俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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最近コロナが五類に移行したので母校の文化祭に行ってきました!卒業して時間が経っても覚えてくれている先生が居ると嬉しいものですね!


(4)

 

 遠泳から戻ってきたなおとあかねの後ろから追走するようにサーフボードに乗っているアカオーニなのだが……

 

「……なんかアイツ、すげぇ夏を満喫してね?」

 

 サングラスしてるし、よく見たら虎柄の水着だし……

 

「アカオーニも夏休みなのでしょうか?」

 

「え?そ、そうなのかなぁ?」

 

 

 そんなことを言っている間にも、なおとあかねはほぼ同じタイミングで海から上がってきた。

 

「アタシの勝ちだ!」 「ウチの勝ちや!」

 

「同着だろ?」

 

「引き分けですね」

 

『審判は絶対ですよ?異議は受け付けませーん」

 

『ええぇぇ……』

 

 そんなに勝ち負けにこだわることか?いや、それよりも……

 

「おい!そこの二人、人間にしてはかなり泳ぐのが速かったオニ!なかなかやるオニ」

 

「いやぁ、そんなことあらへんよ」

 

「アタシとしては上手く泳げた気がするし、褒められるのは嬉しいね」

 

 なんか普通に話し出したぞこいつら……

 

「誰かは知らんけど」

 

「ありがとうございます……って」

 

『……え?』

 

「なに、本当の事を言っただけオニって……ん?」

 

『………………………』

 

『アカオーニ(プリキュア)!?』

 

「気づいてなかったのかよ……」

 

「なんでプリキュアがここに居るオニ!」

 

「それはこっちのセリフや!」

 

「オレ様の小麦色の思い出は邪魔させないオニ!」

 

 小麦色の思い出って、ガチで夏を楽しみに来てたのかよ……

 

「世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まるオニ!白紙の未来を黒く塗り潰すオニ!」

 

「アイツ、一々バッドエンド空間作らなきゃ気がすまねーのかよ」

 

「うっはっはっはっはっ!人間共の発したバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を甦らせていくオニ!」

 

 まぁ、それが仕事なのか?……でもそう考えたら休みの途中でも仕事をしなきゃなのか?うわっバッドエンド王国ってブラックかよ……

 

「出てよ!スーパーアカンベェ!!」

 

 アカオーニが取り出した前よりも大きな絵の具玉から禍々しい光が溢れ出す。

 

『スーパーアカンベェ!!』

 

「あれは!?」

 

「わたし達の砂のお城が……」

 

「くっそ……せっかく作ってたのによ」

 

 スーパーアカンベェの元になったのは俺達が作っていた砂のお城だった。

 

『よくも私達の思い出作りの邪魔を……」

 

「うっはっはっはっはっ!オレ様以外の思い出なんて知らないオニ!んん?一人足りないオニ?」

 

「わたしは此処に居るよ!」

 

「なにぃ?遅刻オニ!まぁ何人いようとスーパーアカンベェには関係ないオニ!」

 

 キャンディを抱えて走ってきたみゆき。どうやらバッドエンド空間に気付いて直ぐに向かって来ていたらしい。

 

「みんなの夏の思い出作りを邪魔するなんて許さない!みんな!いくよ!」

 

『うん!』

 

 みゆきの声にみんな一斉にスマイルパクトを取り出し光に包まれる。

 

 

 

 

 

 光が収まってくると五人の姿が現れる。

 

 

 

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」

 

 

 

「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」

 

 

 

「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」

 

 

 

「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」

 

 

 

「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」

 

 

『五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』

 

 

「スーパーアカンベェ!お前の力をプリキュア達に思い知らせてやるオニ!」

 

『スーパーアカーンベェ!!』

 

 ザザザザー!

 

『…………え?』

 

 スーパーアカンベェの叫びと共に、一斉に砂の城壁の上にズラっと並んだ砂でできた大砲、バリスタ、投石機。

 

「避けろぉぉぉ!!」

 

『きゃぁぁぁ!!』

 

 ズドドドドドーン!!と一斉に発射された兵器群に辺りは砂煙に包まれる

 

「くっ……全然見えねぇ」

 

 砂煙に視界が閉ざされる中で必死にプリキュア達の無事を祈る。

 

 スドドドドドドドッ!!

 

「ぎゃぁぁ!?」

 

 大量に並べた砲門から交互に撃っているのか止まらない砲撃音と砂埃の中遂に誰かの悲鳴が上がった……のだが………なんか野太くなかったか?

 

「待て!待つオニ!!中止!!攻撃を止めるオニ!!」

 

 ズドドドドドッ!!

 

「ヤメロォ!!」

 

 ドガンッ!

 

『スーパーアカンベェ?!』

 

「…………」

 

 攻撃が止み、サァァっと吹いた潮風に砂煙が晴れると、目の前に広がっていたのは、ボコボコに荒れた砂浜、金棒を振り切っている傷だらけのアカオーニと倒れているスーパーアカンベェの姿。そして、離れた所で固まっているプリキュア達の姿だった。

 

「……プリキュア!?なんでそんなところに居るオニ?!」

 

 これアカオーニが自爆しただけだったんじゃね?

 

「アホかぁ!あんな攻撃真面目に受けてられるかぁ!」

 

 そりゃごもっともで……

 

「くぅぅぅ!スーパーアカンベェ!!あの攻撃はもう無しオニ!今度は直接攻撃するオニ!」

 

『スーパー!!』

 

 スーパーアカンベェの城門を開き、その中に手を突っ込む。そして引き抜くとそこには砂でできた破城槌が……

 

「それお前が使われる方だろ……」

 

 そのツッコミも虚しくスーパーアカンベェは破城槌を振り下ろす。

 

 

『スーパーアカンベェ!!』

 

 スーパーアカンベェは両手の破城槌を振り回し、プリキュア達は必死に当たるまいと避けながら攻撃をしているが、堅牢な砂の城壁に阻まれ、スーパーアカンベェも反撃を気にせずに破城槌を叩きつけている。

 

「うははははっ!やれやれオニ!」

 

 

 

 

『八幡君!」

 

 ビューティがその中で一歩大きく飛び退き、俺の直ぐ側で着地する。

 

「あの城壁のせいでこちらの攻撃が通りません!なにか良い方法はありませんか?!」

 

「俺もなにか手は無いか考えてるんだがな……あの破城槌をこっちが使えれば何とかなるとは思うんだが……」

 

 そもそも歴史的に考えても城壁を素手で攻略しようなんてのはありえない。城相手の戦いでは相手方の三倍の兵力が必要で破城槌の様な攻城兵器を用意して戦うのが常識なのだ。

 

『破城槌を……」

 

「っ!ありがとうございます!」

 

「え?」

 

 まだ何もいい方法が浮かんでないのにビューティはお礼を言って戦線に戻ってしまった。

 

 そのままビューティは戦いながらプリキュア達に何事かを伝えていく。

 

 そして……

 

「いきます!」

 

 ビューティが突出してスーパーアカンベェの目の前に飛び出す。

 

『スーパーアカンベェ!』

 

 突然目の前、空中に身を踊らせたビューティに隙と見たスーパーアカンベェは迷わずに破城槌を持った腕を振り上げ、振り下ろす。

 

『やァァァ!!』

 

 そこに飛び付き、スーパーアカンベェの腕に取り付いたハッピーとピースが無理矢理軌道を変えさせ城門へと破城槌を叩きつける。

 

『アカンベェ?!』

 

 頑強な筈の城門に破城槌がくい込みたたらを踏むスーパーアカンベェ。

 

「今やぁぁ!!」

 

「今までの鬱憤晴らさせてもらうよ!」

 

「プリキュア・サニーファイヤー!!」

 

「プリキュア・マーチシュート!!」

 

 そして、そのくい込んだ破城槌を更に押し込む様に二人の技が破城槌に叩き込まれ――

 

『ンベェッ?!』

 

 ――遂に城門が砕け散った。

 

「なにぃぃ?!!」

 

 城門を粉砕されひっくり返るスーパーアカンベェ。

 

 そしてようやく訪れた大きなチャンスを逃すプリキュアでは無い。

 

「みんな!」

 

『うん!』

 

『ペガサスよ!わたし達に力を!』

 

 

 その言葉と共にステッキから黄金の光が放たれ、プリキュア達を包み込む。

 

 

 慣れて来たのか、今回は自らの意思でプリンセスキャンドルを呼び出すプリキュア達。

 

 

 

 そして黄金の光が弾けると装いを変えたプリキュア達が現れる。

 

 

 

『プリキュア!プリンセスフォーム!!』

 

 

 

「届け!希望の光!」

 

 

 

『羽ばたけ!未来へ!』

 

 

 

『プリキュア・レインボーバースト!!』

 

 

 

 五人の持つ蝋燭に見立てた様なステッキから溢れ出た光が合わさり、ペガサスの姿を模すとその角から、輝く虹色の光の奔流を解き放った。

 

 

 

『アカーンべェ…』

 

 

 

 スーパーアカンベェは一瞬で光の奔流に呑み込まれる。

 

 

 

「輝け!」

 

 

 

『ハッピースマイル!』

 

 

「くぅぅ……やられたオニ。でも……小麦色に焼けて夏の思い出になったオニ!うっはっはっはっはっ!」

 

 一瞬、悔しそうに顔を歪めたアカオーニだったが、直ぐに笑顔になると笑いながら消えていった。

 

 あいつ超ポジティブかよ……つか、お前の肌の色なら小麦色じゃなくて赤褐色じゃね?

 

 

「やったクル!また二つデコルが増えたクル!」

 

 

 

 

「さっきは八幡君の助言のお陰で勝てました。ありがとうございます」

 

「いやいや、俺はあそこまで考えつかなかったし、れいかときょうかの気付きのお陰だよ」

 

 それにあの一瞬で他のみんなの役割りも割り振ったんだからすげぇよな。

 

『ふふ、では私達もみんなの力ですね♪」

 

「ああ……そうだな」

 

「ええ」

 

 

 

「おーい!れいかちゃんも八幡くんも次は何する?時間はまだまだいっぱいあるよ!」

 

「……みゆきちゃん、戦ったばっかりなんだし少し休もう、ね?」

 

「俺もやよいに賛成だ。夏休みも始まったばっかりだしこのままいくと後半にバテるぞー」

 

「そっか!まだ始まったばっかりだもんね!んー!まだまだ遊ぶぞー!!」

 

「なお!みゆき!シートまで競走な!お先〜!」

 

「あ、ズルい!」

 

「待てあかね!」

 

 休む筈なのにそなためにまた競争を始める三人。

 

「ほんっとに元気良いなぁ」

 

「ええ」

 

「ねー」

 

 俺達は特に駆け出すような事もせずにゆっくりと後を追う。

 

 今日は楽しかったし、まだ楽しい事はあるだろう。そしてその今日が終わったとしてもまだまだ夏休みは終わらない。

 

 だって、俺の夏休みはまだ始まったばかりだから……

 




実際に兵器積んでる城型のアカンベェとか無理ゲー感ありますよね。

最近はバトル中の八幡君の活躍がなかなか上手く出せなかったので今回少しは貢献出来たのは良かったのかなぁと思います!もうちょっと八幡君を活躍させてあげたい!

さて、次回は浴衣回です!お楽しみに!
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