『ごちそうさまでした!』
「手軽で美味しかったでござるな」
「お兄ちゃんとごはん、美味しかったクル!」
カップラーメンはメルヘンランド出身の二人にもどうやら好評だったようだ。
「晩御飯も食べたし、少し食休みを挟んだら出発しようか」
「ええ、良い時間だと思います」
「ここは……」
「おう、前にも来たことあるよな、あの図書館だ」
俺たちが本の扉をくぐって出口として選んだのは高台の近くにある図書館だ。前は高台のすぐ隣にある公園で戦ったんだよな……
「前にポップが来た時にもここからマジョリーナの所に行ったんだよね」
「あん時はみゆきが南極に行ったとかキャンディから聞いて、めちゃくちゃびびったで?」
「わー!あかねちゃん!あの時ちゃんと謝ったじゃん!はっぷっぷー」
「ああ……拙者が迎えに行ったでござったな」
「ポップまでぇ……」
なぜ目的地の高台からわざわざ少し離れた図書館に本の扉を開いたのかと言うと、高台の近くへ……なんて言ったら何処に繋がるか正直分からないからだ。高台にある展望台の本棚ならいいが、人の家の本棚に繋がってしまったら目も当てられないからな……
みゆきを
「わあ……みんな集まってるね!」
「皆、星を見に来ているのでござるか?」
「うん、ここが街で一番星がよく見える場所なの」
高台には既に多くの家族連れやカップルが集まっていた。やよいの言うように、ここに集まっている人達はみんな、少しでも綺麗な星を見ようとこの高台に集まったのだろう。
「さっ、アタシらも行こう!」
「こっちやこっち!」
と、何やらなおとあかねが手招きしている。
『そちらになにかあるんですか?」
「いいからいいから」
「ちょっと……なお?」
れいかもなおに背中を押されて連れていかれる。
「八幡も早う行くで」
「え?俺もなの?」
なんか見つけたのか?
「ここや此処!」
「この前あかねと見つけた穴場スポットなんだ!」
道を少し外れ、案内されて着いた場所は丁度よく街灯や展望台のライトが木々に遮られ、
『わぁぁ……』
「静かな所でござるな……」
「クルぅ……」
なお達が自慢げにするだけあって、展望台付近には沢山いた人の姿がここには見当たらず、この場には俺たちしか居ない。
「良い所ですね……」
スっと手を握られる。
「っ!……ああ」
一瞬、ドキッとしたが握られた手を優しく握り返し、その場に二人で腰を下ろす。……すると、みんなもつられてか俺達の周りに腰を下ろしだした。
「んーっ!すごいね!お星様が降ってきそう」
「なに言うてるん?これから沢山降ってくるんやろ」
いや、それは大惨事だろ……
「あかねちゃん、これから星が流れはするけど降っては来ないよ?」
「いやっ、こ、言葉の綾やん!」
「えー?本当?」
「ほんとやって!」
『あはははははっ!』
ひとしきりみんなで笑うと自然と場に静寂が満ちる。
「……不思議ですね」
「……何がだ?」
その静寂の中で口火を切ったのはれいかだった。
「学年が変わってみゆきさんが転校してきました」
「うん」
答えるのはみゆきだ。
「八幡君が花壇の手入れを手伝ってくれるようになりました」
「ああ」
「クラスの中で始めから特別に親しかったのはなおだけでしたね」
「そうだね」
「始めは断ってしまいましたが、プリキュアになってからは、みゆきさん、あかねさん、やよいさん、そしてキャンディですね。皆さんと仲間になりました」
「にひっ」
「……うん」
「クル!」
「プリキュアとしての戦いに慣れ始めた頃、きょうかが生まれましたね」
『分かれた……とも言いますけどね」
少しだけツンっとしたきょうかの物言いに、自然と口角が上がってしまう。
「始まりは並んで交わる事のなかった私達の道は、いつの間にか合わさって……今ではこうして同じ夜空を見上げています」
確かに昔の俺だったら考えられなかっただろうな……
「……あの、拙者は……」
「……あ、ごめんなさい!もちろんポップもですよ!」
「う、うむ……」
……ま、まあ、ポップは今日含めて会うのが二回目なんだし……
「………あー!あれっ!流れ星ですよぉ!皆さんも!ほらっほらっ!」
ご、誤魔化したぁ!
「わー!ほんとだ!」
そしてすかさず乗っかるみゆき(天然)
ただ流れ星自体は本当の事なのでみんなすぐに……
「わっあっちにも!」
「綺麗クルぅ……」
みんなすぐに夜空を流れる星々に夢中になる。耳をすませば木々の向こうからも歓声が聞こえてくる。
まぁ、れいかの珍しい姿が見られたって事で……
「綺麗……ほんとにペガサスが走ってるみたいだね」
「まことにござるなぁ」
「せや!みんなお願い事せな!」
「クル?」
「キャンディは初めてだよね。流れ星にね、お願い事をすると願いが叶うの」
「ほんとクルぅ!?」
「うん!きっと叶うよ!」
七夕の短冊に流れ星……それも流星群なら何個も願えばひとつくらいは叶いそうなもんだよな。
「わぁ……お願いするクル」
俺もこんな日位は真剣に願って見るかねぇ……
横目で見たみんなは両手を胸の前で組んで真剣に願い事をしている。
俺もそれに
どうか、れいかときょうかが幸せになれますように……それと、出来れば今のこいつらとの幸せな日常が続きますように……
暫く、静かに流れ星に願う。
「よーしこれでお願いはおっけーやな!」
「みんなはどんなお願いしたのー?」
「こういうのは人に言うと良くないって聞くよ?」
「えー!?じゃあ今の無し!みんなも言わないようにね! 」
静かに願い事をしていた姿から一転、キャイキャイと騒ぐ姿に渦中のれいかと目が合い、苦笑いを浮かべる。
「皆の衆は本当に仲が良いのでござるなぁ」
「これが不思議とな……」
いつの間にか俺の近くに寄って来ていたポップが感慨深気に呟くのに同意する。
「キャンディも楽しそうでなによりでござる」
ポップの妹を思う気持ちは俺の小町への愛にも負けないものを感じる。
「ところで……「うっはっはっはっ!」……」
ポップに話しかけた声をかき消す様に耳障りな笑い声が聞こえてきた。
『なっ?!』
「お前達の願いなんて叶わないオニ!」
星降る夜……それを背にし空中に浮いて俺達の願いを嘲笑っていたのはアカオーニだった。
「世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まるオニ」
アカオーニは本を取り出し開くと黒い絵の具を握り潰す。
「白紙の未来を黒く塗り潰すオニ!」
言葉に合わせ、開いた本に握り潰して飛び出した絵の具を叩きつけ塗り付ける。
すると星々は掻き消え、空は赤茶けた色に染まり、場が重苦しい雰囲気に包まれる。
「うっはっはっはっはっはっ!人間どもの発したバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくオニ!」
先程まで木々の向こうから聞こえて来ていた楽しげな声も今は聞こえない。
「何がお願いオニ?星が願いを叶えてくれるなんてあるわけないオニ!オレ様は強いから星なんかに頼らないで自分の努力で何とかするオニ!弱っちいお前らなんか笑っちゃうオニーうっはっはっはっはっはっ!」
せ、正論んん……!
「笑わないで!それでもお願いを叶えて欲しいって気持ちは未来へ進むための力になるんだから!みんなの大切な気持ちを笑わないで!……みんな!」
『うん!』
みゆきの声にみんな一斉にスマイルパクトを取り出し光に包まれる。
光が収まってくると五人の姿が現れる。
「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」
「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」
「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」
「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」
「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」
『五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』
バトル回……に突入しましたね!最後の最後で!
一応タイトル回収してたんでセーフってことで!
れかちゃん……さらっとポップのこと忘れてましたね!まぁ二回しか会ってないんだからしょうがないですって!それ以外が濃すぎなんですよね!
という訳で正真正銘次回はバトル回です!最後にきょかちゃんがブチギレるかも!お楽しみに!