俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

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最近は寒いですねぇ
今年初めて雪を見ましたよ……


(2)

 れいかに着いていくと連れてこられたのは音楽室の前だ。やっぱ音楽室は学校の怪談の定番だよな。

 

「まずはここ、音楽室です。時折誰も居ないのにピアノがなるという噂があります」

 

 これまた定番だよな。ただ……

 

「音楽室……電気が点いてへんとこんなに暗かったんやな……」

 

「わたしもちょっと怖いかも……」

 

 カーテンを閉め切り、俺達が開けたドアからの光しか光源が無い状態の音楽室というのは、れいかの話のせいもあるのだろうが、正直かなり雰囲気がある……

 

「楽器の劣化を防ぐ為に遮光カーテン閉め切っていますからね。この時間帯の学校の中では一番暗いのではないでしょうか?」

 

 そんなにか……

 

「こ、ここは抜かさない?ね?!」

 

「あ、アタシもみゆきちゃんに賛成かな!」

 

 怖がり二人が最後の抵抗を試みるも……

 

「はぁ?なにいうとんねん?……みゆき、なお行ってき」

 

「えええぇぇ!!??むりむりむりむり!!」

 

「なおちゃん、噂の内容みたいにピアノとか引いてみてきて」

 

「やよいちゃん?!」

 

 おお……やよいも結構容赦ねぇな。

 

「みゆき」

 

「八幡くん……!」

 

「もし本当に幽霊が出てもお前なら友達になれるだろ……多分」

 

「八幡くーん?!」

 

 妖怪にも助けられたおばあさんの孫なんだし大丈夫だって……うん。

 

 

 

「なんかあったら呼んでな〜」

 

「わたし達はここから見てるね」

 

 がっちりとくっつきながらソロソロと音楽室の中に入って行く二人。

 

「オバケなんて居ないオバケなんて居ないオバケなんて居ない……」

 

「ちょっとみゆきちゃん……ブツブツ言うの逆に怖いからやめてっ!?」

 

「だって〜」

 

 話し声がギリギリ聞こえるけどろくなこと言ってねぇな……

 

「ようやくピアノの前に着いたみたいですね」

 

「なおちゃーん、ちゃんとピアノ弾いてねー」

 

 やよい、さっき言ってた事冗談じゃなかったんだな……結構鬼畜なのな……

 

 ポロンッ♪〜〜♪〜〜♪

 

 ピアノから意外とちゃんとした演奏が聞こえてくる。

 

「おっ、みゆき達結構上手いやん」

 

「……変ですね?みゆきさんもなおもこんな風にピアノが弾けましたっけ?」

 

「え?じゃああの『ひぃぃぃやぁぁぁぁ!?』へっ?」

 

 悲鳴と共にダッシュで駆け戻って来る二人。

 

 

『出っ!出っ!出っ!出た出た!?』

 

「けっ!鍵盤がっ」

 

「勝手に!勝手にだよ?!」

 

「ポローントゥルルららら〜って?!」

 

 ぱん!

 

『っ!…………………』

 

 柏手一発、突然の大きな音にみんな一斉に静かになる。

 

「お二人共、落ち着きましたか?」

 

『う、うん……』

 

「先程の演奏はお二人では無いと?」

 

「う、うん」

 

「音を出そうと思って蓋を開けたら突然……」

 

 この様子だとガチ幽霊説が出てくるなぁ……

 

「………マジでか……」

 

「わぁぁやっぱり幽霊はいるんだ」

 

 そこ喜ぶ場面?

 

「………後日私の方でも、もう一度確認しておきます。ここはもう辞めておきましょうか」

 

 流石にれいかの目も今は真剣になっている。

 

「他の場所はお二人だけでなく私達も付き合いましょう。今日は少し様子がおかしい様ですし……」

 

「せやな……流石にあんなの見て二人だけで行ってこいなんて言えへんわ」

 

「わたしも幽霊に会えるかなぁ……」

 

 おう、一人空気読めてねぇの居るな?

 

 

 

 

 俺達は音楽室から離れ、次の目的地に向けて歩いている。

 

「なんか、急に雰囲気出てきた気がするな」

 

「あかね楽しんでない?」

 

「こういう時ってあかねちゃんみたいな人が一番最初に犠牲になるんだよね。わたし本で読んだよ」

 

「それ、半分悪口やない?……まぁええわ。れいか、次は何処なん」

 

「目的地ならもうすぐそこですよ……はい、ここです」

 

「階段……か?」

 

 れいかが手で指したのは下りの階段だ。

 

「正確にはこの階段を降りた踊り場にある鏡……ですね」

 

 鏡かぁ……またメジャーなもんを……

 

「ここの噂は『別の世界へ続く鏡』というものです。」

 

『別の世界……?』

 

「ええ、あの鏡を覗いた時に、もしも映るはずのない人影が見えてしまったら鏡の世界へ引きずり込まれ、元の世界へは帰って来れない……という噂です」

 

 普通に怖い……

 

『…………』

 

「キャンディは怖くないクル!」

 

「お前は元から別の世界の住人だろうが……」

 

 つかいつの間に起きてたんだよ……

 

「確かに……」

 

「そういえばメルヘンランドも別の世界だよね」

 

「ほんなら、もし鏡の世界に行ってもメルヘンランド経由でここに帰ってこられるんちゃう?」

 

「なんか急に怖く無くなってきたかも……」

 

「怖さを克服してきている証拠ですね」

 

 なんか違くね?

 

 

 

 階段の踊り場まで降りてきて鏡の前に集まる。

 

「みんな、せーので覗くよ?」

 

『せーの!』

 

 鏡の中に映るのは俺達五人とキャンディだけの筈だ……しかし、実際にはやよいの真後ろに女性の姿が……

 

『出たぁぁぁぁ?!』

 

 俺達は我先に階段をダッシュ駆け上がる。

 

「こらぁ!階段を走らないの!」

 

『へっ?』

 

 振り返ると、踊り場に居たのは腰に手を当ててお怒りの我らが担任佐々木先生だった。

 

「先生やん……」

 

「びっくりしたぁ……」

 

「びっくりしたのはこっちよ。みんなが集まってるから何かと思ったら、急に叫んで走り出しちゃうんだもん」

 

「そうでしたか、すみません。実は…………」

 

 れいかが佐々木先生に説明をする。

 

 

 

「……という事でして……」

 

「ええ、学校の怖い噂?やめてよ……先生怖くてここ通れなくなっちゃうじゃない……」

 

「まぁそこはほら、所詮噂なんで……」

 

「……そうね。まぁ理由がわかったからさっきの件はもういいけど、余り危ない事のないようにね?」

 

『はーい』

 

「いい返事ね……はぁ、こういう噂はあんまり知りたくなかったなぁ……」

 

 先生はぼやきながら階段を降りて行った。

 

「先生も怖い話苦手だったんだね〜」

 

「な〜」

 

「でも、さっきのはノーカンやな」

 

「……そうだね。れいかちゃん、次は何処なの?」

 

「次は美術室ですね」

 

 

 

 

 

「ここでは壁に飾られた絵が偶に動く。と言う噂があります」

 

 扉を開けて中を覗くと……

 

「ここもカーテンが閉めきられてんのかよ……」

 

「絵が日に焼けてしまっては事ですからね……」

 

 まぁ、でも音楽室よりはマシだな廊下側からの明かりは入ってるし……

 

「ほんでーその絵ってどれなん?」

 

「あの中のどれかかな?」

 

 壁に飾られた……と言うよりも貼り付けられている絵は標語等の絵で掲示の期間が過ぎたものを保管しているような感じだ。

 

「だと……思うのですが……」

 

「いっぱいあるね」

 

 沢山貼り付けてあってどれが件の絵なのか分からない状態だ。

 

「アタシは壁以外の絵を見てるね」

 

「なおもしっかりと探しい!」

 

「あーん!ちゃんと見るから無理矢理目を開かせないでぇ!」

 

 アイツらはなにじゃれあってんだよ……

 

「あっ!もしかしてあれかな!」

 

 やよいが指差す先には一枚の変な絵が……

 

「なんか変な絵」

 

「絵の中の人物がこちらを向いていませんね」

 

「…………」

 

「ほらなおも!」

 

「見る見る!見るから!」

 

 まだやってたのかよ……

 

「あれ……なんか見た事あるような」

 

「え?ほんま?適当なこと言って誤魔化そうとしてへん?」

 

「いやそんな事しないよ……んー?」

 

 みんなでじっと絵を見ていた瞬間……急に絵の中の人物が振り向いた!

 

「毒林檎は如何かしら?」

 

 はっ?

 

『きゃぁぁぁぁ!!』

 

 ガっとみゆきに手を掴まれて部屋から引っ張り出される。

 

 れいかややよいも引っ張り出されたのか不思議そうな顔をしている。

 

「ほら!ほら!なんか出たじゃーん……」

 

 まぁ毒林檎とか随分と場違いな事も言ってたけどな……

 

「もうやめようよぉ……」

 

「ええ……もう少しダメ?」

 

「流石に今のはウチも絶対おかしいと思うわ……」

 

「そうですね……仕方ありませんがこれ以上はやめておきましょうか」

 

『よかったぁ……』

 

「残念……」

 

「残念がるなよ……」

 

 まぁ、ここが良い切り上げ時だろう……これ以上深入りすると本当にやばそうだし……

 

 




マジもんは次回から出す予定です!

そういえばきょかちゃん出てねーって書き終わってから気付きました……

それでは次回もお楽しみに!
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