白銀の烏と異世界母港【再演】   作:夜叉烏

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 こんばんは。夜叉烏です。

 今回は二式戦"鍾馗"の強化改良型ではなく、疾風を装備させてみました。

 オバテクジェット機は愚帝戦からちょくちょく登場させようかなと思います。


建造は1日で終わるもの(キューブ建造に限る)

 陸戦兵器の視察が終了したヤゴウらは現在、《烏の巣》が保有するとある機体に身を委ねていた。

 

 現在、彼らが搭乗しているのは二式大型飛行艇二三型をベースに陸上機化した、四式陸上攻撃機"連山"の輸送機仕様である四式輸送機だ(ユニオン軍のPB4Y-2を大型化したような形状)。

 

 鉄の塊――正確にはジュラルミンだが――が人を大勢乗せ、ワイバーンよりも速く、高く、長い距離を飛ぶと聞かされた時は、視察団全員が「信じられない」と言いたげな表情だった。

 しかし、実際に搭乗し、同伴の黒烏から最高時速512キロ、航続距離8014キロ、実用上昇限度10600メートルと説明されたときには、目玉が飛び出すのではないか、と思う位に驚愕していたが。

 

 窓から外を眺める視察団の面々の視界に、1機の単発機が接近してきた。

 

 以前重桜で使われていた零式艦上戦闘機に似た、スマートな外観だ。しかし、ユニオン機のような無骨さも感じられる。

 コクピットには、饅頭が陣取っていた。

 

 「あれは四式艦上戦闘機"烈風"の強化改良型である二二型です。最高時速648キロ、上昇限度10300メートル。武装はイスパノ20ミリ機銃を4丁。航続距離は大体2000キロです」

 

 黒烏の解説が続く中、烈風は緩横転や急旋回、上昇や降下を披露し、持ち前の機動力の高さを見せつける。

 

 「時速600キロ越え…!?しかも航続距離2000キロとは…我が軍のワイバーンをすべての性能で上回っている…」

 

 「うむ。しかも、機械であるならワイバーンが苦手な寒冷地でも行動できるし、機嫌が悪くなることもない。それだけで大きな利点だ」

 

 「何て機動性だ…!ワイバーンよりも上じゃないか…?」

 

 ヤゴウにハンキ、職員たちは、窓に顔をべったりと貼り付け、烈風の魁偉な姿を見つめている。

 すると、また別のエンジン音が聞こえてきた。

 

 烈風のほっそりとした機体の横に、ごつく力強い印象を与える戦闘機が並ぶ。

 

 「グラマンF6F-5、"ヘルキャット"と呼んでいただければ。最高時速629キロ、上昇限度11000メートル。武装はイスパノ20ミリ機関砲4丁。航続距離は約2000キロですね。武装に関しては、色々と変更できるようになっています。あれは、供与する機体のうち1機です」

 

 「あれほどの鉄竜を…?」

 

 これほどの高性能機を、食糧と引き換えにするとはいえ貰っていいのだろうかとハンキは思ったのだ。

 

 「…いずれ、ああいった機体は時代遅れになりますからね。実際、元居た世界では次世代の戦闘機が開発されていました」

 

 黒烏の言葉は、俄かには信じられなかった。

 ワイバーンなど足元にも及ばない飛行性能を持った飛行機械が、彼女たちにとってはもう時代遅れなのだという事実など。

 

 「ですが、この世界では少々オーバーキルですね。開発・配備ができたところで、使うまでもないでしょう」

 

 茫然とその言葉に耳を傾けていた使節団だったが、"疾風"のパイロットが敬礼したのに気づき、ぎこちなく答礼するのだった。

 

 

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 "連山"による遊覧飛行を終えた使節団は、《烏の巣》の工業地帯エリア…その中の造船ドッグへと足を踏み入れていた。

 鉄骨を数本纏めて担ぐ六式強化作業服――五式機動装甲服をベースに足裏のスラスターを廃し、背中に強力なリアクターを増設した作業用――が行き交うそこの広さに驚き、彼らはキョロキョロとあちこちを見回す。

 

 「ここが建造ドッグになります。KAN-SENの建造を主に行っております。…折角ですし、見学していきますか?」

 

 「え?いや、クロウ殿。我々はそんな長期間滞在しないのですが…」

 

 船舶の建造が何か月、長ければ何年も掛かるのは、彼らにも知っている。

 戸惑う彼らを他所に、黒烏は饅頭が持ってきたあるものを受け取った。

 

 青白い光を放つ立方体だった。

 

 「建造に使うのはこちらのキューブと、少々の鋼材になります。今から建造する艦では…約5分といったところでしょうか?」

 

 「「「5…!?」」」

 

 あまりの短さに驚くヤゴウたちを尻目に、黒烏は受け取ったキューブを、無造作に乾ドッグへ放り込んだ。

 次いで、六式に乗った作業員がドッグ内へ降り立ち、鋼材を周囲へ置くと、そそくさと上がってくる。

 

 「あの、鋼材はわかるのですが、キューブというのは…?」

 

 「あぁ~。それなのですが、詳しいことは我々にもわかりません。あまりにも高度な技術で作られていますから…」

 

 直後、キューブが次々と増えていった。

 1つから2つに分裂し、分裂したそれらもまた2つに分かれていく。

 

 さほど間を置かずして、ドッグはキューブでいっぱいになった。

 設置された鋼材も光りだして変形し、それが艦の形状を形作っていく。

 

 「これは、松型駆逐艦と呼ばれる艦級になります。基準排水量1260トン、兵装は40口径12.7センチ連装高角砲2基、30ミリ連装機関砲2基、20ミリ四連装機銃2基、61センチ四連装魚雷1基、爆雷投下軌条2基。扱いが難しいので、今のところ魚雷は未搭載です」

 

 黒烏の解説を聞いている者はもはや誰もおらず、出来上がった巨艦(彼ら基準で)を、顎が外れんばかりに口を開けたまま眺めていた。

 

 




 早く大暴れ回を書きたいところではありますが、次は日常回を書きます。
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