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登校日の幽霊騒動から数日……とうとう今日で夏休みが終わりを迎える。
宿題は夏休みの前半に、れいかと二人で粗方終わらせておいて最後の読書感想文も先日書き終わったので既に終わっている。……そもそも最終日にまで残しておく方がダルいし……
そして、その最終日に俺が何をしているのかと言えば……
「夏休みも今日で終わりかぁ!よし!それじゃあ思い出作りも兼ねてみんなで一緒に遊園地に行こう!」
先日のみゆきの一言で急遽決まった遊園地に行く為に、待ち合わせ場所の公園で一人、揺れるパンダの遊具に腰掛けながら読書をしているのだ。
「少し早く来過ぎちまったかもな……」
小町に家を追い出された為かなり早めに家を出てしまったのだ。……まぁ、それも小町が一緒に来たいって言ってたのを無理やり置いてきたからなんだが……最終日なのに小町は宿題終わってなかったしな……しょうがないね。
「おはようございます。八幡君は今日はお早いですね」
最初にやって来たのはれいかだ。聞いた話によると祖父の教えで必ず待ち合わせの時刻の二十分前にはその場で待機する様にしているらしい。道理で待ち合わせとかで少し早く出て来ても必ずれいかが先にいた訳だよな。つまり今日は待ち合わせ対決の初勝利なのである……別に競ってる訳では無いが……
「まぁ、小町に追い出されてなぁ……一緒に来たがってたんだがまだ宿題が終わってなかったみたいでなぁ」
「それは……小町さんにはお辛いかもしれませんが、八幡君が正しいですね」
「小町もそれがわかってるから、不機嫌だったけど今もちゃんと宿題してるしな」
「ええ、後で褒めてあげましょうね」
「そうな」
れいかと他愛も無い話をしてるとどんどんみんなが集まって来て集合時刻一分過ぎ。
「間に合ったぁー!セーフ!」
「セーフクル!」
「いや、アウトだよ……」
ギリギリ遅刻で最後のみゆきとキャンディがやって来た。
「んー!今日はお天気お出かけ日和ー!」
「あら、みんな揃って……相変わらず仲が良いわね。今日は何処へ出かけるのかしら?」
星空の言葉に反応したのは偶々公園の前を通りかかったらしい私服姿の佐々木先生だった。
「あっ!先生!」
『こんにちは』
「これからみんなと遊園地に行くんです!」
「まぁ、そうなの?それなら安心ね」
安心?
「何がですか?」
「だって始業式の前日に遊びに行けるって事は夏休みの宿題が済んだってことでしょう?もし忘れて来たら補習授業をしようかと思っていたんだけど……取り越し苦労だったわね」
『…………………』
「いや……今頃になって宿題なんてしませんよ。なぁ?」
「ええ、私と八幡君は二人で夏休み前半の内に殆ど終わらせて、少しですけど予習もしていたんですよ?」
「あはは……あなた達は相変わらずの仲なのね……あの、こんな所で言うのもアレなのだけど……盛り上がってもちゃんと、避妊だけはするのよ///」
「なっ?!///」
「……ふふっ」
『………………………』
「じゃ……じゃあ先生もう行くからね!」
おま……とんでもない爆弾おとして逃げるんじゃねーよ……
「安心してください、八幡君。貴方の心に余裕が出来るまでは
『でも、もしも八幡君が我慢が出来なくなったのなら、私達は何時でも大歓迎ですよ……覚えておいて下さいね」
「いや、その、…………うん、覚えとくわ///」
『………………………』
あれ?俺なんでこんな真昼間の公園でれいかときょうかに誘惑されてんの?
うん、佐々木先生が悪いわ……後でなんかタチの悪い嫌がらせしよ……
「……あら、そういえば皆さん、さっきからずっと静かですけど……どうかしましたか?」
ん?確かに……何時もうるさいくらいなのにやけに静かだな?……しかもなんか震えてるし……
「おーい……どしたー?」
目の前で手を振ってやってやると漸くみゆきが口を開いた。
「……まだなの」
「は?」
何が?
「終わってないの……」
「夏休みの宿題……」
「終わってへんねん……」
「まぁ、それは……」
「おいおい……」
お前ら……マジかよ……
『あんなに時間があったのに、一体何をしてたんです?」
「遊んでたの〜!」
「好きな事して!」
「漫画見ながらゴロゴロして!」
「そしたらいつの間にか今日になってたんだよ!?」
「ただのダメな奴じゃねぇか……」
さっきの艶やかな雰囲気が跡形もないわ……
「まぁまぁ、でしたら今日は遊園地に行く代わりに皆さんの宿題を終わらせましょう?」
『れいかちゃーん!』 『れいかー!』
「八幡君も手伝ってあげましょう」
「はぁ……しょうがねぇ」
まぁ自業自得だが、この状況で見捨てるのもアレだしな……
「遊園地行かないクル?」
「ごめんねキャンディ!」
「大丈夫クル!」
おお、キャンディも聞き分けが良くなったなぁ……ん?
「キャンディ何持ってんだ?」
「拾ったクル!」
「これは……サイコロですね」
サイコロにしちゃあかなりデカイな……キャンディの頭くらいあるし……
「サイコロ?そりなにクル?」
「貸して」
「はいクル」
「サイコロって言うのはね、こうやって……転がして遊ぶんだよ」
キャンディから受け取ったサイコロを軽く放り、転がすみゆき。
ピカッ!
「うっ!?」
『きゃっ!?』
転がったサイコロが突然強い光を放ち、咄嗟に目をつぶってしまう。
光が収まりゆっくりと目を開けると……
「ここ……何処だ?」
「わぁっ……」
俺たちが今居るのが左右を向日葵畑で挟まれた一本道。目の前には何個もの小さな山が積み重なった様な、奇妙な形の大きな山と頂上にある大きな観覧車だ。
「ここは?」
「私達は公園に居た筈ですが……」
どうやらサイコロの光と共に変な所へ飛ばされてしまったらしい……
「ない!ない!ないだわさ!」
少し離れたところから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ウチ、嫌な予感がすんねんけど……」
「そりゃお前だけじゃねーよ……」
明らかにあのババァの声だろ……
「サイコロなんてどうでもいいだろ?」
「そうオニ」
「あれがないと困るんだわさ」
俺たちの前を何かを探すように足元を見ながらゆっくりと通り過ぎる三幹部達……
「やっぱなぁ……」
「しかもマジョリーナだけじゃなかったね……」
「……あのー!」
『っ?!』
「何でプリキュアが居るオニ!?」
「サイコロってこれでしょ?」
「んー?おお!プリキュアが拾ってくれてたとは手間が省けただわさ!」
『え?』
うっわっ……なんかわかんねぇけど最悪……
「そのサイコロはあたしが発明した【ゲームにスイコマレール】だわさ。サイコロをふるとこのゲーム遊園地に吸い込まれて、ゲームをしなくちゃ行けなくなるだわさ!」
「え?ゲームをするだけでいいの?」
「楽しそう!」
「いや、ウチら宿題せなあかんやろ?」
「こんなとこで遊んでる暇なんてないよ?」
「私達にこんな事をしている暇はないんです。元の世界へ帰してくださいますか?」
「ひーっひっひっひっ帰すわけないだわさ!お前らは変身して六時三十分迄に全てのゲームをクリアしないと帰ることは出来ないだわさ!」
「どうすんだ?」
「ゲームをしないなら一生ここに居れば良いオニ!」
六時半って……結構時間かかるのか?
「仕方ありません」
「やるしかなさそうだね……」
「よーし!みんな!」
『うん!』
みゆきの号令でみんながスマイルパクトを取り出し光に包まれる。
光が収まってくると五人の姿が現れる。
「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」
「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」
「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」
「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」
「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」
『五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』
「それじゃあ健闘を祈るだわさ!」
マジョリーナはそう言い残すとウルフルンとアカオーニを連れて消え去った。
そして俺たちの前に現れたのはサボテンの様な屋根の不思議な建物。
「罠とかあるかも知れねぇし気をつけろよ?」
「せやな」
「ええ」
俺、結構罠とか警戒してんだけどなぁ……
「第一ステージ!各アトラクション事にあたしらとお前達で勝負をするだわさ!さぁ、あたしの相手は誰だわさ?」
マジョリーナが抱えているのは、大きなピコピコハンマー。そしてその後ろではたくさんの穴から飛び出しては引っ込むことを繰り返すモグラ型のアカンベェ達。
「なんでモグラ叩きなんだよ……」
お前らさぁ……悪の幹部ならもうちょっとなんかあっただろ?
さて、少しだけど糖分が補給出来たので次回からも更に砂糖をぶち込んでいきたいと思います!
それでは次回もお楽しみに!