「んっふっふ、あなた達に一体何が出来るんです?」
言葉と共にいつの間にかジョーカーの手に握られていたカードを飛ばしてきた。
プリキュアたちは咄嗟に散開することでカードを避け、各々が距離をとる。
ドーン!
カードが突き刺さった場所では爆発が起き、地面が大きく抉れている。
「げぇ……」
数枚のカードであの威力かよ……
「やぁぁ!」
「はぁぁ!」
気迫の乗った叫びに咄嗟にそちらへ顔を向けるとマーチとビューティが空中のジョーカーを挟み込むように左右から蹴りを放ったところだった。
「ふふっ」
しかしジョーカーは自身がバレエの様に回転することで二人の蹴りをいなし、直ぐさま二人の足を掴むとその回転の勢いのままに放り捨てる。
「はっ!」
その隙を狙ったのかハッピーが後ろから攻撃を仕掛けるが、攻撃を食らったジョーカーは弾け、トランプが舞い散る。
「あははっ!」
「きゃ!」
突如ハッピーの頭上に現れたジョーカーはハッピーを地上へと蹴り落とす。
「せっ!はっ!……やぁぁ!」
今度はサニーだ。ジョーカーに休ませる隙を与えないようにか絶え間なく攻撃を続けるが……
「そこですね」
「んなぁっ?!」
攻撃は全て避けられ、さばかれ、最後には大きく弾き飛ばされてしまう。
「あよっと……」
ズダーンッ!
「ええ!ってきゃあ!?」
ピースが放った雷も簡単に避けられ反撃に高く蹴り上げられてしまう。
「……ジョーカーの奴……こんなに強かったのかよ……」
俺は目の前の光景が信じられないでいた。
プリキュア達は……ビューティ達はフュージョンとの戦いを経て、更に上手くプリキュアの力を扱えるようになったし、コンビネーションも段違いに良くなっていた。
……それなのにだ。
「まるで遊んでやがる……!」
ジョーカーは攻撃を避けたり、トランプを巨大化させ攻撃を防いだり……挙句の果てにはカラフルなボールでジャグリングまで始める始末。
「おやおやおやおや?皆さん、こんなものですかぁ?」
「おちょくってぇ……」
「もー!こうなったら!……プリキュア!ハッピー・シャワー!!」
業を煮やしたハッピーが遂に大技を放った。ピンク色の奔流がジョーカー目掛けて
「どうだ?」
これなら避けられさえしなければ……
「んふふ……」
余裕そうなジョーカーの態度に一気に不安が押し寄せてくる。
……そしてそれは決して間違いでは無かったのだ。
「あそーれ」
ジョーカーが無造作に投げたトランプはジョーカーの前で盾のように巨大化し、ハッピー・シャワーを吸い込み始めた。
「お返ししますよ」
「なっ?!」
ジョーカーがトランプをくるりと回す。数度回転し、止まったトランプからは先程吸い込まれたハッピー・シャワーなのか……どす黒い闇の奔流がハッピー・シャワーを放ったままの姿勢のハッピー目掛けて放たれた。
「へっ?」
「危ないでござる!」
驚きか、その場で固まってしまったハッピーを守るようにポップが盾の姿に変化し黒の奔流を受け止める。
「ぐぅぅっ!!あ゛ぁっ!?」
ポップは何とか防ぎきったがその場で変化が解け倒れ込んでしまう。
「ポップ?!大丈夫!」
倒れ込んだポップにハッピーが駆け寄る。
「こいつ……めちゃくちゃ強いで……」
「……みんな!この前のアカンベェみたいに全員で押し切るんだ!」
傷だらけのポップをハッピーから受け取り、距離を取りながら声をかける。
「わかったやってみる!みんな!」
『うん!』
「プリキュア!サニー・ファイヤー!!」
「プリキュア!ピース・サンダー!!」
「プリキュア!マーチ・シュート!!」
「プリキュア!ビューティ・ブリザード!!」
「プリキュア!ハッピー・シャワー!!」
五人の技が重なり五色の輝きを放つ光となり、ジョーカーを覆い尽くす。
頼む!これで終わってくれ!
しかし……
「え……?」
「うそやん……」
「んっふっふっふっふっ……この程度ですか?」
ジョーカーを覆っていた光は先程の繰り返しの様に、カードに吸い込まれるように消えてしまった。
「うそ……だろ……」
「さぁ、もう一度」
ジョーカーがトランプを回すとまた黒く染め上げられた光の奔流がプリキュア達に襲いかかる。
ドーンッ!!
先程
煙が晴れると傷だらけのプリキュア達が倒れる中をジョーカーはゆっくりと歩いて、落ちていた最後のデコルを拾い上げる。
「さて、これでこちらの用事は済みました。しかし、これだけでは私も溜飲が下がりません……あ、そうだ。最後のバッドエナジー、あなた達からいただきましょう!」
なんだと?
「世界よ!最悪の結末バッドエンドに染まりなさい!白紙の未来を黒く塗り潰すのです!」
ジョーカーが黒い絵の具を握りつぶし、白紙の絵本に叩き付けるように塗りつける。
すると、辺りが急に重苦しい雰囲気に包まれ、初めて見る、紫色の世界が広がる。
「おや?バッドエナジーが出てきませんね?まだ抗っておられるので?さぁもう絶望してもいいんですよ?」
そうか、真に絶望してさえいなければバッドエナジーは出ないんだな。
「ああ、そういえば比企谷八幡くん、貴方は何をしに此処へ?」
「っ!?」
ジョーカーの虚ろな仮面の目と目が合ったと思った瞬間、既に奴は目の前にいて、俺の顔を覗き込んでいた。
「なんの力も無い、役に立たない。いえ、むしろ足を引っ張っているのでは無いですか?」
「お、俺は……」
ここに来て一体何が出来た?してもらった事はれいかに励まして貰ったくらい。ハッピーにしたアドバイスさえ攻撃を返されたのならむしろ余計な事をしたんじゃないか?
「頼みの綱のプリキュア達もワタシ一人に敗れる始末。もしかしたら貴方が居なければ、もう少し善戦出来ていたかもしれませんよ?」
俺のせいでプリキュア達がビューティが負けたのか?
じんわりと俺の体から黒いもやが立ち上り始める……
『八幡君に……」
「キュアビューティも可哀想に……貴方のせいであの冷静な判d『何をしてくれているんですかぁぁぇ!!」ぐぇぇぇっ?!」
………………??
「……はっ?」
目の前には顔面から地面に叩きつけられているジョーカー。
そして……
「きょうか……なのか?」
『はいっ!貴方のきょうかです♡」
ジョーカーの頭を後ろから鷲掴みにし、地面にめり込ませているキュアビューティ。……いや、白かった部分が黒に染った……もう見る事の無いと思っていた、きょうかがまだバッドエンドビューティだった頃の姿をしていたのだった。
『すこし、寝坊してしまったみたいですね」
きょうかは俺を抱き抱えると頭が地面に突き刺さったジョーカーから大きく距離をとった。
「八幡くん大丈夫だった?」
「すまん、うちらが不甲斐ないせいで」
「ジョーカーに何かされてない?」
「ジョーカーに何を言われても八幡はアタシ達に必要だからさ」
起き上がれるようになったみんなが俺の周りに集まってきた。
「お前ら……」
ガラッ……
『……っ!』
「いたたた……急に後ろから不意打ちなんて酷いですねぇ一体誰が…………んん?誰です?」
起き上がったジョーカーを警戒していると、ジョーカーはこちらを見てしきりに首を傾げる。
「……バッドエンドビューティ?」
ダンッ!
『きゃっ!』
「ぐぉぉぉ?!」
隣から強い風が起きると共に、再びジョーカーの濁った声が聞こえてきた。
ジョーカーが立っていた位置にはいつの間にか脚を蹴り上げた状態のきょうかだけが立っていた。
『私はもう、バッドエンドビューティではありません!」
きょかちゃん見!参!
恨みと愛を力に変えて今ここに再臨せん!(ふて寝してただけ)
多分次回で今章は終わりかなぁ?決意を胸に!的な?
次回もお楽しみに!