私は布団の中で書いているといつの間にか寝入って朝になっている事が結構あります。
『ほわぁぁ……」
きょうかは金魚すくいの水槽の
「きょうか、可愛らしいわね」
「まぁ、まだまだ知識にしても子供みたいなもんだからな」
きょうかはよく、れいかとこんな本を読んだと楽しそうに話してくれる。ただ、例え色々学んだとしても、まだそれは日常生活に必要な事が殆どで他の事についてはまだまだ知らない事が沢山ある。
だからか、自分の知らないものを目にするとれいかに訊ねるらしい。……らしい、と言うのもこれはれいかに聞いたからなんだがな。
「ふふっ、なんだかわたしにもあの子の気持ち、少しだけどわかる気がするわ。わたしも、初めの頃は知らない事ばかりだったから」
せつなさんはなんだか昔を懐かしむ様な目をしてきょうかを見ている。
そうか、せつなさんも新しい
「すみません、取り敢えず三人分お願い」
「あいよ!ホイ三つだ。ポイだけにな!ガハハッ!」
「………あ、ありがとうございます」
どうしておっさんてこう……
「せつなさん」
「ありがとう」
「おーいきょうか、お前の分だぞ」
『わぁっ!ありがとうございます!これでお魚を獲るんですね!」
ポイを渡した途端に思いっきり振りかぶるきょうかの腕を慌てて抑える。……熊かな?
「ストーップ!そんなに勢い良くすくおうとしたらポイが破けちまう。一回俺とせつなさんのを見てくれるか」
『あっ、ごめんなさい。つい興奮しちゃって……分かりました。しっかりと二人の勇姿を目に焼き付けますね!」
「……あの、わたしそんなに自信ないんだけど」
「え……?」
『…………』
一瞬の間にせつなさんと視線のやり取りを交わす。…………………やっべ全然伝わんねぇや
「じゃあ、俺から行きます……」
『八幡君、頑張ってください!」
「比企谷くん、頑張って」
確かできるだけ金魚の尾びれがポイの外に出る様に救うんだよな……
「そーっと……今だ……!」
水面に近寄って来ていた金魚の頭に狙いを定めてポイを沈め、引き揚げる!
「……あれ?」
……が勢い良く引き揚げすぎだのか水から上がったのは紙の切れたポイの枠だけ……金魚は驚いたのか去って行き、切れた紙はポイの枠からだらしなく垂れ下がっていた。
『……………』
「ガハハッ!あんちゃん可愛い女の子の扱いは上手くても金魚の扱いは苦手らしいな!ほれ、一匹はサービスだ!後の嬢ちゃん達が救ったのと一緒にするかい?」
「……お願いします」
女子の扱いが上手いわけじゃねーわ……
「ふふっ、やっぱり比企谷くんも苦手だったのね。でも貴方のを見てたらもう少しは上手くいく気がしてきたわ」
「……賭けます?」
ちょっとだけムッとしたので言って見たら、せつなさんは楽しそうに乗ってきた。
「ええ♪もしも一匹もとれなかったらイイ事してあげる」
「え……?」
『せつなも頑張ってくださいね」
「ええ、ありがとう」
いい事って……何?
閑話休題
せつなさんはポイを手に金魚に狙いを定める。
「いくわ」
誰にともなくそう言うと、ポイをスっと水中に差し込むとそのまま流れる様に金魚をすくい上げ、受けの水の入ったカップへと移した。
「……うま」
『凄いですせつな!私もスって!スってやってみたいです!」
「ふふっ、きっと最初のお手本が良かったのね♪」
ハッハッハッなかなか言いおる。
「これ俺煽られてんの?」
「ええ、もっと乱暴な……って言い方は変だけれど、なんだか比企谷くんと距離を感じるわ。だからもっと、普通に接してちょうだい」
「……わかり「わかった」……わかった。その努力する……せつな」
「〜〜っ!ええ!お願いね八幡!」
満面の笑みと言うのだろうか。こんなにも嬉しそうにしてるれるのなら、少しばかり恥ずかしいが呼び捨てにしてよかったのだと思う。
『あっ?!あー!せつなズルですよ!また八幡君を誘惑して!」
「ふふっ、ごめんなさいきょうか。でもこれくらいは許してよ。今日久しぶりにみんなにあったと思ったら、いつの間にかみんなが名前を呼びあってるんだもの……妬けちゃうわ」
確かに……名前で呼び合う様になったのは最近だもんな……それでせつなは疎外感を感じちゃってたのか……
『あ、あー……やっぱり許します。じゃあこれ見て下さい!二匹もとれましたよ!」
あっ、きょうかにも負けた……
「ふふっ、おめでとう。あ、わたしの使ったので良ければもう一回する?」
『いいんですか!ありがとうございますせつな!」
きょうかはせつなから受けとったポイを構えて早速水槽に張り付いている。
「きょうか……やっぱり可愛い」
そこは全く同意ですわ。
『あっ……今度はダメでした」
「……では最後に私も腕を披露しましょう。八幡君、せつな、よく見ていてくださいね」
急に目が厳しくなったきょうか……もといれいか。あっ腕まくってる……超本気じゃん。
「……れいかって金魚すくいが得意なの?」
「いや、見た事無い。そもそもれいかと祭りに来たのが今日が初めてだし……」
改めて実感したけど俺とれいかって付き合ってからまだそんなに経ってなかったんだよな……色々濃密過ぎでかなり長く感じてたわ……
「……行きます!」
思考に沈みかけたのを引き揚げたのはれいかの鋭い声だった。
視線をれいかに戻すとがポイを水面に入れる瞬間だった。
「……はっ?」
一掬いで金魚が二匹、宙を舞い受け側の容器の中へと着水した。
「まだです!」
れいかがポイを振るう度に一匹、二匹と跳ね上げられ、容器の中へ着水していく。
「凄過ぎだろ……」
『おおおお!!』
れいかの凄技に惹かれてか、既に俺達の後ろには
「本当に凄いわね……」
もう本当にね。……屋台のおっさんなんか凄い顔してるし……あっ、目から雫が流れた。
「……完璧です」
『おおおおおおおお!!』
結果、れいかは水槽の中の金魚を一匹残らず掬いきってしまった。水槽の中には金魚の代わりに大量の金魚の入った容器が沢山浮かんでいる。
おっさんも途中から吹っ切れたのかれいかを応援しだしていた。
「お爺様直伝の技です……どうでしたか?」
「やばかったな……」
「もう圧巻だったわ」
「ふふっ、そう言われると悪い気はしませんね」
俺達の和やかな雰囲気の中……
「あ、その〜、嬢ちゃん?」
恐る恐るとでもいうように屋台のおっさんが話しかけてきた。
「その〜金魚の事なんだが……」
まぁ、そうだわな。全部掬われちゃったんだもん……
「ああ、勿論お返ししますよ。私達で全員分で四匹いただければ構いません」
「おお!恩に着るぜ嬢ちゃん!正直まだ祭りが始まったばっかだってのに店を閉めなきゃいけねぇかとひやひやしてたぜ」
「いえ、私も楽しく遊ばせていただきました」
「かーっ!こんな良い子そうそう居るもんじゃねぇ!あんちゃん、大切にするんだぞ!あ、あとお礼って訳でもねぇがツマミにしようと思って買っといたたこ焼きと焼きそばだ。持ってって仲良く分けて食いな」
いいおっさんなんだけど、ちょくちょく絡んでくるな……
「まぁ、ありがとうございます。いただきますね」
「ありがとうございます」
「いただきます」
「こっちこそありがとうございますだ!またな!仲良くやんな!」
少し歩いた所にあった休憩所で先程おっさんに貰ったたこ焼きと焼きそばをみんなで分け合いながら一休み。ただ、れいかやきょうかだけでなくせつなまで「あーん」をしてきた時には慌ててしまった。
『れいかれいか!さっきの!シュバババッっていうの私もやりたいです!」
「ふふっ、帰ったらお爺様に言ってみましょう。きっとお知り合いの練習場に連れて行ってくれると思いますよ」
『やりました!」
「れいかもそこで練習したのか?」
「ええ、小さい頃にお爺様が連れて行ってくれて」
「へぇ凄いわね」
「それ程でも無いですよ。きょうか?次は何処に行きたいですか?」
『ええっと次は……………」
その後はヨーヨー釣りをしたり、わたあめを食べたり、射的をしたりして遊んだ。最後に行った射的では、俺達が離れた直ぐ後に大きな鐘の音がしてグアム旅行のチケットを取った人がいると聞こえてきた。どうせ倒れない様に細工がしてあると思って狙わなかったが狙った方が良かったかもしれない。
「そろそろ時間ですね。もう少しで合流場所ですけど皆さんもう着いているでしょうか?」
「どうかしら、わたし達も少し余裕を持って行動してたから先に着くかもしれないわよ?」
「まぁ合流出来るんならどっちでもって感じだな」
「小町さんが心配ですか?」
「そこそこってぐらいだな」
実際小町は要領が良いし、あまり心配はしていない。
「おにーちゃーん!」
「みんなぁぁ!!」
「あら、噂をすればってやつね」
「影が差す。まさにその通りですね」
後ろから小町やみゆきのが声が聞こえてきた。
「おー、おおおお?!」
振り返ると……
『助けてぇぇえ!!』
『……………………』
『スーパーアカンベェ!!』
飛行機型のスーパーアカンベェに追いかけられているみんなが走って来ていたのだった…………
れかちゃん金魚すくいがめちゃくちゃ得意ですね。興奮して若干性格の変わったれかちゃんも好きです。
そして次回はバトル回ですねアカンベェはもちろん改変です!
それでは次回もお楽しみに!