手に入れることができ、製造・運用・整備の教育も受けられるという、これ以上ないほど好条件な話だ。

 

 「ぽっと出の新興国をそうホイホイと列強認定してみろ!ミリシアルやエモールがどう言ってくるか分からんぞ!」

 

 しかし、列強とは世界秩序のバランス調整を担う存在。そんな重要な地位へ、ぽっと出の新興国を推薦するとなると、ミリシアル帝国やエモール王国から正気を疑われるだろう。

 一応、ムー以上に発展しており、技術力や軍事力も遥かに強力であることは、使節団からの報告で理解しているのだが…。

 

 反対派は、主に内政担当の高級官僚たちだ。

 列強第二位の面子が潰れることを恐れているらしい。それに、文明圏外の新興国への差別意識が見て取れる。

 

 「しかし、グラ・バルカス帝国の挑発行為は増加するばかりだ!レイフォルを攻め落とし、現地民を非人道的に扱っている!我が国民がそんな目に遭っても良いと言うか!?」

 

 「彼らとて、慈善事業で此方に話を持ち掛けてきたわけではあるまい!というか、何かしらの対価を相手に求めるのは当然の流れだろう!寧ろ、この程度の要求を呑むだけで良いなら喜んで受け入れるべきだ!」

 

 逆に、軍関係者や外務省の官僚たちは、ロ連の要求を受け入れるのに賛成だった。

 

 グラ・バルカス帝国の脅威が差し迫っていることに危機感を覚えている者、ロ連がムー以上に発展を遂げている科学文明国家であることを重視している者たちだ。

 ロ連からの申し出を断ることで国際世論におけるムーの立場が守れても、グラ・バルカス帝国の侵攻によって、後々ムーそのものが滅ぶことになる。

 

 プライドよりも守るべきものがあるだろう――その一心で、賛成派は真っ向から反対派と対峙していた。

 

 「…いやはや。会議が進みませんなぁ…致し方がありません、陛下」

 

 これまで会議を静観し、各々の話を聞くだけだった議長が自身の背後の、一段高い位置に置かれた席へ身体を向け、呼びかけた。

 議論を重ねていた者たちはハッとしたような表情になり、議長と同じ方へ向くと、姿勢を正す。

 

 これは御前会議であり、会議にはムー国王のラ・ムーが参加していたのだ。

 現在のムー王家は、政治に口を出すことができる立場ではないのだが、今回のようにムーの存亡に関わる会議等には参加・意見することができる。

 

 ムー国トップの存在を忘れ、彼の目の前で掴み合い寸前の白熱した議論を交わしていたことを思い出し、彼らは顔を青くした。

 

 「誠に遺憾ではございますが、本議題について、閣内の意見が一致する見込みはないと判断いたします。恐れながら、陛下に御聖断をいただきたく…」

 

 

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 ムー海軍艦艇を集結しているオタハイト港の一角では、2隻の巨艦が停泊していた。

 最新鋭艦のラ・トゲフ級よりも遥かに大きい艦体、同級が搭載する33センチ砲と同等の主砲口径と思われるが、砲身長がより長く、威力が大きいことが伺える。主砲は三連装3基9門にまとめられており、バランスが取れた兵装配置となっている。

 ラ・トゲフ級にも搭載されている89ミリ速射砲は連装砲架の形で搭載され、装備数も12基24門と多い。それらはまるで鳥でも撃ち落とそうとしているかのように天を睨んでいる。

 

 『使節団が連れ帰ってきた謎の巨大戦艦』の噂はすぐに広まり、軍港の端々にいる水兵・下士官・士官・将官たちが、遠巻きにその2隻の巨艦を眺めていた。

 

 「メイス~。暇~。何か面白いことない~?」

 

 姉であるラ・メイスの艦にお邪魔していたラ・メインは、13.9ミリ四連装機銃の銃手席へ退屈そうに腰かけ、旋回ハンドルや俯仰ハンドルを回し、飛んでいる海鳥に照準を合わせて射撃用フットペダルを踏み込んでいた。

 弾は抜いてあるし、メイスによる艤装の火器管制により、実際に発砲されることはない。

 

 海風に当たりつつ、主砲に上ったり、両用砲の砲身にぶら下がったり、先ほどのように機銃を操ったりしているが、流石に飽きているようだ。

 

 「…じゃあ、釣りでもする?」

 

 「餌がないよ~。泳ぎたい~」

 

 ぱっちりとした茶色の瞳を細めたラ・メイスが提案するが、釣り餌がないことを理由に却下されてしまった。

 

 「水着がないでしょう。まさか裸で泳ぐとか言わないわよね?」

 

 「…な、何のことやら(^^;」

 

 姉の追求に、機銃を操るメインの動きが一瞬止まったかと思えば、とぼけるようにそう返した。

 本当に全裸で泳ごうとしていたのか…と心中で呆れる。軍港のそこら中には軍人がいるし、少女が一糸纏わぬ姿で軍港内を泳ごうものなら色々危ない。

 

 「あ~あ。《烏の巣》のお店で色々買ってくるんだったな~」

 

 (指揮官…大きい方と小さい方、どちらがお好みなのかしら…)

 

 妹の愚痴を聞き流しつつ、心の中でそんな考えが過ぎるメイス。

 メイスの胸部ほどの背丈で、若干子供っぽい見た目のラ・メインの爪先から頭までを素早く観察し、次いで自分の身体を見下ろす。

 

 女体の豊満さで言えば、メイスの圧勝だった。

 イラストリアス、大鳳といった《烏の巣》の重装甲持ちと比べれば随分小さく思えてしまうが、それでも十分大きい双丘とヒップラインは、ムーの女性用伝統装束を押し上げ、160センチ後半という女性基準での長身も相まって、均整の取れたモデルのような美しさを周囲へ見せつけている。

 メインの方も、胸部装甲が全くない…わけではないのだが、それでも姉と比べれば細やかだ。例を挙げるなら、KAN-SEN『綾波改』と同等レベル。

 

 嘗ての世界でマイラスに旗艦兼座乗艦として指定され、共に戦ってきたラ・メイスは、建造されて間もないにも関わらず、この世界で再開を果たした彼に一定以上の好意を持っていた。

 ゲーム的に言うと、建造されたてで好感度が『好き』の状態になっているのだ。

 

 (でも…メインって無頓着なところあるし、変な考えなく抱き着いたりもしてるから、無意識に指揮官を()()()にさせちゃうかも…)

 

 メインの無防備過ぎる距離感により、マイラスは安心感や加護欲をかき立てられ、彼女に好意を覚えてしまうかもしれない。そうして近づいていく2人は最終的に愛を育んで…それは嫌だ!

 メインは大切な妹だが、嘗て自らに座上し最期を共に迎え、現世で再開することができたマイラスを取られるのだけは我慢ならない。

 

 「メイス~?さっきから私のことジロジロ見て、どうかしたの?」

 

 「あ…何でもないわ…」

 

 「…?変なの~」

 

 実の妹にライバル意識を燃やしていたメインは、やけに視線に敏感なメインの問いかけによって我に返ると、ややぎこちなく返答し、オタハイトの街並みを眺め始める。

 

 色恋の内容で満ちていた思考を切り替え、会議が行われているであろう議会場の建物がある方へ視線を移すと、この世界のムーが賢明な選択をしてくれることを願っていた。

 

 





 次回は要塞化されるアルタラスorフェンの話か、ムーへ輸出される兵器についてかな?

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