「むふー!お腹いっぱい」
「キャンディもお腹いっぱいクル」
無事、全員集合し昼食を済ませた後、俺達はみゆきの直感頼りで歩いていた。
何故かと言うと……
「ホンマに凄かったんやで?みゆきに着いてくと丁度列が空いとんねん。んで、列整理の人に運が良いですねぇって言われんねん。そんなんが毎回やで!?ウチちょっと怖なったもん」
全員で集まった時にあかねの漏らしたこの言葉が決めてになったのだ。
実際みゆきは妙に感が鋭い時があるのでみんな直ぐに納得していた。
「あかねちゃんひどーい!怖くなったなんて嘘でしょ!わたしより楽しんでた様に見えたもん!」
まぁ一人頬を膨らませてたみゆきも……
「パンケーキ……可愛くて美味しかったな〜」
昼食を挟んだらこの通り、直ぐさま機嫌が治って今はお腹をキャンディと一緒に撫でさすりながらご機嫌の様子だ。
「むむっ!あっちに何かある気がする!」
そんな時早速何かを感じ取った様子のみゆきが頭の左右で人差し指の先をダウジングの様にみょんみょん動かしたがら歩き出した。
「なんか調子乗ってんな?」
「ふふっ、みゆきさんが楽しそうで良いと思いますよ」
そのままみょんみょんと先導するみゆきの後に続けば、会場の端の方、一つのテントに辿り着いた。
「ここ!ここからビビッと感じます!」
「絵本の世界で大冒険?」
「なんだか、他のところでも見たような名前だね……」
「えー!そんな事ないよう!こう……ビビって来てね?このビビビッは今日一番のビビビビッなんだよ!?」
「はいはい……わかったから日本語で話せ……な?」
「日本語だもーん……はっぷっぷー」
拗ねるみゆきをそのままに仕切りのカーテンを
「……なんて言うか、不気味だな」
「……ええ、誰か一人ぐらい他にも人が居ても良いと思うのですが……」
「そらやっぱり、みゆきの呪い……的な?」
「どおじでそんなごと言うのぉ」
頬を膨らませながらあかねに絡みつくみゆき。
「まぁまぁたまたま人が居ないのかも知れないし、アタシ達だけで楽しめるって考えたら」
「そうそう、ほらみんなも一番前で観よう!」
なおとやよいに促され全員が席に着くと、直ぐさま暗くなる照明と鳴り響く開演のブザー。
いや速いな……
ブザーがなると先程まではしゃいでいたみゆきとキャンディも途端に静かになる。
『ようこそ!ふしぎな絵本の世界へ!』
『さあ!大冒険のはじまりはじまり〜』
そしてスクリーンに映し出されたのは何処かの荒野。そこでゴシック調の服装の少女が二体の怪物に追いかけられているシーンだった。
「まてまてぇ!!」
「まてぇ!!」
少女は咄嗟に岩陰に身を隠すが怪物からは逃げきれない。
「隠れても無駄たぞぉ?」
「ここかぁ?ちがぁう」
少女が隠れながらゆっくりと足を踏み出した時……
パキッ……
枯れ枝を踏み折り、乾いた音を立ててしまった。
『そこだぁ!!』
「きゃー!」
悲鳴を上げ駆け出す少女。
「逃がすかぁ!」
しかしその直ぐ後ろには怪物の魔の手が迫っていた。
そして怪物に少女が捕まりそうになった瞬間!
ピカァッ!!
『きゃ?!』 「くっ?!」 「眩しっ?!」
スクリーンから眩い光が放たれた。
ザパァン!
そして、そのすぐ後に聞こえてきた水の様な音に咄嗟に顔を覆っていた腕の間からスクリーンの方に目を向けると、そこには此方に絶賛飛んで来ている。スクリーンの中に居た筈の少女の姿。
「はっ?」 「ちょ!」 「へぇっ?!ぷぎゃ!」
驚く間もなく受け止めようとしたみゆきごと、座席の裏へと消えていった。
「みゆきちゃん?!」
「ちょっと!大丈夫!?」
慌てて座席の裏を覗くと少女の下敷きになったみゆきの姿。
「だ、大丈夫……だと、思…う……ガクッ」
あっ、死んだ……
「みゆきぃぃ!!……平気ならはよ起きんかい」
「えぇ、もうちょっと心配してくれてもいいのに……」
「おいそこ、漫才してねぇでもう一人の方も気にかけろ。起きそうだぞ」
「あっ!そうだった!ねぇ、大丈夫?」
みゆきが軽く揺さぶると少女は意識を取り戻した。
「う、ううん……ん?……あっ!お願い!助けて!」
そして少女が助けを求める声をあげた瞬間。
ドシーン!!
「今度はなんや!?ってなんか出てきとるー?!」
少女が飛び出して来たように少女を追っていた二体の怪物までスクリーンから抜け出してきたのだ。
「はっ!まさか……」
「れいか?何か知ってるのか?」
「ええ、話には聞いていましたが……これが、最近話題の体験型アトラクションというものなのでしょうか!」
あー、目をキラキラさせてるとこ悪いんだが……
「れいか……それ絶対違うわ」
「あら?」
「逃がさないぞ、にこ!」
「大人しくしてろよ!」
怪物達はそう言うと飛びかかってきた。
『きゃーっ?!』
ドシャーン!!
俺達は咄嗟に散開して逃げてしまったが、どうやらそれで正解だったようだ。
先程まで俺達が座って居た座席周辺は化け物二体に踏み潰され無惨な姿を晒している。
「れいかは大丈夫だったか?」
逃げたあと咄嗟に抱きしめ庇ったはいいが、俺の背中にもガツガツ壊された客席の破片が飛んで来た為、何処か怪我でもしていないかと心配でつい尋ねてしまう。
「あっ……え、ええ、大丈夫です」
「そうか、良かった」
「八幡君……」
「きゃぁぁぁ!!」
ドゴーン!!
れいかの無事を確かめ、ほっとしたのもつかの間、少女の悲鳴と何かを叩き付けたような音が響く。
ギシギシギシッ!!
そして間を開けることなく嫌な音がそこらじゅうから響き始めた。
「っ!!お前ら!今すぐテントから逃げろ!」
近くで蕩けた様子のれいかの手を引き、近場の幕を強引に捲りあげ、外へと連れ出すしテントから離れる。
ギギギギッ!
そして鈍い音を響かせ続けるテントはとうとう自重を支えきれなくなったのか俺達の目の前でテントの中心に向かって倒れていった。
「……私達もあと少しで巻き込まれるところだったのですね……」
握られている手が更にギュッと強く握られる。
「おーい!みんな無事か!」
他の奴らは大丈夫だろうか?
「うん!大丈夫!」
近くで聞こえた声に安心して胸を撫で下ろす。
「わたし達も平気だよー!」
俺の声を目印にしたのかまだ薄らと立ち上る土煙の中から声に続いてその姿が見えてくる。
「いやぁ、八幡のお陰で助かったわぁ」
「ホントだよ、あそこで逃げろって言ってくれなかったら、逃げ遅れてたかも知れなかったもん」
「うんうん!」
次々と掛けられる感謝の言葉に照れくささを感じながらも話を元に戻す。
「気にするな、俺もお前らが無事で安心したよ。ところであの女の子と怪物はなんだったんだ?バッドエンド王国の奴らなのか?」
そう言って二体の怪物の方へと目を向ける。
テントを破壊して飛び出して行った怪物は、今は壊れたテントの近くの別の大きなテントの屋根の上に居る。
「んー?キャンディは見た事ないクル」
両手で
キャンディが知らないって事はバッドエンド王国は関係ないのか?
「分からないけど助けてって言ってたあの子を助けないと」
「そうだね」
「うん!」
「みんな、変身クル!」
『うん!』
みんながスマイルパクトを構え、光に包まれる。
そして光が収まってくると五人の姿が現れる。
「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!」
「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!」
「ぴかぴかぴかりん♪じゃんけんぽん!キュアピース!」
「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」
「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!」
『五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!』
「みんな!あの子を助けるよ!」
『うん!』
プリキュア達は少女の救出に向けてテントの上へと飛び出して行った。
はい、という訳で導入編です!
今回は原作を見ていて少し気になった所を補正しながら書いていました。次回は戦闘をチョロっとで絵本の世界へ入って行きたいと思います!
それでは次回もお楽しみに!