(1)
あの後俺達は、怒りか悔しさか、泣き崩れるきょうかと放心状態のポップを連れて不思議図書館へ戻って来た。
「キャンディもデコルも……」
「みんな、奪われてしまいました……」
「ジョーカー……か」
きょうかは泣き疲れたのか、此処に着いて直ぐに眠ってしまってからまだ一度も表には出て来ていない。
「私達……どうすればいいの?」
「ほんとにこれで終わりなの……?」
終わりなのか?……本当に?俺達に残ってるモノは何か無いのか?
ふと上を見上げたその時、笹の中で何かが光を反射した。……!!
「みゆき!」
「わっ?!ど、どうしたの八幡くん?」
「あれ!笹に飾り付けたデコル!」
「えっ?……あっ!」
慌てて駆け出すみゆきを追いかける。
「みんな、これ」
みゆきがガサガサとデコルを外している間にみんな何事かと集まってきていた。
「これは……」
「星デコル?」
「なんで?ジョーカーにデコルは奪われたんちゃうん?」
「いや、これだけはみゆきが笹の飾り付けに使ってたんだ」
最初見た時は普通に引いてたけど、まさかここで助けになるとはな……
「それは……なんというか……」
「普段なら呆れてござろうが、この度に至ってはおおいに助かったでござる!」
「もう!ポップ」
一時はどうなるかと思ったが少しづつでも、みんなに明るい雰囲気が戻って来て良かった。
「あら?これは……」
笑顔の戻って来たみんなを安心した様子で見ていたれいか筈のれいかの驚きの声に視線を向ければ、星デコルが飾ってあった付近から数個の短冊を外して俺達に見せてきた。
「これって……」
「キャンディが書いた短冊みたいだけど……」
「他にもあるみたいだよ……ほら」
やよいがもって来て渡してきた短冊には俺の名前が書いてある短冊もあった。
「全員分あるみたい」
「みんなとしたい事が書いてあるね……」
まさか俺の分まであるとはな……
「……やっぱり、落ち込んでるだけじゃダメだよ」
「……うん」
「でも、キャンディは何処にいるかも分からないのに……」
「いや、場所なら分かるでござる」
「ポップ!」
先程まで項垂れて、一言も喋らなかったポップが顔を上げ力強い瞳で俺達を見上げていた。
「皆の衆、先程は済まなかったでござる。デコルデコールにキャンディまで奪われてしまったでござる」
「それは……」
「ポップのせいだけじゃないよ!わたし達だって見てるだけしか出来なかったのに……」
「いや、それでも拙者は……」
「まてまて二人とも、今は責任の取り合いじゃなくて他にする事があるだろ?ポップ、それで?さっきは場所を知ってる風な事を言ってたがキャンディは一体何処に居るんだ?」
「かたじけのうござる。……おそらくはバッドエンド王国でござろう」
『……っ!?』
「そこって……」
「……皇帝ピエーロが封印されている場所でござる」
それって敵の本拠地じゃねーかよ……
「皇帝ピエーロ」
「ウルフルン達の親玉」
『…………………』
「行こう」
最初に口にしたのはみゆきだ。
「そこにキャンディが居るなら助けに行かないと……キャンディ……寂しがってるだろうし」
「よし!」
「……うん」
「もちろん!」
「ええ」
「おう」
みんながみんな一歩を踏みだす。
「皆の衆、かたじけのうござる!」
俺達はポップに連れられ秘密基地の外にやってきた。
「ここらで良いでござるな」
ポップは切り株の前に立つとそこへ白紙の絵本を広げた。
「ポップそれは?」
「これでメルヘンランドへ向かうでござる」
「メルヘンランド?バッドエンド王国じゃなくてか?」
「バッドエンド王国へ行くためには、まずこの絵本でメルヘンランドへ行く必要があるのでござるよ」
「わかった。ポップ、お願い」
「任せるでござる!」
ポップが絵本に飛び込むと、開かれたページが七色に輝きだした。
「さぁ皆の衆!飛び込むでござる!」
絵本からポップの声が聞こえる。
「みんな……行こう!」
『うん!』
みゆきの声に頷き、れいかの手を握って全員で意を決して絵本に向かって飛び込む。
『キャッ!?』
「うおっ?!」
すると、吸い込まれるような感覚に襲われると同時に俺の意識は途切れた。
パッと目を開ける様に、急に意識が目覚める。視界に映るのは近づいてくる地面。……んっ?!
慌てて着地するが体勢が崩れてしまった。
「おわっ?!」
「八幡君!」
繋いでいた手を引き寄せられるように、れいかの腕の中に収まる。
「た、助かった……ありがとうれいか」
「いえ、八幡君に怪我が無くて良かったです」
急に近づいてしまった顔にドギマギしながられいかにお礼を言うと満面の笑顔が帰ってきた。
「なぁそれ普通逆やない?」
「ばっか!あかねそれがいいんだよ!」
「はあ……あ、ところでみゆきは?」
「ひゃぁ!ぎゅぺっ?!」
あかねが話を逸らそうとしたタイミングで丁度よく最後にみゆきが空に浮かぶ絵本から吐き出されてきた。着地に失敗して顔面を強打してたが……
俺達もあんな感じで出てきたんだな……
「お、来たみたいやな」
「うんん、痛てて、って!わぁぁ……」
最初の驚きで周りをよく見る余裕がなかったが目を輝かせるみゆきの視線を辿れば、そこには不思議な景色が広がっていた。
「ここがメルヘンランド……」
「まさしくメルヘン……ですね」
そう、空には常に沢山の風船が浮かび、辺りの家々もまるで絵本の中の家の様に何処かで見た覚えがある様な……そんな既視感を覚える。
「すっごーい!綺麗ぇ」
「うん、でも妙に静かじゃない?」
「お家はあるけど……誰も居ないの?」
確かに……見える範囲でも家は沢山あるのに、外を歩く住人の姿は皆無だ。
「ちゃんと居るでござるよ。……ただ、ピエーロとの戦いで女王様が眠ってしまってから、皆もすっかりと落ち込んでしまって滅多に家から出なくなってしまったのでござる」
「……そうだったんだ」
「一刻も早く女王様を復活させねば……!」
手を握りしめ絞り出すように独りごちるポップ。
「うーん、それは困りますねぇ」
しかし、そのポップの言葉を嘲るようにジョーカーの声が響き渡る。
「この声は!」
「ジョーカー!」
辺りを見回せば、空中に不自然にトランプのカードが渦巻いている。そしてそのカードが吹き散らされると、中からジョーカーの姿が現れる。
「前回はちゃんと挨拶が出来ませんでしたからねぇ?改めまして、ワタシはジョーカー。初めましての方々は以後お見知り置きを」
現れたジョーカーは芝居がかった挨拶と共に一礼してみせる。
「キャンディを返すでござる!」
「んふふ、どうやらせっかちさんがいるようですねぇ?しかし、返していただくのはワタシの方ですよ?」
『っ!』
みゆきが抜き取っていた星デコルに気がついたのか……
「皆さんがお持ちの最後のデコルを……ねぇ」
笑みを浮かべるジョーカーの威圧感が半端ねぇ……
「……断ると言ったら?」
「んふふ……いいから、さっさと、寄越せぇ!」
今までと違いおちゃらけた様子の無いその声に、一瞬身がすくむ。
「……大丈夫です」
しかし、繋いだ手から感じる温もりとれいかの言葉に平常心を取り戻す。
「では、行ってきます」
名残惜しそうに離れる手を最後にれいかの優しい瞳が鋭くジョーカーを射抜く。
「皆さん!」
『うん!』
れいかの声にみんな一斉にスマイルパクトを取り出し光に包まれる。
光が収まってくると五人の姿が現れる。
「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」
「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」
「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」
「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」
「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」
『五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』
前回も変身シーンで話が切り替わりましたね……申し訳ないです、ただここで切らないとバトルが始まっちゃって切り時がなかなかないんですよねぇ……
しかーし!こっからもちゃんとオリジナル要素をバコバコぶち込んで盛り上げていけるように頑張りますよ!!応援お願いいたします!
それではこの辺で次回もお楽しみに!