(1)
「憂鬱だ……」
ボソッと呟くが誰も反応しない……
まぁ独り言なので反応があったらそれはそれで怖いのだが……
今日は久しぶりの登校日だ。別に夏休みが終わった訳では無い。ただ、夏休み中でも一回ぐらいツラ出せやオラァという、学校側の都合だ。
そもそも登校日なんて必要なのだろうか?普段地味な奴が夏休み中にはっちゃけて金髪にしてたら?登校日の事を忘れてて、染め直す間もなく登校してクラスが微妙な雰囲気になったらどうしてくれるんだよ。
「あっ、でもれいかと会えるのだけは良いか」
一昨日も一緒に宿題をしたが、れいかとの時間はどれだけあっても良いものだ。
少しは学校に行くのが楽しみになったかもしれない。
side:???
久しぶりだな諸君!俺の名前はせいじ、井上せいじだ!これでもクラスのムードメーカーを自称している!
今日は久しぶりにクラスのみんなに会えるからかなり楽しみにしてたんだ。
クラスに入ると友達のかつとしがボーッと何かを見ていた。
「おう、かつとし!久しぶりー」
「うお!せいじかよ〜!久しぶり、びっくりするわ」
「わりわり、で?何見てたんだよ〜?」
かつとしの、坊主頭を擦りながら聞くと手を払われた。
「やめろや!ほらっ、アレだよアレ、羨ましいよなぁ」
「あー……アレな、お前にゃ無理だ、諦めろ」
かつとしのしゃくった顎の先には黄瀬の机の周りに集まっているグループ……の中でも美人な青木に
影が薄くてクラスでもあまり目立つ存在じゃなかったのに、いつの間にかクラスのいや、学校の高嶺の花、青木を口説き落としていた奴だ。しかも最近は青木だけじゃなくて他の女子まで比企谷の周りに集まってる気がする……
「うっせ……そういえばよぉ、比企谷さんってさ?夏祭りの時、青木だけじゃなくて見かけない他の学校の女子とも仲良く回ってたって聞いたぜ?」
かつとしは比企谷が青木と付き合いだしてから比企谷の事をさん付けで呼び始めたんだよな。
「あ、それ俺も聞いた……マジだったのか……?」
うおぉぉぉめちゃくちゃ羨ましい!流石にガセだと思ってたのにマジだったのか?!
「流石だよなぁ……なぁ、あの二人
どこまで?!比企谷の奴、青木のおっぱいとか触ってんのか?!いやいや……
「そ、そりゃチューするくらいだろ?それ以上は流石に……」
「いやぁ、わかんねぇぜ?だってあんなに綺麗な青木だぜ?俺が比企谷さんだったら……」
『ええ!私とせつなは初めて八幡君とイッたんです!」
「……マジかよ」
青木からの衝撃的過ぎるカミングアウトにクラスが凍った……
「初めてで3Pかよ……」
「凄……」
「比企谷くんのおっきいのかな……///」
「……よく見ると結構顔もかっこいいよね」
「ぱねぇ……」
「おいおいおいおい!きょうか言い方が……?!」
『えっ……八幡君は初めてじゃなかったんですか……」
「や、初めてだったけど、その言い方だと誤解が……」
『良かったぁ……あっ、そういえばせつながこの前の事を話したら今度八幡君の家に泊まりたいって言ってましたよ!」
「ちょ?!その話もここでは……」
「むー!むー!」
…………………女子二人を連れ込んでお泊まり会……
「比企谷さん……いや、比企谷先生に今度さ、恋の秘訣を聞きに行こうぜ?」
「ああ、そうだな……」
俺はこの日、初めて学校の先生とは違う、素直に尊敬できる
sideout
side:八幡
クラスに入ったら既にやよいの周りにみゆき以外のみんなが既に集まって居た。俺も呼ばれたので輪の中に加わる。……こんな朝から一つの机を囲んで集まる、陽キャの様な現状。過去の俺は想像もしていなかっただろうな……
「それでね、この前みゆきちゃんのおばあちゃんの家に行ったよね」
「いやぁ、みゆきのおばあちゃんの家はすごかったわぁ……色んな意味で……」
まぁ、ガチ妖怪に会ったしな……
「アタシはみんなで泊まったのが修学旅行以来だったから楽しかったなぁ」
「それが普通やろ」
「でも八幡とれいか達は海外旅行に行ったじゃん」
『ええ!私とせつなは初めて八幡君とイッたんです!」
きょうか言い方ァァ?!いや、事実だけどな?!
「おいおいおいおい!きょうか言い方が……?!」
『えっ……八幡君は初めてじゃなかったんですか……」
海外旅行だよな?!え?まさかガチで
「や、初めてだったけど、その言い方だと誤解が……」
誤解だよな?
『良かったぁ……あっ、そういえばせつながこの前の事を話したら今度八幡君の家に泊まりたいって言ってましたよ!」
「ちょ?!その話もここでは……後でな?後で聞くから……!」
周りがヤバい目してこっちに聞き耳たててるから!
「むー!むー!」
「なーんか八幡の態度……ウチらになにか隠してる気がすんねんな」
うわ、あかねが無駄に鋭い……れいかには側室の事は話したけど
「ええ?良いじゃんあかね!二人の秘密って感じがして興奮するじゃん!」
「そりゃなおだけやわ……」
ホントな……
「ね、ねぇ、話がすごい脱線しちょってるから戻そうよ」
「……なんの話しやったっけ?」
「みゆきさんのおばあちゃんの家に行った話でしたよね?」
「そうだよ、もう。その事で話したかったのにどんどん話が脱線して言っちゃうんだもん、もう!」
確かに話を切り出したのはやよいだったもんな……
「へへ、すまんすまん。で?みゆきのおばあちゃんの家がなんなん?」
「うん、妖怪が本当にいたでしょ?だからね昨日こんな本を読んで見たんだ」
やよいが取り出して本には『本当にあった学校のコワ〜イ話』とタイトルが血が垂れるような字体で書いてある。
「い、いやぁぁぁぁ!!!」
「え?」
やよいの本を見たなおがいきなり悲鳴を上げた。
「やだ!そんなの見せないでよ〜!」
この怖がり様、なおって……
「なお?オバケ怖いん?」
「そ、そんなこと……!」
「おはよー、なおちゃんどうしたの?」
お、みゆきも来たな。
「それがね、昨日読んだ本の話をしたら……」
「ひっ?!」
やよいがチラッと本をなおに向けるとバッと目を背ける。
「やっぱり怖いんやん」
「ええ、実はなおは昔から大の幽霊嫌いなんです」
「ああ、れいかぁ……」
「いや、コレは隠そうとしてもバレバレだろ?」
「ええ、まぁ……」
「オバケかぁ……わたしもあんまり好きじゃないなぁ……」
みゆきもか、と言うよりも……
「お前……幽霊も妖怪も大して変わらないだろ……」
「それは……なんか違うもん!」
なんかって何さ……
「なおもみゆきもだらしないなぁ……よっしゃ!任しとき、ウチにええ考えがある」
なんか面倒ごとの予感が……
「学校で肝試しやー!」
『肝試し?!』
ほら、やっぱり……
「それでは皆さん、始業式でまた会いましょう」
担任の佐々木先生が教室を出て行くと教室からどんどん人が居なくなっていく。部活に帰宅、後は久しぶりに会った友人と帰り道に寄り道等をするのだろう。
最後に残ったのは何時ものメンバーだ。
「それで?肝試しって何するの?」
昨日、学校の怪談の本を熟読したらしいやよいが目を輝かせながら口火を切る。
「ん〜せやなぁ〜」
「肝試しって夜に校舎に忍び込むつもりか?見つかったらヤバいぞ?」
「そうなのですか?それでしたら生徒会として夜間の校内への不法侵入を許す訳にはいきませんよ?」
「ちゃうちゃう!流石に夜はウチも怖いし、日のあるうちに学校の怖そうなスポットを巡るってわけや」
「よかった……」
「残念……」
なおとやよいの落差よ……
「それで?怖そうなスポットって?」
「んー……八幡、意見を述べよ」
考えてねーのかよ……
「音楽室……とか?」
「音楽室、ですか……」
ん、なんかれいかは気になる事でもあんのか?
「あっ、そうです。生徒会の意見箱に音楽室についての怖い話が投函された事があるんです」
「何それ何それ!おもろそうやん!」
「うんうん!」
「えー本当にやめてよぉ」
「あはは……」
なおとみゆきの顔色が明らかに悪くなってきたな……
「他にも何件か怖い話が投函されたことがあるのでそれについて調べてみましょう」
なんかれいかもノリノリになってきた気がするな……
「よっし!決まりや!」
「学校の怪談の真相を突き止めるんだね!」
かなり盛り上がりだしたあかねたちと明らかに顔色の悪いなお達、何もなければいいんだがなぁ……
今回はクラスのモブAことせいじ君に周りから見た八幡君達の印象を語ってもらいました!
クラスで影の薄かった人間が高嶺の花と急に付き合いだしたら裏山ぁってなりますよね。
という訳で次回から肝試しスタートです!お楽しみに!