管理局の介入から一晩
なのは姉さんが家からいなくなりました。
母さんからなのは姉さんはしばらく泊まりで外出してくるという話をされました。
原作通り管理局と一緒にジュエルシードの回収に向かったみたいです。
気にせず学校に行きます。
…
……
………
海鳴市の町中でクロノの魔力を感知しました。
何かを探している様子でした。
海鳴市にはジュエルシードはもう無いはず
と疑問に思いましたが、いずれにしても関わらない方がいいでしょうからスルーしましょう。
その後、転移魔法を使い海鳴市のあちこちに移動しているようでしたがスルーです。スルー。
…
……
………
なのは姉さんが旅立って五日
最近、登校時のバスの中で視線を感じます。
アリサさんとすずかさんでした。
チラチラと何かを聞きたそうにしながらこちらを見てきます。
十中八九なのは姉さんのことでしょう。
しかし見てくるだけで話してくることはありません。
何故でしょう?
…原作では、なのは姉さんが話してくれるまで待つという結論になっていましたね。
もしかして一度待つと決めた以上聞きにくいということなのでしょうか。
結局、特に話しかけられずに学校に着きました。
…
……
………
十日が経ちました。
プレシアからデバイスが完成したという連絡をもらいました。
やけに速いと疑問に思いましたが、よく考えたらこの時期、管理局が嗅ぎ付けるまでもう時間の問題という状態でしたね。何よりプレシアの体の問題もありますし、そのため作業を速くしたのでしょう。
私は一人納得し神威を使い、時の庭園に移動する。
部屋の中に入った時、最初に目についたのは気絶したフェイトさんでした。
鞭で何度も叩かれたのでしょう体のあちこちが腫れていました。
「…来たわね。」
「…デバイスが完成したと聞きましたが?」
「ええ。これがそうよ」
そう言い小さな青い水晶玉──デバイスを手のひらの上に浮かばせる。
それを確認した私は異空間からジュエルシードを取り出す。
ジュエルシードを見たプレシアは目を細めたが特に何もせず、取引は成立した。
「これで10個…。でもまだ数が…」
取引が終わりこちらに関心がなくなったのか一人ぶつぶつとこれからどうするか思案するプレシア
「…」
「あら、まだ居たのアンタ?さっさと消えなさいよ」
今から私は余計なことをしようとしている。
それを自覚しながらも口は勝手に言葉を紡いでいた。
「プレシア」
「?」
「人を動かすのに必要なものは痛みや恐怖という感情だけではないはずです。」
「…」
プレシアの目が鋭くなり怒りや憎しみが宿ります。
しかし止まれません。
「人は…特に子供は信頼や愛情を向けられる時が一番成長し力を発揮が出来ます。その対象が親なら尚のこと」
「…だから何?あの子…フェイトに愛情を注げと?
何も知らないくせに勝手なことを言わないでくれる?」
プレシアの雰囲気がいつ魔法が飛んで来てもおかしくない状態に変わります。
「別に説教しているつもりではありません。
これは…そう。ただの忠告です。」
「…」
「最後の最後、ほんの一瞬であっても貴女が愛してくれたという事実があるだけで、それはフェイトさんのこれからの希望になります。
そのことを忘れ」
ズガァァァァァァァァァァン!!!
雷の槍があかりに突き刺さる。
が、それはすり抜ける。
「消えなさい。次はないわよ。」
あかりは溜め息をひとつ吐くと神威を発動させる。
「…最後に一言いいですか?」
「…」
プレシアが絶対零度の怒りをぶつけてきますが気にしません。
「アリシア・テスタロッサの願いを思い出してください。」
「!?アンタいったい」
プレシアの声を最後にあかりは時の庭園から姿を消した。
…
……
………
「…また余計なことを…」
異空間にて一人ごちるあかり
当初の予定ではプレシアに対してもの申すつもりなどなかったのです。
しかし、ボロボロになったフェイトさんを見た時、感情が表に出てしまいました。
私の言葉程度じゃプレシアが止まるわけがないってわかっているのに
私は頭を振り気持ちを切り替え、手に入れたデバイスを見つめる。
「えーと。聞こえていますか?」
《はい。聞こえていますよ。マスター》
デバイスが点滅し、機械的な音声が流れる。
「まずは自己紹介をしましょう。…というか名前とかってもう決まっています?」
《一応は。現在ルシフェリオンという名前で設定されています。》
プレシア…。前のデバイスと同じ名前にしたのですね。
まあ考える時間も惜しかったのでしょう。
「わかりました。ルシフェリオン、私の名前はシュテ…」
いつも通りお面を被っている時の名前を答えようとした時
本当にそれでいいのでしょうか?という考えがあかりの頭によぎった。
これから一緒に戦っていくいわば相棒といっても過言ではない存在に偽名を使ってもいいものか
《…マスター?》
…決めました。
私は狐のお面を外し
「私の名前は高町あかりです。」
《高町あかり…ですか?シュテル・ザ・デストラクターではなく?》
「それは偽名です。本名は高町あかり。
これを知ってるのはあなただけなので名前を出さないようにしてください。」
《私だけ…ですか。それは何故?》
「これから背中を任せる相棒に隠し事をしたくなかったからです。
信頼の証と思ってください。」
《…ありがとうございます。》
自分しか知らないというマスターからの信頼に生み出されたばかりのルシフェリオンは戸惑いながらも暖かな気持ちになる。
「自己紹介も済んだところで早速ですけどお願いがあります。」
《はい。何でしょう?》
「今から約半年後、古代ベルカの騎士が四人…いや仮面も含めたら下手したら五、六人か。とにかく高確率で襲撃に来ます。それを撃退できるようになりたい。」
自分で言ってて無茶苦茶ですね。と思いながらも口にする。
《古代ベルカの騎士が…ですか?しかも最悪一対六…。》
「…無茶を言ってるのはわかっています。でも」
《わかりました。では対複数戦闘のトレーニングメニューを作成します。》
「…ルシフェリオン、ありがとうございます。」
《お礼は言わなくていいです。私はあなたのデバイスです。無茶であっても付き合います。》
そして異空間にて特訓を開始した。
…
……
………
わかっていたことですが先生がいるとやっぱり全然違います。
今までは魔力弾を生成し適当に動かしていただけだった魔法の練習が今では
《そこ。後ろががら空きですよ。》
「あっ!?」
ルシフェリオンが魔力弾を複数生成、動きをコントロールし私がそれを対処する。
対複数戦闘における動き方
とても一人じゃ出来ない戦闘訓練です。
戦闘経験が知能を持たないジュエルシードくらいしか戦っていなかったためこの訓練はとてもありがたかったです。
まだまださっきみたいに背後を取られてしまうことが多々ありますが、数をこなして対処できるようになりましょう。
それとなのは姉さんが一時的にですが家に帰ってきました。
リンディさんを連れて
そしてリンディさんが今まであったことを説明したのですが
何と言うかはい。上手に嘘をつくなぁと
たちが悪いことにまったくのでたらめというわけでなく少し真実を混ぜてることで信憑性を出しています。
巧みな話術を披露しリンディさんは帰っていきました。
そして次の日、久しぶりになのは姉さんと会えて嬉しそうにみえるアリサさんとすずかさん。
アリサさんが怪我した大型犬を拾ったという話題がでた。
どう考えてもアルフさんです。本当にありがとうございました。
見に行こうという話になり私にもお誘いが来ました。
だが断る。
いや真面目な話、嗅覚だとか野生の直感などでシュテルの正体がバレる可能性が万が一ですがあります。
なのでスルーします。用事があると言って行かないようにしましょう。
…アリサさん、そんな睨み付けてもダメです。なのは姉さん、そんな目で見ても行きませんよ絶対。
…諦めたみたいです。よかった。
いや嘘は言ってませんよ?魔法の訓練を積まないといけませんから
…
……
………
次の日、海鳴の海沿いにある臨海公園の上空にて魔力のぶつかり合いを感知しました。
なのは姉さんとフェイトさんが最後の戦いをしているのでしょう。
デバイスも手に入ったので介入もできますけど
この戦いはなのは姉さんとフェイトさんに必要な戦いです。
この一騎討ちでなのは姉さんとフェイトさんは友達になるのですから
それに管理局の動きも気になります。
まあ関わらないように離れていましょう。
…でも生のSLBちょっと見てみたいかも
いえ!我慢です。我慢我慢我慢…
そう自分に言い聞かせているうちに魔力の衝突は止んでいました。
耐えきったという安堵と見逃したという残念さで複雑な気持ちになります。
そんなことは置いておいて、一騎討ちが終わったということは無印もそろそろ…
ーーーーーーーーーー
長く拠点としていた時の庭園が崩れる。
しかし私はそんなことを気にせず走る。
あの時、僅かに意識があった私はシュテルの口からアリシアの名前を聞いた時、胸がざわつくのを感じた。
理由はわからなかった。その時は
でも母さんが私をアリシアのクローンだと聞いて、腑に落ちた。
そして同時に終わったと思った。
私はただ母さんに認めてもらいたかった。
記憶にある笑顔で褒めてほしかった。
でもそれは絶対に叶わない願いだと
そう思った。だから終わったって
でもそれは間違いなんだ。
そもそも私は始まってすらいない。
私は今まで母さんの言うことを疑いもせずただ従っていただけ
そこに私の意思はなかったように思う。
でも想いは、私の母さんへの想いは間違ってなんかいない。
だから、だから私は
今度こそ自分の意思で母さんの──
だから私は走る。
この想いを母さんに伝えるために
そして私は母さんの下にたどり着く。
ーーーーーーーーーー
「何しに来た?人形が」
次元震の影響で崩れる時の庭園
ここにいたら崩壊に巻き込まれるのはわかっている。
だが退くわけにはいかない。
全てはアリシアのために
…アリシアの名前を考えるとあの憎たらしいお面のガキを思い出す。
しかし今はあんな奴どうでもいい。
「…母さん」
今は目の前にいる人形
アリシアと同じ顔で同じ声で喋るな
反吐が出る
「お前に母さんと言われる筋合いはない。
どこへなりとも消えなさいと言ったはずよ。私は」
「…私は確かに今まで人形でした。母さんの言うことをただ従うだけの…。」
「…」
「でも違う。私はアリシアのクローンだけど…けど抱いている想いまでは偽物じゃありません。
私は自分の意思で母さん貴女の助けになりたい。
だから」
そう言い手を伸ばす人形
「手を取ってください。」
正直何も響かなかった。
確かに人形にしては迷いの取れたすっきりとした顔をしている。
今のが人形…フェイトの本心なんだとわかる。
だがそれに応える義理は私にはない。
何よりその顔でアリシアの名前を口にするな
そう思い口を開く。
その時
『母さん。私ね妹が欲しい!』
フェイトの顔を見て、アリシアの名前を出され、お面のガキの言葉を思い出して
過去が、今は懐かしき幸せだった過去がフラッシュバックした。
「アリシアの…願い?」
何故忘れてしまったのだろう。
いつも仕事ばかりで構ってあげられなかったアリシアの妹が欲しいという願い
「母さん?」
向けられていた憎しみが急になくなり不審に思ったのかフェイトが話しかけてくる。
やめて。私はあなたに
部屋が大きく震動し床が陥没する。
このままここに居れば虚数空間に私は呑み込まれるだろう。
でもそれでいいと、その方がいいと思った。
「母さんッ!?」
フェイトが手を更に伸ばしてくる。
でもその手を取ることはできない。
今さら私はこの子の母親面することなどできない。
そう考え、私は俯いた。
『最後の最後、ほんの一瞬であっても貴女が愛してくれたという事実があるだけで、それはフェイトさんのこれからの希望になります。』
……………
作為を感じる。
でも
フェイトの顔を見る。
必死に私に呼び掛けてる姿が目に入る。
…いいわ。あのガキは気にくわないけど、それがフェイトのこれからに繋がるのなら
「…フェイト」
「母、さん?」
「今さら言う資格なんてないけど」
顔を上げ精一杯微笑む。
「幸せに生きなさい」
その言葉を最後に虚数空間に呑み込まれた。
「!?母さん!!母さぁぁぁぁぁんッ!!!」
フェイトの絶叫を耳にしながら
ーーーーーーーーーー
臨海公園
あの子と戦った公園で私は再びあの子と向き合っている。
もちろん戦うためじゃない。
以前あの子が口にした「友達になりたい」
その返事をするためだ。
私でよければなりたい。
でも
「友達になる方法がわからないんだ…。
だから教えてほしいんだ。どうしたら友達になれるか…」
私は素直にそう言った。
「簡単だよ。名前を…名前を呼んで
はっきりと相手の目を見て。始めはそれだけでいいの」
そしてなのはの名前を呼んで、なのはが私の名前を呼んで私達は抱き合った。
そして
「なのはに困ったことあったら今度は私がなのはを助けるから」
「…」
「なのは?」
「あのねフェイトちゃん。シュテルちゃんのことなんだけど」
なのはは言った。
クロノやリンディさんと一緒に狐のお面の子、シュテルを探しているけど一向に見つからないこと
あの日、クロノの攻撃から私を助けた日から
そして会ってお話をしたいと
「…ごめん。私も母さんのところに案内しただけであの子のことはよくわかってないの。」
「…そっか。」
「私も聞きたいことがあるから見つけたら教えるよ。」
あの日、意識が朦朧としていた時に聞いたあの子と母さんの会話を思い出しながらそう提案する。
「ありがとう、フェイトちゃん。」
その後、思い出の証としてリボンを交換して、「きっとまた」の約束と共に私達は別れた。