「…ここは…?」
光に呑み込まれ目を開けるとそこは
暗闇の世界でした。
何もありません。
前後左右上下、そういった方向の概念すら存在しないのではと思わせます。
そんな一面暗闇の世界で私は一人浮いていました。
「ここは闇の書の中、その深奥ですよ」
と思っていたのですが、そんなことはなく声が聞こえました。
私の背後から
振り向くとそこには
「貴女は…誰ですか?」
直径10㎝程の赤い光球が浮いていました。
「誰、ですか。…本当はわかっているのでは?」
赤い光球から聞こえてくる声は私とよく似ていました。
そしてこの赤い光は私の魔力光と同じ色で
…まさか
「…まさか、貴女は」
出来れば当たっててほしくないその考えを
「シュ」
「シュテるんだよー!」
口にしようとしましたら空気を読まないどこまでも明るい声に邪魔されて私はずっこけてしまいます。
無論シュテルさんの声ではありません。
私はその声の主をある程度予想しながら見ます。
そこにはいつの間に現れたのか青い光球がシュテルさんの隣に浮いていました。
「…レヴィ、もう少し待てなかったのですか?
今は私が自己紹介をして」
「だってシュテるん自己紹介に行くまで長いんだもん!ねー王様!」
レヴィさんが不満そうな声を出し、王様…ディアーチェさんを呼ぶと
今度は紫色の光球が現れる。
「レヴィ…落ち着きを持てとまでは言わないがせめて空気を読め」
「えー?でも王様だって待たされるの嫌いじゃん!」
「…まあ否定はせんが」
「我が王!?」
…光球同士で言い争っててすごいシュールな画になっているのですが
いつまで続くのでしょう?これ…
閑話休題
「では改めて…私はシュテル」
「レヴィだよー」
「そして我こそは」
「王様」
「我が王」
「ディアーチェだ!ディ・ア・ー・チェ!!」
何でしょう。体は無いのにディアーチェさんが地団駄を踏んでる気がします。
「はあ、どうもご丁寧に。私は…」
と自己紹介を変えそうとした時、言葉に詰まりました。
ご本人の目の前でシュテルと名乗ることなんてできませんし
かといって高町あかりと名乗るわけにも…
私が返事に困っていると
「…やはり名乗れないか。シュテルのコピーよ」
ディアーチェさんが爆弾発言をします。
「…やっぱり、そうなんですね」
「…あまり驚いているようには見えないな」
「まあシュテルさんがここにいる時点でなんとなく予想はしていましたから
…わからないところもありますが」
「ほう。それは?」
「私はこの世界の普通の子供として産まれました。
決して異世界の培養液の中から産まれたわけではありません」
「そこは私が説明しましょう」
私が疑問を口にするとシュテルさんが間に割って入ります。
シュテルさんが説明を担当するみたいです。
「闇の書には転生システムが組み込まれています。
そしてそのシステムが直近で使用されたのは今から約9年前のことです。
9年前転生システムによりこの世界にやってきた闇の書は一人の女の子の手に渡りました」
「それがはやてさんですね」
ここまでは大まかですが原作と特に大きな違いはありません。
「はい。しかしこの世界に転移し、その女の子の下に移動していた時ある異常が闇の書に起こりました」
「異常?」
「ええ。…私の因子がコピーされ、その因子が闇の書を飛び出したのです」
…ファッ!?
「そして私は目覚め我が王とレヴィも起こすことができました。
…しかしコピーされた因子がどうなったかまではわかりませんでした。
ですがあなたの様子を見る限りどうやらこの世界の女性の体に宿ったようですね」
「そして女性…母さんの中で因子が形作り出産という形で私が産まれた、と」
「はい。形作るまで時間がかかり二年間かかったみたいですけどね」
「…ちなみにコピーが産まれた原因は…?」
「不明です」
原因はあの邪神でしょうね。
っていうかあの邪神が引いた転生特典のためにそこまでやりますか。
そのせいで私の立ち位置がおかしなことになってるじゃないですか。
あの邪神のことですからそれも含めて嗤っていそうですけど
「…話はわかりました。それであなたは私を排除したいのですか?」
「…なんですって?」
「いや、自分のコピーが勝手に造られたら不快になると思うのですが…」
「シュテるんはそんなことしないよ!!」
レヴィさんが声を荒げて抗議します。
一般論を言っただけなのですが…
「レヴィの言う通りだ。戯けたことを言うな。我が臣下はそんな心の狭いやつではない。断じてな」
ディアーチェさんもレヴィさんの意見に同意するみたいです。
「…確かに私のコピーを取られた時は驚きましたが、その際こうして目覚めることができたのです。
不快になんてなりません。
寧ろ消息が掴めなくて心配だったんですよ?
でもこうやって出会うことができて、私は嬉しいんです。
ですから、そんな悲しいことを言わないでください」
そう私に諭すように言うシュテルさん
「…はい」
「…なんかシュテるん、お母さんみたい」
「え!?」
「確かにな。というか立場的には間違っていないのではないか?」
「我が王、そんなことは断じて」
「母さんと呼んでも?」
「止めてください。まだ子持ちになりたくないです」
「えー!認知してあげなよ。可哀想じゃん!」
「レヴィ…あなたはどこでそんな言葉を。せめて姉でしょう」
場がしんみりしてしまったのでついふざけてしまいました。
「…あれ?でもそれでしたら何故私をここに?ただ会いたかっただけで…?」
「いえ勿論それもありますが…。
あなた…私の名前を使って好き勝手やっていたでしょう?」
「あ…」
思えばお面をかぶってからシュテルと名乗り始めましたから、そこから…
ジュエルシードの違法な取引、クロノ執務官からの逃亡…
割といろいろやらかしてますね…。
「あ、じゃありません。闇の書の中から私の名前を名乗る子供が現れて驚いたのですよ?」
「まあそのお陰であの時のコピーだってすぐわかったんだけどねー」
「だがそれとこれでは話が別だ。産まれたことに関しては特段言うことはないが、我が臣下の名前を無断で使用した。今回呼んだ理由はこれだ」
「…てへ。可愛い妹のいたずらだと思って許してくだ」
「ダメです」
「デスヨネー」
可愛い仕草をして許してもらおうとしましたが
案の定といいますかダメでした。
「えっと。私は何をすれば…?」
「話が早くて助かります。我が王」
「…我らには救いたい、いや救わなければならない者がいる。
その者を救うのに手を貸せ」
やはりといいますか、思った通りの内容でした。
「とはいえ本格的に手を借りるのは我らが外に出てからだ」
「出れるのですか?」
「現在その方法を模索中です。外に出るには体が必要なので」
「そこで、だ。お前がここから出ていく時にシュテルを連れて行ってもらう」
「…はい?」
私が疑問に思っているとさらに予想外のことを言い出しました。
「えーと。連れて行くというのは、その光をケースにでも入れれば…?」
「私はペットですか。そんなわけないでしょう。わかってるのに変なボケを入れないでください」
「シュテルとお前には繋がりがある。その繋がりを利用すればシュテルをお前の中に宿すことも可能なはずだ」
「そんなことすれば人格が混ざるかどちらかの人格が消えてしまうのでは?」
「大丈夫です。そうならないプログラムは既に組んであります」
「ワージュンビバンタンデスネー」
とはいえ、それを許したら私の正体がバレそうなのですが…
「そう心配そうな顔をするな、あかりよ。我らの目的が達成したら体から出ていくようにしてある。言ってしまえば期間限定のシェアハウスみたいなものよ」
「私の体は賃貸住宅じゃ、ってんんん?」
今何かとんでもないこと言いませんでした?この王
「どうした?あかりよ」
「どうしました?あかり」
「どうしたのー?あかり」
「もはやわざとやってますよね?それ」
ディアーチェさんとレヴィさん、めっちゃニヤニヤした声になってますし。
シュテルさんもさっきのからかいの鬱憤を晴らしているように見えます。
しかし
「何故わかったのですか?」
「闇の書の中に引き込んだ時にお前の記憶を覗かせてもらった。お前が産まれてから今に至るまでの記憶を、な」
「ごめんねー。悪いとは思ったんだけど好奇心には勝てなかったよ」
「そうですね。私の妹があの後どんな生活を送っていたのか気になりましたし」
「…」
「安心しろ。お前の正体を誰かに吹聴したりはせん」
「…その保証は?」
「我らの盟主の名に誓って」
…それを出されたら納得するしかないじゃないですか。
というか宿るのを拒んだら吹聴されかねません。
「それに悪いことだけではない。シュテルを宿らせている間はお前がシュテルと名乗ることを許す」
「私が宿る以上まるっきり嘘というわけではなくなりますからね」
「…わかりました。お願いします」
「うむ。ではそのままそこに立っておれ」
私の返事にディアーチェさんは満足気な声を上げる。
そしてシュテルさんが私の胸の前に来ます。
「では…いきます」
その声と共に赤い光が少しずつ私に吸い込まれ
赤い光は消えた。
私の感覚としては特に今までと変わった感覚はありませんでした。
少なくとも自我が変わったり消滅したりといったことはありません。
「シュテるん?」
「…どうだ?」
レヴィさんとディアーチェさんが少し不安そうな声を出す。
シュテルさんが心配なのでしょう。
しかしどうと言われましても
「うーん」
《問題ありません。我が王、レヴィ》
どう返事したものかと考えていましたら私の中から突如声が響いてきました。
「わっ!?」
「よかったー。なかなか返事しないから心配しちゃったよ」
「まったく心配させるでないわ」
《申し訳ありません。初めての人の体なので使い勝手に戸惑っていました》
突然響いた声に驚いている私をよそに話は進んでいきます。
《ですが概ね予想の範囲内です。成功と言っていいかと》
「そうか。なら…」
《はい。…暫しの間ですがお別れですね》
「寂しくなるね」
「何。我らもすぐに外に出てみせる。そこまで長い別れにはならん」
シュテルさんがディアーチェさんとレヴィさんにお別れの挨拶をしてます。
間に私が挟まっているため、いたたまれない気持ちになってます。
しかし空気を読んで黙っています。
「あかり。お前も頼んだぞ」
「シュテるんのことお願いね」
「…はい」
《では…行ってきます》
そして私の体が赤く光り
その光は次第に強くなり
私は暗闇の世界から消えました。
ーーーーーーーーーー
シュテルちゃんが消えた後
フェイトちゃんと協力して
はやてちゃんとリインフォースさんを防衛プログラムから切り離すことに成功した。
その後はやてちゃんがリインフォースさんと融合してヴィータちゃん達を復活させて
そこにクロノくんが合流して防衛プログラム…ナハトヴァールの暴走を止める方法について話し合って
ナハトヴァールの多重障壁を破壊。中枢を露出させて転送しアルカンシェルで消滅
そういう作戦を立てた。
それで今から実行するところなんだけど
「…ねえ、はやてちゃん」
「ん?」
「シュテルちゃんがどうなったかってわかる?」
「シュテルちゃん?」
はやてちゃんがポカンとした表情になる。
そういえばまだ会ったことなかったっけ。
《主。私を止めるためになのはと共に私と戦っていた子供です。
シュテルは主が外に出る前に夜天の書に吸収され姿を消しました》
「なんやて!?」
「…やっぱり吸収されたんだ」
「リインフォース、外に出してあげることはできんの?」
「…それは」
リインフォースさんが返事しようとした。
その時だった。
はやてちゃんが持っていた夜天の書が赤く光りだした。
「な、なんや!?」
はやてちゃんの驚く声をよそに光はどんどん強くなる。
…この光って
見覚えのある魔力光の色がようやく治まるとそこには
「…どうやら出れたみたいですね」
キツネのお面を被った子供、シュテルちゃんがいた。
「シュテルちゃん!よかった。無事だったんだね!」
「なのはさん…。ご心配をおかけしました」
「えーと。君がシュテルちゃん?」
「…はい。そうです」
…?
シュテルちゃんが返事するまで少し逡巡しているように見えたけど
気のせいかな…?
「そっか。私ははやて、八神はやてや。
…ごめんな。迷惑をかけたみたいで」
「いえ。特に負傷はしなかったので気にしなくて大丈夫です」
はやてちゃんがシュテルちゃんに謝るとシュテルちゃんは気にしてなかったのかすぐに許してくれた。
「それで今の状況はどうなっていますか?」
私はシュテルちゃんが消えた後、何が起きたか説明した。
そしてナハトヴァールの暴走を止める作戦を今から実行することを
「だからね。シュテルちゃんにも協力してほしいんだけど…」
「シュテル、今さら何をとは思うかもしれないが私からも頼む。お前の火力があればナハトヴァールの障壁を破壊するのにかなり有利になるはずだ」
シグナムさんもお願いする。
シュテルちゃんと戦ったからかシュテルちゃんの力を高く評価しているみたいだった。
そしてそれはヴィータちゃん達も同じみたい
すると
「いいですよ」
あっさりといいと言ってくれた。
「シュテルちゃん、ありがとう」
「すまない。恩に着る」
私達がお礼を言う中、クロノくんは複雑そうな表情でそれを見ていた。
「…いろいろと言いたいことはあるが今は暴走を止めるのが先だ」
「…ええ。そうしてもらえるとありがたいですね」
「だが今だけは礼を言っておく。…ありがとう」
「…」
そして
「静かなる風よ、癒しの恵みを運んで」
シャマルさんの魔法で傷を回復した私達は作戦を開始した。
「チェーンバインド!」
「ストラグルバインド!」
「縛れ、鋼の軛!」
まずユーノくん、アルフさん、ザフィーラさんが触手を引き裂く。
「ちゃんと合わせろよ!高町なのは!」
「ヴィータちゃんもね!」
そして私とヴィータちゃんが動き出す。
「轟天爆砕!ギガント…シュラーク!!」
「エクセリオンバスター!ブレイク…シュート!!」
巨大化したハンマーが振り下ろされた後
私の砲撃魔法が障壁に突き刺さり
一枚目の障壁が破壊される。
「次はシグナムとテスタロッサちゃん!」
シャマルさんの掛け声と共にシグナムさんとフェイトちゃんが前に出る。
「翔けよ、隼!」
「撃ち抜け雷神!」
シグナムさんの炎の矢が障壁に突き刺さった後
フェイトちゃんの斬撃で二枚目の障壁は切り裂かれる。
「次は、はやてちゃんとシュテルちゃん!」
その指示と共にはやてちゃんとシュテルちゃんが前に出る。
「私達の番や。会って間もないけど頼むで!」
「…はい!」
シュテルちゃんとはやてちゃんが杖を構え
「ブラストファイア!…爆風乱舞!!」
「石化の槍…ミストルティン!!」
炎の竜巻が障壁を呑み込み、そこに石化の槍が突き刺さる。
三枚目の障壁が砕け散った。
「最後!クロノくん!」
「決めてやろう!行くぞデュランダル!」
クロノくんが前へと出る。
そして
「凍てつけ!!」
最後の障壁が凍結され砕かれる。
「フェイトちゃん!シュテルちゃん!はやてちゃん!」
「「「うん!(はい!)」」」
私の呼び声と共に私達はナハトヴァールの上に飛び出し
「全力全開!スターライト───」
「雷光一閃!プラズマザンバー───」
「行きます!ルシフェリオン───」
「ごめんな、おやすみな。響け終焉の笛!ラグナロク───」
四人全員が魔力を極限まで高め
「「「「ブレイカーーーーーッ!!!!」」」」
それを解き放った。
私達の四つの魔法はナハトヴァールを完全に消滅させ
コアだけがその場に残る。
「本体コア露出!捕まえた!」
シャマルさんがそれを捕まえて
「長距離転送!」
「目標軌道上!」
「「「転送!」」」
ユーノくん、アルフさん、シャマルさんの三人の声と共にコアが消える。
しばらくしたら空が一瞬光る。
そして
《アルカンシェルでの消滅を確認しました。コアの再生反応はありません。という訳で現場のみんなお疲れ様でした!》
エイミィさんの念話で作戦は無事成功に終わった。
ほっと一安心していると
空間が歪むのを感じた。
はっとして見てみるとシュテルちゃんがここから移動しようとしているのが見えた。
「ま、待って!」
私は咄嗟に声を掛ける。
するとその声に反応したのか空間の歪みが止まる。
「…何か?作戦は無事成功に終わりました。もう私に用はないと思いますが?」
「そ、そんなことない!私…ううん、私達はあなたにいろいろ言いたいことや聞きたいことが…!」
「…聞きたいことがあっても答えるとは限りませんが例えば?」
「た、例えば?えーと…」
いざ聞かれると何から聞けばいいか混乱する。
「何や。終わったらすぐにさよならなんて悲しいやないの。お礼くらい言わせてな。…ありがとうな」
するとはやてちゃんが見かねたのか会話に入ってきてくれた。
「うん、そうだよね。まずはありがとう。私達を助けてくれて」
「…」
シュテルちゃんは何も言わずただこちらを見ている。
するとクロノくんが横から話しかける。
「出来ればこの後事情聴取のためアースラまで来てもらいたいのだが…」
「お断りします」
「…やはり管理局が信じられない、か?」
「…ええ」
その言葉にクロノくんは苦虫を噛み潰したような表情になったけど特に何も言わない。
助けてもらったから強くは言えないのかな…?
「半年間」
「ん?」
「半年間ずっと探していたんだよ?お話したくて。
でも全然見つからなくて…。とっても心配したんだから」
「…」
私のその言葉にシュテルちゃんは押し黙る。
「…そのお面を外して?顔と顔を合わせてちゃんとお話ししたいの」
「…それはできません」
「シュテルちゃん!」
「私は管理局の…上層部から追われている身です。素性を明かすわけにはいかないのですよ。
そうですよね、クロノさん?」
クロノくんは何も言わず黙っている。
でも顔をますますしかめた。
「…図星のようですね」
「…」
クロノくんは黙ったままだけどシュテルちゃんは当たっていると思ったみたい
「…聞きたいことはそれだけですか?なら」
「まっ」
「待って」
私が呼び止めようとしたら先にフェイトちゃんが静かな声で、でもはっきりと呼び止めた。
「君はあの時母さんにこう言ったよね?
『最後の最後、ほんの一瞬であっても貴女が愛してくれたという事実があるだけで、それはフェイトさんのこれからの希望になります。』…って」
「…」
「そして君とシグナムが戦っていた時シグナムはこう言った。
『対多人数との戦闘に備えていたかのように見える』…って」
「…それで?」
シュテルちゃんが先を促す。
「…君はこうなることを、母さんがあの最後を迎えることを知っていたの?」
場が沈黙する。
シグナムさんも目を見開きシュテルちゃんの返事を待っている。
そして
「…ならなければいいなと、願ってましたよ」
その返事と共にシュテルちゃんは消えた。
…
……
………
翌日、あの後気絶したはやてちゃんを医務室に運んだ私とフェイトちゃんはリインフォースさんから頼み事をされた。
頼み事の内容はリインフォースさんの破壊
リインフォースさんがいると遠くない未来にまた防衛プログラムが生成されてしまうから
正直気乗りはしなかった。
破壊もそうだけど…はやてちゃんに何も言わずに消えようとしているから
でもリインフォースさんの意志は固く、私とフェイトちゃんは頼み事を引き受けた。
そして
途中はやてちゃんが嫌な予感がしたからか現場へと駆けつけた。
必死にはやてちゃんがやめるように言うけど、リインフォースさんは意志を変えない。
そんなリインフォースさんにはやてちゃんは泣きながらリインフォースさんに怒りをぶつける。
今まで悲しい生涯を送ってきたからこそ、その分私がリインフォースさんを幸せにしなければならない。
そうはやてちゃんが訴えると
「私はもう世界で一番幸福な魔導書です」
そうリインフォースさんは笑い、一つはやてちゃんにお願いをする。
これからはやてちゃんが手にする魔導の器にリインフォースさんの名前を送ってほしい。
そうすれば新しい魔導の器に、消滅する自分の思いや願いがきっと宿る。
それがリインフォースさんのお願いだった。
そして
私とフェイトちゃん、ヴィータちゃん達、はやてちゃんに別れを告げてリインフォースさんは消えた。
場が沈黙する中ヴィータちゃんが口を開く。
「…あいつは…シュテルはこうなることも知っていたのか…?」
みんなその言葉にギョッとした表情になる。
「…なーんて、な。さすがにそれはねえか」
ヴィータちゃんはそう付け加えたけど
みんなの顔を見ていると本気ではないけどあり得るかもしれないと思っているように見えた。
だから、私は
「…みんな聞いて。フェイトちゃんも」
そう言いみんなの注目を集める。
「確かにシュテルちゃんはフェイトちゃんのお母さんについて予想してた。もしかしたらリインフォースさんのことも、そうかもしれない」
「…」
みんなは黙って私の言うことに耳を傾ける。
「でもね。シュテルちゃんは戦ってた。ジュエルシードの時も今回の事件も、一生懸命に、たった一人で。そこには何の打算もなくてただ必死だったように見えたの。
だから、だからね」
そして
「シュテルちゃんを…許してあげて」
そう言い私は頭を下げる。
シュテルちゃんがこの場にいない以上効果はないかもしれない。
でもこの場にシュテルちゃんを庇う人が誰もいないことが私にはとても悲しかった。
だから言わずにはいられなかった。
「なのは…頭を上げて」
そうフェイトちゃんが言い私を頭を上げる。
「私は───」