俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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大大大増量中!
若干キャラ崩壊しちゃってるかも許して

アンケートの結果、二日目の更新は木曜日に決定しました!
まぁ、ストックそんな貯まってないんでまだ先の話ですけどね


(5)

青木と雑談しながら歩いていると目的地のラーメン屋が見えてきた

 

「……青木、見えて来たぞ。彼処のラーメン屋が俺がよく行く店だな」

 

「ラーメン屋ですか!本格的なモノは食べた事が無かったので楽しみです!」

 

 青木も意外と好感触な様で良かった、それに今日頼むのは王道とは少し違うが女子ウケもするので青木も受け入れやすいだろう。

 

「んじゃ入るぞ」

 

「はい!」

 

 人数確認に来たバイトらしき店員に二人と伝えると奥のテーブル席に案内された。

 

 二人で席に着き青木にメニューを渡す。

 

「俺はもう決まってるが青木はどれにする?」

 

「へぇ、どれも美味しそうですね!比企谷君はどれを頼むのですか?」

 

「俺はちょっと王道から外れるが、このトマトつけ麺ってのがマイブームなんだよ、俺トマト嫌いなんだけどな。前に妹と一緒に来た時に無理矢理食わされてな……その時は吐いてやろうかと思ったんだが意外にいけてな」

 

「……まぁ、今でもトマトは嫌いだがここの店のトマトつけ麺だけは食えるんだよ」

 

「妹さんとは仲が良いんですね。コレは益々読み聞かせ会に力が入りますね」

 

「……まっ、程々に頼むよ」

 

「はい!あ、私もトマトつけ麺を頼んでもいいですか?」

 

「おう、好きなの頼んでくれ」

 

「ありがとうございます」

 

 

 

 

 

「比企谷君は結構外食をするんですね」

 

「……それは暗に俺が外出しない様に見えるってことか?」

 

 ふと、思いついたのでつい揶揄ってしまう

 

「え、あっ!違いますよ!決してそんな風に思っている訳では!」

 

「……すまん、冗談だ。そこまで慌てるとは思わなかったわ……」

 

「揶揄ったんですか……もう、比企谷君がそんな冗談を言う人だとは思いませんでした」

 

 頬を膨らませ、青木が怒っていることをアピールしてくる。やばい、超可愛いな……

 

「そもそも冗談を言うほど親しい奴なんて居ないしな」

 

 そう言うと青木は少しポカンとした後に急に笑みを深くし俺の手を取ってくるっ??!

 

「それじゃあ私は冗談を言って貰えるほど比企谷君に親しいと思って貰えているわけですね!嬉しいです!」

 

 ちょっ!マジ青木ボディタッチ多くない?!俺の心臓が持たないんだけど……

 

 固まった俺とは正反対に、青木は両手で包み込むように握った手を、笑みを深くしたままニギニギと握り始めた。

 

「……チャーッス!トマトつけ麺お持ちしましたぁ!」

 

「キャッ?!」

 

 青木が俺の手を握っていた時に丁度ラーメンが出来たようで運んで来たバイトが結構大きめな声で割り入って来る。

 

「あっ///私ったらまたやってしまった様ですね、すいません」

 

 青木は今日、上木さんの所でも似た様な事があったためか、少しだけ照れている様な様子を見せ、手を離した………いや、俺は慣れてないけどな、もう今も心臓バックバクだわ……

 

「ごゆっくりどうぞー……チッ」

 

 つけ麺をテーブルに置いたバイトは営業スマイルでこちらに声を掛けた後、舌打ちをしながら厨房に戻っていく……っておい、聴こえてるから……

 

「私、何か気に触るような事でもしてしまったのでしょうか?」

 

「いや、普通に嫉妬だと思うぞ。逆の立場だったら絶対俺もしてるし、寧ろ去り際だっただけマシじゃないか?」

 

「ふふっ、それだけ周りから仲良く見えるのなら嬉しいですね。……それに、実は前から比企谷君とは仲良くなりたいと思っていたんです」

 

「……前からか?」

 

「ええ、前からです。さぁ、このお話の続きは食事の後に致しましょう。せっかく温かいのに冷めてしまいますよ」

 

「とっ、確かにそうだな……」

 

 青木の話の続きは気になるが、言う事はもっともだ。せっかくの温かいつゆが覚めちまう。

 

「んじゃま、「いただきます」」

 

 はじめに俺が麺をつゆの中にくぐらせ、すする。

 

 それを見て青木も同じ様に、麺をつゆにつけ食べる。

 

「んっ、美味しいですね!ほど良い酸味が良いアクセントになっています。夏場に食べると更に美味しく感じそうですね」

 

「……うん、いつも通り美味いな」

 

 麺をすすりながらチラリと青木を見る。青木は普通に食べているつもりなのかもしれないが食べ方がとても綺麗だった。

 

「……青木は綺麗に食べるな。何か作法とか習ったりしたのか?」

 

 俺がそう聞くと青木は少しキョトンとして……

 

「そうですか?余り意識はしていなかったのですが……お母様の食べ方を真似て食事の仕方を覚えたので、もしかしたらそのせいかもしれませんね」

 

「そういうもんか、子は親を見て育つって言うしな。て事は青木の母ちゃんも食べ方が綺麗なんだな」

 

「ええ、自慢のお母様なんですよ」

 

 そう言う青木の笑顔からは本当に誇らしく思っている事が伝わって来るようだった。

 

 

 

 

 

 

「……ふー、ごっそさん。相変わらず美味かったわ」

 

「ごちそうさまです。本当、美味しかったですね」

 

 結構な量だったと思うのだが青木も完食していた。

 

「……じゃあ、食い終わったしさっきの続き、聞かせてくれないか?」

 

「あら、誤魔化せませんでしたか?」

 

「……流石にそんなすぐには忘れはしねーよ」

 

「そうですね、ですがそんなに何か深い理由があるって訳ではないんですよ?」

 

「……と言うと?」

 

「……比企谷君、入学してからずっと周りから距離を置こうとしてましたよね?」

 

「……まぁ、確かに……」

 

 人と関わるとろくな事ないしな……つか、関わらなくても結構仕事とか押し付けられてるわ……

 

「……その時に思ったんです……逆に、この人と仲良くしたいなって……理由と言えるのはそれくらいですね」

 

「………それだけか?」

 

「いけませんか?」

 

「いや、そんなことは無いが……」

 

「それに、今はこうして一緒に食事を取れるくらいに仲良くなる事が出来ました!」

 

「……さいですか」

 

 何かもっと深い理由があると思ったのだが本当にそれだけのようで、楽しそうに語る青木の笑顔に拍子抜けしてしまうのだった……

 

 

 

 食べ終わったのに何時までも居座るのはちょっとなって事で会計をして店を出てきた。……支払い方法?個々人でだよ……

 

「比企谷君、時間はまだ大丈夫ですか?」

 

「……そうだな、別に問題はないな。何処にでも付き合うぞ」

 

「ありがとうございます!では前から行ってみたかった雑貨屋さんがあるのでそこに行って見ましょう!」

 

 

 

 

 

 青木と目的地の雑貨屋に向けて歩いているが、朝と比べて少しは周りからの視線にも慣れてきたが、やはりこうして青木と並んで歩くのは慣れないな……

 

「比企谷君、比企谷君はゲームセンターにはよく行くのですか?」

 

「……?たまになら行くが……急にどうした?」

 

「いえ……たまたまあのゲームセンターが目についたものですから」

 

 青木の指差す先を見ると俺もたまに利用するゲーセンがあった。青木は結構気になっているようで足を止めて見ている。

 

「入ってみるか?」

 

「良いんですか!あ、でも時間が……」

 

「時間ならさっきも言ったように気にするな。今日は青木と買い物に行く予定だったからな、一日空けてある」

 

 寧ろ今日の主目的の買い物が午前中に終わった事に驚きだわ。一日掛かると思ってたしな……

 

「ありがとうございます。……では、少しだけ」

 

 

 

 

 ピコーンピコーン バキューン チャラララー

 

「……凄まじい音ですね」

 

「青木はこういう所は初めてか?」

 

「はい、デパート等の小規模な所には小さい頃来た事があるのですが……」

 

 初めてならあの反応も頷ける。まぁ、うるせぇしな……

 

「まぁ、少しだけ我慢してくれ……そうすれば耳が慣れてくる」

 

「わかりました。さっき比企谷君はたまに来られると言っていましたけど、どのようなゲームをするのですか?」

 

「……俺はシューティングとか音ゲーとかだな……ほらっ、そこのモンスターが描いてあるやつと、あそこの太鼓のやつとかだな」

 

「へぇ、面白そうですね!比企谷君、一緒にやりましょう!」

 

「……あいよ」

 

 

 ……一緒にやった結果

青木の飲み込みが早すぎる……もう最後の方とか、俺が青木の足を引っ張ってた感があるわ……

 

「ふー、初めてでしたが楽しかったですね!」

 

「……そうだな、つか俺は青木の飲み込みの早さに驚いたがな」

 

「そうですか?ありがとうございます」

 

 その後もシューティングや音ゲーだけでなく他にも色んなゲームをやったが、基本的に体を動かす様なゲームでは軒並み高スコアを叩き出していた。

 

「……結構やったな」

 

「そうですね……あっ、あれで最後にしましょう!」

 

「おう……げっ」

 

 青木が向かう先にあったのは、女子が大好きプリクラでした……

 

「前から一度やってみたかったんです!今日の記念に一緒に撮りましょう!」

 

「……ああ、そうだな」

 

 期待に満ちた青木の眼差しに俺は、断るという選択肢を選べるはずもなかった……

 

 

 

「楽しみですね、今日は比企谷君と沢山の初めてを経験しています!」

 

 ちょ、言い方?!それに狭い個室の中だからか、青木の方から甘い香りが……

 

「比企谷君?どうかしましたか?」

 

「いや、なんでもない。じゃあお金入れるぞ」

 

「あ、待ってください!」

 

 始めようとしたら急に青木が止めてきた。

 

「どうした?」

 

「二人きりなんですからコレはいらないですよね」

 

 そう言い、俺の眼鏡を外してくる。

 

「やっぱり私はそのままの比企谷君の方が好きですよ」

 

 ……やっばい、すげー顔が熱くなってきた。

 

「さあ、始めましょう」

 

 青木がお金を投入するとモニターが切り替わる

 

『人数を選んでね』

 

「二人ですね」

 

 青木は指示に従いボタンを押していく。

 

『モードを選んでね』

 

【仲良し】 【恋人】 【友人】 【知人】

 

「……急に多いな」

 

「仲良しですね」

 

 友人選ぶかと思ったんだが……

 

『ポーズセットを選んでね』

 

【親友】 【もっと仲良し】 【おふざけ】 【今時】

 

「もっと仲良くなりたいですし、これですね」

 

 青木は迷うことなく【もっと仲良し】を押した……なんかこうゆうのって過剰なポーズ取らされる気がするんだよな……

 

『それじゃあ、はじめるよ!』

 

「お願いします」

 

「……いや、相手は機械だし返事はしなくてもいいと思うぞ」

 

「あ、そうでしたね」

 

『まずは二人で手を握って両脇でピース!』

 

 初っ端から飛ばしてんなぁ!マジか…… ギュ

 

「ほらっ、比企谷君もピースして下さい」

 

 真面目か?!……ああ、青木は真面目だったな……

 

『さん!にー!』

 

「急いで下さい!」

 

「お、おう」

 

『いち!』 パシャ

 

『次はくっついて二人の手で真ん中にハートマークを作ってね』

 

 画面に一瞬見本のポーズが映される……え?俺がこれやるの?

 

『さん!』

 

「早く比企谷君も手を出して下さい!」

 

 隣には、俺に近づき準備万端の青木が……

 

『にー!』

 

「……はい」

 

『いち!』 パシャ

 

 ……もー心臓がね……やばい

 

『次はお互いのほっぺを突っついてみよう!』

 

「さぁ!比企谷君!」

 

 隣では頬を突き出し人差し指を構える青木……

 

 ……諦めた俺は無言で頬を青木に差し出した。

 

『さん!にー!いち!』 パシャ

 

『ラスト!カメラに近づいてお互いのほっぺをくっつけちゃおう!』

 

 ……は?コレは流石に青木も……あ、顔赤くしてこっち見た。そうだよな流石に青木でもコレはキツイよな……

 

 ……ちょ、まて!今頷いただろ?!

 

『さん!にー!』

 

 グイッ「まっ!」

 

 青木に胸ぐらを掴まれ一気に引き寄せられる……力強いなっ?!

 

『いち!』 プニ パシャ

 

 ……あ、青木のほっぺすごいぷにってした……

 

『これで撮影は終わりだよ外に出て落書きをしてね!』

 

「はー、凄く恥ずかしかったですけど何とか上手く出来ましたね!次は落書き?と言うのをするみたいですね!」

 

 放心気味の俺とは違い、青木は楽しそうに落書きブースに入っていく……この差よ。

 

 まだ心臓はバクバクいっているが、人が来たらアレなので俺も落書きブースに入る。

 

 中では、青木がペンを握ってうんうんと、唸っていた。

 

「……どうかしたか?」

 

「あ、落書きと言いましても日付や名前以外に何を書けばいいのか迷ってしまって……」

 

「俺も初めてだし、よくは知らんが好きな言葉とか今日した事とかで良いんじゃねーの?」

 

「それもそうですね!では……」

 

 そして青木がすぐさま書いたのが……  ……え、なんで?

 

 

「……比企谷君、目が変になってしまっているのを戻したいのですが……」

 

 変って言って差し上げるなよ……

 

「あ!治りました!せっかく眼鏡を取ったのが台無しになるところでした。あ、眼鏡をお返ししますね!」

 

 ……やばい、恥ずい、青木の方を見れない……

 

「……ああ、サンキュ」

 

 今日だけで何回こんなに意識させられんだよ……

 

「……恥ずかしかったですけどコレもいい思い出になりそうですね!」

 

 今青木が書いているのは最後に撮ったあの写真のようだ。

 

「あ、もう時間みたいですね」

 

 どうやら落書きの時間が終わったようだ。出てきた二枚の内、一枚を俺に渡してくる。

 

「どうぞ、比企谷君の分です」

 

「……ああ、どんな出来かなっと……?!」

 

 ……人に見せたらとんでもない誤解を生みそうなのが一つ紛れていた。具体的に言うとラストの一枚……絵面だけでもヤバいのに特に落書きがヒドイ……【今日は二人で初めて!】…………だから言い方ぁぁぁ!!

 

「綺麗に取れていますね!こう、客観的に見ると照れてしまいますけど、こうして形に残ると嬉しいですね」

 

 青木は自分の分を胸に抱いて嬉しそうにしている。

 

 流石にそんな姿を見て、何か言える訳もなく、俺はそっとシールが折れないように鞄に仕舞った。

 

 

 

 

「では、寄り道をしてしまいましたけど、雑貨屋さんに向かいましょうか!」

 

 ゲーセンに寄ってから、青木のテンションが若干高い気がする。

 

 

 

「あ、ここみたいですね」

 

 横目で青木の事を見てたら、いつの間にか着いたようだ……なんかこういうと変態チックに聞こえるな。別にずっと見てた訳じゃないから大丈夫……なはず。

 

 看板にはただ【比翼の鳥】とだけ書かれている。

 

 カランコロンッ 「はーい、いらっしゃい。好きに見てってくんな」

 

 カウンターに居る女性は、何かの作業中だったようで此方に一声を掛けるとまた手元の作業に戻った。

 

「……ではまた少し別れて見て回りましょうか」

 

 そう言った青木はそそくさと店の奥の方へと向かって行った……買うモノを見られるのが恥ずかしいのか?

 

 まぁ、俺もなんかないか物色中しますかね……

 

 フラフラと適当に店内を見て回る……いや、特に欲しいものって無いんだよな……小物とかあんまし興味ねーし……

 

「お、コレは……」

 

 そんな時にふと、目に止まったのは雪の結晶を模した髪留めだ。チラッと青木を見るとまだかかるようで商品を手に取り比べたりしている。

 

「……すいません、コレ下さい」

 

「……ああ、毎度三千円だよ。ん?へぇ、彼女にかい?」

 

 女性は青木に視線を移し聞いてくる。

 

「……そっすよ。早く会計して下さい」

 

 言われた通り三千円を出し答える

 

「はっ、アンタ良い男だね……二千円にまけてやるよ」

 

 女性は千円札二枚だけを受け取ると、髪留めをラッピングしてまた手元の作業に戻ってしまった。

 

「……ありがとうございます」

 

 お礼を言って青木の所に向かう。

 

「……どうだ?何か見つかったか?」

 

「あ、比企谷君ですか私も今、選び終わったのでお会計をしてきますね、少々お待ち下さい」

 

 

 言われた通り少し商品を見て待って居ると青木は小袋を二つ抱えて戻って来た。

 

「お待たせしました。では帰りましょうか」

 

 

 店を出るともう日が傾き、辺りが紅く染まり始めていた。

 

「……結構な時間になってたんだな」

 

「そうですね、今日は一日お付き合い頂きありがとうございました」

 

「いや、そんなに(かしこ)まらないでくれよ。俺も楽しめたし」

 

「そうですか?それなら良かったです。あ、コレをどうぞ今日一日付き合って頂いたお礼です」

 

 青木は抱えていた二つの小袋の内、一つを渡してきた。

 

「……なんか、すまんな……開けてもいいか?」

 

「ええ、どうぞ」

 

 袋に入っていたのはラッピングされた、雪の結晶の刺繍が施されているハンカチだった。

 

「……おお!有難く使わせて貰うわ。んじゃ俺からも」

 

「……え?」

 

「まぁ、なんて言うか、さっきも言ったように俺も今日は楽しかったしな……そのお礼って事で」

 

 買った袋を青木に差し出すとおずおずと受け取ってくれた。

 

「開けてもいいですか?」

 

「おう」

 

 青木は持っていたモノを一旦鞄にしまい込み、丁寧に袋を開けて中身を取り出す。

 

「……わぁ!コレは髪留めですか、綺麗……」

 

 青木は気に入ってくれた様で、撫でたり、透かしたりしながら眺めている。

 

「……今つけてもいいですか?」

 

「……そりゃ勿論いいが、もう青木の物だしな」

 

「ありがとうございます!」

 

 青木は普段付けている髪留めの片方を外し、そこに雪の結晶の髪留めを着けた。……やっぱ、似合うな。我ながらいいチョイスだったと思う。

 

「……あの///どうですか?」

 

「……ああ、似合ってるぞ本当に///」

 

 そう返すと青木は満面の笑みを浮かべ、俺の手を握ってくる……

 

「さぁ、帰りましょう」

 

 

 

 青木に手を引かれながら帰路に着いている……一体何故こんな事になっちまったんだろうか……しかし、一つだけ今日の買い物を通して、青木についてわかった事がある。

 

 それは青木は一定以上親しくなると、めちゃくちゃボディタッチが激しくなる。その結果がコレだ……

 

 歩いている途中に、家の場所を聞かれた。青木(いわ)く俺の家は、青木の家の帰り道の途中にあるらしい。それが何を意味するかと言うと……

 

「……楽しみですね、比企谷君の妹さん。話には聞いていましたが実際に会うのは初めてですからね」

 

 ……と言う事である。

 

「マジで家に来るのか?」

 

「……何か不都合があるのですか?」

 

 青木の顔が不安そうに歪み、握った手を強く握りしめてくる……

 

「いや、来てもらうのは特に問題は無いし俺としても歓迎する!」

 

 慌ててフォローすると不安そうな顔を綻ばせてくれた。

 

「そうですか…では何か心配な事でも?」

 

「いや、家の妹がな……多分青木見たら発狂する……」

 

「発狂?!」

 

「まぁ、良い意味でな……今日もなんだが、朝に俺と青木の買い物が楽しみだからって四時に起きてきてな……」

 

「それくらいなら大丈夫ですよ。私も同じですし」

 

「………え?」

 

「私も楽しみで今日は四時頃に目が覚めてしまったんですよ。なんだか益々、妹さんと会うのが楽しみになってきましたね!」

 

「……おう、そうなのか、じゃあ楽しみにしててくれ」

 

 ……マジかー、青木もだったよ……いや、嬉しいんだけどさ、なんか複雑なんだよな……

 

 

そうして青木と話しながら橋を渡っている時だった。

 

れいかー!おーい!れいかー!

 

「ん?青木、呼ばれてるぞ?」

 

「あら?ああ!なおの声ですね」

 

 二人で橋の欄干に近付くと河川敷では緑川と星空達そして子供達がサッカーをしていた。……つーか、緑川はよくあの距離で青木ってわかったな……

 

 青木は下のヤツらに手を振っている。

 

「ほらっ、比企谷君も一緒に手を振ってください」

 

「お、おう」

 

 そんな親しく無いし、手を振るのは恥ずいから手を挙げて、軽く挨拶だけはしておいた。

 

「……では、そろそろ行きましょうか」

 

「下に降りなくていいのか?」

 

「ええ、今は比企谷君との時間ですから」

 

 ……またそういう事を言うんだよな///

 

 青木は最後に大きく手を振ると俺の手を引いてまた歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「……着いたな、此処が俺の家だ」

 

「ああ、此処が比企谷君のお家だったのですね……確かに見覚えがあります、良いところですね……」

 

 青木は家の周り、特に庭を見ている。狭い庭だが小さい花壇もあったりする。花が好きな青木はそこが気になったのだろう……

 

「……んじゃ、入りますかね」

 

「……はい、お願いします」

 

 ガチャ「おーい小町ー、帰ったぞー」

 

 ダダダダ「お兄ちゃんお帰り!」

 

「早く青木さんとのおはな……し?……え、まじ……」

 

 早く今日の話が聞きたかったからなのか、駆け寄ってきた小町だが俺から視線が青木に移り、固まった……

 

「小町さん、はじめまして、青木れいかと申します。比企谷君にはお世話になっております」

 

 青木の自己紹介に小町も再起動する。

 

「……あ、え?小町、比企谷小町って言います……その……お義姉(ねえ)ちゃんって呼んでも良いですか!?」

 

 いきなりとばしすぎだろ?!

 

「ええ、喜んで!」

 

「はっ?」

 

「やったぁぁ!小町、青木さんみたいなお義姉(ねえ)ちゃんが欲しかったんです!」

 

「そうなんですか、それなら良かったです」

 

「はい!あ、何時までも玄関に立たせて置く訳にもいかないですね!ささっ、どうぞ上がって下さい!ほら、お兄ちゃんも!」

 

「ありがとうございます。さぁ、比企谷君行きましょう」

 

「……お、おう」

 

 そうして青木に手を引かれ家に上がる。……なんで俺の家なのに俺が一番緊張してるんだよ……

 

 

 

 居間にでは流石に俺が青木を先導し、ソファに二人で腰を落ち着ける。小町は飲み物とお茶請けを取りにキッチンの方へと向かった。

 

「お義姉(ねえ)ちゃんはお茶で大丈夫ですかー?」

 

「ええ大丈夫です、ありがとうございます」

 

「小町ー、俺はマッ缶なー」

 

「はーい」

 

「……比企谷君、マッ缶とは?」

 

「マッ缶は缶のマック○コーヒーの略で……

、甘いコーヒーだな」

 

「コーヒーなのに甘いのですか?」

 

「ああ、原材料名の一番始めに加糖練乳が書かれてるくらいだしな……」

 

「それは、大丈夫なんでしょうか……」

 

「そうなんですよ!お義姉(ねえ)ちゃんからも何か言ってやって下さい、お兄ちゃんってば、人生は苦いからコーヒーくらいは甘くていいとかほざいて、いつもこんな甘いの飲んでるんですよ!」

 

 飲み物とお茶請けをお盆に乗せ、持ってきた小町が文句を言いながら向かいに座る。

 

「そうですね、流石に飲みすぎるのは良くないと思いますし、今度私の家から美味しいお茶っ葉を持ってきますね」

 

「わー!ほんとですか!ほら、お兄ちゃんもお礼言いなよ」

 

「……まあ、ありがとな」

 

「ええ、好きな物を制限するつもりはありませんが、飲み過ぎには気を付けて下さいね」

 

「……わかったよ」

 

 

 

「はい!という訳で!ここからは小町からの質問タイムに移りたいと思います!」

 

 お茶請けのクッキーを齧り、マッ缶を一口飲んだところでいきなり小町がそう言い出した。

 

「黙秘権を行使させてもらう」

 

「比企谷君、いいじゃないですか、小町さんもおかしな事はお聞きにならないでしょうし、そうですよね?」

 

「もちろんです!お義姉(ねえ)ちゃん!」

 

 ……小町、もうお前お義姉(ねえ)ちゃんって言いたいだけだろ……

 

「じゃあ最初の質問です!……敢えて聞かなかったけどなんでずっと手繋いでるの?」

 

 いきなりマジトーンになるなよ……しかもそれについては俺が知りたいわ

 

 「そうですね、今日一日比企谷君と一緒に居て、なんて言うんでしょう凄く落ち着くんですよね。それに比企谷君に触れているとなんだか安心して……手を離すのが惜しくて、そのままここまで来てしまいました」

 

「わー!わー!お兄ちゃん聞いた?!……て言うかお義姉(ねえ)ちゃんをここまで堕とすお兄ちゃんすげー」

 

「待て、人聞きの悪い言い方をするな。つーか俺は悪くない」

 

「……その言い訳もどうかと思うけどね。……でもなんかもう、小町満足しちゃったよ……」

 

 そうして突発的に始まった小町の質問も――たった一問だったが――終わり、そこからは普通の雑談になっていった。まぁ、終始小町のテンションがおかしかったが……

 

 

 

 小町の提案という名の命令で、青木は俺が送って行くことになった。

 

「小町さん、今日はありがとうございました」

 

「いえいえ!小町も凄い楽しかったのでまた来てくださいね!あ、読み聞かせ会も楽しみにしてます!」

 

「はい、小町さんの為にも張り切って準備しておきますね!」

 

「じゃあ、いくか」

 

「ええ、お願いします」

 

 小町に見送られながら青木の家へ向かう。青木も振り返り小町に手を振ってくれている。

 

 

 

 

 

「小町の相手してくれてありがとな」

 

「相手だなんて……私も本当に楽しかったんですよ」

 

「そうだったのか」

 

 さっきは終始小町が喋っていた印象が強かったので青木も楽しんでいたのなら安心だ。

 

「ええ、比企谷君はどうだったんです?」

 

「俺は小町が楽しそうにしてたし満足だぞ」

 

「それなら良かったです……あ、着いてしまいましたね」

 

 青木の視線を追うと古風な作りの家と庭が広がっていた。

 

「……デカイな」

 

「ふふっ、確かに初めて見るとそのように仰る方が多いですね」

 

「……比企谷君、今日はお付き合い頂きありがとうございました。比企谷君のおかけでとても楽しく過ごすことが出来ました。それで、なのですが……また、今度も一緒にお買い物に行って頂けますか?」

 

「……ああ、もちろんいいぞ。俺も今日は久しぶりに楽しく過ごさせてもらった」

 

 本当に、小町以外と出掛けるのは久しぶりだったし、他の奴と出掛けても楽しかった思い出なんてものは無い。それに比べて今日は本当に楽しかった……

 

「……では名残惜しいですが、また学校でお会いしましょうね」

 

 青木と握っていた手が解かれる。

 

「……おう、またな」

 

 お互いに小さく手を振り合い来た道を引き返す

 

 振っていた手……さっきまで青木に握られていたその手には、まだ少し温もりが残っている気がした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃青木家

 

「お母様、只今帰りました」

 

「お帰りなさいれいか、随分と嬉しそうですね。お買い物は楽しかったですか?」

 

「はい、比企谷君とお買い物だけでなく、色々な所に行きました。これを見て下さい、比企谷君とプリクラを撮ってみたんです……少し恥ずかしかったですけど///」

 

「どれどれ、まぁ、綺麗に撮れて……え?……れいかが、初めて……この年で?……あっ」

 

「お母様?!誰か!お母様がお倒れになって!」

 

 

 

 

 少しして比企谷家

 

「あれ?お兄ちゃん何見てるの?」ヒョイッ 「あっ」

 

「おー!プリクラだぁ……おほぉぉぉ!!お赤飯炊かなきゃ!!」

 

「ちょ!待て誤解だ!」

 

 

 両家にてプリクラを巡る勘違いがあったとかなかったとか……

 

 

 

 

 




書き終わったら当初の予定より大幅に親密になってたでござる
れかちゃん積極的スギィィィ
でもまだ付き合ってねーんだなーこれが

心境的な感じだと
八幡:もうバリバリ意識中 しかしヘタレである

れいか:デートを機に八幡と触れ合ったり、過ごす時間が好きになる(ほら、良くある何も話さないけど二人でいる時間が好き見てーな?かーっ甘酸っぺぇ!)しかしまだ【好き】という感情には育ってない模様
的な!

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