俺の青春にスマイルなどあるのだろうか?   作:紫睡

155 / 225
今回少し、いつもより少なめです!

なんかすごく区切りが悪かったので!


(2)

 ガシャーン!!

 

 何かが砕ける様な音が響き、一瞬の浮遊感の後に地面を踏み締める感触が戻ってくる。

 

 瞑っていた目を開き、辺りを見ればそこは先程まで居たれいかの家は無く、驚き固まっているポップの姿が帰ってきた事を実感させる。

 

「……ふーむ、もしかしたらとは思っていましたが、やはり貴方は戻って来られるのですね」

 

 空から降ってきた憎らしい声に視線向ければ空中に佇み、(おとがい)に手を宛て、首を傾げるジョーカーの姿。その後ろには五つのなまけ玉が浮かんでいる。

 

「貴方のなまけ玉にだけは特別により多くのバッドエナジーを使い、寄りリアルに、寄り抜け出せない様に、幸福で安らかな空間を作って差し上げたのですがねぇ……」

 

 だからあんなにリアルなれいか達だったのかよ……つかなんでプリキュアでもないのに俺だけ特別仕様になってんだよ……

 

「……幾ら精巧に作ったってな、俺にだけひたすら都合の良い状態ってが既に違和感の塊なんだわ。自分に都合の良い事が続く事なんて無ぇんだよ」

 

「……その精神性、厄介ですね。それに、貴方はあのキュアビューティの心の支えでもある。……キュアビューティが狂乱し、気力を失うのか、それとも復讐に身を捧げるのか……賭けになりますが貴方を消してしまうのも手かも知れませんね」

 

「なっ?!」

 

 ジョーカーが言いながら取り出したトランプを俺に向かって投げつけてくる。

 

「速っ?!」

 

「八幡殿!!」

 

 ジョーカーの投げ放ったカードが俺を貫くのを幻視した瞬間、割って入る様に盾に変化したポップがカードを(はじ)いてくれた。

 

「ポップか、た…助かったわ」

 

「八幡殿も気を付けてくだされ、そう何度も拙者だけで弾けるような攻撃ではござらん」

 

「って言ってもな……」

 

 幾ら俺が避けようとしても、奴が本気を出してしまえば俺にはどうしようもない訳だが……

 

「今のは確実に殺せると思ったのですが……妖精に助けられたとは言え生きながらえてしまうとは……やはりこの賭けは分が悪いか……」

 

『今……」

 

「ん?」

 

『八幡君になにしてくれてやがるんですかァ!!」

 

「ぬおぉっとぉ?!」

 

 ジョーカーの頭上のなまけ玉の一つが割れ、姿を現すのは拳を既に振りかぶった状態のビューティの姿。

 

「はぁぁあああ!!!」

 

 ビューティの振り下ろした拳を、体を大きく反らせて避けるジョーカー。

 

「いきなり随分なご挨拶ですっ!っねぇ!?」

 

『避けるな!!」

 

「無茶な事をぉっ!?」

 

「貴方は先程!八幡君を狙って攻撃をしましたね!?」

 

「ハハッ!やだなぁ!たまたまですよ!たまたmどぅえっ?!」

 

 あっ、腹に一発決まった……

 

「八幡君!大丈夫ですか!?」

 

『傷は!怪我はありませんか!?」

 

 ジョーカーに一発入れると、ビューティは直ぐさま駆け寄ってきて服を捲って見たり、体を触って見たり、まさぐってみたり……匂いを嗅いでみたり……

 

「ちょ、おいおいおいっ!なんか趣旨変わってきてねぇか?」

 

「はっ!すいません。本物だと思ったら、つい……」

 

「そ、そうか……」

 

 それは……喜んで良いのか?なんというか……うん。

 

「痛たたた……」

 

 ジョーカーが叩きつけられた方から声が聞こえてきた。

 

「まったく、こればかりは予想外でしたよ。キュアビューティ……貴女は絶対になまけ玉からは抜け出せないと思っていたんですがねぇ?」

 

 ジョーカーの煽る様な言葉に、先程まで緩んでいた表情を一瞬で消して、ジョーカーを氷柱(つらら)のように鋭い視線で射抜いた。

 

「おぉ!怖い怖い」

 

「……確かに私だけであればあの場所から抜け出すのは困難だったでしょう……」

 

 一瞬、口元を悔しそうに歪め、れいかは続ける。

 

「しかし、私にはきょうかが居ます!貴方の悪意が産んだ私の親友が貴方の計略を阻むのです!」

 

「くっ…ですが!バットエンドビューティこそ、なまけ玉の中の幸福を望んでいるんじゃ無いんですか!それなのになぜ!?」

 

『声がしたんですよ」

 

「声、ですって?」

 

『愛してると、その言葉が私の中に浮かんで来た時を境に、急に全てが胡散臭くなったんです。まやかしの八幡君は愛を囁いてくれますが、そこに本当の愛を感じないんですよ!」

 

「なっ……そんな馬鹿げた理由で……」

 

 あっ、その声ってもしかして……俺の頭に浮かんだのは楽しそうにはしゃぐ鏡華の姿。

 

『それと!何回も言っていますけど私の名前はきょ・う・かです!次にバットエンドビューティなんて呼んだら殴りますよ!」

 

「……………まぁ、いいでしょう。幾らいきがったところで他の四人は未だになまけ玉の世界に囚われたまま。貴女一人ごとき、黄色っ鼻で充分です」

 

 ジョーカーは(おもむろ)に髪の先端に着いていた黄色の玉を外すとそれを放り投げた。

 

「出てよアカンベェ!!」

 

『アカーンべェ!!』

 

 ……ジョーカーの髪のアレ、アカンベェの玉だったのかよ……

 

「アカンベェ!キュアビューティを打ちのめしなさい!」

 

『アカンベェ!!』

 

 しかし、なんなんだ……あのアカンベェは?黒の全身タイツみたいな姿で全然何を元にしてるのか分からねぇぞ?

 

「ジョーカー!貴方は私達をみくびり過ぎているのです!例え、今は私一人だけだとしても、直ぐにみんなもあのまやかしから抜け出して来るでしょう!」

 

「何故?なまけ玉の中は理想の楽園です!そんな中から抜け出したいと願うなんて、貴女達のように頭のネジが数本外れているとしか考えられません!」

 

 酷ぇ言いようだな……

 

 ガシャーン!!

 

「誰の頭のネジが外れてるかぁぁ!!」

 

 おっ、サニーも戻ってきた!

 

 ガシャシャーン!!

 

「あれ?戻って来れた!?」

 

「キャンディ!わたし達出られたよ!」

 

「やったクル!」

 

 ん?そういえばキャンディが居ないと思ってたら今度はハッピーと一緒に閉じ込められてたのか?

 

「バカなっ?!どうして此処へ戻りたいと願えるのですか!?あの世界には全て有るのですよ!」

 

 ジョーカーは信じられないモノを見るように俺達を見回す。

 

「そんな考えだからダメなんだよ……」

 

「何だと!」

 

「あの世界はおかしいんだよ。確かにれいかもきょうかも居たし、せつなまで居た。だけど都合が良すぎるのも違和感でしかないんだ。俺達はちょっとずつ変わっていくし、そこにまた新しい魅力の発見があったりするのに……あの世界は止まったままだろ?」

 

「変わらず、不変の世界!素晴らしいではありませんか!!その証拠にほらっ!未だにキュアマーチは囚われたままですよ!」

 

 ガシャーン!

 

「よし!出れた!」

 

「………………」

 

『………………』

 

「あれ?何この空気?」

 

「出とるやん……」

 

 まぁ……なんか、うん……な?

 

 

 




はいっ!というわけでみんな出て来ましたね!

各自のなまけ玉の内容としては

みゆきとキャンディ:何処に行くにも何をするにしても皆一緒に来てくれるし、賛同してくれる。でも何をしても誰も咎めてくれない事に違和感を感じ、本物のみんなじゃないと嫌!っと脱出。キャンディはみゆきに引っ張られる形で脱出。

あかね:お好み焼き屋を継いで居る設定からスタート、みんなに美味しいと褒めまくられる。もっと上の味を目指す中で誰に意見を求めても美味しいしか言われない事に違和感……厳しい意見でも、ちゃんと自分を評価してくれる皆に会いたい!っと脱出。

やよい:人気漫画家になっている設定からスタート、何を書いても好評な事に違和感……以下あかねと同じ。

なお:れいかと八幡の数歩後ろを歩く友達的な設定でスタート、二人のイチャイチャをまじかで何度も見られて満足♡……だが、自分の予想を裏切るような二人のイチャイチャがあったはず!もっと刺激的なモノだったはず!とかいう謎の動機で脱出。コイツが一番動機が不純。

以上!蛇足でした!

というわけで次回はちょっとバトって今章は終わりって感じです!それでは次回もお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。