俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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八幡が喋る隙が無ぇ……
鏡華ちゃんも喋る隙が無ぇ……



(10)

 俺達はフーちゃんが居るマリンタワーを目指して走る。

 

 今はプリキュアの皆がフーちゃんの元へと向かうあゆみさんにスピードを合わせているため、俺も着いて行くことが出来ている。

 

 空には数えるのも億劫(おっくう)になるほどの数のフュージョンの欠片が飛びかっていて、空を覆い尽くしてしまうような錯覚さえしてしまう。

 

『グァァァァァ』

 

 そしてその内の一体が俺たちの前に垂れ落ちるかのように降ってきて道を塞ぐつもりなのか両手を広げ威嚇する様に唸る。

 

「リズム!」

 

「オッケー!」

 

 そこに飛び出すのは先輩達だ。

 

 メロディとリズムが攻撃を仕掛け、フュージョンの足を止めさせ、ビートとミューズが左右から強烈なキックで蹴り散らす……!

 

「あゆみちゃん!今だよ!」

 

「……!はいっ!」

 

 先輩達の切り開いてくれた道を駆け抜ける。

 

 道の左右からひっきりなしにフュージョンの欠片が飛び出そうとしてくるが……

 

「ハァァッ!!」

 

「ヤァァッ!!」

 

 先輩達がさせるまいと蹴り返し、殴り返し、防いでくれる。

 

『ガァァァァァ!!』

 

 そんな最中(さなか)、先輩達の隙を縫うようにフュージョンの欠片が立ち塞がるが……

 

『ハッ!!』

 

 ビューティとマーチが抜群のコンビネーションで、弾き散らす……!

 

 ……しかし、襲いかかられた衝撃からだろうか?あゆみさんは足を止めてしまった。

 

 

「……あゆみちゃん?」

 

 震えて涙を流す。

 

「フーちゃん……もうわたしの事、忘れちゃったのかな……」

 

「そんな事ないよ!」

 

「まだ離れているから、貴女の姿が見えていないだけだと思います。近くまで行けば、きっと貴女だって分かる筈です」

 

「わたし……行けるかな……」

 

「……行けますよ。ただの一般人である俺だってこの場に居られるんですから、あなたが行けない道理はないでしょう?」

 

 気付いたら口を開いていた。俺はこの子に証明して欲しいのかもしれない……なんの力が無くとも、行動さえ起こせば何かを変えられる……という事を。……なんの力も無い俺に、ビューティ達と一緒に居ても良いと思える理由を……

 

「……あなたは………誰?」

 

「………………え?えぇ……」

 

 ここまで一緒に走って来たじゃん……そもそも最初にあんたを追いかけてたの俺なんだけど……?

 

「あはははははっ!誰?誰やって!?カッコつけて『行けますよ』なんて言うてんのに、比企谷忘れられとるん?!あははははっ!ヤバい!めっちゃお腹痛い……!」

 

 サニーこの野郎……後で覚えてろよ……

 

「比企谷くんは私たちの友達だよ!」

 

「結構アタシ達も比企谷に助けられる事があるよね」

 

「ええ、八幡君が傍に居てくれる。それだけで私達は力が湧いてくるんです」

 

「……いや、それはビューティだけやろ……でも比企谷に助けられてんのは事実やで?」

 

「……うん、比企谷くんも怖い思いを沢山してるのに、今もわたし達と一緒に戦ってくれるの。それってすごいわたし達も励まされるの」

 

 みんな……そんな風に考えてくれてたのか……

 

「比企谷、さん……はわたしに出来ると思いますか?」

 

 それは俺に聞くことじゃ無い……

 

「……あゆみさんがどうしたいかじゃないか?」

 

「……え?」

 

「あゆみさんはフーちゃんに会って誤解を解きたいんだろ?なら、もう答えは出てるんじゃないのか?」

 

「…………わたし、不安なんです。フーちゃんに会ったとしても、わたしの事を信じてくれるのか……」

 

 そう言ってあゆみさんは俯くが、それこそなんの問題も無い……

 

「それは心配要らないですよ」

 

「……どうして?」

 

 なぜって?そんなの……

 

「そりゃ、今のこの状況は、フーちゃんが貴女の為を思って起こしているからです」

 

「……っ!」

 

「今も……フーちゃんは、貴女の為にこの街を消そうとしている。フーちゃんの行動は誤解もあるけど全て貴女の事を思っての事なんじゃないんですか?」

 

「わたしの……為に……そうだ。フーちゃんは悪い子じゃ無いのにわたしの為に……」

 

「あゆみちゃん……」

 

 あゆみさんは少しの間、俯いてしまったがパッと顔を上げた時、その目はしっかりと前を見つめていた。

 

「比企谷さん、ありがとうございます!わたし、フーちゃんに会って誤解だってちゃんと話します!」

 

「あゆみちゃん!よーし!わたし達も頑張るからあゆみちゃんも頑張ろ!」

 

「……はいっ!」

 

 

 

 

 

 再び走り出した俺達だったがフュージョンの妨害はより、苛烈になっていた。

 

 次々に、襲い来るフュージョンを時に先輩達が、時にビューティやマーチ、サニーが迎え撃ち道を無理やり切り開いて行く。

 

「攻撃が激しくなってきたな……」

 

 始めの頃は必ず誰かがあゆみさんの安全を守るために近くに居たのだが、襲ってくるフュージョンの数が増えるにつれ、どうしても手が足りずに俺とあゆみさんだけになる場面も増えてきた……

 

 

 

『グルァァァァ!』

 

「ちっ!悪い事は考えるもんじゃねえなぁ!」

 

 そして遂に……あゆみさんと俺の近くにプリキュア達を掻い潜ったフュージョンが現れてしまった……!

 

『ガァァァッ!!』

 

「あゆみちゃん!?」

 

「八幡くん?!」

 

 

 

「くぅぅ!!」

 

 飛びかかってきたフュージョンからあゆみさんを守る為、腕を交差させ、あゆみさんの前に立ち、衝撃に備える。恐怖からかつい、目を瞑ってしまう。

 

「ふぅぅん!!」

 

 しかし、衝撃はなかなか来ない……

 

 恐る恐る目を開けると、目の前にはフュージョンの姿は無く、代わりに見た事の無い妖精の後ろ姿が……

 

「ふぅ……間に合ったでしゅ……」

 

 コイツが助けてくれたのか?

 

 

 

「間に合って良かったぁ……」

 

「もう……えりかが道を間違えるからだよ?」

 

「んぅ……だってぇ……」

 

 妖精に声を掛ける間もなく、聞こえてきた声の方に目を向けると四人の女性達が道の脇から現れた。

 

「つぼみちゃん!」

 

「えりかっ!」

 

 おっ?先輩達のこの反応はもしかして……

 

「変身よ!」

 

『はいっ!』 「よっしゃ!」

 

 俺の予想通り目の前で光に包まれる四人の女性。

 

 

 

 

『ハートキャッチ!プリキュア!』

 

「わぁぁ……」

 

「ハートキャッチ……プリキュア……」

 

 俺はまだ面識の無かった先輩達に助けられた様だ……

 

 

「少し誇張があると思ってたのだけど……本当に無茶をするのね。そんな貴方が彼氏なんて、少しれいかに妬けてしまうわ」

 

 この声は……!

 

「せつなも彼氏とかに興味出て来たの!?」

 

「ちょっとラブ、それってどういう意味?」

 

 やっぱり、せつなさん達だ……!

 

「もう、二人とも今はそんな状況じゃないでしょ」

 

「そうだよ。ラブちゃん、せつなちゃん」

 

「えへへ、よーしそれじゃいくよ!」

 

 四人はラブさんの掛け声で光に包まれ――

 

 

 

『LET'S プリキュア!』

 

 ――プリキュアの姿で現れた。

 

「……でも間に合って良かったぁ!」

 

「ピーチが道を間違えるからよ?」

 

「でも、そのおかげで比企谷くんの一面を知る事が出来たわ」

 

「………パッション?」

 

 

 

「間違えるよね!道って!」

 

「うんうん!」

 

『ね〜!』

 

 

「ふふふっ比企谷くんも無事で良かったわ。ここはわたし達に任せて?また後で会いましょう」

 

 そう言って赤いハープを構えるパッション。

 

「あっ!フュージョンにプリキュアの技は……!」

 

「聞かないのでしょう?」

 

「分かってるよ。でも」

 

「だからこそ、やるんです!」

 

 慌てる俺に言葉を返してくれたのはハートキャッチプリキュアの先輩達だった。

 

「行っくよー!見ててね!」

 

 

「プリキュア!ピンクフォルテウェーブ!!」

 

「プリキュア!ブルーフォルテウェーブ!!」

 

「プリキュア!ゴールドフォルテ・バースト!!」

 

「プリキュア!シルバーフォルテウェーブ!!」

 

 四人の技が立ち塞がっているフュージョンに炸裂し、海まで吹き飛ばす……!

 

 そして予想通りに、吹き飛んだフュージョンは力を吸収し、更に巨大になって海から飛び出して来る。

 

『リセットォォ!!』

 

「力を呑み込むのならより強い力の方に集まる」

 

「フュージョンをわたし達の方へ引きつけるわ!」

 

「ここはわたし達に任せて!」

 

「早く行っちゃってー!頑張ってねー!」

 

 攻撃を受けたフュージョンは俺たちを無視して、先輩達を追って離れていく。

 

「わたし達も!」

 

『うん!』

 

 今度はせつなさん達が各々のアイテムを構える。

 

 

 

「吹き荒れよ!幸せの嵐!」

 

『悪いの悪いの飛んでいけ!』

 

「プリキュア!ヒーリングブレア……」

 

「プリキュア!エスポワールシャワー……」

 

「プリキュア!ラブサンシャイン……」

 

『フレーッシュ!!』

 

「プリキュア!ハピネスハリケーン!!」

 

 三人から放たれた光の奔流とパッションの放ったハートの嵐受けて吹き飛んだフュージョンも巨大化しパッション達を追って行く。

 

「今のうちに!」

 

「大丈夫よ!」

 

「絶対に、辿り着けるわ!」

 

「頑張って!」

 

 

 

 

 先輩達が俺達の為にフュージョンを引きつけてくれている。

 

「あゆみちゃん、行こ!」

 

「うん!……ありがとうー!!」

 

 お礼を言ってから駆け出すあゆみさん。それに俺も続くこうとした時だ。

 

「八幡はん!あんさんはちょっとワイらを手伝ってくれへんか?!」

 

「……タルト?」

 

 呼ばれ、振り返った先にいたのは妖精達だった。

 

 

 




………せつなちゃんの様子が…………

……まだLIKEだからセーフっス。LOVEじゃないからセーフ_( ˙꒳˙ )_  _( ˙꒳˙ )_
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