俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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今回はうきうきしながら書けました!
れかちゃん可愛い!


第4話 また一歩、青木麗華は歩み寄る
(1)


 今日も小町に追い出されるようにしながら家を出る。いや別にそんなに急ぐ必要はないのよ……小町ちゃん。早く出すぎると逆に青木に気を使わせちゃうし。

 

 昨日の朝の一件で、少しは気まずくなるかと思ったのだが、別段変わることはなく、青木とは普段通りに雑談したりして日常が過ぎていった。夜も変わらず今日の花壇の世話のメールが来ていた。

 

 学校に着き、物置小屋が見えてくると、もう既に青木が待っていた。

 

「すまん、待たせたか」

 

 少し駆け足で近付きいつもの様に青木に声をかける。

 

「おはようございます。私もつい先程来たばかりなので大丈夫ですよ」

 

「……そうか、助かる」

 

「ふふっ、では今日も水やりをいたしましょう」

 

 

 

 

「比企谷君、少しいいですか?」

 

 水やりをしていると後ろから青木が話しかけてきた。

 

「ああ、大丈夫だが、どうかしたか?」

 

「はい、少しお聞きしたいのですが、明日は休日ですがお時間をいただくことは出来ますか?」

 

 ……これは休日出勤の様な感じだろうか?いや、まぁ青木には世話になってるからいいんだが

 

「まぁ、青木ならいいぞ」

 

「私なら……ですか?」

 あああああぁぁぁ余計なもんがついちまったぁぁ!?

 

「いや、ほらっ、他のやつならともかく青木には世話になってるし、な!」

 

「ふふ、では了承していただけたと思ってもよろしいですか?」

「ああ、そりゃもちろん」

「ありがとうございます!また放課後に詳しくお話しますね!」

 

 そう言って青木は見惚れる様な笑顔を浮かべ、また水やりに戻って行った。

 その後、俺が水やりに集中出来なかったのは言うまでもないだろう……

 

 

 

 そしてあっという間に放課後。……いや、別に普通に授業受けてただけだが。

 

 昼休みに青木から先に弓道場前で待っていてくれとメールが来ていたので弓道場前に来ている。

 

 今日は弓道部は活動日ではないらしく誰もいない。……と言うか俺がそもそも活動日の日には近づかないので、弓道場では青木くらいしか見たことは無い。

 

 それ程待たずに青木はやってきた。

 

「お待たせしてしまいましたか?」

 

「いや、大丈夫だ」

 

 ここで待ったとか言える奴がいるなら会って見たいものである。……いや、やっぱ会いたくないな……なんか怖そう。

 

「そうですか?なら良かったです。少し急いで来たのですがお待たせしてしまって居たのなら申し訳ないと思っていましたので」

 青木は、少し乱れた息を整え、弓道場の鍵を取り出すと開けてくれる。

 

「では参りましょうか」

 青木に促され弓道場に入り、二人で向き合う様に腰を下ろす。

 

「それでは詳しくお話させていただきますが、まずは今日、急な申し出でしたのに了承していただき、ありがとうございます」

 

「実はそろそろ、新しいお花の種や苗を買おうと思っているんです。最近では比企谷君も一緒にお花のお世話をしていただいて居ますし、一緒に選んでいただけたらと思いまして……」

 

 そういえばもうそんな時期か……。

 

 最近は季節の変わり目ってモノを感じなくなった気がする。

 

「……ああ、まぁ良いがあまり期待はするなよ?自慢じゃないが俺の審美眼は当てにならんぞ?妹にも『お兄ちゃんの目って人の悪い所ばっかり映すよね』って呆れられてるからな……」

 

 まぁ、そのあと、お兄ちゃんの目はその人の本当の心を映してるんだぞって言ったら「うっわぁ……」って顔されたけどな……

 

「それは……確かに自慢にはなりませんね……」

 

 青木も笑顔ではあるが若干頬が引きつっている気がする……

 

「んっ!ですが比企谷君に私がお願いしたいのはそのような事では無いので安心してください」

 

「比企谷君は私とはまた違った物事の見方をしている様に感じます。そういう違った目線から、一緒にお花を選んで欲しいのですが……」

 

「……まぁ、そういうことなら」

 

「ありがとうございます!集合は九時にいつもの場所でよろしいですか?」

 

 いつもの場所でって言うと、何となく距離が近づいた気がするよな。……あれ?いつもの場所って物置小屋の前でいいんだよな……

 

「……ああ、小屋の前でな」

 

「はい!」

 

 はいセーフッ!合ってたわ……

 

「この後私は生徒会の方で準備があるので戻りますけど、比企谷君はこの後どうします?」

 

「……今日はもう帰ることにするわ」

 

 図書室から帰ろうかとも思ったが、昨日の事もあるし暫くは自粛しよう……

 

「そうですか……ではもう戻りましょうか」

 

 青木と二人、特に散らかした訳では無いのでそのまま弓道場を出て、施錠する。

 

「それでは、また明日、楽しみにしていますね!」

 

「……おう、また明日な」

 

 満面の笑みで手を振ってくる青木に、ぎこちなく手を振り返しながら帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 特に何か起きるでもなく無事に家に着いたが、事件は小町との夕食の時に起こった……

 

「どぅええぇぇぇぇ?!!!」

 

小町が女子が上げてはいけない様な悲鳴?を上げた。

 

「小町ちゃん、お兄ちゃんはそんな声を上げるように育てた覚えはありませんよ」

「……育てられた覚えとかないし。そんなことよりも!さっきの話もう一回!もう一回最初から!詳しく!」

 

 ああ、ほら、食べてたのに急に叫び出すから、テーブルにちょっと飛んじゃってるし……

 

「……いや、だから明日は青木と出かけるって言っただけなんだが……最初からとかないし……」

 

 小町が飛ばした食べかすをサッとティッシュで拭いながら答える。

 

「もぉー!小町が聞きたいのはそういう事じゃないの!それってデート?!デートでしょ!もうデートまで漕ぎ着けるなんてお兄ちゃんやるぅぅ!」

 うぜぇ……我が妹ながらここまでうざかった事があっただろうか……

 

「……別に買い物に付き合ってくれって頼まれただけだよ……この前から花壇の世話を手伝ってるって言っただろ」

 

「多分荷物持ちとかも兼務だろうし休日出勤みたいなもんだよ……」

 

 まぁ青木とだしマジで荷物持ちって事は無いと思う、もしかしたら本当にデートみたいな感じになったり?ならなかったり?ラジバンダリ……みたいな?

 

「うっわぁ……、お兄ちゃん……そういうとこだよ……」

 

「……まぁいいや、それより明日の青木さんとのデートはどんな服装で行くつもりなの?」

 

 もう小町の中では明日の買い物は完全にデートになっているらしい。

 

「……いやどんなって言われてもな、別にいつも着てるやつで良いだろ」

 

「はあ?!ちょっとお兄ちゃん正気?青木さんとのデートにI♥千葉Tとか着てく気じゃないよね!」

 

「良いだろ別に……小町も千葉好きだろ?それに他のとかそんなに無いし……」

 

「もー、信じられない……お兄ちゃんは先にご飯食べて片付けて置いて、小町お母さんに電話してくるから」

 

 そう言うと小町は携帯を持って廊下に出ていった。

言われるままに中断していた食事を再開する。

 

 少しすると廊下の方から小町の声が響いてくる。

 

お母さん聞いてよ!お兄ちゃん信じられないの!

 

明日凄い美人な人とデートに行くらしいんだけど、それに普段の私服で行こうとしてるんだよ?!ありえないよね!……そう思うよね!

 

「……小町ちゃーん、聞こえてるよー」

 

「お兄ちゃんは黙ってて!うん、うん、任せて。二番目の引き出しね。わかった!……お母さんありがとね!うん、じゃーねー!

 

 母ちゃんとの電話が終わったようで小町が戻ってきた。

 

「さっきお母さんから、もしもの時の為のお金の場所教えて貰ったから、小町がご飯食べたら直ぐに買い物行くよ!」

 

 さっきの電話は母ちゃんに金を出してもらう為のものだったらしい。

 

「……いや別に「良くない!」……へいへい」

 

「ほらっ!時間ないんだから早く準備して来て!」

 

「……りょーかい」

 

 この後は、小町に外行用の一式が揃うまで何軒も連れ回されて結局帰れたのはかなり遅くだった。その頃には小町も少しくたびれ気味だったが、青木から来ていた『明日は楽しみにしていますね』というメールを見せると狂喜乱舞して復活していた。

 

 

 




次回!デート回、デュエルスタンバイ!
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