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グアム旅行からもうすぐ一週間程経つだろうか……
あの後は戸惑うきょうかを落ち着けたり、ホテルのチェックアウトの時間が迫ってきていたり、空港の手荷物検査でれいかのスマイルパクトが引っかかったりで慌ただしく帰路に着いたのだった。母ちゃんには……まだ話していない……と言うよりも話す機会が無い。
きょうかにはお詫びとして深い方のキスをねだられたのは正直ビビった………すごかった///
今日は久しぶりにみゆきから招集がかかったので不思議図書館にみんなが集まる事になっている。
旅行の後にれいか以外と顔を合わせるのはこれが初なのでせつなの事で何を言われるか戦々恐々としている。
今はまだ俺以外誰も来ていないみたいだが実際に会ったら何を言われるだろうか……
「はぁ……」
「……ため息なんてついて……何かあったの?」
「いや、それがな……」
「うんうん……」
先程まで考えていた事を隣に来ていたやよいに話そうとして……
「…………」
「………?」
「うぉっ?!」
「きゃっ?!なに!?」
びっくりしたわ……やよい居たのかよ……
「あっ、すまん誰も居ないと思ってたから……」
「そうだったの?こっちこそ驚かせちゃってごめんね」
「いや、大丈夫だ」
「……そっか。ところでなんでため息ついてたのか聞いても大丈夫?」
「ああ、それな」
改めて先程の事を話してみた。
「そっかぁ……わたしもその事は少し聞いたけど八幡くんは凄いなぁ」
あっ……やっぱ聞いてたのな。情報伝わるの速ぇ……
「……凄いか?」
「凄いよ。れいかちゃんもせつなさんも二人ともすっごく綺麗だし、そんな二人を虜にしちゃうんだから凄くないわけないよね」
まぁ、確かに……
「それにせつなさんは側室?なんだよね?」
「やっぱ印象悪いか?」
「ううん、そんなことないよ。平等な愛なんて不可能でどうしても偏りって出ちゃうと思うの」
「お、おう」
勧善懲悪とか好きそうだしもうちょっと夢想家なのかと思ってたが、結構現実的なのな……
「だからね、きちんと順番を決めて、なおかつそれを女の人が受け入れてる。それって本当に凄いことだと思うんだ」
「やよい……」
まさかやよいの口からそんな言葉が出て来るとは思わなかった。正直めっちゃ嬉しい……
「でも幾ら二人が受け入れてても、八幡君はちゃんと二人のことを愛さないとダメだよ?」
「ああ、勿論だ。絶対三人の事は俺が幸せにする」
やよいに言われて改めて俺は幸せ者なんだと実感した。絶対に幸せにしてみせる!
「さ、三人?……あっ、きょうかちゃんかそんなにはっきり言うなんて……なんだかわたしも照れてきちゃうな……///」
「八幡!よく言うた!最初は女に順番つけるなんてって思っとったけどやよいの話聞いて考えが変わったわ」
「うんうん!それに俺が幸せにする!って言ったの聞いた?そんなの聞いたらアタシらは文句なんて言えないよ」
「………………」
なんか出てきた……
「あっ、二人ともおはよーいつの間に来てたの?」
「さっきやな」
「声は掛けようとしたんだけど真剣そうに話してたからねぇ」
「………まぁいいや。れいかとみゆきはまだなのか?」
「れいかはわからんけど、みゆきはもう来るって電話で言っとったで?……ほら」
タッタッタッ!バンッ!
「みんなおっはよー!」
今日も元気が良いねぇ。
「あっ!八幡くん聞いたよ!せつなさんのこと!おめでとう!」
「お、おう、……ありがとうな」
「うん!」
こいつのこういう所はマジで尊敬する。
「皆さん、おはようございます。……あら、今日は私が最後みたいですね」
『おはよーございまーす」
最後にれいか達がやって来ると皆、口々に挨拶を返していく。
「れいか達が最後って結構珍しいね。何か用事があったの?」
「いえ、せつなと電話をしていたら少々長電話になってしまいまして」
「おお!今話題の!」
この話は俺もつい先日聞いていた。れいかとせつなはあの旅行以降頻繁に……もうほぼ毎日ってレベルで連絡を取り合っているらしい。そこで仲良く歓談……という名の情報交換をしてるいるって……きょうかが口を滑らせてくれた。……その後すぐにれいかに怒られてたが……
「ええ、幸せいっぱいです!」
「おおお!……にやー」
こっち見んな……
「……んっん!それで、みゆきはなんか話があって今日みんなを呼び出したんだろ?」
取り敢えず無難に軌道修正をかける。
「あっ!そうだった!あのね、この前れいかちゃん達は旅行に行ったでしょ?」
「うん!そこで三人のロマンスが……///」
「なおー……アカン、またトリップしてまってる」
「まぁ、ほっといて話を戻そうな」
「あ、うん、それでね。調度明後日からお泊まりでわたしもおばあちゃんの家に帰るんだけど……予定が合えばみんなも一緒にどうかなって……」
みゆきがわかりやすいように壁からカレンダーを持ってきて【おばあちゃんの家】と直接書き込む。
もちろん俺は予定が無…偶々予定が空いてるので参加出来る。
「ええな!うちらももっと夏の思い出を作って楽しむんや」
「うん、その日ならわたしも行けるかな。特に予定は入ってなかった筈だし」
「まぁ旅行の時が特殊だったんだよね。まさかあんなにみんなの予定が被るなんて……あれ、それじゃあやっぱり運命だったのかな///」
なお……情緒不安定過ぎだろ……
「ふふっ、とても楽しくなりそうですね」
「わぁ!それじゃあみんな大丈夫なんだね!やったー!早速おばあちゃんに連絡しないと!」
みゆきは嬉しそうに立ち上がると秘密基地から飛び出して行った。
「……みゆきちゃん、行っちゃったね」
「まぁいつもの事やろ……せや八幡、小町ちゃんはどうするん?」
気怠げに椅子に腰掛けたままみゆきを見送っていたあかねが、ふと気付いたように聞いてきた。
「あー、欠席だな」
「勝手に決めちゃっていいの?」
「あいつなーもう夏休みも半ばだってのに宿題全然やって無かったんだよなぁ」
『あっ……』
俺の言葉にあかね、やよい、なおの三人の表情が固まる。
「お前ら……まさか……」
「あー!うち父ちゃんに手伝い頼まれてるんやったー!」
「あっ、あー!アタシも弟達の面倒見なきゃなんだったー!」
「えっ?えっ?」
『そういえ訳で先帰るわ!じゃあ!』
「えっ?えー!?あ、わ、わたしもー!」
あかねとなおは速攻で、出遅れたやよいも慌てて逃げ出して行く。
「はぁぁ……」
「ふふっ」
「アイツら……夏休み終盤になって泣きついて来るのがもう目に浮かぶぞ……」
「いいじゃないですか。その時になったらキッチリとやっていただけば良いのですし……」
「お、おう。そうだな……」
目が笑ってない……
『……あっ、そう言えば八幡君にせつなから伝言を預かっているんです」
「あっ、そうでしたね。私ったら、つい他の事に夢中になってしまっていました」
「そうなのか。せつなはなんて言ってた?」
「『暫くラビリンスの事で掛かりきりになるからそっちにはなかなか会いに行けないわ』っだそうです」
「………今のせつなの真似か?」
「え、ええ///似てませんでしたか?」
「いや、結構似てた」
「ふふっ、そうですか」
『あっ、私も出来ますよ!『八幡、もっとわたしを見て?』っどうですか!」
それ飛行機の中の罰ゲームでせつながおねだりしたやつじゃん……
「きょうか……後でせつなに怒られますよ?」
『そこは二人が黙っててくれさえすれば……え?黙っててくれます……よね?ねぇ?!」
「どうすっかなぁ?」
「ふふっ、どうしましょうか?」
『二人とも……そんな意地悪しないで下さいよぉー!」
こういう会話は書いてて凄く楽しいです!
八幡くんとれかちゃんに甘えるきょかちゃん。今はエッセンス程度ですがせっちゃんも混じって会話を広げていくととても楽しそうですね!
次回からアニメ部分がスタートです!
と言う訳で次回もお楽しみに!