闇の書事件
なのは姉さんが家に帰ってきました。
無論一時的にではありません。
これでP.T事件も終わりを迎えました。
…と思いたいです。
何故確信を持てないのかというと帰ってきたなのは姉さんが
「やらなくちゃならないことはまだ残ってるけど、もうお泊まりする必要はないから…」
となんとも解釈に困るようなことを言ったからです。
まだ残ってるやらなくちゃならないこととは何でしょう?
…まあ数日後、臨海公園でなのは姉さんとフェイトさんの魔力を感じ、その後なのは姉さんのリボンがフェイトさんの物に変わっていたので大丈夫でしょう。
それにヴォルケンリッターはもう目覚めています。
大きな魔力が四つ分、突如現れたので間違いないでしょう。
さすがにまだ魔力の蒐集は行わないでしょうけど動き始めるであろう12月まで時間がありません。
なのは姉さんのことは気になりますが、ルシフェリオンとの特訓に力を入れましょう。
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月日は流れ12月
海鳴市市街地の上空
そこに一人の少女と狼がいた。
少女の名はヴィータ。赤を基調とした服を着ており、手には本…闇の書と鉄槌型のアームドデバイス、グラーフアイゼンを持っている。
狼の名はザフィーラ。獣人であり今は青い毛皮の狼の姿をとっている。
二人は闇の書の主であるはやての身体に蔓延る呪いをなんとかするべく闇の書のページの蒐集を行おうとしている。
その方法は他人のリンカーコアから魔力を直接蒐集するというものである。
外道な手段であるが主のためと騎士としての誇りを投げ捨てこの手段を取ろうとしている。
そして現在、膨大な魔力の持ち主を捜しているのだが
「…二人いる…だと?」
この世界には魔法文明がないため、魔力の持ち主の捜索も大して期待していなかったのだ。
いたとしても一人いればいいくらいだった。
よって対象が二人いたことは予想外であった。
しかも対象の二人はほぼ同じくらいの魔力量をしている。
ヴィータとザフィーラの二人が選ばれたのはターゲットが一人だと仮定していたからだ。
それが二人となり手を組まれた時のことを考えると逃がさずに蒐集するには手が足りない。
ヴィータはそう考え、舌打ちをしながら自分達の将であるシグナムに連絡を取る。
《…ヴィータか。どうした?》
「シグナム。捜索の結果だけどよ、ターゲットが二人いる。」
《…何だと?》
シグナムは少し考えた後
《…わかった。片方だけでいい。もう片方は私が行く。》
そう指示を出すと念話は切れた。
指示を出されたヴィータはどちらにするか一瞬迷ったが、魔力量からどちらでも一緒だろうという結論に達した。
ヴィータは広域結界「封鎖領域」を発動。
ターゲット二人をその広い結界内に閉じ込めると適当に片方を選び、選んだターゲットの方へと向かう。
しばらく飛ぶとターゲット…白い防護服を着た少女を見つけた。
ヴィータはそのまま少女の下へと突っ込みアイゼンを振り下ろした。
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連絡を受けたシグナムはヴィータが向かった先とは違うターゲットの下へと向かっていた。
そして、ヴィータがアイゼンを振り下ろしたのと同時
たどり着いた。
そこにいたのは子供であった。
ヴィータよりも背が低く、黒の防護服を身に纏い、同じ色合いの杖を手にしている。
キツネのお面を着けているため、顔はわからないが主よりも幼いかもしれない。
そして何よりも印象的なのは、お面から見える特徴的な赤い眼であった。
「…貴女一人ですか?」
ヴィータの動きを把握しているのか、少女が問いかける。
「ああ、そうだ。私はベルカの騎士、ヴォルケンリッターの将にして烈火の騎士シグナム。」
「…シュテル・ザ・デストラクター」
「シュテルか…。恨みはないがお前の魔力、貰い受ける!」
そう宣言するとシュテルへと襲いかかる。
「パイロシューター!シュート!」
シュテルの周囲に魔力弾が三個生成されシグナムを迎撃にかかる。
しかしシグナムは最初の一個はかわし残りの二個は手に持った剣型のアームドデバイス、レヴァンティンを振るい両断するそして間合いに入ると同時
「はぁっ!」
気合いと共にレヴァンティンを上段より振り下ろす。
入ったと確信するシグナム。
が
「なにっ!?」
予想された手応えは無く、上段からの一閃はシュテルをすり抜ける。
入ると予想した一撃をすかされ隙が産まれる。
そこに
「せいっ!」
「ぐっ!?」
炎を纏った拳がシグナムの胴体に当たる。
吹き飛ばされるシグナム。
そこに
「なっ!?」
かわした一発目の魔力弾が背後より迫る。
「くっ!」
かわせる体勢ではないと判断し、シールドを張りなんとか防ぐ。
そうして体勢を立て直したシグナムは先の不可解な出来事について言及する。
「…何だ今のは?お前のレアスキルか?」
「…ええ、そうです。今のでわかったでしょう?貴女の攻撃は私には届きませんよ」
「…」
シグナムは百戦錬磨のベルカの騎士である。
今まで沢山の敵と戦ってきた。
その中には強力なレアスキルを持った敵も当然いた。
だからこそ
「…それはどうだろうな?」
「…何ですって?」
「確かにそのレアスキルは強力だ。一見どうしようもないように見える。だが…」
だからこそ、その経験から言えることがある。
「
どれほど強力なレアスキルであっても弱点や制限が存在する。
お前の能力もそれがあるはずだ」
「…」
「…黙ったな?どうやら図星のよう」
「ブラストファイアー!!」
ーーーーーーーーーー
なのはは突如現れた赤い防護服を着た謎の少女と戦っていた。
そして今、少女の鉄槌の振り下ろしをシールドで受け止めている。
ここを抜かれたら取り返しのつかない大ダメージを負うこととなる。
なのははそれがわかっているため気合いを入れてシールドを貼る。
(…大丈夫。フェイトちゃんにだって壊されなかったんだから…!)
そう自分に言い聞かせ、必死に耐える。
その時
空に懐かしい
燃えるような赤色の魔力光の砲撃が見えた。
「!?シュテ」
「何処見てやがる!貫けぇぇぇ!アイゼン!!」
半年間、ずっと捜していた少女の魔力光に一瞬気を取られたなのはのシールドは
呆気なく壊された。
「きゃあぁぁぁぁぁっ!?」
なのはは吹き飛ばされビルの中に埋まる。
「うっ。ううう…」
「やっと終わったか…。シグナムは…まだ戦っているか。向こうの敵はなかなかやるみてーだな。」
…向こうの敵?
なのはは痛みをこらえながら考える。
今この地球には魔導士は自分だけのはず
…あの半年前に会ったお面の子を除けば
そしてさっきの砲撃
「向こうの…敵って…シュテルちゃん…のこと?」
痛みをこらえながら聞く。
「…やっぱり知り合いだったか。
分担して攻めて正解だったな。
…とりあえず寝とけ」
そう言い鉄槌を振り下ろす。
襲いかかってくるであろう衝撃に目をつむる。
しかし予想に反して衝撃はいつまでたっても来なかった。
恐る恐る目を開けるとそこには
「…誰だてめえは?」
最初に見えたのは金髪だった。
長い金髪をなびかせ、黒の防護服を身に纏い
大鎌型のデバイスで鉄槌を受け止めている。
「…友達だ」
半年前に別れた大切な友達、フェイトちゃんがいた。
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「ブラストファイアー!!」
炎熱の魔力変換資質により炎を纏った強大な威力を持つ砲撃魔法がシグナムに迫る。
しかし
「シュランゲバイセン!!」
シグナムはレヴァンティンを横薙ぎに振るった。
迫り来る砲撃魔法を無視し、あかりに向けて
間合いは離れている。
しかしレヴァンティンはただの剣ではなく蛇腹剣である。
その特性によりリーチが長くなり本来届かないはずの攻撃を可能にした。
そして砲撃魔法をギリギリでかわしにかかる。
「なっ!?ぐっ!」
「くっ!」
結果として
あかりの砲撃魔法をギリギリでかわしにいったシグナムは
予想以上の威力と太さに目測を誤り少しかすめてしまった。
また、それによりレヴァンティンの軌道が少し変わり、あかりの防護服を引っ掻くだけで終わった。
しかし
「…ふふふ。やはりな。攻撃の瞬間は透過できないようだな!
ならばカウンター主体で攻めればいいだけのこと!」
「ぐっ…」
そう。先の攻防により多少のダメージを負ってしまったがその代わり値千金の情報を得ることができた。
しかし
「大した威力だ。レアスキルだけではない。
お前の魔法からは高い練度を感じる。
威力を上げるために幾度となく鍛練を行ったのだろう」
「…」
口には出さなかったがその通りであった。
元々あかりはヴォルケンリッター達との戦闘を乗り切るために鍛練を始めたのだ。
「だからこそ惜しい。こんな状況でなければお前との戦闘をもっと楽しめたものを…」
そう言いつつも剣を構える。
「…何を」
「む?」
「何を勝ったつもりで話してるんですか?
舐めないでください!!」
そう言い放つとあかりの周囲に最初に放った魔力弾が生成される。
しかし、最初よりも数が圧倒的に違う。
10個…いや20個を越え、あかりの周囲に漂っている。
「…ほう」
「攻撃の瞬間は透過できない?カウンターに弱い?
ならば、かわしきれないほどの物量で攻めればいいだけのことです!」
「…なるほど」
大した魔力量だとシグナムは薄く笑う。
外道に堕ちてもやはり強者との戦いは心踊る。
そんな時だった。
《シグナム!》
シャマルから連絡が入ったのは
シャマルは四人目のヴォルケンリッターでヴィータの戦場とこちらの戦場を把握してもらっていた。
《シャマル、どうした?》
《ヴィータちゃんの方に管理局の応援が入ったわ。
今はザフィーラのお陰でなんとか対応してるけどカートリッジの残りが少なくて…》
《…押されているのか?》
無言のシャマルに肯定の意思を感じた。
しかし
《シグナム、なんとかヴィータちゃんの方に救援に行けない?》
《…そうしたいところだが…》
目の前には無数の魔力弾
これを捌きかつ相手にカウンターで攻撃しなければ離脱することはできない。
どう考えても短時間では無理である。
かといって見捨てるわけにもいかない。
無論、情というのもあるがまだページ蒐集は序盤なのだ。
ヴィータの力を失うわけにはいかない。
どうする?
しかしそんなシグナムの苦悩はすぐに無くなることとなった。
突如としてあかりの背後に現れる影
その影があかりに蹴りを放つ。
が、やはりというべきか。その蹴りはすり抜けた。
「ちっ。不意打ちもダメか。」
そんな声が聞こえると影はシグナムとあかりの間に立つ。
乱入者もまた仮面を被っていた。あかりのようなキツネのお面ではなく、何のモチーフもない無骨な仮面である。
「お前は…?」
「…ここは抑えてやる。行け」
当然の乱入者にシグナムは困惑した。
その上戦場を受け持つという。
…正直迷うが状況が状況である。
「…シュテル!勝負は預けるぞ!」
「行かせません!!」
その言葉を合図に生成された魔力弾が一斉に襲いかかった。
が、乱入者がシグナムに届きそうな魔力弾のみを見極め弾いていく。
そしてその間にシグナムは離脱に成功した。
ーーーーーーーーーー
情報を取られるだけ取られて逃がしてしまいました…。
せっかくの各個撃破の絶好のチャンスだったのに…!
あかりは悔しげな表情で逃がしてしまった原因である乱入者…リーゼアリアかリーゼロッテかはわからないが、仮面の男を睨み付ける。
「…ふん。そんな目で見るな。今遊んでやる」
「…遊びですめばいいですけどね!」
その言葉と同時、魔力弾が四方八方より仮面の男へと襲いかかった。
最初の三発はかわし、次の四発は軌道を変えと、止まらないように心がけ凌いでいく。
が、魔力弾に翻弄されいつの間にかあかりは視界から姿を消していた。
「…逃げた?いやそれはない。…まさか!?」
大量の魔力弾は囮だと気づくも時既に遅し。
「ブラストファイアー!!」
赤色の砲撃魔法が死角より仮面の男に突き刺さる。
「う、うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
反応が遅れるも雄叫びを上げながらシールドでなんとか耐えようとする仮面の男。
しかし相手が悪かった。
「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
気合いと共にシールドはひびが入り
そして
パキィン
軽い音と共に仮面の男の命綱であるシールドは砕けちった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
赤色の極太レーザーが仮面の男を呑み込み、男は絶叫を上げる。
そして、光が止まった後に残ったのは
気絶した仮面の男の姿であった。
…
……
………
戦いが終わり、あかりは念のためにとバインドで男を拘束する。
そうして拘束したと同時、結界が消失した。
(なのは姉さん達は…)
あかりはなのは達の魔力を探す。
…見つけました。
すぐ横にフェイトさんもいます。
しかし二人共いつもより魔力が小さくなっているように感じます。
…どうやら原作通りリンカーコアから魔力を蒐集されたみたいですね。
アニメとは違って二人同時ですけど、まあ劇場版では二人同時だったのでその辺りは気にしなくてもいいでしょう。
そんなことよりも、なのは姉さん達が心配ですが
クロノさんが向かっているのを感じますので任せた方がいいでしょう。
…というかどうしましょうこれ
シグナムさんを逃がされた苛立ちからつい後先考えずにやっちゃいましたけど
ベターなのはリンディさん達に引き渡すことですけど
リンディさん達に引き渡す
↓
グレアム提督の計画が発覚。未然に阻止。
↓
はやてさんが夜天の書の主としての覚醒がなくなる可能性が出てくる。
↓
最悪はやてさん死亡、地球も滅びる
…いやいや!
引き渡してもリーゼアリア(リーゼロッテ)さんが喋るとは限りません。
リンディさん達に引き渡す
↓
リーゼアリア(リーゼロッテ)が管理局の仕事としてシュテルを追っていたと証言
↓
管理局への傷害罪及び敵対行為とみなされる
↓
\(^o^)/
…あかん。
どう考えてもマイナスの未来しか思い浮かびません。
悩んでいると目の前にモニターが開かれる。
「はじめまして、私は…あっ!?逃げないでください!お願いします!」
モニターにリンディ提督の顔が出てきたため、つい条件反射で神威を発動しかけてしまいました。
リーゼアリア(リーゼロッテ)さんを連れてかれると困るので、神威を止めます。
「ほっ。改めて私は時空管理局提督リンディ・ハラオウンです」
「…シュテル・ザ・デストラクターです。なのは達から聞いているとは思いますが」
「ええ。聞いています。出来ればこちらに来て話を伺いたいのですが…」
「お断りします」
予想通りのお願いに私はノータイムで断ります。
「…理由を聞いても?」
「まず第一に私は管理局を信用していません。
…別に貴女達という人間を信用できないわけではありません。
現に半年前のジュエルシードの対応は問題ありませんでしたし」
「それなら…」
「しかし管理局という一つの組織で考えた時、決して一枚岩というわけではないはずです。貴女達は信用できても管理局全体では信用できないということです」
主に最高評議会とか
口には出さなかったが培養液に入っている脳みそ達を思い浮かべる。
「…」
「加えて私のこのレアスキル。管理局にとっては垂涎ものではありませんか?それこそ解剖して調べてみたいほどに」
「それは…」
事実であった。
P.T事件の報告書を上に上げた時、上層部は真っ先にシュテルを連行してくるように命じた。
それこそ中には行き過ぎた手段を取ろうとしている者もいた。
幸いにもリンディが気づき阻止することは出来たが
「…わかりました。ではそちらの捕らえた不審者ですが、こちらに引き渡してもらえませんか?」
せめて今回の事件における手掛かりを得るためリンディが交渉しようとする。
それに対し、どう回答するか鍛えた思考をフル回転させ必死に考えるあかり
しかしその答えをあかりが言うことはなく代わりに
「それは困るな」
いつの間にか現れた二人目の仮面の男から発せられた。
その手には拘束を外した乱入者を抱えている。
「悪いがこいつは連れて帰らせてもらう」
そう言うが速く脱兎の如く転移魔法を使い二人は消えた。
あかりに何の行動も起こさせないまま
誰も気づかなかったがあかりは内心感謝でいっぱいであった。
その後リンディの呼び止める声を今度こそ無視しあかりも姿を消した。