『ハーイパー!!』
まず、先手を取ったのはハイパーアカンベェだった。
『アカンベェ!!』
高く飛び上がり落下の勢いのままに拳を叩き付ける。
プリキュア達は飛び上がって避ける。だが、離れていた俺には見えた。叩き付けたアカンベェの腕とは別にショベルカーのアームが振りかぶられているのが。
「ビューティ!ダメだ!」
咄嗟に叫ぶが遅かった。
アームが振るわれた時には既にプリキュア達は皆、空中に身を躍らせ自由に動けない状態。
『きゃぁぁぁ!!』
振るわれたアームに薙ぎ払われ、プリキュア達が地面を転がる。
『ハイパー!!』
喜びの雄叫びを上げているのはアカンベェか中のウルフルンか……地に伏せるプリキュア達を
「くっそ……ポップ、ロイヤルクロックでプリキュア達に何か出来ねぇのか?」
新たな力なんて聞いているので、今のこの状況をなんとか打破出来ないのかとポップに聞いてしまう。
「それは……まだ無理でござる。その為にはプリキュアとキャンディの更なる力が必要だと女王様も言っていたでござろう」
「くっ……」
プリキュアとキャンディの更なる力ってなんなんだよっ……
「ん〜!良い事聞いちゃった!」
この声はっ!?
『クゥルゥゥ!?』
「キャンディ!?」
突然聞こえたジョーカーの声と共にキャンディが謎の球体に閉じ込められ、ふわりと浮かび宙へ飛び上がって行く。
「お久しぶりです皆さん!ひょっとしてデコルが全て集まって浮かれていたんじゃありませんか?ですがざ〜んねん!プリキュア達は倒れ、新たな力の鍵となるこの妖精ちゃんはワタシがこのなまけ玉に閉じ込めちゃいました☆」
ぱしっ……とキャンディが閉じめられたなまけ玉を掴み弄びながらも宙に立つのは憎たらし道化姿のジョーカーだった。
「ジョーカーっ……!」
「やだなぁ……そんな怖い顔で睨まないで下さいよ〜貴方が居たからワタシはこの妖精ちゃんの重要性に気付けたんですよ?何も出来ない比企谷八幡くん?
「くっ……!!」
この腐れ道化が……毎度のように人の気にしてる事をっ!
「ジョーカー!!」
「キャンディを返して!」
「それは出来ない相談ですねぇ?どうやらこの妖精ちゃんがロイヤルクロックを復活させる為の鍵の一つのようですから……ではウルフルンさん、プリキュアの相手はお任せしますよ〜」
『ハイパー!!』
そう言うとジョーカーは少し高度を上げた。どうやら高みの見物をきめこむようだ。
「あの野郎……なめやがって……」
……ジョーカーが高みの見物きめこんだのは確かにウザかったが助かった部分もあったのかも知れない。
『ハーーイパーー!!』
「きゃぁぁぁ!!」
キャンディが捕まってしまった後も終始、ハイパーアカンベェにプリキュア達が押される展開が続いていた。
「絶対にキャンディを助けるんだっ!」
「おやおや?おかしな事を言いますねぇ?」
ハッピーの言葉を聞いたジョーカーが口元にニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながら高度を下げてきた。
「あの妖精ちゃんは、貴女方の事なんか全部忘れて、楽しい夢の世界を満喫しているんですよ?それを助けるだなんて……ねぇ?」
「どういうこと?!」
「このなまけ玉の中は我々が理想とする世界そのもの、苦しい事なんて無いただただ幸せで……停滞した素晴らしい世界です!そんな夢の世界から戻って来たがるお馬鹿さんが居るはず無いじゃありませんか!」
「キャンディは必ず帰ってくる!」
「はぁ?」
「たとえそんな世界だったとしても!そこに本当の幸せがある筈ない!キャンディならそれに気付く筈だもん!」
「せや」
「うん」
「そうだね」
「ええ」
ハッピーの言葉にみんなが頷く。
「絵空事ですねぇ……もういいです。ウルフルンさん、プリキュアにトドメを!」
『ハイパーアカンベェ!!』
「皆さん!」
『うん!』
『ペガサスよ!わたし達に力を!』
その言葉と共にステッキから黄金の光が放たれ、プリキュア達を包み込む。
そして黄金の光が弾けると装いを変えたプリキュア達が現れる。
『プリキュア!プリンセスフォーム!!』
「届け!希望の光!」
『羽ばたけ!未来へ!』
『プリキュア・レインボーバースト!!』
五人の持つ蝋燭に見立てたステッキから溢れ出た光が合わさり、ペガサスの姿を模すとその角から、輝く虹色の光の奔流を解き放つ。
『ハイパー!!』
しかし、普段のアカンベェとは違い、ウルフルンを呑み込んだハイパーアカンベェは真っ向から光の奔流へと向けて突き進む。
『アカンベェ!!』
『きゃぁぁぁぁぁ!?』
そして、光の奔流を突き破りハイパーアカンベェがプリキュア達を吹き飛ばしてしまった。
「みんなっ!?」
ハイパーアカンベェの前には吹き飛ばされ倒れ伏す五人。
『ハイパーアカンベェ……』
「皆の衆!!」
「ポップ!?」
ゆっくりと五人に歩みを進めるハイパーアカンベェの前にポップが飛び出し、みんなを守るように盾の姿へ変化する。
「クソがっ!」
そして俺も気付けば飛び出していた。
「無様ですねぇ。こんな段階になっている漸く飛び出して来たとしても、貴方達に何が出来ますか?どうせ負けるのですから傷つかない方が良いではありませんか」
「はっ!……何も出来なくたってな、好きな奴が今からもっと酷い目にあいそうだってのに動かない様なクソ野郎では無いつもりでな」
「ふんっ……ウルフルンさん、彼らは軽く転がしてプリキュアにトドメを」
『ハイパー!』
「がぁっ!?」
「ぐぅっ……」
ハイパーアカンベェにはじき飛ばされるビューティの近くへ転がる。
「ビューティ……」
「……八幡…君……」
ビューティの方へ手を伸ばすと、ビューティも意識が戻っていたのか、ゆっくり手を握り返される。
ここで俺達は終わりなのだろうか…… そんな考えが頭を過ぎった時……
「何っ?!これは……馬鹿なっ!?」
ジョーカーの狼狽える声が響いた。
そして俺達の側へとゆっくり落ちてくる光の玉。
「……クル?」
光は地面に降り立つと弾けてそこには不思議そうな顔をしたキャンディが立っていた。
「ふっ……ですがまぁ良いでしょう。なんたってもう手遅れですから!明るい未来は真っ黒に塗りつぶされましたよぉ!」
「クル?……クルゥ?!みんな!?」
俺達の惨状に気付いたキャンディが慌てて近くに倒れるハッピーの元へと駆け寄る。
「うっ……くっ、おかえり、キャンディ……あ、あはは……良かったぁ……」
ハッピーも限界が近いのかそれだけ口にしてまた突っ伏してしまう。
「ううっ……みゆき……あかね…やよい…なお…れいか…八幡……お兄ちゃん!みんな……」
「ふふふっ、泣いたってもう手遅れですよぉ」
「ううっ……う゛うぅ!……みんなを……みんなをいじめちゃ……ダメクルゥゥゥゥゥ!!!」
「なっ?!これは!?」
キャンディの声と呼応する様に暖かな光の波動が広がっていく。
「……キャンディ?」
「…キャンディなの」
「この力は……ロイヤルクイーン様が
「ううぅぅぅう゛っ!ううっ……」
そしてキャンディに惹かれるように飛んできたロイヤルクロックにキャンディの頭上で生み出された新たなデコルが勝手にセットされ、キャンディから出ていた光を増幅する様、辺りにに一気に放つ。
「こんな力がっ?!」
『ハイパー!!』
キャンディ諸共光の元を絶とうとハイパーアカンベェが突進して来るが光の波動により近づく程に黒の鼻が剥げていき、最後には赤い何時もの鼻に戻ってしまう。
「もしかして今なら……気合いだ……気合いだ!気合いだ気合いだ気合いだ気合いぁぁぁ!」
そしてそれに気付いたのか、先程まで倒れていたハッピーが気合いの掛け声と共に立ち上がる。
「プリキュア・ハッピーシャワー!!」
『アカンベェ……』
そしてその一撃で、あれ程強力だったハイパーアカンベェは浄化されデコルを残して消え去った。
「キャンディのおかげで助かったよ!」
「ありがとうキャンディ!」
「ホンマ最後の凄かったで!」
「でもキャンディも無事で良かったよ」
「私達の力だけでは今回は勝てなかったでしょう」
『……まぁ、八幡君も貴女も無事でしたし良かったです」
「クル……キャンディもやっぱりみんなと一緒が良いクルずっとみんなと一緒に頑張るクル!」
今回はかなり危ない場面もあった。だがこれで……
「めでたしめでたし……ですかぁ?」
『……っ!?』
この声は!?
『ジョーカー!!』
ジョーカーは撤退すること無く、ニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながら未だに空中に留まり、ジャグリングをしていた。キャンディを捕らえた玉のようなもので……
「それはっ!」
「おやおや気づきましたか、流石何時も
煽りやがってっ……!
「なまけ玉はまだまだこんなにあるんですよ?あなた達もご自分の身で味わってご覧なさい。この幸せで停滞した世界を!」
そしてジョーカーがなまけ玉を投げつけてきたのを目にしたのを最後に俺の意識は途絶えた……
という訳で今章は速攻でバトルに入ったので結構短かったですね!ただ、次章はかなり改変する予定です!
個人的になまけ玉の効果がキャンディの時と違いすぎやろぉぉ?!という事で全員個別になまけ玉に入ってもらいます!
という訳で次回もお楽しみに!