俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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久しぶりのせっちゃん!いっぱい喋らせたい!


(2)

 

 久しぶりに見たせつなさんは黒地に紫色の蝶が描かれた綺麗な浴衣に身を包んでいた。

 

「あ、その……お久しぶりで「せつなさん?!」す?」

 

 なんで小町が一番驚いてんだよ……

 

「え、ええ……そうだけど。この子は?」

 

「はっ?!すいません、申し遅れました。小町は比企谷小町って言います!以前兄がお世話になったみたいで、ずっと会ってみたいと思ってたんです!」

 

 喋るの早いし圧が凄い……

 

「比企谷、兄……ああ、貴女が比企谷くんの言っていた妹さんね。わたしも会いたかったわ」

 

「わぁ!そう言っていただけて小町感激です!それでそれでってぐえっ……」

 

「ほい、そこまでなー」

 

 小町の首根っこを引っ張って引き寄せる。

 

「せつなさんもすいません。妹がいきなりがっついちゃって……」

 

「ええ、大丈夫よ。それより、可愛い妹さんね」

 

「まあ、生意気ですけどね」

 

「はあ?お兄ちゃんがそれ言う?小町が言わないと家の事とか全然しないじゃん。それで将来は専業主婦になるなんて言ってたんだからお笑い草だよ」

 

「ばっか、それ外で言うんじゃねーよ。それに……最近は考え直してるし……」

 

「ほーん……」

 

「ほーんじゃねーよ。ほら、お前が暴走したからみんな待ってんぞ」

 

「あっ!すみません皆さん!」

 

「気にしないで!小町ちゃんが元気だとわたし達も嬉しいよ!」

 

「みゆきさーん!」

 

「小町ちゃーん!」

 

 ……………

 

「うし、ほっといて行きますか」

 

「せやな」

 

「え、大丈夫なの?」

 

「大丈夫ですよ。直ぐに着いて来ますから……それよりも今日はよろしくお願いしますね」

 

「そう?ならいいわ。こちらこそよろしくね。わたしもれいかに会えるのを楽しみにしてたの」

 

『私の事も忘れてませんよね?」

 

「勿論、きょうかに会うのも楽しみにしていたわ」

 

『ふふーん」

 

「ふふっ♪」

 

 きょうかの機嫌めっちゃ良いな……ふふーんだって、ふふーん……ヤバい可愛い過ぎだろ……

 

 

「あっ!待ってよー!!」

 

 ほら来た。

 

 それにしてもれいかとせつな、綺麗な二人が並ぶとめっちゃ目立つな。さっきからすれ違った男共が結構な頻度で振り返ってるし、彼女持ちも見とれて彼女から蹴り食らって奴もいるしな……ご愁傷様(ざまぁ)だぜ。

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

「……って感じで……どう?」

 

「むぅ……でもせつなさんですし……」

 

「ねっお願い」

 

『はぁ……こんな事を許すのは貴女だけですからね?」

 

「本当?ありがとう♪」

 

 りんご飴やチョコバナナ、わたあめ等軽く食べられる屋台をみんなで冷やかしながら歩いていると、仲良く手を繋いで歩いていたせつなとれいか達の声がうっすらと聞こえて来た。

 

「楽しそうで良かった」

 

 呟いたところでバッと二人が振り向いた。

 

 ポロッと漏れた独り言だったのだが、どうやら二人の元へ届いてしまったらしい。

 

「ふふっ、八幡君は楽しくないのですか?」

 

「比企谷くんも楽しまなきゃね?ほら、こっちに」

 

『私達と一緒に、楽しみましょうね♪」

 

 二人は示し合わせたかのように片一方ずつ腕を取ると、そのまま腕を絡ませてくる。

 

「なっ///二人とも?!」

 

 両腕に伝わる柔らかな感触は布を一枚隔てた程度では全く損なわれずに襲って来る。……って両腕?

 

「……っ!まさか、せつなも?」

 

 咄嗟にせつなの顔を見ると、その綺麗な口元がそっと吊り上がる。

 

「れいかから聞いたわ。浴衣の下には肌着はつけないのでしょう」

 

「〜〜っ///」

 

「さっきから八幡君、あまり楽しそうにしてませんでしたから」

 

『こうすれば喜んで貰えるって、せつなが言ってました。どうです?嬉しいでしょう♪」

 

 両腕から伝わる暴力的なまでの柔らかさに、下腹部が自己主張を始めるのを感じる。サッと一瞬視線を向けるがゆったりとした甚平のお陰で殆ど目立ってはいないようだ。

 

 だがそれだけでは安心する事は出来ない。一瞬でも触れられてしまえば気付かれるだけならまだしも、きょうかだったらそのままさすってこないとも限らない!

 

 なにか手はないかと視線を彷徨わせるとキラッキラに目を輝かせるアホの子と目が合ってしまった。訂正、小町と目が合った。

 

「やばー!両手に花じゃんお兄ちゃん!おほー!写真撮ってお母さんに送らないと!」

 

 見なかったことにして!そこからゆっくりと視線をずらすと小町と同じくキラッキラな目に怪しい呼吸のなおが小町と同じ様にこちらに携帯を向けおり、更に隣ではにっこにこのみゆきとキャンディがわたあめにかぶりついている。そして最後に疲れた顔のあかねとやよいがこちらに手を合わせていた。……おい、最後の、諦めんなよ……

 

 うん、なんか最後ので萎えてくれた……

 

「八幡君?」

 

「比企谷くん?」

 

「あ、いや、なんでもない。ありがとうな。さぁ他の屋台も回ろうぜ」

 

『うん』

 

 ドン!ドッドッドッ!

 

「お?なんだ」

 

 いざ、移動しようとすると急に何処からか大きな音が響いて来た。

 

「これは……あ、あそこの(やぐら)の上ですね」

 

 れいかの指差す先、その櫓の上には上半身裸の男達が居り、大太鼓を叩いていた。

 

「あっ!お父ちゃんだ!」

 

「ホンマ?!あれなおのおとんなん?」

 

「うん!」

 

「すっごーい!なおちゃんお父さんかっこいいね!」

 

「ほんと、なおのお父さんは凄いのね」

 

「そういえばもうそんな時間だったんですね……この時間から櫓の下で太鼓と他の和楽器に合わせた盆踊りがあるんです」

 

『へぇー』

 

「締めの花火の前では一番盛り上がるのが盆踊りなんです」

 

 ザワザワ!

 

「お、おお?」

 

「きゃっ!」

 

「なに?急に人が……」

 

 太鼓の音が合図だったのか、急に押し寄せてきた人混みに飲み込まれる。

 

「わわわっ?!」

 

「みゆき!こっちや!」

 

「ひゃ?!」

 

「やよいちゃん!あ、小町ちゃんも!」

 

「ひー凄い人、あっ……お兄ちゃん達ー花火の時には合流しよーねー」

 

 俺は両脇に居た二人を抱きしめ、離れ離れにならないように必死で他のみんなとはどんどん引き離されてしまう。

 

 最後に見えたのはこちらの様子に気付いた小町のにやけ面とムカつくくらい脳天気な合流の約束だった。

 

 

 

 

 

「……やっと、人混みから出られた」

 

『あんなに人が集まっているのに、まだそこに行こうとするなんて変わってる人が多いんですね」

 

「きょうか、盆踊りを見に来ている人達も沢山いますからしょうがないんですよ」

 

「わたしはあそこまでの人混みは少し苦手かも」

 

 流れてくる人の波に逆らって、漸く人混みから抜け出せた時には俺達は固まっていた三人だけになっていた。

 

 小町がなおとやよい一緒に居たのは見えたがみゆきとあかねは一緒に集まれたのか?

 

 さっきから電話を掛けているが周りの音で気付いて居ないのか一向に出る気配がない。

 

「皆さん、出ませんね」

 

「この人だもの、なまじ通じたとしても集まれるかどうか……」

 

「やっぱ花火の時間までは無理か」

 

 今日の夜祭のメインイベントは締めの花火だ。そのため花火を見る場所については前もって話し合って決めていた。そのため花火の時間になれば合流するのは難しくないのだ。実際小町もそのつもりで居たからあんなに気楽な顔をしていたのだろう。

 

「はぁ……しょうがねぇ。俺達だけだが少し見て回るか?」

 

「そう…ですね。もしかしたら途中で合流出来るかもしれませんし」

 

「二人がそう言うのならわたしは従うわ。それに、せっかくお祭りに来たのに何もしないで待ってるだけなんて寂しいもの」

 

『そうですね!今は私達で楽しみましょう!あ、私あそこの魚が泳いでいるところを見てみたいです!」

 

「ふふっ、あそこは金魚すくいと言うんですよ……いいですか?」

 

「ああ、じゃあ先ずはあそこから行ってみるか」

 

「ええ、わかったわ」

 

 きょうかの意見で、先ずは金魚すくいに決まった。

 

『あっ、手……手が離れてますよ!忘れないで下さい!」

 

「ああ、そうだったわね」

 

「なっ、まだ続いてたのな///」

 

 サッと両脇から腕が伸びて来て絡まる。

 

 俺はただ引かれるがままについて行くのだった。

 

 

 

 

 




分断は基本。という訳で次回は三人(四人)でお店を回って遊んで貰います!
せっちゃんへの対抗意識と仲良くしたい気持ちのダブルパンチで何時もよりイチャイチャさせられたらいいなぁ!

という訳で次回もお楽しみに!
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