(1)
あの海水浴から数日、小町の捨て台詞のようなひと夏の
……のだが、案の定と言うかいつも通りと言おうか、小町へのお土産を忘れて、数日間にも及ぶ無視が決定しそうになった。
しかし、
そこからはもう小町もにんまり!
「おにーちゃーん?なにニヤニヤしてるの?そういうのマジで辞めた方が良いと小町は思うのです」
「……うっせ」
この前の事を思い出してたら、調度良く居間に入って来た小町にガチトーンで文句を言われた。……いや、今のは文句と言うよりもガチの忠告っぽくてなんも言い返せなかったけど……
「あ、そうだ。そんな事よりもはい、これお兄ちゃんの」
「んん?なんだこれ」
小町から渡されたのは箱、中に何が入っているのか検討もつかない。
「今日の事お母さんに言ったら浴衣のしまってある場所教えてくれたの。小町のがコレで、今渡したのがお兄ちゃんの」
小町も俺に渡した箱と、同じ様な箱を手に掲げて説明する。
「俺聞いてないないんだが?」
「小町だってさっき電話掛かってきて知ったんだもん。お兄ちゃんが知るわけないじゃん」
母ちゃんぇ……そういうとこだぞ……
「俺、着付けとか出来ねぇぞ……」
「ふっふっふっ……もちろん小町も出来ないよ?」
じゃあコレ出してきた意味ねぇじゃん……
「どうすんだよ……」
「お兄ちゃん、小町は出来る子だよ?勿論対策は考えてあるに決まってるじゃーん」
「じゃあ早く教えて欲しいじゃーん」
「まったく……お兄ちゃんは欲しがりさんだなぁ」
「うぜぇ……」
小町がやれやれとでも言うように首をすくめ、廊下に続く扉の前に立った。
「はい!という訳で満を持しての登場!着付けは任せて!お義姉ちゃんです!」
バーン!と勢い良く開いた扉の向こうには……
「ふふっ♪こんにちは、八幡君」
浴衣を着た、れいかがスタンバって居たのだった……
「………………」
「ん?お兄ちゃーん?反応が無いとつまんないよ?」
「……すまん、一瞬見惚れてた」
『まぁ♪れいか!聞きました?」
「ええ、やはり水着の時にも思いましたが、こうも真っ直ぐ褒められると、少し照れてしまいますね///」
れいかの浴衣はシンプルながらもれいか本来の美しさを際立たせていると言えば良いのだろうか。髪留めも、片側は前に俺が送った雪の結晶の髪留め使っていてくれているが、もう片方は何時もとは少し違う羽をモチーフにした髪留めを付けて印象が少し、華やかになっている様に感じる。
「お兄ちゃんがこんなに自然に女性を褒められるなんて……小町、少しお兄ちゃんが遠く感じちゃうな」
おい……
「んっんっ!はい!改めて、小町たちの着付けを手伝ってくれる為に少し早く来てくれたお義姉ちゃんです!」
ジロっと目を向ければ小町は慌てて目を逸らし何事も無かったかのように続けた。
「小町さんから着物の着付けを手伝って欲しいと頼まれまして、今日はお二人の着付けを手伝わせていただきますね」
「その、なんかすまんな。小町が無理を言っちまったみたいで……
「いえいえ、私達も八幡君と少しでも一緒に居たいですから無理だなんてしていませんよ?」
「そうか……ありがとうな。じゃあ、よろしく頼む」
「はい♪」
「うっわ……マジでゲロ甘ぁ……あ、お義姉ちゃん!小町ちょっとコーヒー作るから先にお兄ちゃんの方の着付けをよろしくお願いします!」
小町はそう言うとタッタッタッと小走りでキッチンの方へ行ってしまった。
れいかと連だって自室に入る。特に隠すような物もないし、何度か入れた事もあるので問題は無い。
『すぅー……八幡君の匂いがします♪」
「お、おい……嗅ぐにしてももう少し隠してくれよ……」
まさか部屋に入って速攻で匂いを嗅がれる事になるとは思わなかった。……臭くないよな?
「そうですよ、きょうか。あまりはしたない真似はよして下さいね?」
『はーい♪」
「もう……ふう、気を取り直して着付けてしまいましょう。あまり時間を掛けて遅れてしまっては皆さんに迷惑をかけてしまいますからね」
「ああそうだな、じゃあよろしく頼む」
「はい、それでは……まず、服を脱いで下さい♪」
「へ?」
「一般的に着物や甚平の下は素肌が基本ですよ」
『勿論下着は付けていますけど……確かめてみますか?」
「〜〜っ///だっ、大丈夫だ!今脱ぐ!」
「ふふっ♪」
急いで上着を脱ぎズボンを下ろし、下着姿になる。
大丈夫だ、この前水着になった時と布面積は変わらない……落ち着け……
『ふふっ、八幡君。その肌の色、だいぶ日に焼けたみたいですね」
「ええ、こうやって見るとただ腕や首元で見るよりもよく分かりますね」
そう言いながら、れいかは俺の胸に頬を寄せ上目遣いで見上げてくる。
あー///あー///わぁぁぁ///
「はい、終わりしたよ」
「はっ?!」
一体どうなったんだ?!れいかが胸元に
『八幡君、とってもお似合いですよ!すっごくかっこいいです!」
「ええ、流石は御霊お義母様ですね」
「お、おう、ありがとうな///」
あんま覚えて無いが無事?着付けは終わったみたいだな!
「ふふっ、では私は小町さんの方の着付けに行きますので、もう少し待っていてくださいね」
「あ、ああ、小町の事もよろしく頼む」
「はい♪」
れいかは眩しい笑顔を浮かべて扉を閉める。
「……………すんっすんっ」
……ちょっと甘い匂いがする気がする……
「おにーちゃーん!どう?どう?」
「おおー、世界一可愛いぞー」
居間で適当なテレビを見ながら待っていると扉をバーン!と開け放ち小町が突入して来た。
「えー、絶対適当じゃん……」
「冗談だよ、マジで可愛いぞ。」
「えへへ……ありがと、知ってる!」
「そうかい」
小町の後かられいかも居間に入って来る。
「ふふっ、仲が良いんですね」
「まぁ、小町が可愛いのは事実だし、な?」
「まあね、よぉし!それじゃ時間も時間だし皆さんとの待ち合わせ場所に行きましょう!」
待ち合わせ場所の商店街のアーチの下に三人でやって来ると、既にみゆき、あかね、なおの元気娘たちは一足早く集合していた。
「皆さん、お待たせしました」
「すまんな、待たせたか?」
「みなさーん!お久しぶりです!」
みんな、俺たちと同じ様に普段着とは違い、浴衣に身を包んでいる。
「わー!れいかちゃんに八幡くん!それに小町ちゃんも!」
「ほぉ流石れいか、浴衣がよう似合うなぁ」
「そんな事よりも二人で腕組んでる!腕組んでるよ!!」
「あー……はいはい、なお、興奮し過ぎや……」
なおが騒いでいるのが聞こえる。
そう、此処に来るまでの道中、いつの間にかれいかと腕が絡んで来ていたのだ。勿論俺からでは無い、そんな度胸も甲斐性も無い、ないったら無い。
「小町クル!」
「わっ!キャンディも久しぶりー!」
キャンディも浴衣姿だ。どうやったのかは分からないがあのサイズの浴衣を用意したようだ……デコルかな?
「みゆきちゃーん!みんなお待たせ!あれ?もしかしてわたしが最後?」
やよいもやって来た様だ。これで全員集合だな。
「あ、すみません。実はもう一人、まだ来てない人が居るんです」
「ん?これで全員じゃないのか?」
『ええ、サプライズゲストって言うんですよね」
「ウチらは聞いてるで!いやぁ久しぶりやなぁ」
「本当は一人だけじゃなくてもっと来れる筈だったんだよね?」
「うん、予定が入っちゃったんだって」
おう、マジか……サプライズされてんの俺だけかよ……
「小町も知ってるのか?」
「んーん、小町も今初めて聞いたよ?でもお兄ちゃんにサプライズって聞いただけで小町すっごく楽しみになってきた!」
「……そうけ」
ダメだ、あの爛々と目を輝やかせてる小町は宛にならねぇ……
「あっ!来た!」
「おん?」
みゆきの声に視線の先に振り返ると……
「あら、遅れちゃったかしら?みんな久しぶり、比企谷くんも……ね」
「せ、せつな……さん?」
浴衣姿のせつなさんが立って居たのだった。
れかちゃんド〇ケベかよ
はいっ!という訳でいつか出そうと思ってたせつなさん復刻です!夏休みの何処かで出そうとは思ってたんですがアカンベェの扱いが一番雑だったお祭り回に決定しました!
次回はせつなさん込でワチャワチャしてもらいましょう!
それでは次回もお楽しみに!